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心の時空

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a day in my life

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フランスのマルタン・プロヴォ監督(1957~)が、二人のカトリーヌ、74歳のカトリーヌ・ドヌーブ(1943~)と60歳のカトリーヌ・フロ(1956~)をダブル主演に迎え撮った「ルージュの手紙」(原題「Sage femme」助産婦)は、フランa0212807_01522215.jpgスの大女優二人の演技が、すばらしく見応えのある秀作でした。
わが国 稀代の名女優 樹木希林は、歯に衣着せぬ直言で有名で同時に日ごろ映画批評なんてさらさら興味なさそうに思えますが、この映画「ルージュの手紙」を称賛、とくに勝手気ままに放蕩な人生を送る主人公の初老女性ベアトリスをa0212807_01522710.jpg演じたカトリーヌ・ドヌーブを絶賛していました。
もう一人の主人公ベアトリスの義理の娘で助産婦のクレールをカトリーヌ・フロ(2001年「女はみんな生きている」、2012年「大統領の料理人」)が、ベアトリスの生き方と対極の女性、助産婦であることにプライドを持ち派手を嫌い、自転車での病院の行き帰りは、セーヌ河畔の自家菜園で過ごし質素に暮a0212807_01530166.jpgらす中年女性を秀逸に演じています。
映画のストーリーは、パリ郊外のセーヌ川沿いの小さな町の病院で助産婦として働くクレールの前に、30年前突然、夫(クレールの父親)と義理の娘(クレール)を捨てて出て行ったベアトリスが、現われました。
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クレールの父親は、ベアトリスが、姿を消したことで精神を病み自死、クレールは、そのことを忘れていませんでした。
a0212807_01530523.jpgそれから30年、ジコチューでウソつき、男好き、酒・タバコ・ステーキ好きで博打好き、そんな自由奔放なベアトリスも年老いて病気(脳腫瘍)になると身寄りもないので元夫を訪ねて来たのでした。
ベアトリスの出現に驚くとともに元夫(クレールの父親)の自死を知らなかったベアトリスの動揺と悲嘆に困惑したクレールは、しばa0212807_01530363.jpgらく自宅に住まわせることにしました。
対照的な二人ですが、少しずつ気持ちを通わせ死期を予感するベアトリスは、ストイックな人生を送るクレールの心を解放させ、「ルージュの手紙」を残し、またクレールの前から姿を消しました。
a0212807_01532778.jpg「ルージュの手紙」のルージュは、赤い色を意味しているとばかり私は、思っていましたが、邦題のルージュは、口紅の意味(無粋な男でした)であることが、ラストでやっと分かりました。
私は、若かりし頃、カトリーヌ・ドヌーブ(1943~)の美貌に一目惚れ、1964年「シェルブールの雨傘」、1967年「昼顔」、1969年「暗くなるまでこの恋を」、1970年「哀しみのトリスターナ」、2000a0212807_01533104.jpg年「ダンサー・イン・ザ・ダーク」 ‥ とその美貌をスクリーンで追って来ました。
17歳でロジェ・ヴァディム監督の愛人になり19歳で未婚の母、21歳のときミュージカル映画の傑作「シェルブールの雨傘」で清純で可憐な乙女を演じ、24歳のとき主演した「昼顔」では、昼間だけ娼婦になる性的マゾの貴婦人をエロチックに演じ、26歳のとき出演した「暗くなるまでこの恋を」では、奔放なヌードを、27a0212807_01533520.jpg歳の主演映画「哀しみのトリスターナ」では、冷血鬼のサディスチックな淑女と、女性の性の極端なあり様を見事に演じ分けてみせました。
フランス映画のレジェンドのような大女優のカトリーヌ・ドヌーブですが、まだ現役の名女優、是枝裕和監督の次作のキャストは、カトリーヌ・ドヌーブとジュリエット・ビノシュ(1964~)とか、一刻も早く見たいものです。
「ルージュの手紙」の共演キャストに、セーヌ河畔にあるクレールの自家菜園隣りの菜園主ポールを名優 オリビエ・グルメ(1963~、2011年「大臣と影の男」主演)とベアトリスの旧い友人で金貸しの老女役を往年の美人女優 a0212807_01534657.jpgミレーヌ・ドモンジョ(1935~)が、それぞれ個性的な演技で脇をしっかり固めています。

