ブログトップ | ログイン

心の時空

yansue.exblog.jp

a day in my life

壊れた人間を描く名人の鬼才白石和彌監督(1974~)が、撮った映画をいままで5作品見ました。
白石監督のどの作品にも、もし私の身近にいたら決して関わらない(関わりたくない)生理的に嫌な、ろくでなし(チンピラ)やジコチュー女(娘)など壊れた連中(男たちは言うに及ばず女たちも)たちが、たくさん登場します。
a0212807_00030556.jpg
そんなに嫌なら見なきゃいいじゃないの、と思われるかもしれませんが、白石監督は、見ている者に感情移入させない完璧な演出により、登場人物を突き放して描く(撮る)名人なので見ている方は、胸くそ悪くても案外冷静に他人(ひと)事のように見ておれます。
a0212807_00031374.jpg
白石監督作品は、薬物のようなもの、一度見るとその魅力の虜になり、やがて白石映画ジャンキーになります。
白石監督は、反骨の映画監督若松孝二(1936~2012、2008年「実録・連合赤軍 あさま山荘への道程」、2010年「キャタピラー」)に師事し映画監督になっただけに白石監督が、描く世界は、救い難いワル(犯罪者)、身持ちのa0212807_00031620.jpg悪い奴(女)、うだつのあがないチンピラなど社会の底辺で蠢くアウトローが、主人公のピカレスクロマンです。
私が、見た白石監督作品は、2009年「ロストパラダイス・イン・トーキョー」(監督デビュー作品)、2013年「凶悪」、2016年「日本で一番悪い奴ら」、同2016年「牝猫たち」、2017年「彼女がその名前を知らない鳥たち」、そして2018年の新作「孤狼の血」です。
今夜は、白石監督の、さらなる新境地を現した才気溢れる2017年の作品「彼女がその名前を知らない鳥たち」を紹a0212807_00032037.jpg介いたします。
映画に登場する人物たちのキャラが、とにかく‘ヒドイ!’、この映画は、一人の女と三人の男四人の過去と現在が、交錯する群像劇ながら四人を始め登場するのは、全員身勝手で皆な徹底してジコチューな女と男、相手を傷つけても自分が、良ければ平気、自分の欲望のためなら平然とウソをつき、思うとおりにならないと逆ギレして喚き、暴力を振るうこれもまたピカレスクロマン映画です。
a0212807_00033637.jpg
そんなにヒドイのなら見なきゃいいものを一度見始めるともう途中で止められない魔訶不思議な秀作映画です。
とくに主人公四人の軸である女、十和子(蒼井優 1985~、2017年の国内映画祭で主演女優賞総なめ)は、ジコチューで自堕落な女、性にだらしなく、そのフシダラな悪女ぶりは、絶対関わりたくない女の典型です。
a0212807_00034067.jpg十和子と同棲している15歳年長で身のまわりが、不潔で、うだつの上がらない粗野な男、陣治(阿部サダヲ 1970~)の偏執狂的な十和子への執着は、見る方を辟易させますが、十和子から「あんたみたいな不潔な男にそんな触られ方をしたら、虫酸が、走る!」と罵倒され、さらに「不潔・下品・下劣・貧相‥」などと、あらん限りの罵詈雑言を浴びせる十和子のエキセントリックな言動ぶりも、常軌を逸しており、前半は、愛のカケラもない二人の歪んだ共依存関係が、描かれます。
a0212807_00034323.jpg十和子は、陣治の収入で生活しながらも8年前に酷い仕打ち(強制売春)を受け、あげく殴打されて別れた黒崎(竹野内豊 1971~)を忘れられずにいました。
さらに、腕時計のクレームで知り合ったデパート店員の水島(松坂桃李 1988~)と情事に溺れ、同時に黒崎との過去の甘美な日々の記憶が、忘れられませんでした。
