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心の時空

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a day in my life

a0212807_20343282.jpg是枝監督は、23年(13作)の監督生活で培った演出の技量を新作「万引き家族」(=原作・脚本・監督・編集)の随所で見せています。
映画の終盤、途中死亡した老女(祖母=樹木希林)を除き 残された家族全員が、万引き、年金の不正受給、少女誘拐容疑で警察の取調べを受けるシーンは、2017年作品「三度目の殺人」を思い起こさせました。
a0212807_14311490.jpgやっと自分の居場所(家族)を見つけたかに見えた5人も、やがてバラバラになりますが、それでも一緒に暮らした日々の中でお互いの心に育った家族としての絆は、消えませんでした。
今回のカンヌ国際映画祭審査員長で稀代の名女優 ケイト・ブランシェットは、劇中、母親役の安藤サクラが、取調官から誘拐動機について厳しい取a0212807_14311876.jpgり調べ受けているとき ‥ 「この子(幼い少女)は、捨てられたんだよ。 棄てられたものを拾って何が悪い! 悪いのは、この子を棄てた母親だろうが ‥」 と吐き捨てると絶句、両手で涙を拭きながら泣くシーン(カメラの長回しで是枝監督は、安藤サクラに台本を渡さず演技させたとか)を大絶賛、「今後、私も含め今回審査員を務めた俳優は、これから出演する映画のなかで泣くシーンa0212807_14564843.jpgが、あったら彼女(安藤サクラ)の真似をしたと思っていい。」と是枝監督に伝えたそうです。
映画のエンディングで、実の母親のもとに連れ戻された5歳の女の子が、アパートの通路で独り遊びながら、手すりから身を乗り出してじっと外を見ているシーンは、あまりに切なく、大人の保護と愛情が、絶対不可欠な幼い子供たちへの虐待は、無関心を装う回りの大人たちも同罪と改めて思いました。
(追記 : 三度目の「万引き家族」に続く)

# by blues_rock | 2018-06-14 00:04 | 映画(シネマの世界) | Comments(2)
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現在(いま)活躍中の、日本映画の監督で好きな監督を一人挙げて欲しいと求められたら私は、迷わず是枝裕和監督(1962~)の名前を挙げるでしょう。
a0212807_14272900.jpg是枝裕和監督は、1995年「幻の光」で長編映画監督にデビュー以来23年、現在公開中の「万引き家族」を入れ、これまで13の長編映画を発表しています。
是枝監督作品13作のすべてを見た私の感想は、新作「万引き家族」を是枝監督が、23年13作品の監督キャリアで培った演出の集大成にして撮ったと思いました。
a0212807_14275411.jpgそして、「万引き家族」は、カンヌ国際映画祭で‘パルムドール’(最優秀作品賞)を受賞、それだけの質を持った傑作映画で、一ファンとして慶賀の念に堪えません。
今年のカンヌ国際映画祭の審査委員長は、私の敬愛する名女優 ケイト・ブランシェット、審査員の8名が、ロシアの名監督アンドレイ・ズビャギンツェフ、カナダのドゥニ・ビルヌーブ監督、フランス若手の名女優 a0212807_14275882.jpgレア・セドゥー、アメリカ若手の名女優 クリステン・スチュワートなど、いずれも私の好きな名監督、名女優で構成され映画製作の立場ながら‘目利き’の方々ばかりです。
「万引き家族」のすばらしさは、どんな言葉より、映画館のスクリーンで実際ご覧いただくのが、一番です。
a0212807_14291554.jpgプロットをざっくり述べると 東京下町のビルの谷間にポツリとある古く小さなあばら家で 肩を寄せ合い ‘家族’ としてひっそり暮らす6人の物語です。
「万引き家族」は、イタリアネオレアリズモ映画の傑作「自転車泥棒」を彷彿とさせるもニッポン版ネオレアリズモ映画の新作それも傑作が、加わったと思えば良いでしょう。
a0212807_14293656.jpg閑話休題、彼ら6人‘家族’は、老女(年金暮らしの祖母=樹木希林 1943~)のわずかばかりの年金と併せ、日々の生活に必要な食料や日用品を男(日雇い労働者の父親=リリー・フランキー 1963~)と少年(未登校児の長男=城桧吏 2006~)が、スーパーや雑貨店から万引きすることで暮らしていました。
a0212807_14300282.jpg男の連れ合いと思われる女(パート勤務の母親=安藤サクラ 1986~)は、クリーニング店のパートとして働き、もうひとり若い女(母親の妹、風俗嬢=松岡茉優 1995~)が、同居していました。
ある冬の寒い晩、男と少年が、万引きを終えて帰宅しているとアパートの片隅にうずくまる幼い少女(5歳の児童虐待被害児=佐々木みゆ 2011~)を見つけました。

a0212807_14305114.jpg「万引き家族」の公開直前、東京目黒区で‘お願い、許して’と詫びる5歳の幼い少の子を寒さ厳しい真冬、裸足で外に出し凍傷させ餓死させるという鬼畜にも劣る言語道断な‘この映画の児童虐待シーンよりはるかに惨い虐待事件’が、実際に発生、劇中に登場する虐待シーンの数々は、まるでこの虐待事件を目の前で見ているような是枝監督の演出のリアリティ(迫真力)a0212807_14303897.jpgに、ただもう驚くばかりです。
この6人の‘家族’に、近所で小さな駄菓子屋を営む老店主(柄本明 1948~)など格差社会の底辺で、貧しくも慎ましく暮らしている善良な人たちが、絡み、是枝監督は、正しく現在(いま)の日本で拡大深化していくインビジブルな社会の原風景を見事な映像にして可視化(リアリティ映画に)しました。(後編に続く)

