ブログトップ | ログイン

心の時空

yansue.exblog.jp

a day in my life

a0212807_03030560.jpg「大正浪漫三部作」の最後が、1991年作品「夢二」です。
タイトルのとおり‘大正ロマン’ の象徴のような画家(元祖グラフィック・デザイナー) 竹下夢二を主人公に鈴木清順監督は、‘夢二’と関わる女たちを艶やかにして幻想的な映像により耽美主義の清順美学を見せてくれます。
a0212807_03033235.jpg「大正浪漫三部作」の中でもこの「夢二」に鈴木監督の色彩へのこだわりを一番感じます。
映画のプロットは、竹久夢二の詩と絵で有名な「宵待草」と見返り美人図として有名な「立田姫」をモチーフにしており、劇中、夢二に関わる三人の女それぞれに同じ着物をa0212807_03033536.jpg着せて夢二との絡みのシーンを撮ったり、映像を黄・赤・青・緑など明確な色調(トーン)で表現したり、鈴木監督悠々の遊び(美しくも軽やかな印象)を感じました。
映画は、1917年大正6年の金沢が、舞台です。主人公の夢二を沢田研二(1948~)が、一生懸命軽やかに演じているものの反って不自然で彼は、歌手であって俳優でa0212807_03033888.jpgないと分かっていても小林薫など演技達者な俳優に演じてもらいたかったと思いました。
「夢二」に絡む三人の女、巴代を毬谷友子(1960~、出演時31歳)、彦乃を宮崎萬純(1968~、同23歳)、お葉を広田レオナ(1963~、同28歳)が、それぞれの個性を生かしたa0212807_03034184.jpg美しさで(鈴木監督の演出手腕もあって美しく)、「大正浪漫三部作」に出演した女優たち皆なに共通することながら彼女たちの美しさは、際立っていました。
共演の原田芳雄、大楠道代ほか、劇中夢二と同じ時代に活躍した日本画家(速水御舟がモデル)を演じた坂東玉三郎(1950~)など
a0212807_03121245.jpg
が、脇を固めていました。
a0212807_03122686.jpg「大正浪漫三部作」以外でも2001年作品「ピストルオペラ」は、シュールにしてコミカルな不条理劇(前衛劇)です。
プロットは、あの世(霊界=死後の世界)とこの世(顕界=現世)の境界が、溶解してゆく怪異譚(たん)で、世にも不思議な(摩訶不思議な)怪奇エロチック映画です。
a0212807_03122892.jpgこの映画にストーリーうんぬんは、関係なし、この「ピストルオペラ」も女優を見るための映画です。
主演の江角マキコ(1966~、出演時35歳)は、28歳のとき今や日本を代表する名監督(名匠)是枝裕和監督の1995年デビュー作品「幻の光」で売れっ子モデルから女優に転身(女優デビュー)、7年のキャリアを積んでの出演なのでコミカルな演技も堂に入っています。
a0212807_03123140.jpgすばらしいのは、主演の江角マキコだけでなく、トップモデルの山口小夜子(1949~2007、出演時52歳、1989年「利休」の茶々役が、印象に残ります)、出演時11歳の韓英恵(1990~、女優デビュー作品、2018年「菊とギロチン」に出演)、さらに稀代の名女優 樹木希林(1943~2018、出演時58歳)たちが、鈴木監督に乗せられa0212807_03032134.jpgて楽しそうに演じています。
鈴木監督は、テンポよくシュールにしてコミカルに、不条理劇「ピストルオペラ」を演出、これにエゴ・ラッピンの音楽が、心地良くシンクロして行きます。
混沌とした「ピストルオペラ」のストーリーながら、それもさほど気にならず最後まで大いに楽しめる映画です。

# by blues_rock | 2018-10-31 00:01 | 映画(シネマの世界) | Comments(0)
a0212807_02594975.jpg
a0212807_03000627.jpg鈴木清順監督(1923~2017)の作品(特集)を福岡市総合図書館シネラで見ました。
やはり、何といっても鈴木清順監督が、異彩を放つのは、映画の製作と興行とが、一体となったシネプラセット上映の名プロデューサー荒戸源次郎(1946~2016)と名脚本家田中陽造(1939~)との異色の才人三人による「大正浪漫三部作」です。
a0212807_03000181.jpg1980年の怪奇的耽美映画「ツィゴイネルワイゼン」は、冒頭、作曲家サラサーテが、自らバイオリンを演奏し録音したSPレコード盤の名曲「ツィゴイネルワイゼン」を聴いた二人の男が、演奏と一緒にレコードに録音されているというサラサーテの呟(つぶや)きについて「何て言ったんだろ!?」、「君にもわからないか?」と語りながらカットインしてくるところから始まります。
スペイン(バスク人)の作曲家サラサーテが、ジプシー(ロマ)音楽をもとに作曲した物憂げで哀感たっぷりの「ツィゴイネルワイゼン」をバックに映画「ツィゴイネルワイゼン」は、退廃的なエロティシズムと夥(おびただ)しい食べるシーンが、散りばめられた死の感触を醸し出していきます。
男が、「腐りかけがいい。 何でも腐ってゆくときが、一番美味いのさ。」と女の肉体を貪り、女は、腐りかけた桃を口に入れ、その水蜜桃の皮まで舐めるシーンなど秀逸至極、傑作「ツィゴイネルワイゼン」は、耽美派映画監督 鈴木清順の演出するエロティシズムが、鮮烈です。
主人公の男二人を一人は、稀代の名優 原田芳雄(1940~2011)、もう一人を映画監督にして俳優 藤田敏也(1932~1997)が、演じています。
得体の知れない男の原田芳雄とからむ妖艶な女を演じるのが、藤田敏也演じる大学教授の妻役の大楠道代(1946~、デビュー当時安田道代、美しかった! 結婚で女優を引退するもこの「ツィゴイネルワイゼン」で女優大楠道代a0212807_03021161.jpgとして復活、当時35歳、妖艶な女のエロティシズムが、秀逸)です。
原田芳雄演じる放蕩資産家の貞淑な妻を大谷直子(1950~、出演時30歳)が、演じ、性欲を圧し殺したその禁欲的な表情もまたエロチックでした。
映画ファン、映画評論家から絶賛されa0212807_03011929.jpgた「ツィゴイネルワイゼン」の翌年の1981年、鈴木清順監督は、‘フィルム歌舞伎’と呼ばれた「陽炎座(かげろうざ)」を発表、当時人気アクション俳優の松田優作(1949~1989病没、享年40歳)を主役に起用、鈴木清順監督は、彼の前で直径1mの円を描き、「この円の中から出ないような演技をしてa0212807_03011531.jpgください。」と当時32歳の松田優作を指導、この映画出演後の彼が、演技の‘新境地’を拓いた作品として見るとたいへん興味深いと思います。
1926年、大正最後の年15年(昭和元年)の東京、新派の劇作家松崎(松田優作)は、落とした手紙が、縁で品子a0212807_03025767.jpg(大楠道代)と出遭います。
その後も松崎は、偶然品子と出遭い、彼が、品子と一夜を共にしたその部屋は、彼のパトロン玉脇(中村嘉葎雄、1938~)の部屋にそっくりであることに気が、付きました。
松崎は、品子の「金沢で待つ」という手紙に誘い出され金沢に向かいますが、a0212807_03030396.jpg品子は、手紙を出した憶えはないと言いました。
その後、松崎は、パトロン玉脇から品子との心中をしつこく唆(そそのか)され、逃げ出し松崎は、アナーキストの和田(原田芳雄)と知り合いました。
そして、不思議な祭り囃子に導かれ、奇妙な芝居小屋の「陽炎座」にたどり着きました。
出演している女優は、大楠道代のほかに加賀まりこ(1943~、出演時38歳)、楠田枝里a0212807_03030758.jpg子(1952~、同29歳)、「陽炎座」の原作が、怪奇ロマン作家の泉鏡花(1873~1939)、製作=荒戸源次郎、脚本=田中陽造、監督=鈴木清順、これに前作「ツィゴイネルワイゼン」を撮った撮影監督の永塚一栄(1906~1982)を加えた最強のカルテットですから、映画「陽炎座」が、おもしろくないはずはありません。(後編へ続く)