このシークエンスで十和子が、水島と情事に耽るラブホテルの天井から降り注ぐ砂の雨や汚れたアパートの部a0212807_00034783.jpg屋から黒崎と一緒にいるリゾート地の美しい海岸へ反転する映像(フラッシュバック)など白日夢めいた幻想シーンは、ある日、街角で十和子が、黒崎らしき人物を見かけたと錯覚し、家に訪ねてきた刑事から黒崎が、5年前から行方不明であること、十和子と水島との情事を知りながら「十和子が幸せならそれでいい」と陣治は、黙認するも 十和子を執拗に尾行しじっと監視する彼の行動などを重ね合わせ後半、白石監督のピカレスクロマンが、
a0212807_00034942.jpg
次第に不穏(サスペンスタッチ)になり、そして見る者が、あっと驚くエンディングに至ります。
普段なら入らないところにふと立ち寄り、その妖しい魅力に憑かれワクワクするような、悍(おぞ)ましいような「彼女がその名前を知らない鳥たち」は、そんな不思議な映画でした。

# by blues_rock | 2018-06-24 00:04 | 映画(シネマの世界) | Comments(0)
a0212807_07160495.jpg
イギリス出身の稀代の名優 ダニエル・デイ=ルイス(1957~、1989年「マイ・レフトフット」、2007年「ゼア・ウィル・ビー・ブラッド」、2012年「リンカーン」で3度のアカデミー主演男優賞受賞、歴代ただ一人)が、鬼才ポール・トーa0212807_07161061.pngマス・アンダーソン監督(1970~) の新作「ファントム・スレッド」(アンダーソン監督=製作・脚本・監督・撮影の4役)を最後に、俳優業から引退すると宣言、彼は、靴職人でもありますから、靴の専業職人になるのかもしれません。
引退の理由が、「映画の撮影中、突然の悲しみに包まれた」からとか、天才の気持ちを推し量ることなどできまa0212807_07162283.jpgせんが、どの映画に出演しても劇中のその人物に憑依したような怪演(名演とか熱演の域を超えた唯一無二の演技)を見せてくれた名優でしたので何とも‘もったいない’話です。
私が、ダニエル・デイ=ルイスと出遭ったのは、1988年にフィリップ・カウフマン監督が、撮った傑作「存在の耐えられない軽さ」のトマシュ役でした。
a0212807_07162544.jpgそれ以来、ダニエル・デイ=ルイスが、出演した主な作品は、ほとんど見てきましたが、新作「ファントム・スレッド」は、2007年の傑作「ゼア・ウィル・ビー・ブラッド」の鬼才ポール・トーマス・アンダーソン監督と天才俳優 ダニエル・デイ=ルイスが、2度目のタッグを組んだ作品です。
1950年代のイギリスを舞台に、ダニエル・デイ=ルイスが、演じるのは、カリスマ、オートクチュール・デザイナーa0212807_07162918.jpgのレイノルズで、彼のデザインしたドレスを着ることが、王侯貴族夫人方のみならず当時の上流階級の女性たちすべての憧れでした。
しかし、レイノルズは、表の顔と裏腹にたいへん神経質で 他者とのコミュニケーションが、大の苦手、毎日同じルーティンで生活しないと不機嫌な偏執狂(強迫観念症)でした。
a0212807_07163802.jpgある日、気晴らしに出かけた田舎のレストランで、アルマ(ヴィッキー・クリープス 1983~)という若いウェイトレスの容姿に興味を持ちました。
レイノルズは、アルマに声かけ、自宅アトリエに連れて帰ると、さっそく服を脱がせ、ベッドへ誘われると思っているアルマを尻目に、メジャーで彼女の体の寸法を細かく測り始めました。
a0212807_07164101.jpgレイノルズの姉シリル(レスリー・マンヴィル 1956~)は、弟レイノルズの豪華なファッションハウス(最新の高級服のメーカー)の事業管理をし、彼の人生にも大きな影響を与える人物でした。
シリルは、弟のレイノルズが、田舎で見つけた娘アルマは、ドレスのデザインにひらめきを与える ‘ドレス創造のミューズ ’として見ていると察しアルマをa0212807_07164658.jpg姉弟の自宅に迎え入れ、同居を始めました。
常に仕事をしているレイノルズは、食事中もデザイン画を描いていて、アルマが、トーストにジャムを塗る音、紅茶を混ぜるスプーンの音にも、眉をしかめ不機嫌になりました。