# by blues_rock | 2018-06-12 00:02 | 映画(シネマの世界) | Comments(0)
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現在、博多駅Tジョイで、単館上映中の「ビューティフル・デイ」(原題「You were never really here お前は、決してここにいちゃいけない」)は、才能あるのに寡黙なイギリス(グラスゴー出身)の鬼才女性監督 リン・ラムジー
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(1969~)が、脚本(今年のカンヌ国際映画祭で脚本賞受賞)を書き、アメリカの名優ホアキン・フェニックス(1974~、同じく今年のカンヌ国際映画祭で脚本賞受賞)を主演に迎え、旧くからの友人で撮影監督 トム・タウa0212807_06544270.jpgネンドならびにイギリス気鋭の映画音楽家 ジョニー・グリーンウッド(1971~、ロックバンド‘レディオヘッド’ のギタリスト) とタッグを組んで撮った秀作映画です。
撮りたい映画しか撮らないラムジー監督の「ビューティフル・デイ」へのこだわりは、このスリラー(クライム・サスペンス)映画にも、顕著に顕われ、一筋縄ではいかないラムジー監督の‘映像言語’が、多くの見せa0212807_06544762.jpg場を作っています。
映画の原題は、「You were never really here お前は、決してここにいちゃいけない」なのに、何で日本版のタイトルが、「ビューティフル・デイ」になるのか、映画の終盤、主人公のジョーは、行方不明であった少女ニーナ(エカテリーナ・サムソノフ 2003~)を拉致されていた高級売春宿から連れ出し、失踪少女ニーナが、ジョーに救い出された後、彼に「It's a a0212807_06545033.jpgbeautiful day!」と言ったことから日本版のタイトルは、「ビューティフル・デイ」になりました。
しかし、映画のプロットとストーリーは、「ビューティフル・デイ」の響きとは、真逆の、ホアキン・フェニックス演じる退役軍人で元FBI捜査官のジョーが、幼いとき父親から受けた虐待や戦場の殺戮による心的外傷後ストレス障害(PTSD)を抱え、治療のための鎮痛剤を常用、さらに慢a0212807_06551450.jpg性的な不眠と自殺願望による自殺衝動など常に意識朦朧としながらも、高齢で病気の母親を養うため「失踪者捜索」を生業として暮らしていました。
ラムジー監督の演出は、主人公ジョーが、抱える子供のころからの「絶望感(死にたい願望)」を抱え、成人しても人生に虚無と倦怠の中で暮らす中年のジョー(ホアキン・フェニックス)の姿a0212807_06553054.jpgを、そのヒゲ面と引き締まった巨体で具現化、女性とは思えない(ラムジー監督自身談)切り口で、粗暴にしてニヒルな殺し屋ジョーの絶望と心の闇をシャープに描いています。
音楽(サウンド・トラック)を担当したジョニー・グリーンウッドの重低音で鳴り響く、同時に割れたガラス片が、ぐさぐさと突き刺さって来るようなサウンドをバックに、数秒間フラッシュバックされるジョーの子供a0212807_06552123.jpg時代の虐待や戦場での殺戮の忌まわしい記憶、その傷みから逃れようとする自殺願望 ‥ ホアキン・フェニックスの怪演とラムジー監督の見る者に挑むような(不親切なくらい余計な説明をしない)クールな演出は、秀逸です。
ラムジー監督の「ビューティフル・デイ」演出意識の中に、マーティン・スコセッシ監督作品「タクシードライバー」
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(1976)へのオマージュが、あったのかどうか、私には、分かりませんが、ともに映画の終盤、「タクシードライバー」でロバート・デ・ニーロ演じるモヒカン頭の青年トラヴィスと、「ビューティフル・デイ」のホアキン・フェニックa0212807_06552783.jpgス演じる顔面ヒゲ面の中年ジョーとが、重なりました。
カンヌ国際映画祭で、パルムドールを受賞した「万引き家族」の対抗馬であった「ビューティフル・デイ」は、映画ファン必見の映画です。
余談ながら、稀代の名優ロバート・デ・ニーロ(1943~)は、嫌悪するアメリカのゲスなフェィク大統領を聴衆の面前で、こっぴどく貶(けな)すスピーチを繰り返しています。
a0212807_06553812.jpgこれにキレてツィッターする(ツィッターでしか反発できない)お下品大統領の神経を逆なでし、さらにヒワイな言葉(ブラック・ジョーク)で答える ‘お笑い芸人’ ロバート・デ・ニーロのおちょくりが、可笑しくて、つい熱烈に応援したくなります。
(上写真 : 撮影した映像を確認するリン・ラムジー監督とカンヌ国際映画祭 主演男優賞受賞のホアキン・フェニックス)

# by blues_rock | 2018-06-10 00:10 | 映画(シネマの世界) | Comments(0)
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現在(2018年6月)、公開中の「孤狼の血」の監督 白石和彌(1974~、2013年「凶悪」、2016年「日本で一番悪い奴ら」、2017年「彼女がその名を知らない鳥たち」 いずれも優れた作品)が、2016年に撮った「牝猫たち」(監督・a0212807_09173514.jpg脚本)も秀作です。
是枝裕和(1962~)は、カンヌ国際映画祭で最新作の「万引き家族」が パルムドール賞受賞後のインタビューで「映画は、文化である。 いま日本の文化が、衰退している。」と日本映画の水準低下を憂慮していましたが、私は、是枝監督から私たち日本の映画ファンへ日本映画に対する目利き度(映画批評精神)を上げて欲しいとのメッセージと理解しました。
a0212807_09184539.jpgさて、この白石監督の「牝猫たち」ですが、白石監督は、大都会東京、池袋にカメラを持ち込み、徹底したリアリズムでデリヘル嬢と呼ばれる出張売春をする性風俗業に携わる3人の若い女性に密着、主人公となる3人を媒体として日本文化の現実を描いています白石監督の演出のもと白石監督作品の常連撮影監督 灰原隆裕(白石監督作品以外では 2013年「0.5ミリ」が秀逸)ほかa0212807_09191557.jpg製作陣(ラインプロデューサーほか録音・編集などスタッフ)のチームワークも抜群で、大都会東京に人知れず生存している若者たちの孤独と自業自得と云える‛愛の不毛’ (刹那=秒より短い時間の単位)をクールに描いています。
インターネットカフェを転々としながらスマホでデリヘルの指示を待つホームレスの雅子(井端珠里 1987~)、夫のいる里枝(美知枝、2016年「沈黙 サa0212807_09191160.jpgイレンス」出演)、児童虐待する未婚の若い母 結依(真上さつき 1996~)を中心に映画は、展開していきます。
この主人公 3人のデリヘル嬢に絡む主な男たちが、デリヘル店を経営する男(音尾琢真 1976~、2018年「孤狼の血」の暴力団幹部が秀逸)、店員で送迎ドライバーの青年(吉村界人 1993~、2014年「百円の恋」、2018年「モリのいる場所」に出演)、母親結依からa0212807_09195836.jpg虐待されている男の子のベビーシッターの青年(松永拓野 1992~、2016年「沈黙 サイレンス」出演)の3人です。
劇中、おやっ!? と思ったのが、1970年代初め日活ロマンポルノ映画全盛時代ロマンポルノの女王と呼ばれた女優白川和子(1947~)で、SMクラブのオーナー役でワンシーンに登場していました。
a0212807_09200583.jpg映画は、インターネット社会の裏側(闇)も映し出し、インターネットの中だけにしか居場所のない(自己表現できない、コミュニケーションできない)哀れな若者たちや、他人の不幸を見る(他人の足を引っ張って狂喜する)ことでしか心を癒せない歪んだ欲望と孤独をもつ今日本国中どこにでもいる男女の現実をリアルに表現しています。
a0212807_09195528.jpgこの映画「牝猫たち」を2017年作品「最低。」と併せてご覧になると現代社会に蠢(うごめ)く「老若男女の空ろな愛」の姿が、透けて見えて来ます。

# by blues_rock | 2018-06-08 00:08 | 映画(シネマの世界) | Comments(0)
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フランスの女性監督 リサ・アズエロス(1965~)が、フランス伝説のディーバ(歌姫)「ダリダ(Dalida)」を撮った新作の伝記映画です。 (下写真 : 在りし日のダリダと ダリダを熱演したイタリアの女優 スベバ・アルビティ)
a0212807_13265532.jpg日本でダリダと云えば、1973年にアラン・ドロンとのアンサンブルで大ヒットした「あまい囁き(パローレ、パローレ)」が、有名です。
中高年の方なら誰もが、一度は、耳にしたことのある有名な曲で、ダリダの “パローレ、パローレ、パローレ” と歌いあげる情熱的な(実際は 愛想つかしの)フレーズに、往年の美男俳優 アラン・ドロンが、渋く低い声で囁く「あまい囁き(パローレ)」(実際は 未練の口説き)を年配の方は、記憶されていると思います。
アズエロス監督は、一世を風靡するも「人生に耐えられない、許して」と書き残し54歳のとき自ら命を絶つダリダa0212807_13265171.jpg(1933~1987没、睡眠薬自死)へのオマージュとして美貌も雰囲気も‘ダリダそっくり’のイタリアの新進女優 スベバ・アルビティ(1984~、33歳)をキャスト、1960年代から80年代フランスのみならず世界的に人気を博し多くの人に愛されたフランスの国民的歌手ダリダ(生涯1億4千万枚のレコードをリリース)と、子供のころから孤独に苛まれ、愛を渇望したヨランダの、一人の女性の
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二律背反する人生の‘光と影’をかなり忠実に描いています。
映画は、ダリダ(本名 ヨランダ)が、イタリア系移民の子としてエジプトに生まれカイロで育ち、少女時代、弱視でa0212807_13272461.jpgぶ厚いレンズの眼鏡をかけていたので学校でイジメを受け、自分の容姿に強いコンプレックスを抱いていました。
十代の終わりフランスに移り歌手としてデビュー、次第に成功を収めるも54歳のとき、ついに孤独に耐えられず自死しました。
十代のダリダは、歌手デビューするや、その美貌とエキゾチックな歌声でフランス女性の憧れにして、a0212807_13274890.jpgすべてのフランス男性が、恋したと言われるくらい一躍スターになりますが、その華やかな生活とは、裏腹に‘普通の女として愛する人と結婚し子供を産み家庭に入る’ことを夢見ていました。
ダリダは、12人の男性を愛し、うち3人の男性と結婚、2人と同棲(映画、この5人が、映画に登場) うち3人の男性が、ダリダを失った喪失感で自殺しています。
a0212807_13275366.jpg私生活のダリダは、いつも孤独に苦しみ、その苦悩を癒すために愛を渇望、自分に求愛する男性の愛を一旦受け入れますが、自由奔放な愛を歌うことで人気のあった歌手ダリダは、34歳のときの愛人であった18歳の学生とのスキャンダルすら「18歳の彼」という曲にして自分のロマンスを赤裸々に歌いました。
a0212807_13281586.jpg一方で、当時無名のミュージシャン ララ・ファビアン(1970~)の曲「私は病気(Je suis malade)」を歌い、まわりが、猛反対するなか、自分の心情を絞り出すように ‥ 「私は病気  完全に病気  私は、自分の血すべてをあなたに注いだ  私は、死んだ鳥みたいだ  あなたが、眠っている時に  私は病気  完全に病気  あなたは、私から歌を奪った  私の言葉をすべて奪a0212807_13282710.jpg