# by blues_rock | 2018-09-11 01:11 | 映画(シネマの世界) | Comments(0)
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アメリカの作家 ヘンリー・ミラー(1891~1980)が、1934年に発表し処女作にして代表作ともなった「北回帰線(Tropic Of Cancer)」を読んだわけではないので、性愛描写うんぬんは、分かりません(当時アメリカでは、赤
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裸々な性描写が、問題となり発禁)が、名匠フィリップ・カウフマン監督(1936~、1988年作品「存在の耐えられない軽さ」は、映画の最高傑作)の1990年(監督・脚本)作品「ヘンリー&ジューン/私が愛した男と女(Henry & a0212807_17272717.jpgJune)」は、「北回帰線」を執筆中の無名作家ヘンリー・ミラーと、2番目の妻で女優にして作家のジューン・ミラー(プロファィル不詳)、そしてヘンリー・ミラーの愛人で、銀行家の妻にして性愛作家アナイス・ニン(1903~1977)とジューン・ミラーとの同性愛をアナイス・ニンの無修正日記「愛の日記」(1931~1932)をもとに描いています。
a0212807_17522826.jpgアナイス・ニンは、11歳のときから60年間日記を書き残していることでも 有名で愛人ヘンリー・ミラーとの情事(性愛)や それを隠して彼の妻ジューンとの同性愛、さらに自分の日々のことだけではなく、心の内や創作した小説のこと、当時の著名な作家、芸術家、心理分析家たちなどのことが、書かれていた(彼女と関わった男性たちは、内心a0212807_17531388.jpg穏やかではなく ヒヤヒヤしたでしょうね)そうです。
日本では、8番目の妻で 46歳年下の日本人ジャズシンガー ホキ徳田(1937~)と75歳のとき結婚したことのほうが、ずっと有名でヘンリー・ミラーは、何者であるか ‥、作家であることを知る人のほうが、少ないと推察します。
a0212807_17274015.jpg「ヘンリー&ジューン/私が愛した男と女」の主人公は、バイセクシャルで「愛の日記」の作者 アナイス・ニンで、ポルトガルの新人女優マリア・デ・メデイロス(1965~、デビュー作品、出演時25歳で美しく魅力的)が、熱演しています。
頭髪のない当時のヘンリー・ミラーを名優のフレッド・ウォード(1942~)、妻のジューンを当時20歳の ユマ・サーマン(1970~、実にa0212807_17530180.png美しい)が、好演しています。
売れない作家で 夫のヘンリーと、パリへ移住したものの収入のない貧しい暮らしに妻のジューンは、金持ちのパトロンに体を売り、二人の生活を支えていましたが、夫ヘンリーとアナイスとの関係を知り、その日を境に二人の前から姿を消しました。
それを知ったアナリスもヘンリーと別れ、銀行家の夫のもとへ戻りました。
a0212807_17392246.jpgヘンリー・ミラーの処女作「北回帰線」に大きな影響を与えたアナリスと銀行家の夫は、ヘンリー・ミラーと生涯友人であったと言いますから 三人とも人生を達観していたのでしょうね。
映画ファン冥利なのは、いま亡き往年の美人女優やいまや押しも押されぬ大女優、ならびに老いたりとはいえ円熟した惚れ惚れする演技を見せてくれa0212807_18033572.jpgる名女優たちの 20代から30代の人生で最も美しかった時代(今でも十分美しい女優もいますが‥)のうっとりする艶姿(女性写真家 蜷川実花は、美しい女性を 国宝であると絶賛、私も同感です)をいつも ‘リアルタイム’ で見ることが、できることです。

# by blues_rock | 2018-09-09 00:09 | 映画(シネマの世界) | Comments(0)
a0212807_01165818.jpg資産価値 1兆ドルの会社が、2社アメリカに出現しました。
その2社とは、アメリカ経済を牽引する GIGA(ガーファ)4社のうちの2社、アップルとアマゾンです。
1兆ドルとは、どれぐらいの金額か? ‥ 想像できますか?