# by blues_rock | 2018-10-30 00:03 | 映画(シネマの世界) | Comments(0)
a0212807_15400178.jpgたぶん幕末(江戸末期くらい)のころ、古伊万里の呉須深皿(経15㌢・立て5㌢)を「焼き継ぎ」したものでしょう。
呉須の釉(ブルー)が、少し薄いのは、良質な呉須(コバルト)釉薬が、幕末には、貴重となり 手に入り難くなっていたからと推察します。
三瀬のヴィレッジアンティークでいつものように掘り出し物を探していたら ‘キズ’ というシールに小さく価格を記してある格安古伊万里深皿を発見、キズの直し(接着)の痕跡(あと)が、少し気になったものの購入後、一旦外し、再度 糊漆できれいに繋ぎ直し「金継ぎ」しようと考えました。
深皿の汚れは、一時間ばかり漂白水に浸して中性洗剤で洗うときれいに落ちました。
接着部分を鋭利なカッターで弄ってみると非常に硬質で、いまの接着剤(ボンドなど)の類ではなく‘強固なガラス質のもの’であることが、分かりました。
磁器が、伊万里と呼ばれ一般庶民に高嶺の花であった江戸時代、現在(いま)では もう消滅した特殊な‘金継ぎ技法のひとつ’(金継ぎとは、陶磁器修理技法の総称)で、江戸時代普通であった「焼き継ぎ」の痕跡(あと)と気付きました。
「焼き継ぎ」について興味のある方は、こちら をご覧いただくとして、この貴重な江戸時代の文化遺産「金継ぎ生活史」の証拠品を私が、台無しにしてしまわな
a0212807_15401156.jpg
いよう保存することにしました。
骨董店(アンティーク・ショップ)に立ち寄ってみると時おりこんなレアな掘り出し物に出遭いますから骨董店覗きをなか
a0212807_15402416.jpg
なか止められません。

# by blues_rock | 2018-10-28 00:08 | 金継ぎ/古美術/漆芸 | Comments(0)
a0212807_17343943.jpg
戦争が、終わり73年、いまだに韓国と日本との国家間のイザコザは、絶えませんが、先日の日経新聞記事によれば、韓国の若い世代に日本の ‘文化’ に関心をもつ若者たちが、増えているとありました。
a0212807_17351140.jpgさりとて、国のレベル(政府間)となると長い歴史にわだかまる民族意識と‘マネー’目的の利権が、交錯、両国民ともに90%近くは、「戦争を知らない子供たち」世代なのに忌まわしい過去に引きずられ、また新たな諍(いさか)いを起こそうと云うのですから開いた口が、ふさがりません。
a0212807_17351445.jpg歴史の事実として悪の帝国であった旧大日本帝国は、1910年に李氏朝鮮王国を滅ぼし日韓併合、1945年の敗戦(無条件降伏)まで35年間、朝鮮半島を植民地としていた事実は、これからも変わりません。
韓国と日本は、過去3千年の間、弥生時代から現在まで地球上の最隣人であり、国の場所を動かすことが、でa0212807_17351712.jpgきない以上、「過去は、過去として、もう二度と決してお互い相手を攻撃しない(悪口も言わない)」という固い信念と友情を持ち続けなければ、両国とも不幸しか招かないことは、歴史が、証明しています。
さて、閑話休題、韓国内にも根の深い歴史の瑕疵(かし、キズ)が、あり今夜紹介する韓国映画「1987、ある闘いの真実」は、1980年の光州事件(韓国国民の民主化運a0212807_17352061.jpg動を朴大統領暗殺事件に絡み、クーデターで大統領になった全斗煥軍事独裁政権が、暴力で弾圧した流血事件)を描いた2017年映画「「タクシー運転手」から7年後の韓国社会、つまり絶対権力の ‘暴力装置である軍’ の本質をリアルに描いています。
監督のチャン・ジュナン(1970~)は、光州事件のとき10歳、撮影監督キム・ウヒョン(1972~、2015年「暗殺」の映像は抜群) が、a0212807_17353536.jpgまだ8歳、そして1987年に起きた大統領直接選挙制を求める大規模な民主化運動に火を点けた全斗煥大統領独裁政権による学生運動リーダー2人を拷問で虐殺した殺人事件のときジュナン監督は、まだ17歳の高校生、ウヒョン撮影監督15歳たるや中学性の多感な時代でした。
a0212807_17353888.jpg「1987、ある闘いの真実」(原題「1987: When the Day Comes」)は、わずか31年前に起きた韓国現代史をもとにリアリティに徹したジュナン監督の演出と、それにシンクロしたウヒョン撮影監督カメラクルーのハンドヘルド撮影が、正に「1987年のその日」にいるような(タイムスリップしたような)見事な現実感を醸し出しています。
a0212807_17354166.jpgハンディカメラの性能が、向上(デジタル化で操作が、簡単でコンパクト)したことで ハッタリ(だます)のためにハンディカメラやスマホを多用、ドキュメンタリー風な映像(ハンドヘルド撮影)で誤魔化す監督(=撮影監督)が、あまりに目立ち(ポルノPoV撮影の悪影響)、彼らの撮った締まりのない映像は、見るに堪えず「カメラを止めよ!」と余計なことを言いたくなります。
a0212807_17362388.jpg
ハンドヘルドカメラの多用は、ときに逆効果でハンドヘルド撮影を生かした秀作と云えば、2004年映画「モーターサイクル・ダイアリーズ」でしょう。
a0212807_17362667.jpg当時24歳のアルゼンチンの医学生チェ・ゲバラに密着取材したドキュメンタリーのようでハンドヘルドは、本来映画の質を高める高度な撮影技法です。
この「1987、ある闘いの真実」は、映画解説を百回読むより30年前の韓国をリアリティあふれる映像で描いているので、ぜひ我が目で見ていただきたいと思います。
a0212807_17363198.jpg極悪非道で 血も涙もない無慈悲な脱北反共主義者で特務機関のパク所長を演じる名優キム・ユンスク(1968~、2008年「チェィサー」主演」が、実に秀逸で その年の韓国映画祭で主演男優賞を受賞しています。
彼に抵抗するソウル地検公安部長チェを演じるのは、名優ハ・ジョンウ(1978~、2013年「ベルリンファイル」、2016年「お嬢さん」主演)、映画に登a0212807_17363627.jpg場する拷問で虐殺された学生パク・ジョンチョル(1965~1987拷問死、享年22歳)をヨ・ジング(1997~)、韓国民主化闘争の象徴で学生運動の中心的役割を担った延世大学の学生イ・ハンニョル(1966~1987催涙銃で射殺、享年21歳)をカン・ドンウォン(1981~)、拷問虐殺の証拠を民主化運動のグループに渡す永登浦刑務所看a0212807_18113194.jpg守ハンを名優ユ・ヘジン(1970~)など実在の人物が、多く登場し映画にリアリティを持たせています。
危険を承知で獄中情報を届ける看守ハンの姪で延世大学の女子大生ヨニを演じるのは、若手女優キム・テリ(1990~、2016年「お嬢さん」孤児の少女スッキを演じ注目)で、ジュナン監督が、虐殺されるイ・ハンニョルに淡い恋心をもつ女性として映画のためにa0212807_17363314.jpg登場させた架空の人物です。
韓国の現大統領 文在寅(ムン・ジェイン、1953~)も1980年光州事件当時27歳で人権派弁護士見習い(司法研修生)であり、戒厳令を敷く全斗煥軍事独裁政権に反旗を翻す民主化市民運動の活動家でした。
なのに ‥ 大統領になったとたんにチンプンカンプン、あの反骨の気概は、どこへ行ったのでしょうかね。

# by blues_rock | 2018-10-26 00:26 | 映画(シネマの世界) | Comments(0)
a0212807_05340337.jpg
いま、久留米市美術館(旧石橋美術館)で開催中の「長谷川利行展」を見て来ました。
天才画家 長谷川利行(詳細はこちらを参照ください)は、大正から昭和にかけて浅草を中心に東京下町の木賃
a0212807_05343616.jpg
宿や公園で野宿しながら、家(アトリエ)を持たず、描く場所を選ばず、体内から溢れ出る絵画制作への情熱と類まれな才能(表現センス)をキャンバス・板・紙に奔流のようなタッチでぶつけ、人物画・風景画の傑作を多く描
a0212807_05350006.jpg
き残しました。
長谷川利行は、78年前の1940年(昭和15年)三河島の路上で倒れ療養施設に収容され胃ガンと診察されるも
a0212807_05373158.jpg
治療を拒みやがて亡くなりました。
彼の持ち物であった絵・スケッチブック・画材などは、療養施設の規則ですべて焼却されましたが、倒れるまで
a0212807_05350716.jpg
絵を描き続け、極貧の長谷川利行は、描いた絵をその日の酒代、木賃宿代にしていましたから、焼却を免れた彼の絵が、今でも‘発見’されるのは、そのためです。
a0212807_05373795.jpg
最初の風景画写真、油絵P20号「カフェ・バウリスタ」(東京近代美術館蔵、長谷川利行を4点所蔵)は、2009年TV番組「開運 お宝探偵団」で新発見の長谷川利行作品として紹介され 1,800万円の価格が、提示されました。
a0212807_05351895.png
今回の展覧会は、回顧展のような規模ながら私が、見た日は、入場者も少なく展示されている 140点を一点ずつ 目の前でゆっくり見ることができました。
a0212807_05374315.jpg
私は、興奮と集中で17時の閉館時間をすっかり忘れ、じっくり見ていましたので心配した美術館のスタッフから「大丈夫ですか? 間もなく閉館ですが‥」とやさしく注意されるも最後の一点までゆっくり堪能しました。
a0212807_05352457.jpg