い去った  私には、才能があった  あなたを知るまでは  この愛は、私を殺す  もしこんな気持ちが、続くなら  私は一人で朽ち果てる  ラジオのそばで  抜け殻のように  私の歌を聴きながら ‥ 」と切々に歌いました。
このシーンが、映画の終盤に登場しますので、映画「ダリダ」を これからご覧になる方は、お見逃しのないように、切なく感動的なシーンです。

# by blues_rock | 2018-06-06 00:06 | 映画(シネマの世界) | Comments(0)
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‘唐塗り’とは、江戸時代(1603~1868) 刀の鞘を漆で加飾した鞘塗り、印籠塗り、和竿(釣竿)塗りなど‘変わり塗り’と呼ばれていた 漆工芸技法の一つで、現在の津軽塗や若狭塗などが、代表的な漆器です。
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‘金継ぎ’は、息を凝らしてする作業も多く、長く続けていると息苦しくなり、精神状態にも 良くありません。
何よりいけないのは、楽しいはずの金継ぎが、楽しくなくなることです。
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そんなとき、私は、気分転換(息抜き)のため、竹籠やそこらにある板を手に取り 勝手気ままに、漆を塗る 漆遊び をしていました。
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昨年初夏、博多漆芸研究所を主宰する漆芸作家 松生ご夫妻(ぬり松工房)の作品展を見て、私は、インターネット上の様々な漆芸サイトで自己学習しトライしてみたものの四苦八苦するだけでした。
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そこで昨年秋より、博多漆芸研究所に入門、松生ご夫妻から指導を受け半年が、過ぎました。
念願の陶胎と併せ木胎(木地)への‘唐塗り’漆器も少しずつ出来てきました。
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来年秋、私として(たぶん)最初で最後の金継ぎと漆工芸の作品展を友だちの協力を仰いで ‥ しようかな、と企んで(誇大妄想して)いるところです。
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参考ながら、上と下の ‛根来塗り’ は、漆遊び をしていたころの作品です。
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やっと漆工芸の麓に たどり着き、山の頂は、まだ雲の上で見えませんが、どこまで登れるか ‥ えっちら おっちら 上り続けたいと思います。


# by blues_rock | 2018-06-04 00:04 | 金継ぎ/古美術/漆芸 | Comments(0)
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沖田修一監督(1977~、2008年「南極料理人」、2012年「キツツキと雨」)、脚本・監督の新作「モリのいる場所」は、平日の午後にも関わらず補助イスが、いるくらい満席で、その盛況(頻繁に行くKBCシネマで私が、見る初
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めての光景)に驚きました。
「モリのいる場所」は、沖田監督いつもの演出(眼差し)よりさらに温和で、ほんのりしています。
a0212807_04402815.jpg映画の主人公である 当年94歳の画家 熊谷守一(愛称モリ 1880~1977没、享年97歳)を演じるのは、映画史に残る名優の山崎努(1936~)、もう一人の主人公、モリに長年連れ添った糟糠の妻秀子で、稀代の名女優 樹木希林(1943~)が、山崎努演じるモリと軽妙な掛け合いをする二人の名演を見るための映画です。 (下写真 : 文化勲章授賞を「断ってくれ」というシーン)
a0212807_04403586.jpgこれを沖田監督作品の常連である撮影監督 月永雄太(1976~)が、撮った映像も秀逸です。
映画を見ていたら、津端修一氏90歳と妻の英子さん87歳の老夫婦を撮ったドキュメンタリー映画「人生フルーツ」を憶い出しました。
映画の冒頭、林与一(1942~)演じる昭和天皇が、美術館で熊谷守一の絵をじっと見つめながら「これ、子供の絵?」と側近に質問されるところから
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始まります。
映画のプロットは、東京の豊島区に住み、外出することなく30年、自宅の家と庭だけで暮らし、庭にいる猫や飛a0212807_04411710.jpg来する小鳥、棲息する爬虫類、小魚、虫類を毎日じっと見つめ絵のモチーフとして描いた、その風貌から仙人と呼ばれた伝説の画家 熊谷守一94歳と老妻秀子のある夏の一日を描いています。
山崎努と樹木希林は、文学座の先輩後輩の間柄で、50年もの長い付き合いながら二人が、共演するのは、この「モリのいる場所」が、初めてというから不思議です。
a0212807_04412102.jpgさりとて、稀代の名優二人の芸達者な ‘阿吽の演技’(アドリブも自然)は、必見です。
沖田監督は、「モリのいる場所」の演出に、いくぶん遊び心(コミカルなギャグ)を加え寓話的に脚色していますが、居間の天井から降ってくる金ダライと庭に現れる宇宙人は、サービス過剰気味で少し脱線しているように感じました。
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共演の俳優陣も偏屈な老画家 熊谷守一の信頼厚く彼の写真を撮り続ける写真家役に加瀬亮(1974~)など登場シーンは、少ないものの脇を固めるのが、芸達者な俳優揃いなので、映画を見ている者は、熊谷家の居間と
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庭で彼らが、演じるユーモラスなシーンの連続をクスクス笑いながら大いに楽しめます。
(上写真 : 晩年の熊谷守一、下写真 : 油彩画「猫」)
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# by blues_rock | 2018-06-02 00:02 | 映画(シネマの世界) | Comments(0)
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東映配給なので、てっきり東映ヤクザ映画のニューバージョンと思い、この映画は、当初スルーするつもりでいました。
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私は、昔から東映のヤクザ映画や昨今の暴力団ものの映画が、大嫌いで、まったくと言っていいくらい見た記憶なく、現在公開中の「孤狼の血」は、私の好きな名優 役所広司(1956~)主演であることと、監督が、白石和彌a0212807_10071518.jpg監督(1974~、2013年の「凶悪」は、秀作)でなければ、見る気にならない映画でした。
先日、昼食を終え、KBCシネマで公開中の「モリの居る場所」を見ようと思い、上映時間を見るとまだ2時間余あり、他の映画館で公開されている作品と上映時間をサイトで調べると中州大洋映画劇場で「孤狼の血」が、ちょうど好い時間でした。
a0212807_10075469.jpg私が、やはり気になったのは、相変わらず体中(からだじゅう)イレズミしたチンケな男たちの登場するヤクザ映画のように思えたことでした。
あまり期待せずに私は、見始めましたが、さにあらん、これは、私の先入観で、さすが白石監督でした。
白石監督は、原作「孤狼の血」の著者、作家の柚月裕子(1968~)が、ヤクザ映画の巨匠 深作欣二監督(1930a0212807_10084629.jpg~2003、「仁義なき戦い」シリーズが有名)の大ファンでもあり、深作監督へのオマージュとして原作のまま映画の舞台を暴力団対策法成立前の昭和63年(1988年)、広島県の架空都市‘呉原市’に設定、リアリズムに徹するためオール広島ロケを敢行、ほとんどのシーンを呉市内で撮影し実録もののヤクザ(暴力団)抗争のようにリアルに撮っています。
a0212807_10091587.jpg冒頭は、ヤクザ映画のように見せながら、丸暴の古参刑事で、暴力団組長も幹部も一目置く無頼な刑事 大上(役所広司)が、「警察じゃけえ、何をしてもええんじゃ!」とタンカを切るあたりから映画は、がらりとハードボイルドとサスペンスに変調していきます。
大上刑事を内偵する役割を帯びて広島県警本部から呉原市警察署に送り込まれてきたエリート新人刑事日岡a0212807_10090955.jpg(松坂桃李 1988~、私の初めて見る若手俳優でしたが、秀逸)は、無理やりコンビを組まされた直属の上司が、大上でした。
大上は、ウワサ通りの悪徳警官でそのワルデカぶりに呆れ果てた日岡が、何かと反発するも、そのたびに殴られ放り投げられました。
呉原市の地元暴力団と新興の広域暴力団の縄張り抗争が、多発、過激な暴力沙汰や流血事件も起き、地元暴a0212807_10092613.jpg力団の資金源(金庫番)であった金融業を営む民間人の失踪事件で暴力団組織の戦争(流血抗争の勃発)のニオイを嗅ぎつけたベテラン丸暴刑事の大上は、長年の勘で失踪事件の裏に黒幕が、いると考えました。
役所広司演じる悪徳デカの大上は、過去に暴力団捜査中に起きた殺人事件(この事件にクラブのママを演じる真木よう子 1982~が、絡むことで映a0212807_10092969.jpg画は変奏します)を闇に葬ったスキャンダル容疑を抱えていました。
そのことを知った日岡刑事は、無頼な大上刑事の傍若無人な振る舞いについに我慢できなくなりました。
映画に数多登場する冷酷で過激な暴力を振るう暴力団員を演じる俳優陣が、じつに素晴らしく ‥ 石橋蓮司(1941~)の暴力団組長は、似合い過ぎで言うに及ばず、ピエール滝(1967~)もa0212807_10093738.jpgさすがという名演技を見せ、特筆すべきなのが、昔の二枚目俳優 江口洋介(1967~)と竹野内豊(1971~)の暴力団幹部ぶりは、お見事、目を剥きドスの効いた声でタンカを切るシーンは、必見です。
血しぶきの飛び散る過激な暴力シーンやグロテスクなシーンもありますが、白石監督は、スピーディかつクールな演出で描きカットも短く、目を背けたくなるほどでもありまa0212807_10093937.jpgせん。
松坂桃李 演じる広島県警エリートの新人刑事 日岡が、暴力団組織の悪辣さ、卑劣さ、残酷さを目の当たりにし、悪徳警官と思っていた丸暴のベテラン大上刑事(一匹狼=孤狼)の本性を知ったとき、大上のDNA(魂)は、、新人刑事日岡に憑依し、彼の目は、いつしか凶犬のようになっていました。
a0212807_10093493.jpg「孤狼の血」の原作者柚月裕子は、日岡を主人公に新作を発表、白石監督は、惨殺された丸暴刑事大上の魂が、憑依した丸暴刑事日岡を主人公に「孤狼の血」の続編を撮るとコメント、次回は、迷うことなく見るつもりです。