レイノルズは、自分のじゃまをしない限り身の回りの世話をアルマに任せ、アシスタントそして ‘最愛の人’ と思
a0212807_07171468.jpg
うようになりましたが、結婚する意思は、ありませんでした。
アルマは、レイノルズを愛するあまりレイノルズが、望まないことも ‘レイノルズのために’ と思い、少しずつ自分a0212807_07172312.jpgの気持ちを彼に押し付けるようになりました。
ここから映画は、レイノルズの偏愛とアルマの独善愛の交錯した ‘偏執狂的愛’ の物語(プラトニックSMラブ)になっていきます。
ダニエル・デイ=ルイスが、天才俳優と称される所以(ゆえん)に、役の人物に憑依する名演技にあり「ファントム・スレッド」では、ドレス・デザイナーの役作りのため ヴィクトリア&アルバートa0212807_07172705.jpg博物館に通い、2年間縫製(スレッド)を学び、実際、立派なドレスを自分で縫い、そのドレスを妻のレベッカ・ミラー(1962~、映画監督・脚本家・女優、劇作家アーサー・ミラーの娘)に着せたといいますから驚きです。
衣装を担当したマーク・ブリッジスは、2011年の傑作「アーティスト」(アカデミー賞作品賞・監督賞と併せ衣装デa0212807_07172598.jpgザイン賞など5部門で受賞)に続き「ファントム・スレッド」で 2度目のアカデミー賞衣装デザイン賞に輝きました。
音楽は、楽器なら何でも熟(こな)す多才なロック・ミュージシャン ジョニー・グリーンウッド(1971~、2007年ダニエル・デイ=ルイス 2度目のアカデミー賞主演男優賞受賞作品「ゼア・ウィル・ビー・ブラッド」や先日紹介した新作「ビューティフル・デイ」の音楽監督)でa0212807_07172987.pngエレガントに、時には、官能的に撮影監督でもあるアンダーソン監督のカメラクルーが、手持ちカメラで撮った数々の、美しい色鮮やかなドレスの映像とシンクロし見る者の視覚を刺激、映画は、“総合芸術”であることを私たちに改めて教えてくれました。

# by blues_rock | 2018-06-22 00:02 | 映画(シネマの世界) | Comments(0)
現在、使用されている器の修理を依頼されました。
a0212807_19354561.jpg
織部釉が、美しくアワビ形の粋なデザインの小皿(2枚)は、持ち主の方もたいへんお気に入りのようで、どうして
a0212807_19360696.jpg
も本金直しの金継ぎにして欲しいと依頼されました。
a0212807_19361890.jpg
この織部の長皿もなかなかシャレていて、下地に引っかき線を入れ、半円形の黄土釉 部分を残し、さらにたっぷり青漆色(せいしついろ)の織部釉をかけて焼成されています。
a0212807_19363291.jpg
長皿の右上と中央下やや左よりに2箇所カケが、ありましたので刻苧と錆漆で固め、錫直しにしました。
a0212807_19364042.jpg
唐津三島文片口の口先(アゴ部分)にカケが、あり 織部長皿と同じように刻苧と錆漆で固めで錫継にしました。

# by blues_rock | 2018-06-20 00:02 | 金継ぎ/古美術/漆芸 | Comments(0)
a0212807_06533069.jpg
現在、博多駅Tジョイで、単館上映中の「ビューティフル・デイ」(原題「You were never really here お前は、決してここにいちゃいけない」)は、才能あるのに寡黙なイギリス(グラスゴー出身)の鬼才女性監督 リン・ラムジー
a0212807_06543823.jpg
(1969~)が、脚本(今年のカンヌ国際映画祭で脚本賞受賞)を書き、アメリカの名優ホアキン・フェニックス(1974~、同じく今年のカンヌ国際映画祭で脚本賞受賞)を主演に迎え、旧くからの友人で撮影監督 トム・タウa0212807_06544270.jpgネンドならびにイギリス気鋭の映画音楽家 ジョニー・グリーンウッド(1971~、ロックバンド‘レディオヘッド’ のギタリスト) とタッグを組んで撮った秀作映画です。