# by blues_rock | 2018-10-24 00:04 | 美術/絵画/彫刻 | Comments(0)
2か月前の8月は、全国各地、ところによって 40℃を超える酷暑続きの日本列島でしたが、9月になると二つの台風襲来もあって季節は、一気に秋モードとなりました。 (下写真 : 松の巨木厚板テーブルにまず驚きます。)
a0212807_22371018.jpg
秋日和のポカポカ陽気に誘われて三瀬峠には、棚田の曼殊沙華を見に行ったばかりなのに、車で20~30分と自宅から近いこともあって気分転換にと車内ステレオのボリームをめいっぱいあげ、クリスマスソングを聴きながらドライブしました。 (下写真2枚 : 秋の草花が、壁の照明とマッチ、月見しているよう、センスを感じます。) 
a0212807_22372740.jpg
今回は、‘そば遊山’の蕎麦を食べること、途中 三瀬トンネル向こうのアンティークモールとヴィレッジアンティークに立ち寄り、いつもの‘冷やかし(超掘り出しもの物色)’、さらに‘そば遊山’(遊山の裏庭)のあと、神崎から久留米に向かい、久留米市美術館で開催の「長谷川利行展」を見るのが、目的でした。
a0212807_22374254.jpg
秋の遊山は、ヒンヤリと膚寒く、そばとダシを堪能するために温かい‘かけそば’をいただきました。
ざるよし、かけよし、旨味たっぷりダシも、ひと汁(つゆ)残らずいただきました。
佐賀は、全国第3位の蓮根(レンコン)の大産地、新蓮根の出荷が、始まる11月後半になると‘そば遊山’では、
a0212807_22390574.jpg
蕎麦に蓮根団子添えのレンコンそばが、季節メニューに加わります。
標高580㍍にある三瀬トンネルは、12月半ばから2月終わりにかけて凍結や降雪で道路が、すぐ通行止めになりますので冬の遊山は、早めに訪ね、何としても‘そば遊山’のレンコンそばを食べて、私の年越しそば にしたい
a0212807_22392561.jpg
と計画しています。  (上写真2枚 : 遊山の裏庭、四季折々 食後の散歩に最適です。)

# by blues_rock | 2018-10-22 00:02 | 柏原生活/博多叙景 | Comments(0)
a0212807_08541431.jpg
韓国系フランス人でフランスの女性監督ウニー・ルコント(1966~)の 長編作品第2作目となる2015年映画「めぐりあう日」(脚本・監督、原題「Je vous souhaite d'etre」あなたは私の希望)は、前作2009年のデビュー作品(脚本・a0212807_08542230.jpg監督) ‘冬の小鳥’で、韓国に生まれ韓国人の親に捨てられた自分が、なぜフランス人なのかという ‘アイデンティティ’ の拠りどころを描いたときと同じように、実の親を知らないフランス人女性の ‘自分探し(アイデンティティ探し)’ をテーマにした作品です。
主人公の理学療法士エリザ(セリーヌ・サレット 1980~、2013年「君と歩く世界」に出演)は、パリで夫アレックa0212807_08543419.jpgス(ルイ=ド・ドゥ・ランクザン 1963~、2016年「パレス・ダウン」出演)と8歳の息子と暮らしていますが、自分の産みの親を知りませんでした。
フランス人の夫との間にできた息子の容姿が、アラブの男の子を思わせる容姿であることからエリザは、夫から疑われ苦しみました。
夫と別れ、心の底に蟠(わだかま)る自分の過去を知るため、息子を連れ出生地の北フランスの港町ダンケルクa0212807_08544273.jpgへ移り住みました。
実の親(両親)の手がかりは、なかなか見つからずにいたある日、息子の通う学校で、給食補助員として働くアネットという中年女性(アンヌ・ブノワ、2006年「薬指の標本」出演)が、患者としてエリザの治療室を訪れて来ました。
エリザが、アネットを治療するうちに二人は、お互い次第に不思議な親近感を覚えるようになりました。
a0212807_08543881.jpg
ここから映画は、アネットの青春時代、16歳のときの一途な愛と悲恋、そして訪れる悲痛な苦悩とエリザが、想像もしなかった彼女の人生を映していきます。
a0212807_08544545.jpg
この重く切ない二人の女性の人生を フランスの名撮影監督 カロリーヌ・シャンペティエ(1954~、名監督の傑作を多く手がけるベテランの名撮影監督、近作でも2011年「神々と男たち」、2012年「ハンナ・アーレント」、2017年a0212807_08550886.jpg夜明けの祈り」など)が、繊細なカメラワークで表現、見ている私たちの心を惹き付けていきます。
「めぐりあう日」は、脚本・監督のウニー・ルコント監督、カメラのカロリーヌ・シャンペティエ撮影監督、主人公エリザ役のセリーヌ・サレットとアネット役のアンヌ・ブノワ 4人の女性たちの情熱で生まれた秀作映画です。
a0212807_08545099.jpg映画ラストのシークエンスで流れるアンドレ・ブルトン(愛を否定し自分が、生まれたことを呪っていたフランスのシュールレアリスト詩人)が、父となり 生後8か月の娘へ贈った詩の一節「あなたの誕生に何一つ偶然はない」から続く詩の朗読は、じんじんと私の胸に染み入りました。

# by blues_rock | 2018-10-20 01:20 | 映画(シネマの世界) | Comments(0)
a0212807_12414661.jpg
日本にも1960年代以降に生まれた才能ある中堅ならびに若手の映画監督(当然脚本も自作)が、出現し始め、かっての日本映画の水準に到達しそうな予感、私は、贔屓監督が、新作を発表するたびに、わくわくしながら、
a0212807_12474620.jpg
映画館に向かいます。
1990年代、ピンク映画ばかり撮っていた瀬々敬久監督(1960~)は、2000年代になると長編映画の自主製作で
a0212807_12474979.jpg
一気に才能が、開花、2017年作品「最低。」は、すばらしいものでした。
それから1年、最新作「菊とギロチン」もまた期待に違わないすばらしい作品です。
a0212807_12480064.jpg映画は、3時間と長尺ですが、長さを感じさせず、 瀬々敬久監督と相澤虎之助監督(1974~)の共同脚本による斬新な映画感覚は、秀逸です。
タイトルの「菊とギロチン」から少々アクの強い思想的なものを感じる向きもあるでしょうが、映画の舞台となる大正時代の空気感(リアリズム)を好く表現しています。
a0212807_12480243.jpg大正から昭和20年までの国体であった天皇が、絶対権力としての帝国主義(極右)の象徴としての「菊」と フランス革命ルーツの暴力と流血革命の象徴で斬首処刑の道具であった「ギロチン」の組み合わせは、アナーキー(極左)でシュールです。
1923年(大正12年)関東大震災直後の大正時代末期、その暗黒の歴史(負の歴史)を瀬々監督の演出と撮影監督鍋島淳裕(1962a0212807_12481261.jpg~)のカメラは、昭和30年代まで実際に存在した「女相撲」興行の一座と、国粋主義自警団による関東大震災後の騒乱(ドサクサ)に紛れた在日朝鮮人虐殺事件、アナーキズム(無政府主義と翻訳されるも労働者中心=労働組合主義が正確な意味)運動の秘密結社ギロチン社による反帝国主義テロ活動、そのドサクサを悪用した憲兵隊(特高)甘粕大尉による社会運動家(自由主a0212807_12480659.jpg義者) 大杉栄(1885~1923没、当時38歳)、内縁の妻で婦人解放運動家 伊藤野枝(1895~1923、当時28歳)、大杉栄の甥宗一(当時6歳)3人が、虐殺された大杉栄扼殺(やくさつ、手で絞め殺すこと)事件をリアルに描いています。
大正12年の関東大震災直後の日本は、異常気象による未曾有の干ばつと飢饉(ききん)で疲弊し貧困に苦しむ国民の間には、不穏な空気が、流a0212807_12484100.jpgれていました。
自由主義と大正デモクラシーの時代にあっても男尊女卑の世相は、何も変わらず父親や夫の暴力から逃れた女たちが、生きて行くための職業は、娼婦(女郎)しかなく、あるいは、女相撲や旅芸人・サーカスなど見世物興行一座に入るしかありませんでした。
a0212807_12484461.jpg映画のタイトルは、当初「女相撲とギロチン社」だったそうですが、女相撲という意表を突いた道具立てにしたことで国粋(天皇神格化)の象徴としての菊、社会主義革命の秘密結社ギロチンという不倶戴天の敵同士を「菊とギロチン」で対峙させています。
昭和となり大正デモクラシーが、消滅すると国粋プロバガンダによる一億総玉砕の国体は、1945年8月15日の遅すぎる敗戦を迎えa0212807_13090574.jpgました。
あの敗戦から73年、昭和から平成そしてまた新しい元号の時代になりますが、何だかキナ臭い匂いもし始めた昨今、新しい御代は、「普通なことが、普通に行われ、当たり前が、当たり前にまかり通る」平安な時代であって欲しいと切に願います。
その異常な悪しき一例が、職業スポーツの大相撲です。
a0212807_13093192.jpg古くは奈良時代、女性を土俵に上げたという記録もある相撲が、天皇を総宮司(神主総長)とする神道の神事で相撲は、国技であると宣(のたま)い、男女同権・機会均等の今の世にあって聖なる母性の女性が、‘不浄の者’として土俵に上がれないとは、噴飯もので愚か者(バカ)のタワゴトです。
a0212807_13091025.jpgさらに相撲が、国技であり、八百万の神々への神聖なる奉納神事と宣(のたま)うなら私は、チベット仏教の国モンゴル人(外国人)を賑々しく迎え横綱にして国技館で日本の神様たちへ神事の奉納土俵入り(モンゴル横綱は高額ギャラのためながら)をさせるなんざあ、そりゃあなた方、どこか間違っていますよと言いたいのです。
a0212807_12484860.jpg閑話休題、この映画は、何といっても女相撲を演じた女優陣が、すばらしく、シコ名花菊の木竜麻生(1994~)、十勝川の韓英恵(1990~、2001年「ピストルオペラ」のヌード少女)、玉椿の嘉門洋子(1980~)、勝虎の大西礼芳(1990~)、小桜の山田真歩(1981~)たちは、クランクインの前、撮影準備のため相当な時間、本格的に相撲の稽古をしたそうな、スクリーンに映る女相撲に違a0212807_12485508.jpg和感なく、撮影現場の瀬々監督は、さぞ満足したことでしょう。
ギロチン社の革命家を演じた俳優たちも若手中心ながら皆な芸達者で東出昌大(1988~)、寛一郎(1996~、長編デビュー、名優佐藤浩市の息子にして稀代の名優三國連太郎の孫)、井浦新(1974~、是枝裕和監督の初期作品に出演)、大西信満(1975~、自警団の偏狂的国粋主義者役が、a0212807_12485952.jpg見事)、右翼で読売新聞創業者の正力松太郎役を大森立嗣監督(1970~、2013年「さよなら渓谷」、2018年「日日是好日」の監督)ほかが、脇を固めています。
鍋島撮影監督は、ハンディカメラを多用、その映像が、音楽の西アフリカ民族打楽器ジャンベとの相性良く、かつ斬新で、とくに女相撲のシーンや浜辺で踊るシーンは、実に効果的でした。
73年前に終わった国家間の瑕疵(かし、きず)を払拭したとき、東アジア新世代の映画人たちが、大同団結してa0212807_12490488.jpg共同製作するようになり(もうすでに始まり名作も少なからず発表されていますが)、心ときめく傑作映画は、もっと増えていくでしょう。