# by blues_rock | 2018-05-31 00:01 | 映画(シネマの世界) | Comments(0)
a0212807_21380961.jpg先日、偶然インターネットで見つけた子育て記事「幸せは遺伝する / 世界最高の子育て」を読んでいたら、今月半ば、ロンドンに帰国した友人母子のことを思いました。
5年前、生まれて一年にもならない赤子の娘(ミズキちゃん)を抱いて、私に「この娘には、徹底的に甘えさせたい。 甘やかすのとは、違う。 娘には、どんな時も自分が、いると安心させたい。」と言ったことを憶い出しました。
この本の著者、ボーク重子さんは、福島県出身の方で、年少のころから学業優秀、時に福島県内5位の成績になるなど、勉強以外考えず、良妻賢母になることを目指していたそうです。
重子さんは、青春時代から人生に悩み、心折れたまま外資系の会社で働き30歳のとき挫折、自分を探すためロンドンの大学院に留学、そして結婚しアメリカで出産 ‥ 一人娘を育てる中で「私と同じようになって欲しくない。 私は、いつも自信がなく、何かを始める前から諦めてしまうような人間だった。」と振り返り、高校まで一貫教育のワシントンの小学校に通う娘を見て「九十九を知らない」・「簡単なスペルも間違える」・「宿題もない」ことに不安を覚えたそうです。
すると先生から「ダレもが、できるようになることを早くできたからと言って大した意味は、ありません。
a0212807_21381878.jpgどうしても宿題が、欲しければ、自宅で20分間空想させ自由に考えさせてください。」とアドバイスされたそうです。
その小学校の教師たちは、毎朝、生徒一人ひとりの目を見て「おはよう」と挨拶し出迎えるのだとか、重子さんは、「子供は、好きだからこそ続けられ 、何か困難に面しても好きなことなら乗り越えようとするパッション(情熱)が、生まれ、好きだからこそ謙虚に他の人から学ぶ姿勢も自然と生まれます。 飽きることも大切、自分の本当に好きなことを探すチャンスです。 好きだから好奇心もわき、それに対応することで本当の思考力と学力も身に付くと思います。」と述べておられます。
さらに、親のアドバイスは、親のエゴや欲求が、絡んでおり、子供にとっては、最適でないことが、多いとも述べておられ、子供の相談には、自分の意見(アドバイス)を言わないで「あなたは、どうしたいの?」と逆に質問し、意見の相違が、あれば 良く話し合うそうです。
宗教差別をしない(宗教に束縛されない)日本人は、世界的に見るとかなりオープンマインド(自由な精神)な国民なんだそうです。
あるがままに子供を認め、その子の存在を認めてあげること、まず何より親が、幸せになり、子供の安心できる場所(=家族)で子供の幸せを願えば、その子は、きっと幸せになるでしょう。
a0212807_21463430.jpg「幸せは、遺伝する、不幸もまた遺伝する。 幸せじゃない親の子供は、幸せにならない。」は、けだし名言です。

(写真 : ロンドンに住む友だちの ハナ=ミズキ・T・ラムナラインちゃん 5歳)

