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心の時空

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a day in my life

<   2019年 02月 ( 14 )   > この月の画像一覧

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このフランスの2017年クライム・サスペンス映画「女神よ、銃を撃て」は、フランスの大女優カトリーヌ・ドヌーブ(1943~、出演時74歳)とドイツの名女優ダイアン・クルーガー(1976~、出演時41歳)が、母と娘a0212807_03010862.jpg(親子)を演じた二人の名女優の演技を見る映画です。
監督は、脚本家のティエリー・クリファ(プロファイル不詳)で演出もさることながら脚本が、佳作の映画です。
されど、私には、原題「Tout nous sépare(私たちを隔てるすべてのもの)」が、どうして日本語タイトルになるとプロットと関係のない意味不明な「女神よ、銃を撃て」と云う無粋になるのか、さっぱり理解できa0212807_03011054.jpgません。
さらに、フランスとドイツの世界的に有名な名女優二人の主演なのに、WOWWOWだけの放映扱いで一般劇場未公開(DVDスルー)とは、アンビリーバブル(情けなや)です。
映画は、右足と背中に大事故(劇中その説明はない)の傷痕が、残る娘(ダイアン・クルーガー)は、その後遺症の苦痛から逃れるた
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めに薬物依存症(ジャンキー)となり麻薬の売人の恋人(男)が、いました。
彼女は、この男を愛していましたが、男は、彼女をただの金ズルとセックス相手としか思っていませんでした。
a0212807_03012754.jpg娘の母親(カトリーヌ・ドヌーブ)は、ドイツ人の亡父が、経営していたコンテナ会社の跡継ぎ社長をしていて母娘(親子)二人大きな屋敷で暮らし、事故の後遺症で障害のある娘を不憫に思い溺愛していました。
ある日、娘は、片想いの恋人と痴話ゲンカをして、とっさに金棒で頭を殴り、それが、致命傷となり殺してしまいました。
a0212807_03013494.jpg娘の異変に気づいた母親は、娘と過失致死の事件現場へ深夜に行き、死体を川に棄て、二人の乗っていた車を焼却しました。
しかし、しばらくして恋人の死体が、海岸に打ち上げられ警察は、現場検証で遺体の状況からギャングの抗争事件による殺人として片づけました。
a0212807_03014582.jpg娘は、恋人を殺したと云う良心の呵責に苦しみ警察に自首しようとしますが、母親は、娘をなだめ思い止まらせます。
だが、亡き恋人のギャング仲間の一人は、アルコールと薬物依存により挙動不審な娘を見て二人を脅迫、金を強請(ゆす)るようになりました。
エンディングも脚本家クリファ監督のクールな脚色で終わります。
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とにかく、娘を溺愛する母親役のカトリーヌ・ドヌーブと事故の後遺症で心身共に深い疵痕(きず)を負い、片想いの男とのセックスそしてアルコールと薬物に依存する娘役のダイアン・クルーガーが、実にすばらしく、この名
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女優二人のファンなら必見の佳作映画です。

by blues_rock | 2019-02-28 00:08 | 映画(シネマの世界) | Comments(0)
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根来塗り’の歴史は、古く、本来 根来塗りと云えば、朱色漆器の下から、長年の暮らしで普段使用した証である擦れ(傷み)てできた黒漆の表れを根来塗りと称してきました。
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その艶やかなコントラストの美しさを愛でた古人たちは、その反対のコントラストである黒漆の下から朱の漆が、ほんのり顕われたものは、黒根来と呼ぶようになり、これもまた愛好してきました。
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ならば、と私は、焼き締めた四角反り皿に 朱色漆を幾重も塗り重ね最後に、白漆を塗り固め、磨ぎ出して「白根来」にしてみました。
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‘せせらぎ’のような 反り皿(この皿の銘)表面の陶文様が、この皿の見どころです(とは、ちと自画自賛過ぎかもしれませんが‥)。