右は、女大関(最高位)の若緑と大杉栄

# by blues_rock | 2018-10-18 10:18 | 映画(シネマの世界) | Comments(0)
私が、働く在宅高齢者介護事業所「森の家」の火曜日午後は、絵画教室です。
a0212807_10542950.jpg
毎週、10数人の後期高齢者で程度の差はあれ認知症を患う高齢者の方が、参加されています。
a0212807_10541986.jpg他に担当するのが、金曜日午後の俳句教室で、17文字の文学(世界で最も短い詩‘俳句’)は、奥が、深く、私に太刀打ちできる技量は、ありませんが、口数(減らず口)で勝負しています。
されどプロの俳人も及ばない、ぶったまげる名句を詠まれる方もおられますので事業所代表から私の戯言(たわごと)は、きつく口封じ(厳禁)されています。
絵を描くのも俳句を捻られるのも参加される方のほとんどが、初めての方ばかりなのにその作品の素晴らしさに驚かされます。
‘認知症’という脳細胞の衰退劣化(アミロイドβというタンパク質老廃物の蓄積による障害)に伴う病気、つまり、今は若くても「明日は わが身」の病気です。
その「明日は わがa0212807_10543499.jpg身」の私が、お手伝いするのは、「絵の描き方」ではなく、画材の使い方や構図くらい、あえてアドバイスするのは、「幼児が、落描きするように自由に楽しく、できるだけヘタに描いてください。」と云うことだけです。
「上手く描いて褒められようとか、だれかによく見られようとか、そんな邪念は、絵を描く人の心の敵です。
風景、人物、静物、そっくり上手に描きたいのなら、今のデジカメで撮影すれば、誰でも容易にできること、そんなものに個性は、なく‘芸術の特性’であるその人だけのOne & Onlyから生まれる感動などあるが、ありません。」とお伝えしています。
俳句もまた同じこと(One & Only の感性)と思います。
人生もまた One & Only、人と比べることなど無益で無駄なこと、「長生きしてもたかが百年、指弾の時間」、あるがままに 諍(いさ
a0212807_10543885.jpg
か)わず 笑顔で楽しく暮らしましょう。  (上の写真 : 4歳児が、誰にも教わらず 初めて描いた水彩画、芸術の原始 を感じます。)

# by blues_rock | 2018-10-16 00:06 | 柏原生活/博多叙景 | Comments(0)
スイスは、時おり秀逸な映画を製作します。
a0212807_23480488.jpg
1985年の「山の焚火」などは、十代の姉と発達障害のある聾唖(ろうあ)の弟との偶発的な近親相姦とそれによる姉の妊娠、それに端を発したこれも偶発的な事故による親殺しとセンセーショナルなプロットながら寓話性にa0212807_23482045.jpg富んでいるので印象に残る不思議な映画です。
今夜ご紹介する同国映画監督 ミヒャ・レビンスキー(1972~)が、2015年に発表した「まともな男」(原題「Nichts passie」何も起こってない)は、映画を見ているとイライラしてくる(気持ちが、だんだん不安定になってくる)良い意味で質(タチ)の悪い不思議な秀作映画です。
a0212807_23485545.jpgなぜなら、主人公の中年会社員トーマスは、スイスでなくとも世界中 ‘どこにでもいる普通のまともな人間’で、映画を見ていると自分のまわり(友人・親戚・知人・同僚その他)に ‘いるいる こんな人’と思わせますので妙に現実味が、あるから面白いのでしょう。
映画は、まず冒頭、主人公のトーマスが、ストレスで日ごろ飲まない酒を飲み、酔っぱらってわざと起こした自動a0212807_23482391.jpg車事故の精神治療カウンセリングで、セラピストに「ボクは、いたって普通のまともな人間」と語っているシーンから始まります。
レビンスキー監督は、この最初のつかみ(演出)が、非常に上手く、あわせてレビンスキー監督の脚本は、小さな出来事を緻密に積み重ねる構成をしているので相手のために良かれと思い(自分でそう信じているからなおタチが悪い)、とっさにa0212807_23485861.jpg付いた小さな嘘と行ない(本人は善意のつもり)が、積み重なることで(自分に都合良くその場その場で出まかせを云う優柔不断な人間の保身による些細な嘘の積み重ねで)さらに事態は、どんどん悪い方向に転がっていく、つまり善意の嘘が、負の連鎖に巻き込まれ次第に自分の人生を台無しにしていく「まともな男」の物語です。
a0212807_23490744.jpg中年会社員のトーマス(デービト・シュトリーゾフ 1973~、2007年「ヒトラーの贋札」)は、家族(妻と娘)のためにクリスマス休暇で、スキー旅行に行く計画を立てました。
売れない作家の妻マルティナ(マレン・エッゲルト 1974~)は、倦怠期にあり離婚を考えていますが、夫のトーマスは、まるでそのことに気付いておらず、昔のように妻を愛し、当然妻マルティナもまた自分を愛a0212807_23492532.jpgし、‘喜んで一緒に旅行する’ものと考え一方的(勝手)に予約しました。
15歳の一人娘ジェニー(ロッテ・ベッカー 1999~)は、反抗期でたとえアルプスのリゾートスキー場でも両親とくに父親と一緒に旅行など行きたくもありませんが、父トーマスの‘家族のため’にと云うセリフに引きずられ自分の感情を抑え我慢して行くことにしました。
a0212807_23492929.jpgトーマスは、当初家族3人のスキー旅行計画でしたが、アメリカに出張するシングルファーザーの上司から「クリスマスに娘を一人にしておけないから預かって欲しい」と昇格をエサに依頼され、娘ジェニーの友だちでもあり、きっと娘も喜ぶだろう(本当はさして仲良しではない)と家族に相談a0212807_00041620.jpgせず上司の愛娘ザラ(アニーナ・バルト 1996~)も連れて行くことにしました。
映画に登場する人物たちは、どこにでもいる普通のまともな人たちながら、皆なそれぞれ‘保身する(自分を守る)’ために事なかれ主義で、小さな嘘を重ね、そのことにより起きた小さな事件を隠すので、やがてトーマスは、のっぴきならぬ混沌(巻き戻せない重大な現実)の中で身動きが、取れなくなりa0212807_00042550.jpg「まともな男」と自分で思っているトーマスは、だんだん追い詰められ次第に「異常な男」になっていきました。
家族であれ、恋人、友人、同僚であれ、あらゆる人間関係に必ず付きものの相手との小さな不和(うざい・うっとうしい)や不穏な気持ち(ムカつき・うるさい)を包み隠し、お互いトラブルをできるだけ避けるために保身(自己防衛)する各人のリアルな表情a0212807_23493267.jpg(嘘を付く顔)をスイスの撮影監督 ピエール・メネル(1964~)のカメラは、いじわるなくらい的確に捉えています。
この映画「まともな男」の ‘男’ を ‘女’ に置き変えると、あなたのまわりで、さらなるリアルな人間模様(あるいはしがらみ)が、見えてくることでしょう。