撮りたい映画しか撮らないラムジー監督の「ビューティフル・デイ」へのこだわりは、このスリラー(クライム・サスペンス)映画にも、顕著に顕われ、一筋縄ではいかないラムジー監督の‘映像言語’が、多くの見せa0212807_06544762.jpg場を作っています。
映画の原題は、「You were never really here お前は、決してここにいちゃいけない」なのに、何で日本版のタイトルが、「ビューティフル・デイ」になるのか、映画の終盤、主人公のジョーは、行方不明であった少女ニーナ(エカテリーナ・サムソノフ 2003~)を拉致されていた高級売春宿から連れ出し、失踪少女ニーナが、ジョーに救い出された後、彼に「It's a a0212807_06545033.jpgbeautiful day!」と言ったことから日本版のタイトルは、「ビューティフル・デイ」になりました。
しかし、映画のプロットとストーリーは、「ビューティフル・デイ」の響きとは、真逆の、ホアキン・フェニックス演じる退役軍人で元FBI捜査官のジョーが、幼いとき父親から受けた虐待や戦場の殺戮による心的外傷後ストレス障害(PTSD)を抱え、治療のための鎮痛剤を常用、さらに慢a0212807_06551450.jpg性的な不眠と自殺願望による自殺衝動など常に意識朦朧としながらも、高齢で病気の母親を養うため「失踪者捜索」を生業として暮らしていました。
ラムジー監督の演出は、主人公ジョーが、抱える子供のころからの「絶望感(死にたい願望)」を抱え、成人しても人生に虚無と倦怠の中で暮らす中年のジョー(ホアキン・フェニックス)の姿a0212807_06553054.jpgを、そのヒゲ面と引き締まった巨体で具現化、女性とは思えない(ラムジー監督自身談)切り口で、粗暴にしてニヒルな殺し屋ジョーの絶望と心の闇をシャープに描いています。
音楽(サウンド・トラック)を担当したジョニー・グリーンウッドの重低音で鳴り響く、同時に割れたガラス片が、ぐさぐさと突き刺さって来るようなサウンドをバックに、数秒間フラッシュバックされるジョーの子供a0212807_06552123.jpg時代の虐待や戦場での殺戮の忌まわしい記憶、その傷みから逃れようとする自殺願望 ‥ ホアキン・フェニックスの怪演とラムジー監督の見る者に挑むような(不親切なくらい余計な説明をしない)クールな演出は、秀逸です。
ラムジー監督の「ビューティフル・デイ」演出意識の中に、マーティン・スコセッシ監督作品「タクシードライバー」
a0212807_06551782.jpg
(1976)へのオマージュが、あったのかどうか、私には、分かりませんが、ともに映画の終盤、「タクシードライバー」でロバート・デ・ニーロ演じるモヒカン頭の青年トラヴィスと、「ビューティフル・デイ」のホアキン・フェニックa0212807_06552783.jpgス演じる顔面ヒゲ面の中年ジョーとが、重なりました。
カンヌ国際映画祭で、パルムドールを受賞した「万引き家族」の対抗馬であった「ビューティフル・デイ」は、映画ファン必見の映画です。
余談ながら、稀代の名優ロバート・デ・ニーロ(1943~)は、嫌悪するアメリカのゲスなフェィク大統領を聴衆の面前で、こっぴどく貶(けな)すスピーチを繰り返しています。
a0212807_06553812.jpgこれにキレてツィッターする(ツィッターでしか反発できない)お下品大統領の神経を逆なでし、さらにヒワイな言葉(ブラック・ジョーク)で答える ‘お笑い芸人’ ロバート・デ・ニーロのおちょくりが、可笑しくて、つい熱烈に応援したくなります。
(上写真 : 撮影した映像を確認するリン・ラムジー監督とカンヌ国際映画祭 主演男優賞受賞のホアキン・フェニックス)

# by blues_rock | 2018-06-18 00:08 | 映画(シネマの世界) | Comments(0)
子供のころ私も含め、私のまわりの大人も友だちも皆な ‥ 往年の西鉄ライオンズの大ファンでした。