今日の為替レート、1ドル=111円 で、換算すれば、1社 555兆円になり、2社合わせると1、100兆円です。
「だから、どうした!?」と、お金に無縁な貧乏人は、開き直りますが、お金は、なくともお金の威力(パワー)を知る方なら、驚異的過ぎて、ゾォーっとすることでしょう。
日本の次年度国家予算が、100兆円(それも国家の台所は火の車)、その11倍なので2社の経済的価値は、11の日本国家が、経済上存在するのと同じ(財務内容は、雲泥の差ながら)、ということは、簡単に日本国家の財政を支配できる驚異的な実力(パワー)だからです。
2年前の夏(8月)、アメリカ大統領選挙戦の喧騒を拙ブログ「GAFA(ガーファ)とは」でからかい、「アメリカでも大統領選挙を前に狭量な反移民のプロバガンダ(邪悪な独裁者の常とう手段)によa0212807_09155730.jpgる選挙運動と併せて偏狭な白人至上主義と人種差別を煽るおバカな候補もいますので笑いごとでは、済まされなくなりました。」と書きましたが、皮肉なことに、そのおバカな候補をアメリカ国民は、大統領にしました。
そのおバカな大統領の目の敵なのが、GAFA(ガーファ)であるのは、痛烈な皮肉です。
おバカな候補を大統領に選んだのが、時代に置いて行かれた落ち目の白人移民の子孫たち、ラストベルト(錆び付いた工業地帯)と呼ばれる鉄鋼や石炭などの旧い産業地帯に住まい、50~60年前のアメリカンドリームから目覚めない、そしてAI新時代の産業構造に対応できない保守的な白人系の住民たちでした。
アメリカのノーベル文学賞受賞ミュージシャン、ボブ・ディランは、1960年代初頭に「時代は変わる」と団塊(ベビーブーマー)の世代にメッセージし、「ライク・ア・ローリングストーン」と変革していく現実を歌いましたが、ミレミアム世代以降の若いアメリカ市民の意識も「アメリカ・ワースト」となる前に、変わるでしょう。
さて、さて、日本国民に返済義務のある国家債務1,300兆円という世界最悪「ジャパン・ワースト」a0212807_09160764.jpgの借金地獄(5年半前、アベ=クロダのバズーカ景気刺激策の失敗を警告)の熱湯の中で、熱さを感じないユデカエルのような私たち日本国民に、これからどんな地獄絵図が、待ち受けているのか、くわばら、くわばら、です。




(写真 : 糊漆で繋ぎ錆漆と呂色漆で下地を整え、浅葱色漆で直した金継ぎ技法  古伊万里 唐草文深鉢 経36㌢×高さ14㌢、大明年製の底款、江戸時代中期と推察)

# by blues_rock | 2018-09-07 00:07 | 経済/政治/世界 | Comments(2)
私の最も若い友だちで、ロンドンに住まうミズキちゃん5歳(友人夫婦の長女)に妹が、誕生しました。
私には、子供も孫もいないので、幼い子供のいる暮らしは、今まで異次元(別世界)でした。
親戚、同僚、隣近所に子供たちは、たくさんいますが、いままでそう身近に感じることはなく、さして関心もありませんでした。
a0212807_23294247.jpgそんな私のパラダイムをガラリと変えてくれたのが、友人の娘さん(日本人のお母さん)とイギリス人の友人との間に生まれたミズキちゃん(2012年9月生まれ)でした。
イギリスの友人家族が、日本に来たら友人宅に押しかけて、無邪気(やんちゃ)で、元気なミズキちゃんに会うのをいつも楽しみにしています。
彼女は、おしゃべりで天真爛漫そのもの、お母さんとは、博多なまりの日本語をペラペラ、横にいるお父さんとは、ロンドンなまりの英語でペラペラ(何言っているのか私には、さっぱり分からない)なので、生来のバイリンガa0212807_23294727.jpgル少女です。
私が、英語で話しかけても無視されて返事は、いつも博多なまりの日本語です。
私が、流暢な英語で 「Why don't you speak to me in English?」と質問すると、「だって、ヘタやもん!」と強烈なご指摘、そして博多なまりの日本語で、「なん言いよると? 分らんと よ、だけん ‥ 」と一方的にペラペラ返されると私は、おし黙るしかありません。
ところで、私のまわりに自分の子供のために自分のことは、さておいて一生懸命、お母さんをしている友だちが、何人かいます。
a0212807_23295417.jpg日々の子育て生活のたいへんさは、私に分かりませんが、私は、相手に迷惑にならないよう配慮しつつ私にできることがあれば、少し応援しようと思っています。