# by blues_rock | 2018-10-14 00:04 | 映画(シネマの世界) | Comments(0)
アクション映画の名匠 アントワン・フークア監督(1966~)の最新作「イコライザー 2」(IMAX)を見ました。
a0212807_12505486.jpg
フークア監督の最近の映画では、2013年の「エンド・オブ・ホワイトハウス」、2014年の「イコライザー」、2015年の「サウスポー」、2016年の「マグニフィセント・セブン」と必ずしもアクション映画ばかりではありませんが、されど見a0212807_12510061.jpgごたえのあるサスペンス&アクション映画を撮らせたらフークア監督をしのぐ監督は、世界広しといえど、そういないと思います。
フークア監督は、2014年「イコライザー」で、デンゼル・ワシントン(1954~)の物静かな風貌と知性ある雰囲気を生かし、だが一旦堪忍袋の緒が、切れるとクールに(あっという間に)凄腕の戦闘能力を発揮する元CIA工作員ロバート・マッコールa0212807_12512010.jpgという街の片隅で静かに暮らすイコライザー(いわば必殺仕置き人)像を創りあげました。
フークア監督は、監督2作目の2001年「トレーニング デイ」でデンゼル・ワシントンと組んで(デンゼル・ワシントンは、この映画でアカデミー賞主演男優賞受賞、極悪非道な悪徳麻薬捜査官を怪演)以来、最新作「イコライザー 2」まで含めると4作品をa0212807_12512544.jpg撮っているので ‘演出’ と ‘演技’ の息もピッタリ、さらに名撮影監督オリバー・ウッド(1950~、「ジェイソン・ボーン」シリーズの撮影監督)のリアリティあるカメラワークが、また秀逸で、世に数多あるアクション映画の ‘嘘八百(ワイヤーアクションCGとVFXの過剰)’ を感じることは、ありません。
a0212807_12512799.jpg「イコライザー 2」の主人公ロバート・マッコールは、普段タクシー運転手ながら映画の前半、マッコールの ‘イコライザー’(Equalizer 仕置き人)ぶりを見せつつ彼が、昔所属していたCIA特殊工作グループの要人暗殺犯行に絡み、彼は、その証拠隠滅(口封じ)のために命を狙われるが、研ぎ澄まされた戦闘能力で復讐するという物語です。
a0212807_12515005.jpg映画の構成(プロット)は、マッコールが、CIA特殊工作グループの元同僚らに命を狙われる緊迫感あふれるシークエンス(アクションシーンの連続)をタテ軸に、マッコール同様に命を狙われ惨殺される元CIA同僚のスーザン(メリッサ・レオ 1960~、前作「イコライザー」にも出演)や、アパート隣人の黒人青年マイルズ(アシュトン・サンダース 1995~、2016年「ムーンライト」で十代の主人公シャロンを演じる)、さらにナチスドイツの強a0212807_12515601.jpg制収容所で生き別れになった姉を探し続ける認知症のユダヤ人老人などとの関わりを横軸に情感豊かな映画にしています。
監督・脚本・俳優・映像に優れたエンタメ・アクション映画は、IMAX(70ミリフィルムをタテ長にしたほぼ正方形のスクリーン)で見ると気分爽快です。
a0212807_12520061.jpg
(上写真 : デンゼル・ワシントンと撮影の確認をするアントワン・フークワ監督)

# by blues_rock | 2018-10-12 00:02 | 映画(シネマの世界) | Comments(0)
陶と漆とパイプオルガンの相関関係は、何もありませんが、何もないところへ無邪気に立ち入り平気でいられるのは、素人の強み、怖いところ、特権です。
a0212807_12380576.jpg
さて、まず「パイプオルガンとトランペットの出遭い コンサート」への誘(いざな)いの第2弾のご案内です。
しつこく書いていますが、パイプオルガンは、移動できないので市内至るところに会場を移してライブ(コンサー
a0212807_12381736.jpg
ト)するというわけにはいきません。
福岡市内で 3箇所しかないパイプオルガン・コンサートのできる会場の一つが、‘福岡女学院ギール記念講堂’
a0212807_12382237.jpg
で今回は、トランペットとのコラボレーションによるパイプオルガンのコンサートです。
会場へは、西鉄大牟田線の井尻駅で下車し、駅前のバス停から「福岡女学院行き」のバスにお乗りくださると、
a0212807_12384971.jpg
概ね15分くらいで到着します。 (上と下写真 : 左、焼締め とびかんな鉢 と 右、陶胎漆器 とびかんな茶盌) 
前売りチケットが、2千円(当日2千5百円)で、高校生・中学生・小学生は、‘無料’です。
a0212807_12390380.jpg
(注:小学生以下乳幼児の入場は、できませんので予めお断り申しあげます。)
車の方は、構内にコンサートのため特別に駐車場を設けますので構内入口でその旨申し出てください。
a0212807_12391461.jpg
この機会に荘厳なパイプオルガンの音色をお楽しみください。  (上写真 : 鉄釉 とびかんな 中鉢)
皆さま方、多数のご来場をお待ち申しあげます。  (下写真 : 手びねり 砥草文掻き 粉引茶盌)
a0212807_12392374.jpg

# by blues_rock | 2018-10-10 00:10 | 柏原生活/博多叙景 | Comments(0)
a0212807_01143067.jpg
ポーランド出身の鬼才ロマン・ポランスキー監督(1933~)が、1965年に撮ったイギリス映画「反撥」(原題 Repulsion 嫌悪)は、フランスの名女優カトリーヌ・ドヌーブ(1943~)を主演に迎え、神経質で潔癖性の若い女性
a0212807_01144907.jpg
が、次第に幻覚(幻視・幻聴の‘統合失調症状’)に怯え殺人を犯していくスリラー映画の傑作です。
当時 22歳のカトリーヌ・ドヌーブが、美しく実に見事な演技を見せてくれ、私は、この映画で、名女優カトリーヌ・a0212807_01145502.jpgドヌーブの演技者としての才能を強く感じました。
ポランスキー監督は、1962年、ポーランド映画「水の中のナイフ」で監督デビュー、その才能が、世界で高く評価されたものの当時社会主義国のポーランドでは、黙殺されました。
1963年、表現の自由を求めてイギリスに渡り、ロンドンを舞台に撮ったイギリス映画が、「反撥」です。
映画は、全編英語でヌーヴェルヴァーグを彷彿とさせるモノクロ映像(カメラワーク)は、1959年のトリュフォー監督の「大人は判ってくれない」、同年のゴダール監督「勝手にしやがれ」を感じさせます。
「反撥」を製作するに当たって当時32歳のポランスキー監督は、撮影監督ギルバート・テイラー(1914~2013)が、1964年に撮ったスタンリー・キューブリック監督の「博士の異常な愛情 または私は如何にして心配するのを止めて水爆を愛するようになったか」とリチャード・レスター監督の「ビートルズがやって来る ヤァ!ヤァ!ヤァ!」を見て「反撥」の映像イメージが、浮かんだのではないかと思います。
カトリーヌ・ドヌーブは、「反撥」に出演する前年の1964年「シェルブールの雨傘」が、大ヒット、その悲恋の清純な娘ジュヌヴィエーヴの印象は、カトリーヌ・ドヌーブの美貌と相俟って彼女を一躍スターにしましたが、翌年出演した「反撥」の主人公キャロルは、悲恋の清純な娘の真逆で、精神に異常をきたした若い女性の殺人者でした。
a0212807_01152466.jpg
ポランスキー監督の演出とテイラー撮影監督のカメラは、‘ カトリーヌ・ドヌーブ ’をトラッキング、フォロー、さらに多様なクローズアップ、とくに精神錯乱のキャロル(カトリーヌ・ドヌーブ)をエクストリーム・クローズアップ(顔a0212807_01152919.pngの大写し)で捉え、それに応える新鋭女優カトリーヌ・ドヌーブが、息をのむ美しさで、秀逸にして文句なしの名演技でした。
音楽もまたすばらしく ジャズ・ドラマー チコ・ハミルトン(1921~2013)の激しいドラム音は、キャロルの不穏な精神を音で見事に表現しています。
a0212807_01153699.jpgキャロルの精神の変調要因になるのが、隣室に毎晩愛人を連れ込んでセックスする姉ヘレン(イヴォンヌ・フルノー 1926~)の喘ぎ声、アパートの隣にある教会の鐘の音、テーブルに放置された食べ残しのウサギのローストなどで、やがて神経質にして潔癖な処女のキャロルは、勤め先の美容院を無断欠勤するようになり、自室に引きこもり電話のベルにも怯え、電話線も切ってしまいました。
a0212807_01154771.jpg夜毎、見知らぬ男にレイプされそうになる悪夢、部屋の壁が、亀裂する幻覚、廊下の壁から差し出される男たちの腕 ‥ と妄想は、次第に広がり、少しずつキャロルの精神を壊していきました。
そして、キャロルのいるアパートの部屋で二つの殺人事件が、起きました。
キャロルは、ベッドの下でうずくまり気を失っているところを姉のヘレンと愛人、アパートの隣人や駆け付a0212807_01155010.jpgけた警察官たちに発見されました。
映画は、冒頭、キャロルの右目瞳孔を大きく映して始まり最後に、家族写真に写る少女時代のキャロルの不穏な目をクローズアップして終わります。