やがて、西鉄ライオンズ(わずか21年存在した球団)が、消滅し私は、プロ野球に興味を失いかけていました。
そのころ、セ・リーグのお荷物球団と揶揄されていた市民球団の広島東洋カープが、赤いユニフォーム、赤いヘa0212807_09353513.jpgルメット姿で不死鳥のように、さっそうと登場しました。
以来40年、私は、広島カープの隠れファン、先日、ヤフオクドーム 一塁側内野席の、ホークスファンが、陣取る真っ只中、孤立無援で広島カープの応援をしてきました。
残念ながらホークスの勝ち、工藤監督の采配センスが、勝っていました。
前半5回までは、カープ2 : ホークス0で、広島カープが、リードしていましたので少し安心し、ビールを飲みながらa0212807_09353904.jpg(このところ普段あまりビールを飲まなくなりましたが、球場で飲むビールの味は、格別美味しい)、ホークスの工藤監督になったつもりで監督の采配シュミレイション遊びを始めました。
ピンチヒッター、ピンチランナーの起用、投手交代、送りバント指示、ホームラン期待など、ヴァーチャルの監督采配遊びです。
ところが何と、私のヴァーチャル監督のイメージが、工藤監督の采配とシンクロしたようにことごとく当たり、結果a0212807_09354310.jpgは、7回裏ホークスが、逆転し、カープ2 : ホークス6の見事な逆転勝利でした。
隠れカープファンとしては、心中複雑な思いでしたが、40年前と比べ、いま熱狂的カープファンの多いこと、福岡は、アウェイのはずなのに、レフトスタンドほか、ヤフオクドーム球場の至るところが、‘赤い色’に染まり、かつてどこの球場に行ってもガラガラだった広島カープ応援席を懐かしく憶い出しました。
やはり、ロックも野球も、ライブが、いいね。

# by blues_rock | 2018-06-17 00:02 | 柏原生活/博多叙景 | Comments(0)
a0212807_00193092.jpg福岡女学院大学(福岡市 南区 日佐) コミュニケーション論の担任教授である友人からの依頼を受け、同大学2年生(女子学生) 48名の受講生に特別講座、と言っても立派な講座ではなく、よもや話の類い(おしゃべり)で良ければと、興味半分で引き受け、昨日講義(90分授業)をしてきました。
a0212807_00193992.jpgなんと私に与えられたテーマは、学生のお一人から担任教授へ事前にリクエストのあった「非言語コミュニケーション」 ‥ 教授いわく、この女子学生は、言葉(言語)による直接のコミュニケーションだけではなく、言葉(言語)以外の間接的なコミュニケーションに関心が、あり、それを学びたいと、リポートに書いて提出していたそうです。
私が、日ごろ考えているコミュニケーションは、自分の意思や意見、さらに感情や気持ちを伝え、相手と信頼関係を結ぶための行為であるのなら、まず
a0212807_00194850.jpg
相手の目を見て自分の思い(考え)を直接伝え、さらに言葉以外の間接的な表現方法(非言語コミュニケーション)で自分の心(内面)を伝えようとしなければ、あなたの伝えたいことは、きちんと相手に伝わらないでしょう。
a0212807_00195206.jpg
コミュニケーションを日本語で表記するなら「間(ま)」と私は、思います。
私たちのことを「人間」と言います。
a0212807_00195529.jpg人には、個と個の間に「間」が、あり、この「間」をどう接触させてしっかり結ぶのか ‥ 言葉による直接的な行為であれ、間接的な非言語表現であれ、いずれにしてもコミュニケーションの本質は、この相手との「間」を本人が、どう縮めるのかだと思うとリクエストした48名の女子学生中にいる一人の学生に伝えました。
拙ブログ「心の時空」の「映画(シネマの世界)」、「絵画」や「音楽」、「愛/人生」、「金継ぎ」などスクリーンに映し、時間(歴史の年月)や空間(時代)を超えて伝わっていく人間の魂(普遍=究極のコミュニケーション)について話しました。