by blues_rock | 2019-02-26 00:06 | 金継ぎ/古美術/漆芸 | Comments(0)
絞漆(しぼうるし)は、アカデミックな漆芸から見たら少し変わった技法なので ‘変わり塗り’ とも言います。
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豆腐(絹)と漆を混ぜて塗り固めた下地(他にも卵や上新粉でも、また一味違った下地になります)に、色々な漆を塗り重ね磨ぎ出す(ときに錫粉を蒔いて下地を砥ぎ出す)と漆器蒔絵の精巧にして緻密な神業(このストイック
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な世界は魔界)から解放された魅惑的な漆器や漆塗りのいろいろな小道具(箸やかんざし)が、創れます。
いろいろな素材(木・陶・布・紙・竹・皮など)の胎に絞漆(しぼうるし)で自由に漆と戯れる時間は、別格です。
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写真は、上から「木胎マグカップ」、「陶胎茶碗」、「ステンレス胎タンブラー」の絞漆(変わり塗り)です。
もう少し艶っぽく摺り漆しようかなと 思案中 ‥ 離れて眺め、心迷うのも 漆遊び の楽しさです。

by blues_rock | 2019-02-24 06:30 | 金継ぎ/古美術/漆芸 | Comments(0)
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今夜もまた‘北朝鮮がらみ’の韓国映画ながら「V.I.P. 修羅の獣たち」は、鬼才パク・フンジョン監督(プロファィル不詳、2010年スリラー映画「悪魔を見た」の脚本、2013年韓国ノワール(犯罪バイオレンス)映画「新しき世界」の監
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督・脚本など)が、‘北朝鮮がらみ’のプロットで映画を撮ったら「なるほど、こうなるか!」と感心させられる作品です。
a0212807_17055196.jpg北朝鮮から韓国に脱北した若者が、VIP(=最重要人物、国家中枢幹部の息子)で実は、怪物(連続猟奇殺人犯)だったら?という設定(プロット)で映画は、製作されています。
連続猟奇殺人事件の裏で蠢(うごめ)く、韓国(政府中枢官僚の自己保身)×北朝鮮(権力闘争)×アメリカ(CIAの謀略)の利害と政治が、対立しやがて軋み始める3国当事者たちのジレa0212807_17055768.jpgンマと運命 ‥ フンジョン監督は、「V.I.P. 修羅の獣たち」を単なる韓国×北朝鮮×アメリカの国家間の緊迫した国際情勢アクション映画として描くだけでなく、スリラー・サスペンス・ミステリーが、ふんだんに盛り込まれた秀逸なエンタメ映画にしています。
a0212807_17060784.jpgそのため映画にリアリティを持たせ「現実ありそうな(弟が兄を暗殺した北朝鮮の事例もあり)猟奇殺人事件」として描くためフンジョン監督の演出が、激しいバイオレンスや残酷な殺人シーンを伴い、さらに猟奇的なスナッフフィルム(惨殺された本物の死体写真)をショットに入れたためフンジョン監督は、映画を愛さない人たちから非難され、a0212807_17231067.jpg編集にずいぶん苦労したようです。
韓国の国家保安局とCIAの陰謀で北朝鮮から亡命(脱北)した中国資金ルートの元締めで失脚した国家中枢幹部の息子(北朝鮮の中国資金秘密口座情報を知ると疑われる)が、連続猟奇殺人事件の犯人であったことをきっかけに事実を隠蔽しようとする者(脱北を受け入れた韓国の国家保安局)、逮a0212807_17063521.jpg捕しようとする者(ソウル市警殺人課の刑事たち)、復讐しようとする者(北朝鮮で殺されかけた国家警察官)、中国の北朝鮮秘密資金を探る者(CIA工作員)など、それぞれの目的と思惑を持った男たちの運命が、交錯していく様子(さま)をメリハリの利いた4部構成(現在から過去にフラッシュバックして現在に戻る起承転結が、すばらしい!)でフンジョン監督は、描いています。
a0212807_17072024.jpgソウル市警の刑事チェ・イド(キム・ミョンミン 1972~)は、韓国で起きた連続猟奇殺人犯が、北朝鮮から亡命(脱北)した政権幹部の息子キム・グァンイル(イ・ジョンソク 1989~)である証拠をつかみ逮捕しようとします。
しかし、その行く手を韓国の国家保安局のパク・ジェヒョク(チャン・ドンゴン 1972~)が、CIAの要請で阻み、北a0212807_17073898.jpg朝鮮から密かに侵入した保安省工作員のリ・デボム(パク・ヒスン 1970~)は、キム・グァンイルが、北朝鮮でもサイコパス殺人鬼のVIPであったことから逮捕し北朝鮮に連行して復讐しようとしチェ・イド刑事(キム・ミョンミン)と対立します。
CIA工作員ポール・グレイ役を名脇役俳優のピーター・ストーメア(1953~)が、怪しく渋く演じています。
a0212807_17074134.jpg北朝鮮でも韓国でも若い女性を狙った連続猟奇殺人犯のキム・グァンイルを演じた美男子の若手俳優イ・ジョンソクが、見事、北朝鮮は、人の命(人権)などゴミのように扱われる独裁国家なので権力中枢にいる者の息子に殺人など犯罪(猟奇殺人ですら)という概念が、最初(はな)からまったく存在せず「ボクが、殺ったけど、それが、何か?」というふてぶてa0212807_17081478.jpgしく横柄な態度を上手く演じています。