(左写真 : ポランスキー監督と打ち合わせるカトリーヌ・ドヌーブ)

# by blues_rock | 2018-10-08 00:08 | 映画(シネマの世界) | Comments(0)
a0212807_20265971.jpg
名匠にして鬼才、フランスの映画監督 フランソワ・オゾン(1967~)の新作「2重螺旋の恋人」(原題 L'amant double 二人の愛人)と、同じ時期に公開されていたカナダの名監督ジェイソン・ライトマン(1977~)の新作「タa0212807_20274426.jpgリーと私の秘密の時間」(原題 Tully)は、精神疾患(サイコシス)を抱えた女性が、主人公のスリラー映画です。
「2重螺旋の恋人(ラマン・ダブル)」のオゾン監督は、2013年作品「17歳」で鮮烈な印象を残した新鋭の美人女優マリーヌ・ヴァクト(1991~)を再び起用し ‘統合失調症’(幻覚と妄想)の女性クロエ(マリーヌ・ヴァクトが、秀逸)の不可解な言動をミステリアスに描a0212807_20281139.jpgきました。
ライトマン監督もまた2011年作品「ヤング≒アダルト」で主演した名女優シャーリーズ・セロン(1975~)と再び組み「タリーと私の秘密の時間(タリー)」(シャーリーズ・セロンは、製作も参加)で‘ストレス性精神疾患’(せん妄)の中年女性(主婦)マーロを寓話のように撮っています。
a0212807_20283679.jpgまず、「ラマン・ダブル」を「2重螺旋の恋人」としたのは、若い女性クロエ(マリーヌ・ヴァクト)の精神性疾患(発達障害、多動性障害)の迷宮(虚実)と官能(セックス)の心理ミステリーに原題の「ラマン・ダブル(二人の愛人)」では、スリラーらしくないからでしょう。
撮影監督マニュ・ダコッセ(2015年「エヴォリューション」の撮影監督)のシャープな映像も秀逸です。
a0212807_20284125.jpg
クロエと関わる二人の精神分析医で似て非なる両極端な性格の一卵性双子児 ポールとルイの二役をベルギーの名優ジェレミー・レニエ(1981~、2008年「夏時間の庭」、2011年「少年と自転車」)が、見事に演じ分けて
a0212807_20285611.jpg
います。
私の目が、釘付けになったのは、マリーヌ・ヴァクトの美しい肢体(ヌード)もですが、クロエの母親を演じた御年a0212807_20340467.jpg74歳の大女優ジャクリーヌ・ビセット(1944~)の変わらぬ美しさにも目を奪われました。
原題の「タリー」を「タリーと私の秘密の時間」としたのは、愚の骨頂で「タリー」のほうが、でっぷり太り三人の幼い子供(うち男の子が発達障害児)の育児に疲れ果てた母親マーロ(シャーリーズ・セロン)と、夜のベビーシッター タリー(マッケンジー・デイヴィス)との ‘関係’ が、よりミスa0212807_20343712.jpgテリアスに見えただろうにと思いました。
この映画は、生活に疲れストレスででっぷり太った‘シャーリーズ・セロン’が、見どころながら、でっぷり太った中年女性を演じてもシャーリーズ・セロン(1975~、43歳)は、やはり美しく、演技もまた見事でした。
a0212807_20342676.jpgでっぷり太った母親マーロの役作りのために シャーリーズ・セロンは、3か月半で 体重を18㌔増やしたそうです。
シャーリーズ・セロンは、28歳のとき主演した2003年「モンスター」で体重を13㌔増やし非の打ちどころのないその美貌を壊して、連続殺人犯となり、アカデミー賞主演女優賞を受賞しています。
a0212807_20345514.jpg謎のタリーを演じたマッケンジー・デイヴィス(1987~、2017年「ブレードランナー 2049」)もなかなか秀逸でした。
映画自体は、さしてミステリアスでもスリラーでもありませんが、円熟した美貌のシャーリーズ・セロンと今や盛りの美女 マッケンジー・デイヴィス この二人の艶姿を見るだけでも一見の価値のある映画としてお薦めいたします。

# by blues_rock | 2018-10-06 00:06 | 映画(シネマの世界) | Comments(0)
春の桜、秋の曼殊沙華、ともに‘お彼岸’のころに必ず咲く不思議な花で、私は、春の桜秋の曼殊沙華が、咲くのをいつも待つようになりました。
a0212807_11510170.jpg咲いたら咲いたで ‥ ああ、もうそんな季節かと感慨に更けるだけの、それだけのことですが、何だかほっと(ほっこり)する癒しの花でもあります。
無信心で無宗教の私ながら「禅の教え」と「クリスマス・ソング」が、好きで良寛の歌道元禅師(曹洞宗)の正法眼蔵、ロックやブルース・ゴスペルなどのクリスマス・ソングは、私の大切な宝ものです。
仏教では、弾指(だんし、パチンと指をはじく音)の間に65の刹那(せつな、いまここにある‘念’)が、あり、常にa0212807_11510619.jpg生まれ消えていく念の無常を教えます。
心頭を滅却できない煩悩衆生の私は、秋に曼殊沙華の燃えるような緋色を見るとクリスマス・ソングを無性に聴きたくなります。
今年もすでに私は、クリスマス・シーズンで12月25日のクリスマスまで毎日いろいろなミュージシャンのクリスマス・ソングを聴こうと思っています。
a0212807_08295246.jpg


(写真 3枚 : 星野村 鹿里棚田と大宰府戒壇院の曼珠沙華を「九州ロマンチック街道」からお借りしました。)