さりとて私にできることと言っても、時おり声かけしたり、季節イベントでささやかなプレゼントをしたり、ほんのたまに食事に誘い 一緒にさわいだり ‥ そんな他愛ないこと、それも子供たちが、思春期(十代)になるまでの、ほんのわずかな時間(数年)です。
子供たちは、やがて自立し家族の愛を支えに社会人として一人で生きていきます。
a0212807_23392775.jpgそれでも、「母と子(娘であれ息子であれ)」は、永遠に親子、精神のへその緒で、しつかり結ばれています。
私は、いま子育てしている若いお母さんとその子供たちが、どうか幸せであるようにと心から願っています。
(付録) 私の知人、学習障害児を持つ親のブログ なので、よかったら読んでくださり親同士の連帯を呼びかけていますのでぜひ連帯してあげてください。

# by blues_rock | 2018-09-05 00:05 | 柏原生活/博多叙景 | Comments(0)
a0212807_00064444.jpgイギリスの名匠アンソニー・ミンゲラ監督(1954~2008病没、享年54歳、1999年作品「リプリー」は、ルネ・クレマン監督の1960年作品「太陽がいっぱい」のリメイク版、2003年作品「コールド・マウンテン」も秀作、後半参照)が、1996年に発表した「イングリッシュ・ペイシェント」(The English Patient)は、アカデミー賞の監督賞・作品賞始め、オーストラリアの撮影監督 ジョン・シール(1942~)が、撮影賞、フランスの音楽監督(レバノン出身の作曲家) カブリエル・ヤレド(1949~)は、作曲賞を受賞するなど全9部門でアカデミー賞を受賞した傑作映画です。
a0212807_00093768.jpg主演は、レイフ・ファインズ(1962~、出演時34歳)、クリスティン・スコット・トーマス(1960~、出演時36歳)、ジュリエット・ビノシュ(1964~、出演時32歳、アカデミー賞 助演女優賞を受賞)、ウィレム・デフォー(1955~、出演時41歳)、コリン・ファース(1960~、出演時36歳)と今やイギリス・フランス・アメリカを代表する名優・名女優が、皆な30代a0212807_00072597.jpg(ウィレム・デフォーだけ41歳)の魅力的な成熟期に同年代のミンゲラ監督(製作時42歳)は、キャストしたひとり一人の役柄を見事に演出しています。
クリスティン・スコット・トーマスの美しいこと、ジュリエット・ビノシュのチャーミングなこと、レイフ・ファインズ、ウィレム・デフォー、コリン・ファースの若々しいこと、彼らを見ているだけでも楽しめる映画です。
a0212807_00072946.jpg物語は、第2次大戦末期のイタリア、カナダ人看護師ハナ(ジュリエット・ビノシュ)は、空襲で破壊された修道院に住み着き、全身大火傷をした「イングリッシュ・ペイシェント」(イギリス人患者)と呼ばれる男性患者(レイフ・ファインズ)の看護をしていました。
彼は、酷い火傷を負っており英語を話すが、自分の名前は、憶い出せませんでした。
a0212807_00110720.jpgそこにカナダ軍スパイのデヴィッド(ウィレム・デフォー)が、現われ、ナチスドイツの拷問で両手の親指を切り落とされ、復讐するためにナチスドイツの将校を追っていました。
直感で患者と会ったことが、あるのではないかと思うデヴィッドの問いかけに患者は、少しずつ記憶を取り戻していきました。
a0212807_00104115.jpg患者は、ハンガリー人伯爵アルマシーで、1930年代後半、英国人のジェフリー(コリン・ファース)と妻のキャサリン(クリスティン・スコット・トーマス)たちとエジプトやリビアで考古学調査を行うため ‘サハラ砂漠の地図’ を作成していたと語りました。
ここからドラマは、患者の伯爵アルマシーが、激しい愛憎の入り交じったロマンス(三角関係)を看護師のハナにa0212807_00110922.jpg少しずつ語る構成で(過去をフラッシュバックさせながら)展開していきますので詳しくは、ぜひ映画をご覧ください。
患者のアルマシーは、話し終えると、看護人のハナに「自分が、戻ってくるのを待っていた最愛の人(キャサリン)を死なせた自分に、もう生きている意味はない。」とモルヒネ注射で安楽死させてくれるよう強く要望しました。
アルマシーの話を聞いたハナは、彼の願いを叶えてやろうと廃墟の修道院にあるモルヒネを一度に注射、アルa0212807_00113038.jpgマシーの眼差しが、穏やかになり、ハナは、キャサリンが、洞窟で書き残した最期の日記を読んであげながら患者アルマシーの死を看取りました。
そしてハナは、親しくなったイギリス将校のシーク教徒インド人兵士と一緒にフィレンツェへ向かうのでした。