# by blues_rock | 2018-05-29 00:29 | 人生/愛(Love) | Comments(0)
ロマンス映画を撮らせたら、この監督の右に出る監督は、いないと私が、内心思うフランスの名監督 フランソワ・トリュフォー(1932~ 1984病没、享年52歳) 1973年のロマンス劇中劇映画「アメリカの夜」を紹介します。
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主演の美人女優 ジャクリーン・ヴィセット(1944~)が、1968年「ブリッド」、1971年「シークレット」)に続き29歳のときに出演した作品で、日本の女性写真家 蜷川実花 1972~)の云う「美しい女は、国宝a0212807_00192627.jpgである。」は、蓋(けだ)し名言です。
「アメリカの夜」は、若いころ、私の心を虜にした ジャクリーン・ヴィセットを見るための映画ですが、ロマンス映画の巨匠 トリュフォー監督の究極のロマンス映画三作を挙げるなら私は、1975年の「アデルの恋の物語」(イザベル・アジャーニ 1955~主演、二十歳のイザベル・アジャーニが、眩い)、1977年の「恋愛日記」(ブリジット・フォッセー 1946~、1952年6歳a0212807_00362093.jpgのとき「禁じられた遊び」の少女ポートレットを名演)、1981年の「隣の女」(後にトリュフォー夫人となるファニー・アルダン 1949~が、秀逸)と思います。
さて、「アメリカの夜」に話を戻して、この映画は、「パメラを紹介します」という映画の製作風景を映画にした‘劇中劇’の映画です。
a0212807_00181504.jpg地下鉄の出口から出てくる青年(ジャン=ピエール・レオ 1944~)をカメラは、追い、やがて広場の向こうの歩道を歩いている男(ジャン=ピエール・オーモン 1911~)を捉えると、やおら青年が、その男を掴まえるや、いきなり彼の顔を平手打ちします。
a0212807_00194822.jpgそこで映画の主人公の一人であるフェラン監督(フランソワ・トリュフォー)が、「カット!」の声をかけると撮影現場は、一変し、それまで緊張していた出演者や製作スタッフが、和んだ表情を見せます。
その時、映画「アメリカの夜」を見ている者は、いままで見ていた映像が、映画「パメラを紹介します」の撮影だっa0212807_00454600.pngたことを知ります。
劇中劇の「パメラを紹介します」は、父親と息子の嫁が、恋に落ちて駆け落ちしてしまうベタなストーリーながら、トリュフォー監督は、映画の製作風景(撮影現場や舞台裏)をタテ軸にして撮影が、思うように進行しないフェラン監督の苦悩(ストレス)と出演者および製作スタッフの様々な人間模様をヨコ軸に「映画製作の様子」a0212807_00195112.pngをタペストリーのように描いています。
「アメリカの夜」とは、昼間の撮影だが、カメラのレンズにフィルターをかけ、本当の夜よりもずっと夜らしく見える夜の映像を “アメリカの夜” と呼ぶそうです。
この映画「アメリカの夜」は、アカデミー賞外国語映画賞を受賞、伝説の映画監督にして名優 オーソン・ウェルズほかヒッチコック監督など名監督へのオマージュを感a0212807_00195439.jpgじさせる映画です。
トリュフォー監督は、生前、ロマンス映画を撮る理由に、暴力が、嫌いだから戦争映画や西部劇は、撮らない、政治にも興味が、ない、30本のロマンス映画を撮ったら引退する、余生は、本を執筆して過ごす、と言っていましたが、25本の映画を撮って52歳の若さで亡くなりました。

# by blues_rock | 2018-05-27 00:27 | 映画(シネマの世界) | Comments(0)
脊振山の里山にある「そば遊山(ゆさん)」 のことは、先日の拙ブログ(カテゴリ「柏原生活/博多叙景」)で述べたとおりですが、記事にまわりの景観について触れていませんでしたので、今夜は、「そば 遊山(ゆさん) の、裏山
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の庭」を紹介します。
先日の遊山の蕎麦が、とても美味しかったので、蕎麦の本場 信州そばで有名な長野出身で、そば好きの友だa0212807_22112946.jpgちを誘い、そば遊山に再度行きました。
今回は、石臼挽きの手打ち もりそば をいただきました。
さて今夜は、その そば遊山の裏山の庭について書きたいと思います。
今は、立派な家屋に新築されていますが、改築以前は、廃屋の民家だったそうで、敷地の裏山の庭も、とても庭と呼べるようなものではなく、雑木の中に竹林生い茂る、
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鬱蒼とした状態だった(ご主人談)そうです。
友だちと蕎麦を食べ終わり、厚かましく蕎麦湯のお替りまでして外に出て、ご主人のお許しを得て遊山の裏山のa0212807_22120150.jpg庭を散策 ‥ これが、また「すばらしい!」の何のって、新緑の輝きと相俟って、湧水の流れに添うように野草の花も美しく、湧水を引き入れた田植え前の裏山の棚田は、水を湛え田植えを待っていました。
間もなく田植えも終わり、棚田は、夏になると穂をつけ、秋に黄金色の稲穂が、まわりの紅葉樹林と美しい色彩のハーモニーを奏a0212807_22121778.jpgでることでしょう。
「そば 遊山」は、美味しい蕎麦と併せ、裏山の庭が、四季折々に移ろっていく景観をエンジョイする‘隠れ蕎麦処’と思います。

# by blues_rock | 2018-05-25 00:25 | 柏原生活/博多叙景 | Comments(0)
昨年(2017年)の9月9日(土) は、当日の日本経済新聞夕刊に「レコード復活」の記事が、大きく掲載され、私の大事な同時にそれまでお荷物化していたLPレコード盤千数百枚の復活を告げられたような、しつこく持ち続けたことを元気づけられたような、そんなうれしい日でした。
a0212807_06414471.jpg先日(5月19日)、九州大学 芸術工学部(旧九州芸術工科大学) 大島久雄准教授の公開講座 ~ SPレコードと蓄音機で聴く大正から昭和中期の芸能文化 を聴講しました。
SPレコードを蓄音機(手動)で聴いたという世代は、かろうじて昭和20年代前半から存命されているとしても昭和初期生まれの世代で、1948年(昭和23年)に LPレコード盤・EPレコード盤が、登場すると電気蓄音機(電動レコード・プレーヤー)の発達と相俟って、SPレコードを蓄音a0212807_06415441.jpg機は、あっという間に姿を消してしまいました。
ともあれ、SPレコードを蓄音機が、誕生してまだ(たったの)130年 ‥ 日本の歴史に置き換えれば、明治20年代、それ以前の‘音と音楽’の記録は、まったくこの世(現代)に存在しないのですから、‘音と音楽’の洪水の中で暮らす私たちにとってSPレコードと蓄音機の発明が、いかに大事な革新的な出来事であったかよく分かると思います。
a0212807_06415944.jpg簡単にレコード盤のことを説明すると、SPレコードとは、Standard Play 78回転のレコード盤のことで、録音した音を再生するのに電気を使わず蓄音機のゼンマイを手回しで巻いて回転盤を回し、大きなラッパのようなスピーカーの前に人々は、耳を傾け、レコード盤と鉄針の摩擦ノイズと音源の心もとない音色に必死で聴き入って‘音と音楽’を堪能していました。
SPレコード盤は、鉱物素材なので硬く、重く(1枚300㌘)、脆い(割れやすい)という欠点が、ありました。
a0212807_06420416.jpgこの欠点を補い音源の再生を著しく改良したのが、LPレコード盤の Long Play 33回転とEPレコード盤 Extended Play 45回転で、素材も塩化ビニールに変わりました。
前口上が、長くなりました。
大島教授は、大正から昭和中期にかけて録音されたレアな音源から15点のSPレコードを受講生の私たちに当時の手回し蓄音機で再生し聴かせてくださいました。
コンテンツは、映画音楽・流行歌・浪曲・漫才・オペラなど ‥ 松井須磨子の歌う「カチューシャの唄」や12歳の美a0212807_06564624.jpg空ひばりが、歌う「東京キッド」、昭和初期一世を風靡した女浪曲師天津羽衣の浪曲、エンタツ・アチャコの漫才など当時の画像とモノクロの古い映像を交え大島教授の視聴覚による分かりやすい講義で大正から昭和中期の芸能文化を学ぶことができました。
次回、12月22日は、SPレコードと蓄音機で聴く「子供の世界」だとか、これも楽しみです。