# by blues_rock | 2018-10-04 10:04 | 柏原生活/博多叙景 | Comments(2)
a0212807_23243370.jpg
1945年以前のドイツ第三帝国=悪の独裁者ヒトラーとナチスドイツが、全ヨーロッパの人々、とくにユダヤ系への人たちへの悪辣非道の悪魔ぶりを描いた映画は、1945年以降、山のようにありますが、長編ドキュメンタリー出a0212807_23273164.jpg身のドイツのクラウス・レーフレ監督が、製作・脚本・監督した2017年映画「ヒトラーを欺いた黄色い星」(原題「生存する目に見えないもの」)とイギリスの舞台演出家デビッド・ルボー(1957~)が、初監督した2016年映画「偽りの忠誠」(原題「例外」)は、‘嫌ヒトラーと反ナチス’ 映画の中でも絶望的な逆境の中で生き延びるために闘う人たちの “希望” を描いたサスペンスタッチa0212807_23273649.jpgの人間ドラマ(心理映画)です。
ドイツ映画「ヒトラーを欺いた黄色い星」は、1943年6月、ナチスドイツの宣伝相ゲッベルスが、ベルリンには、一人のユダヤ人もいない、と宣言するも、まだ7,000人のユダヤ系ドイツ人が、秘密警察ゲシュタポの情け容赦ない捜査や厳しい監視の目を逃れてベルリン市内に身を隠していました。
a0212807_23274225.jpgこの映画は、わが身の危険も顧みずに、彼らを匿った一部の善良なベルリン市民(ドイツ人)の協力や偽装した身分証明書でドイツ人に成りすまし1941年から1945年の終戦まで生き延びたインヴィジブルな(目に見えない)ユダヤ人1,500人の物語です。
この「ヒトラーを欺いた黄色い星」は、4人の生存者の現在(インタビューによる語り)と過去(1941~1945当時16歳~20歳)の彼らをa0212807_23280438.jpg演じる4人の俳優が、交互に登場し彼らの生きるための真に迫る物語は、展開していきます。
第2次世界大戦では、老若男女(女性や子供も合わせて)600万人ものユダヤ人がヒトラーとナチスドイツ軍によって大量虐殺(ジェノサイド=民族浄化)されました。
イギリス映画「偽りの忠誠」は、デヴィッド・ルボー監督が、舞台演出家だけに映画のプロット(筋立て)をサスペ
a0212807_23294381.jpg
ンスとロマンスを絡ませる演出にしたり、映画の見せ場も‘舞台劇’のようなシークエンスにしたりと他の映画監督が、撮るヒトラーとナチスドイツ映画のような‘息苦しいさ、やり切れなさ’は、ありません。
a0212807_23312634.jpg映画は、戦争よりナチスドイツ支配下のオランダで主人公のイギリス人女性スパイとオランダに亡命した皇帝ヴィルヘルム2世を監視するナチスドイツ将校とのロマンス(恋愛と情事)に重点が、置かれ ‘息苦しいさ、やり切れなさ’より、ヒトラーとナチスドイツ映画にしては、珍しく‘勇気や希望’、‘ロマンチックな人間らしさ’などハッピーエンドに近い作品でした。
1940年、ナチスドイツによるヨーロッパ諸国への侵略は、激しさを増していました。
a0212807_23313633.jpgそんな中、プロイセン・ドイツ最後の皇帝ヴィルヘルム2世(クリストファー・プラマー 1929~)は、ヒトラーに追われるように退位し、オランダへ亡命していましたが、まだドイツ国内に強い影響力を持っていました。
その動きを封じようとヒトラーは、ナチスドイツの将校ブラント大尉(ジェイ・コートニー 1986~、2013年「ダイ・ハード/ラスト・デイ」)a0212807_23312983.jpgを元皇帝ヴィルヘルム2世夫妻の住まうオランダに派遣し監視させました。
ブラント大尉は、ヴィルヘルム2世の屋敷でミステリアスなメイドのミーケ(リリー・ジェームズ 1989~、2017年「ベイビー・ドライバー」)と出遭うやひと目で心を奪われました。
a0212807_23323542.jpgーケもブラントの自分への想いを察するように彼を受入れ二人は、戦争の不安から逃れるように夜ごとの情事に溺れていきました。
深く愛し合うようになった二人でしたが、ミーケの正体は、イギリス首相チャーチルの密命で侵入したスパイであると分かったとき二人が、選択したのは、過酷な運命でした。
a0212807_23314946.jpg気丈なヴィルヘルム2世二番目の妻ヘルミーネ(ジャネット・マクティア 1961~、2012年「ハンナ・アーレント」)、ヒトラーの側近で親衛隊指導者、秘密国家警察長官ヒムラー(エディ・マーサン 1968~、彼のヒムラーぶりは 秀逸、2013年「おみおくりの作法」主演)など歴史上の人物が、登場しますので、彼らとの関係と重ねてご覧になるとこのサスペンス&ロマンス仕立ての戦a0212807_23324578.jpg争映画「偽りの忠誠」の原題「例外」のように、残酷な戦争の歴史には、こんな‘例外’もあったものと推察されますが、あくまでそれは、‘例外’で、戦争が、無惨で惨忍な悪行であることに何ら変わりは、ありません。

# by blues_rock | 2018-10-02 00:02 | 映画(シネマの世界) | Comments(0)
a0212807_05175173.jpgロシアの2016年戦争映画「ラスト・スナイパー」(原題「I am a teacher」 私は教師)は、セルゲイ・モクリツキー監督(1961~、撮影監督も兼務)が、2015年「ロシアン・スナイパー」(原題「セバストポルの戦い」)の第2弾を撮ったものと思い見たものの戦争映画なのに戦闘シーンは、ほとんどなく、シリアスな心理劇映画でした。
前作の「ロシアン・スナイパー」は、旧ソ連軍(赤軍)に実在し、ナチスドイツから死神と恐れられた女性の天才狙撃手 リュドミラ・パブリチェンコ(ユリア・ペレシド 1984~)をモデルして撮った実録ものの戦争映画で、確かに‘スナイパー’が、主人公ながら原題の「セバストポルの戦い」で分かるとおり1941年~1942年のクリミア半島セバストポルでのソ連赤軍とナチスドイツ軍との壮絶な戦いを描いていて、ベタなスナイパー主役のエンタメ(アクション)戦争映画ではありませんでした。
それにしても何でもかんでも‘スナイパー’を付けりゃ映画が、ヒットすると安直に考える配給会社と字幕翻訳家
a0212807_05182936.jpg
のセンスの無さ(お頭の悪さ)は、どうにかならないものでしょぅか?
日本公開タイトル「ロシアン・スナイパー」は、日本で大ヒットしたアメリカの戦争エンタメ映画「アメリカン・スナイa0212807_06121055.jpgパー」に便乗したもので、映画のプロットと直接関係ないタイトルに変えて安直に柳の下の二匹目のドジョウを狙ったものでした。
モクリツキー監督のナチスドイツ糾弾映画 第2弾「ラスト・スナイパー」は、原題の「I am a teacher」で分かるように‘スナイパー’ というより、臆病な学校教師をとことん追いa0212807_05190563.jpg詰め‘反逆者’ にしてしまうナチスドイツが、侵略地で行なった理不尽な悪行の数々(侵略したソ連領内に於いても然りでした)をリアルに描いています。
学校教師のパヴェル(アレクサンドル・カフトゥネツ)は、ナチスドイツ軍に占領された村(ボルシェビキ集団農場批判があるのでグルジアあたりと推察)a0212807_05191155.jpgで、戦争未亡人のアーニャ(ユリア・ペレシド 1984~)と彼女の息子ヴァーニャ(セルゲイ・ポホダーエフ 1998~、2014年ロシア映画の秀作「裁かれるは善人のみ」にも出演)を自分の家に住まわせ一緒に慎ましく暮らしていました。
中年で独身のパヴェルは、アーニャとの結婚を望んでいましたが、息子のヴァーニャは、反対でした。
a0212807_05194012.jpgある日、パヴェルは、重傷のソ連赤軍の狙撃兵が、自宅の納屋に隠れていることを知り狼狽(うろた)えました。
同居している戦争未亡人のアーニャは、ナチスドイツ軍将校の家で家政婦をして働いていましたが、彼女に好意を持った将校からレイプされそうになり必死で抵抗したため強制収容所送りになりました。
a0212807_05411347.jpgそれまで小心で事なかれ主義(どっちつかず)を通し優柔不断、風采もうだつの上がらない学校教師のパヴェルでしたが、祖国を裏切りナチスドイツ軍の傀儡司令官になった赤軍の大佐暗殺に命を懸けていた赤軍兵士の死と、密かに愛するアーニャのドイツは、将校を拒んだことから強制収容所送り、さらにアーニャの息子ヴァーニャまでもa0212807_05410796.jpgが、ナチスドイツに徴兵されると羊のようであったパヴェルは、君子豹変、暗殺ならずに憤死した赤軍兵の遺体とともに埋葬した彼の銃を墓から取り出してロシア人の傀儡司令官を射殺しました。
そして、自分を認めてくれなかったアーニャの息子 ヴァーニャへの別れのメッセージを教室の黒板に書き遺して戦死しました。
a0212807_05194304.jpg
絶対権力に陶酔したナルシストの狂信独裁者ヒトラーと彼に絶対服従(盲従)したナチス党(国家社会主義ドイツ労働者党)をプロットにした映画は、これからも後百年くらい(いや千年かも)製作し続けられることでしょう。