# by blues_rock | 2018-09-03 00:03 | 映画(シネマの世界) | Comments(0)
a0212807_19483813.jpgイギリス映画の新作「追想」(原題「On Chesil Beach」 チェジル・ビーチにて)に話を戻します。
資産家階級の令嬢でバイオリニストのフローレンス(シアーシャ・ローナン)は、自分の四重管弦楽団の編成を夢見ていますが、労働者階級の歴史学者を目指すエドワード(ビリー・ハウル 1989~)と出遭い、お互い一目惚れし愛し合うようになりました。
a0212807_19485280.jpg旧い階級制度と道徳規範が、厳然と残るイギリス社会にあって二人は、愛を育み結婚するも性経験のない処女と童貞でした。
1962年夏、二人は、結婚しイギリス南部ドーセット州のチェジル・ビーチへ新婚旅行に行き初夜を迎えました。
愛し合う二人ですが、初夜への興奮や期待そして不安の綯(な)い交ぜになった感情と相俟ってお互い過去の様々なことを憶いa0212807_19485616.jpg出したことで会話は、止切れ、気まずくなりました。
初夜の興奮を抑えつつエドワードが、フローレンスの服を脱がせ、やさしく彼女の体に触るとフローレンスは、How to Sexの本で学んだ知識で彼女の手が、エドワードの性器に触れたとたん彼女の脚に射精してしまいました。
a0212807_19491203.jpgその瞬間、フローレンスは、少女時代に厳格で口うるさい父親から受けた性的虐待の記憶が、よみがえり(ショット映像で暗示)パニックとなりホテルを飛び出しました。
失態に茫然自失のエドワードは、気持ちを落ち着かせると後を追い、チェジル・ビーチの海岸にいたフローレンスと仲直りしようとしますが、彼女を愛する気持ちより、これまで我慢していた些細なことを言い始め、またa0212807_19491557.jpg口論となりました。
フローレンスは、エドワードへの愛を伝え、パニックになった自分を詫びますが、当惑したエドワードの怒りや羞恥心は、治まらず一緒にいたいと願うフローレンスの気持ちを拒否しました。
映画は、二人の新婚生活が、新婚旅行先のチェジル・ビーチに滞在した6時間で破局する様子を丁寧に描き、二人それぞれの過去や家族との関係を交錯a0212807_19493892.jpgさせながら展開していきます。
名撮影監督 ショーン・ボビット(1958~、2008年「ハンガー」、2011年「シェイム」、2012年「プレイス・ビヨンド・ザ・パインズ」、2013年「それでも夜は明ける」、2015年「ロック・ザ・カスバ!」など)のカメラワークが、すばらしく映像にヒンヤリした透明感もあって秀逸です。
a0212807_19493178.jpg共演のキャストも、エミリー・ワトソン(1967~、1996年「奇跡の海」、1997年「ボクサー」)、アンヌ=マリー・ダフ(1970~、2009年「ノーウェアボーイ ひとりぼっちのあいつ」、2014年「リピーテッド」、サミュエル・ウェスト(1966~、2017年「ウィンストン・チャーチル/ヒトラーから世界を救った男」)と名女優、名優が、しっかり脇を固め、主演のシアーシャ・ローナンとビリー・ハウルの好演もa0212807_19494743.jpgあって優れた心理劇映画になっています。
私見ながら ‥ 新婚初夜の些細な諍(いさか)いで別れて以来45年、一度も会わなかったフローレンスとエドワードが、2007年彼女の引退コンサート会場で再会し涙するラストシーンは、少しメロウ過ぎます。
エンディングは、ステージでバイオリンを演奏しているフローレンスが、客席にいるエドワードを見つけ、二人静a0212807_19495227.jpgかに見つめ合うだけにして欲しかったと私は、思いました。
私の意見をついでに、もう一つ、原題(オリジナル・タイトル)やプロットを無視して日本語字幕上映タイトルを「追想」や「旅愁」など映画ファンをバカにしたような安直なタイトルは、字幕翻訳家の責任なのか、配給会社の低レベルの営業センスなのか、もういい加減、止めてもらいたいと思います。

# by blues_rock | 2018-09-02 00:02 | 映画(シネマの世界) | Comments(0)
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イギリス映画の新作「追想」(原題「On Chesil Beach」 チェジル・ビーチにて)を見ようか見まいか逡巡するも、2007年のイギリス映画「つぐない」の原作者 イアン・マキューアン(1948~)が、自分の原作「初夜(On Chesil