# by blues_rock | 2018-05-23 00:03 | 柏原生活/博多叙景 | Comments(0)
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今年亡くなったイタリアの名匠エルマンノ・オルミ監督(1931~2018)が、1978年に撮った作品(監督・脚本・撮影すべてオルミ監督)で、3時間余の長尺ながら19世紀末の北部イタリア(ロンバルディア)ベルガモの貧しい農村a0212807_12534120.jpgを舞台に、イタリアのみならず当時のヨーロッパ封建社会にあって最大の犠牲者であった小作農民たちの悲喜交々(こもごも)をドキュメンタリータッチで淡々と描いた傑作で、その年のカンヌ国際映画祭でパルムドールを受賞しています。
今は亡き日本の名匠監督伊丹十三(こちら 参照)は、生前この「木靴の樹」を大絶賛していました。
a0212807_12541655.jpg撮影は、すべて映画の舞台となるベルガモでロケーション、さらに登場する農民たちも素人ながら寸分の素人っぽさも感じさせない本当の農民たちというのも驚きです。
オルミ監督は、人口照明(ライティング)を一切行わず、自然光のみで撮影していて、その効果が、リアリティあふれる映像となり、不朽の名作を創りあげました。
a0212807_12544112.jpgフランス、バルビゾン(パリの南、フォンテンブローの森に隣接)で暮らし一途に農民を描き続けた(パリ時代は、肖像画家としても有名であった)ミレー(1814~1875)も同じ時代の画家で、この映画「木靴の樹」に描かれる農民たちを見ているとミレーの ‘動く絵’ (参考:「ブリューゲルの動く絵」)を見ているよa0212807_12534934.jpgうに感じます。
サウンド・トラックは、ヨハン・セバスチャン・バッハ(1685~1750)の曲です。
映画のプロットは、今から150年くらい前イタリアのベルガモの寒村で大地主の農地を借りて暮らす極貧の小作人4家族の物語です。
4家族は、皆なわずかな耕作農地、粗末な集合家屋、牛・鶏などの家畜、農具など小作に必要なもの一切を領主から借りて暮らし、村にある自然の草木も大地主のものa0212807_12535422.jpgでした。
さらに、領地で収穫した農産物の3分の2は、大地主が、搾取していました。
どの家族も自分のもの言えるのは、着ている服と寝具、最低限仕事に必要な小道具、食器、椅子と持ち運べる食卓くらいでした。
a0212807_12541944.jpg敬虔なカトリック教徒の小作農4家族は、働きずくめながらも貧しく、お互い助け合い一生懸命暮らしていました。
4家族の中に一人優秀な少年が、いて、教会の神父は、学校に行かせるよう親を説得しました。
少年は、片道6㌔の学校通学により、彼の履いている‘木靴’が、 破損し学校に行けなくなりました。
a0212807_12544531.jpg最初、学校へ行くことに反対していた父親も息子の勉強ぶりを見て内心喜び、通学用の新しい木靴を作ってあげることにしました。
父親は、その夜、村を流れる小川の川岸に生えている木を一本切り、隣近所に分からないよう物音を立てず徹夜して木靴を作りました。
極貧の暮らしの中、父親は、未来ある息子のために川岸に生える並木の中から小さな木をたった一本切ったこa0212807_12544724.jpgとにより、領主から受けた冷酷な仕打ちが、見ている者の心を救いようのない暗く悲しい気持ちにさせます。
しかし、当の小作人たちは、この自分たちの不幸は、神(キリスト教)の思し召しと神の子イエスの御心でやがて救われると無邪気に信じ祈り続けます。
オルミ監督は、大地主の理不尽な搾取と暴力的な行為に対し、彼らが、狂気じみた信仰にすがりながら生きてa0212807_13331334.jpgいく姿を冷徹にリアリティあふれる映像で描いています。
映画のラスト、少年の一家が、地主から村を追放され、少ない自分の家財を荷車に積んで黙って村を出ていくシーン、それを黙って見送る村人のラストシーンは、胸に迫る切ないエンディングです。
出演者は、皆な素人ですが、全員見事な役者ぶり、エルマンノ・オルミ監督は、ルイジ・オルナーギ、フランチェスカ・モリッジ、オマール・ブリニョッリ、ルチア・ペツォーリ、フランコ・ピレンガ、ロレンツォ・ペドローニと彼らの名前をスクリーンにクレジットする(記録a0212807_13382897.jpgする)ことで、自分の演出に応えてくれた彼らへ感謝の意を表しています。
とくに敬虔なクリスチャンで貞淑にして清純な村娘 マダレーナを演じたルチア・ペツォーリという女性の表情が、実に美しく、それも含め必見の価値ある傑作映画です。

# by blues_rock | 2018-05-21 00:01 | 映画(シネマの世界) | Comments(0)
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アラフォーの名女優 ジェシカ・チャスティン(1977~)が、出演した映画は、2011年「テイク・シェルター」、2012年「ゼロ・ダーク・サーティ」、2016年「女神の見えざる手」など私が、見た作品は、10数本あります。
a0212807_04413088.jpg私にジェシカ・チャスティンの出演している作品を一本見るならどの作品か、と質問されても私が、返答に困るのは、演じる役柄で様々な表情を見せているから作品の選択に困ります。
現在上映中のジェシカ・チャスティン最新作「モリーズ・ゲーム」は、この映画が、初監督作品となる名脚本家 アーロン・ソーキン(1961~)は、実在の賭博ポーカーゲーム主宰者 モリー・ブルーム(上写真a0212807_04414073.jpg右、美人女性)の伝記を脚本にし ‘ジェシカ・チャスティン=モリー・ブルーム’ その女性(ひと)に感じられるよう演出しています。
映画は、2時間20分と長尺ながら主人公モリーが、語るモノローグ(独白)を数多くのカットにして繋ぎ、テンポ良く、巨額の掛け金を湯水のように使う金満なセレブ世界をミステリアスに描きつつポーカーゲームを知らない素人にも分かるように手のa0212807_04415512.jpg内を見せながら展開していくので見ている方は、案外長さを感じません。
プロローグで紹介されるスキーモーグルのオリンピック出場候補選手だったモリーの過去 ~ コロラドでのスキー漬けだった少女時代とオリンピック出場選手選考競技の転倒事故、厳しいコーチだった父親(ケビン・コスナー 1955~)との確執(反発と抵抗)、スキーは、挫折するも成績優秀なのに進学せa0212807_04415946.jpgず、ロスアンゼルスへ出てバーで働いているときポーカーゲームの手伝いをさせられ成功するまでが、前半です。
モリーの強靭な精神力と才能で彼女の仕切る会員制ポーカーゲーム・クラブは、ロスアンゼルスで有名になりハリウッドの大物俳優、シリコンバレーの起業家、金融業者、ポーカーのプロが、メンバーになりました。
a0212807_04450952.jpgしかし、それも束の間、仲間の裏切りに遭い、モリーのポーカーゲーム・クラブは、破綻しました。
そこでモリーは、ニューヨークに移り、高級ホテルの一室に会員制高級ポーカーゲーム・クラブを開設、ハイリスク・ハイリターンのポーカーゲームを主宰しました。
モリーのポーカーゲーム・クラブは、瞬く間にニューヨークでも有名になり、成功したかに見えたその時、マネーa0212807_04473647.jpgロンダリングの手段にするためロシアンマフィアが、モリーのポーカーゲームに目を付けました。
マフィアの脅しを拒絶し けんもほろろ追い返したモリーでしたが、またもや信頼していた部下に裏切られ、瀕死の暴力を振るわれ手持ちの有り金と宝石類すべてを奪われました。
a0212807_04475007.pngさらに、FBIから突然不法ポーカー賭博の容疑で逮捕され、口座にある全資金を没収されました。
映画は、ここから佳境に入ります。
被告モリーの弁護士(イドリス・エルバ 1972~)は、無罪にするため地方検事局と司法取引しようと画策、モリーが、主宰したポーカーゲームのハードディスク(顧客リストと記録)を提出するよう進言するも、ここでもモリーは、頑なに拒否しました。
a0212807_04475885.jpgそして、裁判長から罪状認否を問われたモリーは、「有罪です。」と答えました。
モリーの頑な意志と不屈の精神は、どこから来るのか、エピローグの父親との会話で分かります。
映画の中でセリフが、やたら多く長いのは、脚本家としてのアーロン・ソーキン監督の面目躍如たるところかもしれません。
a0212807_04475447.jpgデンマークの女性名撮影監督 シャルロッテ・ブルース・クリステンセン(1978~)の映像が、美術のデビッド・ワスコと衣装のスーザン・ライアルと相俟って秀逸です。