私の話す内容が、少し散漫で 授業時間90分は、すぐ時間切れとなりました。
私は、果たしてきちんと48名の女子大生とコミュニケーションできたのだろうかと、その不安に駆られながら帰途につきました。

# by blues_rock | 2018-06-16 00:06 | 柏原生活/博多叙景 | Comments(1)
是枝監督は、23年(13作品)の監督キャリアで培った演出の技量を最新作「万引き家族」(=原作・脚本・監督・編集)の随所で見せています。
a0212807_14305114.jpg6人の‘家族’を演じたのが、稀代の名女優 樹木希林、名優 リリー・フランキー、さらに名女優 安藤サクラ、若手の名女優 松岡茉優、子役目利きで有名な是枝監督のお眼鏡に適った(オーディションで選ばれた)少年役の城桧吏と幼い少女役の佐々木みゆも秀逸、6人それぞれ存在感のある絶妙の演技は、時にぶつかり、ケンカもするが、お互いを思いやり、労わり合う本当の家族a0212807_14305639.jpgのような姿と傷付いた心を寄せ合いながら暮らす6人の様子を見事に表現していました。
映画の終盤、途中亡くなった老女(祖母=樹木希林)を除き、残された家族全員が、万引き、年金の不正受給、少女誘拐の容疑で警察の取り調べを受けるクライマックスは、2017年作品「三度目の殺人」のシーンを思い起こさせました。
a0212807_14311490.jpgやっと自分の居場所(家族)を見つけたかに見えた5人も、やがてバラバラになりますが、それでも一緒に暮らした日々の中でお互いの心に育った家族としての絆は、消えませんでした。
今回のカンヌ国際映画祭審査員長で稀代の名女優 ケイト・ブランシェットは、劇中、母親役の安藤サクラが、取調官から誘拐動機について厳しい取a0212807_14311876.jpgり調べ受けているとき ‥ 「この子(幼い少女)は、捨てられたんだよ。 棄てられたものを拾って何が悪い! 悪いのは、この子を棄てた母親だろうが ‥」 と吐き捨てると絶句、両手で涙を拭きながら泣くシーン(カメラの長回しで是枝監督は、安藤サクラに台本を渡さず演技させたとか)を大絶賛、「今後、私も含め今回審査員を務めた俳優は、これから出演する映画のなかで泣くシーンa0212807_14564843.jpgが、あったら彼女(安藤サクラ)の真似をしたと思っていい。」と是枝監督に伝えたそうです。
映画のエンディングで、実の母親のもとに連れ戻された5歳の女の子が、アパートの通路で独り遊びながら、手すりから身を乗り出してじっと外を見ているシーンは、あまりに切なく、大人の保護と愛情が、絶対不可欠な幼い子供たちへの虐待は、無関心を装う回りの大人たちも同罪と改めて思いました。

# by blues_rock | 2018-06-14 00:04 | 映画(シネマの世界) | Comments(2)
a0212807_14271689.jpg
現在(いま)活躍中の、日本映画の監督で好きな監督を一人挙げて欲しいと求められたら私は、迷わず是枝裕和監督(1962~)の名前を挙げるでしょう。
a0212807_14272900.jpg是枝裕和監督は、1995年「幻の光」で長編映画監督にデビュー以来23年、現在公開中の「万引き家族」を入れ、これまで13の長編映画を発表しています。
是枝監督作品13作のすべてを見た私の感想は、新作「万引き家族」を是枝監督が、23年13作品の監督キャリアで培った演出の集大成にして撮ったと思いました。
a0212807_14275411.jpgそして、「万引き家族」は、カンヌ国際映画祭で‘パルムドール’(最優秀作品賞)を受賞、それだけの質を持った傑作映画で、一ファンとして慶賀の念に堪えません。