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Beach)」を自ら脚本にしていること、ならびに初めて長編映画を撮る舞台監督のドミニク・クック(1966~)は、‘どのような演出’をするのだろうかと二つの好奇心で見ることにしました。
a0212807_19470329.jpgさらにもう一つ、13歳のとき「つぐない」で思春期の性に敏感で残酷な少女という難しい役どころを名演した少女のシアーシャ・ローナン(1994~、2011年SF「ハンナ」主演時17歳)も あれから10年、成人(現在23歳)した彼女が、この「追想」(On Chesil Beach)で 無垢で純粋な主人公のフローレンスをどう演じるだろうかとの関心もありました。
そして、もう一作、1975年製作のフランス映画「追想」(原題「Le vieux fusil」 旧い猟銃)と同じタイトルながら、a0212807_19470715.jpgまったく異なる「追想」を二夜連続で紹介します。
フランス映画「追想」は、オーストリア(ウィーン)出身の美人女優ながらフランスで名女優になったロミー・シュナイダー(1939~1982病没、享年43歳)と名優 フィリップ・ノワレ(1930~2006、1988年イタリア名作映画「ニュー・シネマ・パラダイス」のアルフレード役で有名)が、主人公を演じています。
ロミー・シュナイダーは、1972年 名匠ルキノ・ヴィスコンティ監督の名作「ルートヴィヒ」に出演、当時、33歳のa0212807_19472474.jpgロミー・シュナイダーが、演じた美しく品格ある皇后 エリーザベトをヴィスコンティ監督は、絶賛しました。
品性ある美貌の女優としてオーストリア=ドイツ圏で、人気抜群のロミー・シュナイダーでしたが、1958年 奔放な雰囲気をもつ当時無名のアラン・ドロンと共演したことをきっかけに、恋に落ちアラン・ドロンのいるフランスに移住、ドイツ語のできないアラン・ドロンとフランスで女優に
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なるためにフランス語を特訓、そしてアラン・ドロンと婚約しました。
二人は、長い婚約期間を経て別れることになりますが、やがてロミー・シュナイダーは、‘フランス最高の女優’とa0212807_19474443.jpg称賛されるまでになります。
一方、オーストリアとドイツでは、彼女が、人気絶頂たっただけに ‘祖国を捨てた女優’のレッテルを貼られ、排斥されました。
ロミー・シュナイダーの人生は、華やかな印象と違って幸薄いものでした。
多くの男性に愛されましたが、1981年、生き甲斐のように溺愛する14歳の息子を事故で亡くすと、精神のバラa0212807_19474721.jpgンスを壊し、睡眠薬とアルコールに依存、その一年後、愛息のもとへ旅立つように亡くなりました。
「追想」(原題「旧い猟銃」)出演時、ロミー・シュナイダーは、36歳(凛として美しい)でフランスに侵攻したナチスドイツ軍に娘を目の前で殺され、集団レイプされたあげく火炎放射機により焼き殺されるという医者の妻を壮絶なリアリティで名演しています。
a0212807_19475279.jpgフランス映画の「追想」は、追想なんて甘っちょろいものではなく、愛する家族をナチスドイツ軍に惨殺された男(医者)による怨念の復讐劇です。
ストーリー(プロット)は、1944年ナチスドイツに占領されたフランスの田舎モントーバンの古城を舞台に、外科医のジュリアン(フィリップ・ノワレ)が、愛する妻クララ(ロミー・シュナイダー)と娘フロランスをナチスドイツ兵らに嬲(なぶり)り殺され、張り裂けa0212807_19474943.jpgる怒りと復讐心に燃え、家にある狩猟用の旧い散弾銃を持ち出しナチスドイツ兵を一つずつ殺しながら復讐していく物語です。
監督は、フランスの巨匠 ロベール・アンリコ(1931~2001)で、1967年のアラン・ドロン(1935~)とリノ・バンチェラ(1919~1987)主演の「冒険者たち」が、代表作として有名です。(後編に続く)

# by blues_rock | 2018-09-01 00:00 | 映画(シネマの世界) | Comments(0)
今日は、八月の晦日(最後の日)です。
今年の夏の思い出にと「拭き漆と陶胎茶碗」の新作を掲載しましたので、ご覧いただけたら光栄です。