# by blues_rock | 2018-10-01 00:10 | 映画(シネマの世界) | Comments(0)
普段使いのお箸は、どんなものをお使いですか?
私は、自分仕様の漆塗り(下写真)の、シンプルなお箸を普段から使っています。
a0212807_10435136.jpg
どうしても使い勝手の好いお箸を選んで使いますから、長年のうちに箸先が、傷んできますので、気づくとすぐ修理して使い続けています。
a0212807_10441069.jpg
漆のお箸は、きちんと直すと新品同様になりますので、生涯一膳、三度三度の食事を美味しくいただける漆塗りのお箸をお薦めいたします。 (上下の写真 : 「変わり塗り」による漆箸の新作)
a0212807_10442417.jpg
私は、若いお母さんたちにアドバイスしていますが、大切なわが子には、品質の良い子供の手になじむ‘お気に入り’のお箸を使わせて欲しいと思います。
a0212807_10443417.jpgこれもまた大事なことですが、お気に入りの食器でおいしい料理(やがて子供たちにとっておふくろの味になる)を囲み家族団らんで摂る食事、大人なら親しい人たちとの愉快な食事こそ(ミシュラン3☆でもイヤな人たちとの食事は、不味い)人生至福のひと時と私は、思います。
どんなおシャレをした妙齢の美人女性も食事するお箸の所作が、見苦しい(汚い)と百年の恋も一瞬のうちに消えてしまいます。
外食するとずっしり重いプラスチックのお箸、ささくれた割り箸などで食事する機会も多く、それは、仕方ないとしても、ご馳走の値打ちが、半減してしまうのは、残念なことです。
ともあれ、漆塗りのお箸は、一生もの、高額ならずとも‘お気に入り’のお箸を使い続けいつも美味しい食事をしていただきたいと思います。
お箸の食事文化は、アジア圏特有なもので日本のお箸が、今のようになったのは、普段の日本人の食事に欠かせない魚の小骨を箸先で摘まめるように改良されてきたからです。
中国では、竹の箸、木の箸、金属(銀)の箸、高級な象牙の箸など、韓国ならステンレス箸が、主流です。 (右写真 : 制作途中の漆塗り箸)
日本のお箸は、竹と木の素材が、主流ながら、この素材に漆を塗り加飾したお箸(日本の食事文化の象徴)も多く使用され、目にも美しい日本食をさらに美味し
a0212807_10444934.jpg
くいただけるよう箸置き(上写真)と併せ食事の場を演出しています。
箸先は、漆で固めると非常に強固になり漆の抗菌効果ならびに美しさと併せ、その利点が、絶大だからです。

# by blues_rock | 2018-09-29 09:29 | 金継ぎ/古美術/漆芸 | Comments(0)
a0212807_01063308.jpg福岡市総合図書館(早良区百道浜)の映画ホール(シネラ) 9月の特別企画としてジャ・ジャンクー監督(賈樟柯 1970~)作品2作が、上映され私の見ていなかった2000年製作(最初の劇場公開用作品)の「プラットホーム」を見ることができたのは、ラッキーでした。
シネラの9月企画「日本映画名作選」には、日ごろ見ることのできない旧い日本映画の傑作が、上映されました。
a0212807_01064489.jpg中でも1953年の衣笠貞之助監督作品「地獄門」、1956年の今井正監督作品「真昼の暗黒」、1987年の高畑勲監督ドキュメンタリー作品「柳川堀割 物語」を見ることができたことは、非常に幸運でした。
名匠衣笠貞之助監督(1896~1982)の1953年作品「地獄門」は、カンヌ国際映画祭でパルムドールを受賞(アカデミー賞外国語映画賞も受賞)、日本
a0212807_01064880.jpg
初のイーストマン・カラーで撮影した総天然色映画です。
a0212807_01065209.jpgこの映画の主演女優 京マチ子(1924~)は、黒澤明監督の1950年作品「羅生門」(ヴェネツィア国際映画祭グランプリならびにアカデミー賞外国語映画賞受賞)、溝口健二監督の1953年作品「雨月物語」(ヴェネツィア国際映画祭監督賞受賞)にも出演していてグランプリ女優として世界中から称賛されました。
イーストマン・カラー総天然色映画「地獄門」の豪華絢爛たる時代絵巻を美術指導(色彩指導と衣裳デザイン)したのが、洋画家の和田三造(1883~1967)で、アカデミー賞衣裳デザイa0212807_01071936.jpgン賞を受賞しています。
貞淑な武士の妻(京マチ子)に横恋慕する無頼の荒武者(長谷川一夫 1908~1984)と愛妻を労わり信頼する気高い武士(山形勲 1915~1996)の配役も普通なら真逆で、二枚目俳優の長谷川一夫を悪役、悪役の多い山形勲を善人にしているところが、衣笠監督の面白いところだと思います。
a0212807_01073084.jpg社会派映画の名監督 今井正(1912~1991)の1956年作品「真昼の暗黒」は、モノクロ映像のダークな色調ながらも明暗のコントラストが、新鮮で1951年に山口県で実際に起きた殺人事件の冤罪(八海事件)を現実の誰にでも起こりえる恐怖を描き、名脚本家橋本忍(1918~2018)のa0212807_01073349.jpg秀逸な脚本と今井監督の名演出は、警察のずさんな捜査と拷問による矛盾だらけの自白調書を唯一の証拠として刑事裁判しようとする検察を痛烈に批判、全編を通したリアリティある映像が、実にすばらしく「真昼の暗黒」は、社会派映画の代表的な名作です。
映画製作当時、裁a0212807_01073697.jpg判が、まだ係争中ということもあり、最高裁判所は、今井監督に異例の映画公開中止を要請、自主上映を余儀なくされましたが、いずれの会場も大入り満員だったそうです。
スタジオジブリの名アニメーション監督 高畑勲(1935~2018没、享年82歳、1988年「火垂るの墓」、1999年「ホーホケキョ となりの山田くん」、2013年「かぐや姫の物語」など)は、1984年から始まった福岡県a0212807_01075194.jpg柳川市のドブ川掘割の再生に柳川市役所の職員と地域住民が、取り組む模様をドキュメンタリー撮影し1987年に「柳川堀割物語」として発表しました。
高畑監督の盟友 宮﨑駿監督(1941~)は、この地味なドキュメンタリー映画にプロデューサーとして加わっています。
映画は、2時間半と長尺(16ミリ/カラー)ながら見ていて厭きることはなく、鳥瞰した筑後平野の景色や四季折々の田園風景、そして復活した柳川掘割(水路)の水辺に住まう市民の暮らしなど柳川の隣(三瀦 みずま)に住んでいた私も懐かしくて胸キュンになりました。
a0212807_01075898.jpg1984年、当時の柳川市は、市内至るところでドブ川と化した水路(掘割)を埋め立て暗渠(あんきょ)にし道路や駐車場にする計画でした。
一方、柳川市水路係の係長は、掘割を浄化して柳川市民の生活に役立てることを提案、自分が、率先垂範してドブa0212807_01080209.jpg川水路(掘割)に入り、地域住民も巻き込んでドブ川水路を浄化、掘割柳川は、見事に蘇えりました。
柳川水路(掘割)が、水害防災に貢献してきた知られざる歴史、現在(いま)‘柳川の川めぐり’の観光スポットとしてつとに有名となった水路が、柳川市民の生活と昔かa0212807_01080981.jpgらどう関わってきたのかを詳細に記録した貴重な、そして良質なドキュメンタリー作品です。
高畑勲監督は、アニメーション映画の芸術性を高め、数多くの名作を遺され、今年の4月黄泉(よみ)の国に旅立たれました。
心よりご冥福をお祈りいたします。

# by blues_rock | 2018-09-27 00:27 | 映画(シネマの世界) | Comments(0)
a0212807_12382401.jpgフランス映画のレジェンドたるフランソワ・トリュフォー監督(1932~1984)は、ジャン=リュック・ゴダール監督(1930~)とともに世界の映画を革新した「フランス映画ヌーヴェルヴァーグの旗手」として有名なことは、いまさら私が、改めて述べるまでもありません。
トリュフォー監督は、映画を熱愛した映画監督で映画マニア かつ映画評論家(映画評論誌「カイエ・デュ・シa0212807_12381602.jpgネマ」で先鋭にして辛辣な映画評論を行なう)としてフランス映画のヌーヴェルヴァーグ(新しい波)運動を推進、フランス映画の墓堀人とも揶揄されました。
1959年は、ヌーヴェルヴァーグにとって記念すべき年(ヌーヴェルヴァーグ元年)で、フランソワ・トリュフォー監督が、名作「大人は判ってくれない」を撮り、ジャン=リュック・ゴダール監督は、傑作「勝手にしやがれ」を発表しています。
a0212807_12382855.jpgリュフォー監督の1961年作品「突然炎のごとく」では、ジャンヌ・モロー(1928~2017)が、演じた性悪女ぶり(境界性パーソナリティ障害をもつ性に奔放な恋多き女を妖艶に演じる)と併せ、白黒トーン(モノクロ映像)、スピーディーなカメラワーク、ストップモーションの挿入、斬新な編集などヌーヴェルヴァーグの面目躍如です。
a0212807_12383032.jpgトリュフォー監督は、至極の恋、究極の愛をプロットにした映画を撮らせたら世界最高の映画監督です。
フランソワ・トリュフォー監督とジャン=リュック・ゴダール監督は、1960年代半ばに映画製作理念の相違により仲違いし対立、以来それぞれ別のヌーヴェルヴァーグ映画の道を歩みました。
a0212807_12383393.jpg私は、どちらかと云えば、トリュフォー監督作品の方が、好きで 1973年の「アメリカの夜」、1974年の「アデルの恋の物語」、1977年の「恋愛日記」、1981年の「隣の女」などは、ロマンス映画の名作です。

# by blues_rock | 2018-09-25 00:05 | 映画(シネマの世界) | Comments(0)