今年のカンヌ国際映画祭の審査委員長は、私の敬愛する名女優 ケイト・ブランシェット、審査員の8名が、ロシアの名監督アンドレイ・ズビャギンツェフ、カナダのドゥニ・ビルヌーブ監督、フランス若手の名女優 a0212807_14275882.jpgレア・セドゥー、アメリカ若手の名女優 クリステン・スチュワートなど、いずれも私の好きな名監督、名女優で構成され映画製作の立場ながら‘目利き’の方々ばかりです。
「万引き家族」のすばらしさは、どんな言葉より、映画館のスクリーンで実際ご覧いただくのが、一番です。
a0212807_14291554.jpgプロットをざっくり述べると 東京下町のビルの谷間にポツリとある古く小さなあばら家で 肩を寄せ合い ‘家族’ としてひっそり暮らす6人の物語です。
「万引き家族」は、イタリアネオレアリズモ映画の傑作「自転車泥棒」を彷彿とさせるもニッポン版ネオレアリズモ映画の新作それも傑作が、加わったと思えば良いでしょう。
a0212807_14293656.jpg閑話休題、彼ら6人‘家族’は、老女(年金暮らしの祖母=樹木希林 1943~)のわずかばかりの年金と併せ、日々の生活に必要な食料や日用品を男(日雇い労働者の父親=リリー・フランキー 1963~)と少年(未登校児の長男=城桧吏 2006~)が、スーパーや雑貨店から万引きすることで暮らしていました。
a0212807_14300282.jpg男の連れ合いと思われる女(パート勤務の母親=安藤サクラ 1986~)は、クリーニング店のパートとして働き、もうひとり若い女(母親の妹、風俗嬢=松岡茉優 1995~)が、同居していました。
ある冬の寒い晩、男と少年が、万引きを終えて帰宅しているとアパートの片隅にうずくまる幼い少女(5歳の児童虐待被害児=佐々木みゆ 2011~)を見つけました。
a0212807_14302227.jpg「万引き家族」の公開直前、東京目黒区で‘お願い、許して’と詫びる5歳の幼い少の子を寒さ厳しい真冬、裸足で外に出し凍傷させ餓死させるという鬼畜にも劣る言語道断な‘この映画の児童虐待シーンよりはるかに惨い虐待事件’が、実際に発生、劇中に登場する虐待シーンの数々は、まるでこの虐待事件を目の前で見ているような是枝監督の演出のリアリティ(迫真力)a0212807_14303897.jpgに、ただもう驚くばかりです。
この6人の‘家族’に、近所で小さな駄菓子屋を営む老店主(柄本明 1948~)など格差社会の底辺で、貧しくも慎ましく暮らしている善良な人たちが、絡み、是枝監督は、正しく現在(いま)の日本で拡大深化していくインビジブルな社会の原風景を見事な映像にして可視化(リアリティ映画に)しました。(後編に続く)

# by blues_rock | 2018-06-12 00:02 | 映画(シネマの世界) | Comments(0)
a0212807_09180487.jpg
‘唐塗り’とは、江戸時代(1603~1868) 刀の鞘を漆で加飾した鞘塗り、印籠塗り、和竿(釣竿)塗りなど‘変わり塗り’と呼ばれていた 漆工芸技法の一つで、現在の津軽塗や若狭塗などが、代表的な漆器です。
a0212807_09181425.jpg
‘金継ぎ’は、息を凝らしてする作業も多く、長く続けていると息苦しくなり、精神状態にも 良くありません。
何よりいけないのは、楽しいはずの金継ぎが、楽しくなくなることです。
a0212807_09183207.jpg
そんなとき、私は、気分転換(息抜き)のため、竹籠やそこらにある板を手に取り 勝手気ままに、漆を塗る 漆遊び をしていました。
a0212807_09184513.jpg
昨年初夏、博多漆芸研究所を主宰する漆芸作家 松生ご夫妻(ぬり松工房)の作品展を見て、私は、インターネット上の様々な漆芸サイトで自己学習しトライしてみたものの四苦八苦するだけでした。
a0212807_09185686.jpg
そこで昨年秋より、博多漆芸研究所に入門、松生ご夫妻から指導を受け半年が、過ぎました。
念願の陶胎と併せ木胎(木地)への‘唐塗り’漆器も少しずつ出来てきました。
a0212807_09190744.jpg