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今年(七・八月)は、私の住まう柏原にも避難勧告が、発令されるくらいの豪雨と普段の台風進路を逆走する(地球自転に逆らう動きの)台風、そして猛暑 ‥ いま異常気象を‘異常’と言わず「気象変動」と呼ぶそうな、つまり
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地球(日本)の気象や天候は、誰も予想できない現象(異常)が、常態化しているので気象庁は、もう責任持てないから “そこのところを日本国民の皆さんもよく承知しといてね” と、私たちに宣言しています。
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子供のころから私は、夏日 25℃以上、真夏日が、30℃以上、猛暑日は、35℃以上‥と思っていました。
いまや35℃以上の猛暑日は、当たり前、今年40℃以上の気温が、日本列島のあちらこちらで記録され
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ましたので、新たに 40℃以上を ‘熱暑日’ とでも呼ぶ必要に迫られています。
さりとて、人間の体温が、40度の高熱になったら緊急入院で、命(生死)に関わる“異常”事態なんですけどね ‥
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やっぱり“異常気象”でしょう。
ご参考までに 6年前に拙ブログに書きました「2012年9月の異常気象」を掲載します。
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じりっ、じりっと 確実に温暖化していく地球 ‥ 私たち地球人は、ゆでがえる になるのでしょうか?
私の尊敬する「地球環境学者 レスター・ブラウン博士」の記事(2011年12月30日)を貼付しますので、興味ある方(ゆでがえる になりたくない方)は、ご覧ください。

# by blues_rock | 2018-08-31 00:01 | 柏原生活/博多叙景 | Comments(0)
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中国は、国体が、共産党一党独裁国家(中国政府を支配する権力組織)で ‘言論の自由’のない抑圧社会ながら、時々びっくりする傑作映画を製作します。
a0212807_01330050.jpg先に二日連続で ご紹介したソンタルジャ監督(1973~、2015年「草原の河」)は、チベット族ですが、漢族のジャ・ジャンクー監督(1970~、私が 中国で最も敬愛する監督)、この2016年「長江 愛の詩」(原題「長江図」Crosscurrent逆流)が、長編第2作目となるヤン・チャオ監督(1974~)と1970年代生まれの中国映画第6世代の若い監督たちに私は、“ヌーヴェルa0212807_01324763.jpgヴァーグ・シノワーズ” を感じます。
映画は、長江の河口 上海で出遭った男女が、少しずつ時間を遡っていくというシュール(幻想的)なラブロマンスながら、チャオ監督の詩情豊かな演出を台湾の名撮影監督 リー・ピンビン(1954~ 2009年是枝裕和監督作品「空気人形」ほか名作の撮影多数)は、美しい長江(揚子江)の風景をバックに亡き父親が、旧い貨物船とともに遺した長a0212807_01325622.jpg江図をもとに長江を遡上していく船長の若い男と停泊する先々で出遭う謎の女との 出遭いと別れ を叙事詩のように描いていきます。
中国一の大河 揚子江(長江、全長6、300㌔、世界3位)で、亡き父が、貨物の運搬をしていた小さなオンボロ貨物船の船長となったガオ(チン・ハオ 1978~)は、ある日、機関室で「長江図」と記された一冊の詩集を見つけました。
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ガオは、20年前の1989年(天安門事件の年)に父親が、「長江図」に書いた創作詩を読み感動、揚子江の河口上海から大河長江を遡る旅に出発しました。
a0212807_01334791.jpg彼は、「長江図」の詩に導かれるように行く先々の停泊地で謎めいたアン・ルー(シン・ジーレイ1986~)という女性に出遭いました。
しかし、三峡ダム(2009年完成)を境に彼女が、現われなくなったことを不思議に思いました。