# by blues_rock | 2018-05-19 23:19 | 映画(シネマの世界) | Comments(0)
福岡から佐賀へ263号線の三瀬峠を越え(三瀬トンネルを抜け)、三瀬そば街道に入ると そこかしこに 美味しい蕎麦処が、点在しています。
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これまで私お気に入りの(美味しいと感じた)蕎麦処を数店、すでに拙ブログで紹介しましたが、今夜は、三瀬そば街道から少し背振の里山に入るので特別編と題して「そば 遊山(ゆさん)」をご紹介します。
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巨木の太い梁を組んだ木造二階建ての家屋もですが、木目のきれいな杉板を張り巡らせた天井、床、壁の設えは、心地よく、大きな窓から見える緑豊かなまわりの自然が、どこの席からも見えるので心安らぎます。
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熱い黒豆ほうじ茶(香りがいい)を啜り、松の巨木のうねりを生かした長く厚いテーブルや室内至るところに活けてある季節の花を眺めながら、注文した石臼挽き手打ち十割蕎麦をゆったり待っていると緑鮮やかな蕎麦
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が、テーブルに届き、その美味しいこと、蕎麦猪口など器も風流で、活け花のセンスと併せ、店の内外すべてに配慮の行き届いたご主人の趣味の好さを窺い知ることが、できました。
a0212807_08281047.jpg私は、東京・名古屋・大阪と 30数年暮らして来ましたが、「そば 遊山」の蕎麦は、大都会の有名蕎麦店に勝るとも劣らない 美味しいものでした。
車でないと行けない人里離れた脊振の里山という 辺鄙なところにありますが、‘知る人ぞ知る’「そば 遊山」の蕎麦は、私が、皆様方に自信をもってお薦めする蕎麦処です。
a0212807_08285096.jpg余談ながら、前述したハム&ソーセージ工房 イブスキのハム・ソーセージは、云うに及ばず、オーストリア風パンに はさんだハムとソーセージのサンドイッチも美味しいので、こちらもお薦め(そば 遊山のお帰りにテイクアウトで)いたします。            (上写真 : イブスキ工房 横の 裏山 「 風薫る 背伸びし筍(こ)らに 竹の秋 )

# by blues_rock | 2018-05-17 00:07 | 柏原生活/博多叙景 | Comments(2)
a0212807_14204829.jpgオーストラリアの名監督 ジョン・ヒルコート(1961~、2012年「欲望のバージニア」、2016年「トリプル9 裏切りのコード」)が、2009年に撮ったデストピアSF映画「ザ・ロード」は、地球を襲った曽有の大災害で壊滅的な被害を受けた人類、そして文明を失ってから10年以上経った世界を描いています。
映画に映し出される破壊し尽くされた荒涼とした自然、廃墟と化した都市の光景を演出のヒルコート監督と撮影のハビエル・アギーレサロベ撮影監督(1948~、2001年「アザーズ」、2004年「海を飛ぶ夢」、200年「宮廷画家ゴヤは見た」、2013年「ブルージャスミン」いずれも秀作の撮影監督)は、CG(VFX)を使わないでロケ撮影したといいますから、安易にCG(SFX・VFX)を多用した軽佻浮薄なゲテモノ映画が、多いなか「凄い映画魂」a0212807_14210005.jpgに絶賛します。
映画「ザ・ロード」の描く地球は、環境の壊滅的な悪化で粉塵に覆われた大気が、太陽を遮断し、空は、灰色にくすみ、地球の寒冷化により次第に動植物が、死滅していました。
人類(人間たち)は、餓死するか、自殺するか、お互いを喰い合う(共喰い)しか生き残る手段が、ありませんでした。
a0212807_14205866.jpgそんな荒廃した地球上で父(ヴィゴ・モーテンセン 1958~)と息子(コディ・スミット=マクフィー 1996~、出演時13歳)は、自らを戒め利己的にならず弱者を助け、つねに善き人間であろうと努力して生き、極寒から逃れるため南へ歩き続けていました。
ヒルコート監督の人間ドラマとしての演出とSFながら現実味(リアリティ)あふれるアギーレサロベ撮影監督の映像が、すばらしく、a0212807_14211486.jpg廃墟に残された缶詰、ボロ靴、小さな石鹸などディテールをさりげなく見せ、つねに付きまとう飢餓と凍死の絶望という地獄の描き方は、抜群です。
同時に、かすかな希望の匂わせ方も秀逸、2010年のデンゼル・ワシントン(1954~)とゲイリー・オールドマン(1958~)名優二人が、共演したデストピアSF映画「ザ・ウォーカー」、同じくアレックス・ミラー監督(1949~)のデストピアSF映画a0212807_14211751.jpgマッドマックス」シリーズも この「ザ・ロード」同じで、黙示録の描く絶望的な世界で蠢(うごめ)く人間の世界を描きつつも親子であったり恋人同士であったり‘愛’は、希望の源泉であることをプロットの基本にしています。
オーストラリアのロックミュージシャンで映画音楽の名作曲家 ニック・ケイヴ(1957~)のサウンドトラックも秀逸です。
出演者は、他に シャーリーズ・セロン(1975~、今やデストピアSF映画に欠かせない名女優)、ロバート・デュバル(1931~)、ガイ・ピアース(1967~)、モリー・パーカー(1972~)など名優(名女優)が、しっかり脇を固めていることも映画の質を高めているといえるでしょう。

# by blues_rock | 2018-05-15 00:05 | 映画(シネマの世界) | Comments(0)
あえて云えば、私の好きな古陶茶碗の順序ながら、全国各地いずこの古窯茶碗であれ、ぐっとくる碗の好さが、すべてで 古窯のランク付けなどは、どうでもよいというが、私の正直な気持ちです。
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現在、唐津近代図書館ギャラリーで開催中の「古唐津 もうひとつの桃山」展を見てきました。
茶道の世界では、「一 楽、二 萩、三 唐津」と、云うようですが、どうして古唐津の前に、一 楽、二 萩 なのか、私a0212807_05355120.jpgには、まったく理解できません。
茶人たちの陰謀じゃないのかな ‥ お点前の最中に アッチッチと茶碗を取り落としたら家元(師匠)の恥、つまり できるだけ熱伝導しない茶碗、つまり粗い陶土(つち)の茶碗は、熱伝導が、遅く、よって茶の湯は、冷めにくく、手にもつ茶碗も熱くないのでお点前もしやすく、さらに茶碗のもろさ(壊れやすさ)が、利休の茶の理念である‘侘び寂び’と相通じることもあり一石複鳥だかa0212807_05353982.jpgらだろうな、と邪推しました。
ともあれ、どこの無粋な茶人が、講釈したのか、「三 唐津」などという古唐津の中里コレクションと田中丸コレクションから選りすぐられた逸品 51点を単眼鏡片手にゆっくり堪能しました。
古唐津は、愛でられ伝承され使われているうちにできたひび割れや欠けを金継ぎした陶器とくに茶碗が、多い(展示51点中16点)のも特徴です。
古唐津茶碗の金継ぎは、修理ではなく‘景色’であること、美の価値を損なわない金継ぎの奥義は、底なし沼のa0212807_05355638.jpgようです。