来年秋、私として(たぶん)最初で最後の金継ぎと漆工芸の作品展を友だちの協力を仰いで ‥ しようかな、と企んで(誇大妄想して)いるところです。
a0212807_09191856.jpg
参考ながら、上と下の ‛根来塗り’ は、漆遊び をしていたころの作品です。
a0212807_09192963.jpg
やっと漆工芸の麓に たどり着き、山の頂は、まだ雲の上で見えませんが、どこまで登れるか ‥ えっちら おっちら 上り続けたいと思います。


# by blues_rock | 2018-06-10 00:01 | 金継ぎ/古美術/漆芸 | Comments(0)
a0212807_09170671.jpg
現在(2018年6月)、公開中の「孤狼の血」の監督 白石和彌(1974~、2013年「凶悪」、2016年「日本で一番悪い奴ら」、2017年「彼女がその名を知らない鳥たち」 いずれも優れた作品)が、2016年に撮った「牝猫たち」(監督・a0212807_09173514.jpg脚本)も秀作です。
是枝裕和(1962~)は、カンヌ国際映画祭で最新作の「万引き家族」が パルムドール賞受賞後のインタビューで「映画は、文化である。 いま日本の文化が、衰退している。」と日本映画の水準低下を憂慮していましたが、私は、是枝監督から私たち日本の映画ファンへ日本映画に対する目利き度(映画批評精神)を上げて欲しいとのメッセージと理解しました。
a0212807_09184539.jpgさて、この白石監督の「牝猫たち」ですが、白石監督は、大都会東京、池袋にカメラを持ち込み、徹底したリアリズムでデリヘル嬢と呼ばれる出張売春をする性風俗業に携わる3人の若い女性に密着、主人公となる3人を媒体として日本文化の現実を描いています白石監督の演出のもと白石監督作品の常連撮影監督 灰原隆裕(白石監督作品以外では 2013年「0.5ミリ」が秀逸)ほかa0212807_09191557.jpg製作陣(ラインプロデューサーほか録音・編集などスタッフ)のチームワークも抜群で、大都会東京に人知れず生存している若者たちの孤独と自業自得と云える‛愛の不毛’ (刹那=秒より短い時間の単位)をクールに描いています。
インターネットカフェを転々としながらスマホでデリヘルの指示を待つホームレスの雅子(井端珠里 1987~)、夫のいる里枝(美知枝、2016年「沈黙 サa0212807_09191160.jpgイレンス」出演)、児童虐待する未婚の若い母 結依(真上さつき 1996~)を中心に映画は、展開していきます。
この主人公 3人のデリヘル嬢に絡む主な男たちが、デリヘル店を経営する男(音尾琢真 1976~、2018年「孤狼の血」の暴力団幹部が秀逸)、店員で送迎ドライバーの青年(吉村界人 1993~、2014年「百円の恋」、2018年「モリのいる場所」に出演)、母親結依からa0212807_09195836.jpg虐待されている男の子のベビーシッターの青年(松永拓野 1992~、2016年「沈黙 サイレンス」出演)の3人です。
劇中、おやっ!? と思ったのが、1970年代初め日活ロマンポルノ映画全盛時代ロマンポルノの女王と呼ばれた女優白川和子(1947~)で、SMクラブのオーナー役でワンシーンに登場していました。
a0212807_09200583.jpg映画は、インターネット社会の裏側(闇)も映し出し、インターネットの中だけにしか居場所のない(自己表現できない、コミュニケーションできない)哀れな若者たちや、他人の不幸を見る(他人の足を引っ張って狂喜する)ことでしか心を癒せない歪んだ欲望と孤独をもつ今日本国中どこにでもいる男女の現実をリアルに表現しています。
a0212807_09195528.jpgこの映画「牝猫たち」を2017年作品「最低。」と併せてご覧になると現代社会に蠢(うごめ)く「老若男女の空ろな愛」の姿が、透けて見えて来ます。

# by blues_rock | 2018-06-08 00:08 | 映画(シネマの世界) | Comments(0)