ガオは、三峡ダムを越え長江の水源(青海省=チベット高原アムド地方、「草原の河」参照)へ、謎の女性アン・ルーを探して遡上、その旅の果てにたど
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り着いた処は ‥ これは、誰の記憶なのか ‥ 現実と虚構、現在と過去が、交錯しながら展開していく見ごたえのある傑作映画です。
a0212807_01333127.jpgチャオ監督は、長編第2作となる「長江図」を10年かけて製作、そのために何度もシナハン(シナリオハンティング~脚本のための取材)とロケハン(ロケーションハンティング~撮影現場探し)を行ない、真冬の長江を中心に2か月あまりかけて、オールロケで撮影しています。
全長6、300㌔の揚子江(長江)は、中国悠久の歴史、古代文化、雄大で神秘的な自然を育み、大河流域に暮らa0212807_01333395.jpgす庶民の暮らしに恵みをもたらしてきました。
2009年、世界最大の三峡ダムが、揚子江中流(重慶の下流域)に完成するころから中国社会も急激に変化、長江流域もまた大きく変貌していきました。
このことは、ジャ・ジャンクー監督の2006年作品「長江哀歌」(山峡ダムのために強制移住させられる110万住民、悲喜交々の物語)をご覧いただくと理解できます。
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ヤン・チャオ監督の2015年作品「長江 愛の詩」に登場する名優 ワン・ホンウェイ(1969~)が、9年前のジャ・ジャンクー監督作品「長江哀歌」にも出演、ワン・ホンウェイは、ジャンクー監督の2000年作品「プラットホーム」でデa0212807_01340112.jpgビューして以来、ジャンクー監督作品の常連でありチャオ監督が、共演にワン・ホンウェイをキャストしたのは、ジャンクー監督作品「長江哀歌」へのオマジュを感じました。
ジャ・ジャンクー監督の「長江哀歌」繋がりで、この映画の撮影助手を務めたルー・ションが、撮影監督した鬼才 ワン・ビン監督(王兵 1967~)の2010年長編デビュー作品「無言歌」も傑作なのでぜひご覧くだa0212807_01335347.jpgさい。
致命的な中国の病巣をこれほど的確、明晰に描いた映画は、ありません。
当然、中国では、上映禁止です。
拙ブログ(シネマの世界)をご覧になった方の近くに、国の行く末を憂う中国人の友人ならびに知人が、おられれば、ぜひこの「無言歌」をご覧になるようお勧めください。


# by blues_rock | 2018-08-30 00:03 | 映画(シネマの世界) | Comments(0)
私の通う博多漆芸研究所(2階)の下にカレー店が、オープンしました。
a0212807_13135176.jpgカレー・ラーメン・うどんの店は、福岡市内どこにでもありますが、私のお好みカレー店は、天神の「Tiki」(チキンカレーとキーマカレーの2タイプ)、唐人町の「ヤドカリ」(グリーンカレー)でしたが、新たに裏六本松の「モリトネリ」(チキンカレー、ポークカレー、キーマカレーの3タイプ)を加えたいと思います。
天神の「Tiki」は、昼時にもなると いつも行列で当日分の仕込みが、終わると閉店さらに不定休、唐人町の「ヤドカリ」は、ワインバー「パファム・ドュ・ヴァン(PduV)」が、ランチタイム(11:30~13:30の2時間、15食限定)だけ、カレー店‘ヤドカリ’に変身し営業(木・土日・祭日、店休)、オーナーの専門(本業)は、知る人ぞ知るパイプオルガン奏者なので 11月開催のコンサート準備(参考 4年前のリハーサルの様子)のために現在 ‘ヤドカリ’ 臨時休業中です。
今日ご紹介する「モリトネリ(moritoneri)」は、3年前まで浮羽市吉井町にあったカレー店が、福岡市六本松に移転、オープン(木・日・祭日、店休)した店、オーナーは、薬院近く大宮でチャイ専門店「チャイティ ヘロン」も営業しています。
昭和レトロな裏六本松情報に関心ある方は、他にも博多漆芸研究所のサイトで適宜 紹介されていますので ぜひご覧ください。
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写真は、私が、オーダーしたチキンカレー、店内は、8席のこじんまりした雰囲気です。
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# by blues_rock | 2018-08-28 00:08 | 柏原生活/博多叙景 | Comments(0)