古唐津茶碗 写真
上から
・ 絵唐津木賊 (とく
 さ)文茶碗
・ 奥高麗茶盌
 銘「かすがい」
・ 奥高麗茶盌
 銘「閑窓」

# by blues_rock | 2018-05-13 00:13 | 金継ぎ/古美術/漆芸 | Comments(0)
デンマークの名女性監督 スザンネ・ビア(1960~、2004年秀作「ある愛の風景」(原題 兄弟)は、2009年ジム・シェリダン監督が、リメイク、その「マイ・ブラザー」も秀作、2010年「未来を生きる君たちへ」は、傑作)が、2014年
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に撮った新作「セリーナ」(Serena)を紹介します。
映画を美味しい料理に例え、重要なポイントを三つあげるなら、まず調理(演出)をするシェフ(監督) 、そしてレシa0212807_11332363.jpgピ(脚本)、食材(俳優)の3つです。
その料理を食べる レストランの場所(ラインプロデュース)、料理の味を損なわないレストランの内装(プロダクションデザイン)、室内に流れる音楽(サウンドトラック)も大切な要素です。
そんなことを考えながら、いま旬の女優 ジェニファー・ローレンス(1990~)を‘旬の食材(俳優)’に例え、シェフ(監督)のスザンネ・ビアが、どんなレシピa0212807_11332798.jpg(脚本)を使って どんな料理(映画)にしたのか、楽しんで見ました。
旬の食材‘ジェニファー・ローレンス’をこの映画の監督スサンネ・ビアの新作「セリーナ」とフランシス・ローレンス監督の新作「レッド・スパロー」と見比べてみる(料理で言うなら食べ比べてみる)と、レシピ(脚本)とシェフ(監督)の調理の差(演出の力量)が、良く分かると思います。
a0212807_11334126.jpg映画「セリーナ」の舞台は、1929年のアメリカ、ノースカロライナのグレート・スモーキー山脈奥地の山間地帯です。
材木事業家のジョージ(ブラッドリー・クーパー 1975~、 2012年「世界にひとつのプレイブック」でもジェニファー・ローレンスと共演、2014年「アメリカン・スナイパー」主演)は、山の奥地で、多くの従業員を使いながら、a0212807_11334488.jpg製材所を営んでいました。
ある日、彼は、山間の小さな町で、火事で家族全員を亡くした美しい天涯孤独の女性 セリーナ(ジェニファー・ローレンス)に出遭い、一目惚れしました。
ジョージは、セリーナと結婚、夫婦になりました。
ビジネスの才能もあるセリーナは、ジョージの妻そして事業パートナーとして公私ともに他人が、入り込む余地のないほど深い信頼a0212807_11340567.jpgと愛情で結ばれていました。
幸せの絶頂にあったセリーナは、不慮の事故で流産、子供の産めない体になりました。
そして、自分の知らなかったジョージの過去を知ったとき、精神錯乱したセリーナの独占愛は、自分のまわりにあるすべてを破壊する狂気と化していきました。
a0212807_11560436.jpg撮影監督は、スザンネ・ビア監督作品のほとんどを撮っているデンマークのモーテン・ソーボー(1964~)で、この映画でも見事なカメラワークを見ることができます。
イギリスの名俳優 リス・エバンス(1968~2009年「パイレーツ・ロック」にDJ役で出演)とトビー・ジョーンズ1967~)が、脇を固め、ルーマニアの女優 アナ・ウラル(1985~)もセリーナを狂わすジョージの愛人役を秀逸に演じています。

# by blues_rock | 2018-05-11 00:11 | 映画(シネマの世界) | Comments(0)
a0212807_06114320.jpgスウェーデンの女優 ノオミ・ラパス(1979~、2009年スウェーデンとデンマークの共同製作サスペンス&スリラー映画「ミレニアム/ドラゴン・タトゥーの女」 3部作の主人公 天才ハッカー リスベット・サランデル役で有名となる)は、2016年デストピアSF映画「セブンシスターズ」で、主人公となる7つ子姉妹を1人7役で熱演しています。
今夜ご紹介するのは、ノオミ・ラパス主演のスパイ・アクション映画「アンロック」で、ノオミ・ラパスの鍛えられた筋肉質の体が、前作の「セブンシスターズ」同様「アンロック」でも見られ、地味ながら新しいタイプの頭脳明晰な女性工作員(CIA尋問官)の役を好演しています。
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いま、ハード・アクション映画、とくに新作のスパイ・アクション映画の主人公は、皆なシャープでマッスルな凄腕の女性スパイばかり、ジェームス・ボンド(ショーン・コネリー 1930~)に始まり半世紀、スパイ・アクション映画でa0212807_06121057.jpg男性の敏腕工作員が、活躍した時代は、ジェイソン・ボーン(マット・ディモン 1970~)で終わりました。
“女性ファースト” いましばらく、スパイやアサシンのハード・アクション映画は、敵のマッチョな男どもをバンバン投げ飛ばし、容赦なくパンパン打ち殺す凄腕の女性スパイが、主人公になるでしょう。
a0212807_06123111.jpg現在公開中のイギリス製作 スパイ・アクショ映画「アンロック」の監督は、マイケル・アプテッド(1941~、2006年「アメイジング・グレイス」)、撮影監督が、アクション撮影ならお手のもののジョージ・リッチモンド(2017年「新 トゥームレイダー」)です。
「Unlocked」とは、完落ち(完全自供)という意味、CIAの尋問スペシャリスト アリスを演じるのが、ノオミ・ラパスです。
a0212807_06124108.jpg過去にパリで起きた爆弾テロの首謀者を完落ちさせられず、多くの犠牲者を出したことから尋問の仕事に自信を失い引退、ロンドンで福祉の仕事に付いて静かに暮らしていました。
その頃、ロンドンで何者かによるバイオテロ計画を察知したCIAヨーロッパ支局長ボブ(ジョン・マルコビッチ 1953~)は、イギリス国家情報保安部MI5のエミリー(トニ・コレット 1972~)と連絡をa0212807_06132778.jpg取り合い ‥ というより、お互い丁々発止の腹の探り合いをしていました。
CIAは、ロシアから密かに運び込まれるバイオウイルス(バイオテロ)の情報を、キャッチ、バイオテロ計画に関わる容疑者の一人を拘束しました。
アリスの尋問官として才能を高く評価する元上司のエリック(マイケル・ダグラス 1944~)は、彼女を強引にCIAに呼び戻しました。
a0212807_06133081.jpgアリスは、手練手管の巧みな尋問で容疑者をアンロック(完落ち)しますが、彼女に協力しているのは、ニセ捜査官グループと気付き、とっさの判断で容疑者と一緒に逃亡、命を狙われながら人種の坩堝(るつぼ)ロンドンでバイオテロ計画を阻止するアリスの孤独な戦いが、始まりました。
a0212807_06134990.jpgこれに元海兵隊員ジャック(オーランド・ブルーム 1977~)が、絡みアリスは、敵味方分からないまま二転三転していく事態に対処していきます。
ノオミ・ラパスは、特別美人女優というわけでもなく、派手な雰囲気もありませんが、ドラゴン・タトゥーの女 リスベット・サランデルを見てから私は、彼女の出演している映画を見るようになりました。

# by blues_rock | 2018-05-09 00:09 | 映画(シネマの世界) | Comments(0)
枇杷の葉を漆器にして菓子皿として遊んでみました。
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準備工程は、先日「枇杷の葉っぱ」で書きましたので、その続きとして読んでくださると光栄です。
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枇杷の葉 漆器は、菓子器や薬味皿なら 風情(趣)が、あって好いかもしれません。
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漆が、乾くには (ウルシオーロとラッカーゼが完全に凝固するには)、概ね1年くらい必要です。
a0212807_16472232.jpg手で触れるには、1週間くらい乾かし、3か月くらい経つと色素が、馴染み 漆特有のピカピカした艶(光沢)も出てきます。
歳月を経て、艶(光沢)のトーンが、気になるようなら、そのつど拭き漆をすれば、漆の強度は、さらに増し、艶も一段と深みを増すことでしょう。
名陶工と邪道弟子の陶芸コラボレーション」の「オリーブ用植木鉢」に小さなオリーブの木を植栽してみました。



左写真 : 手捻り(紐作り)の植木鉢に跳び鉋(とびかんな)

# by blues_rock | 2018-05-07 00:07 | 金継ぎ/古美術/漆芸 | Comments(0)