必見は、映画冒頭(プロローグ)と最後(エピローグ)にクールな暗殺者を演じるチャン・ドンゴンとソウル市警の無頼刑事、北朝鮮の強面(こわもて)工作員、CIAエージェントの 3人から翻弄される国家保安局の上級官僚を演じるチャン・ドンゴン、これを劇中、同一人物のパク・ジェヒョクとして演じたチャン・ドンゴンの役者ぶりも見どころです。


by blues_rock | 2019-02-22 00:02 | 映画(シネマの世界) | Comments(0)
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韓国は、国内の世情が、怪しくなってくると、大統領以下国会議員まで日韓併合時代(1910年から1945年までの35年間の)「過去の瑕疵(かし、キズのこと=不幸な事件)」を論(あげつら)い敗戦国家の日本(今の日本人)を非難します。
a0212807_03274342.jpg自説ながら私も含め戦後生まれ(戦争を知らない子供たち世代)が、いまや両国民のほとんど(90%)なのに国家間となると恣意的に悪しき戦前意識(旧世代の差別と偏見に満ちた偏狭意識)になる(先祖返りする)のは、どうしたことか、といつも奇異に感じます。
私たち両国民が、目指したいのは、デストピア(暗黒世界)でないはず、ユートピアが、ムリだとしても安寧(ピースフル)な世界であるはずです。
a0212807_03281353.jpg引っ越しできないお隣さん同士は、仲良く暮らしていくしかありません。
韓国は、北朝鮮という厄介な独裁国家と対峙するので国内で世情と政治が、不穏になると大統領や軍さらに議員までも短絡的な反日愛国感情を煽り、保身のための世論操作を始めます。
そうなると日本側にも待っていました!とばかりに金切り声をあげる韓国嫌いの徒が、戦争前夜のように何やら叫び始めると ‥ どっちもどっち、うっとうしく、かつうんざりします。
a0212807_03284077.jpg坊主憎けりゃ、袈裟まで憎い、の喩えのとおり、このところ日本映画より韓国映画のほうに秀作が、多いのに映画ファンなら必ず見るような韓国映画の傑作「バーニング」のような作品までスルーする嫌韓人には、困ったものです。
閑話休題、北朝鮮という今そこにある危機を抱える韓国のアクション(バイオレンス)・サスペンス・スパイ映画は、日本映画のそれと比べ格段にすばらしく、その韓国映画の面白さをてんこ盛りしているのが、北朝鮮絡みの映画で、a0212807_03285958.jpg2000年「JSA」、2013年「ベルリン・ファイル」、同年「レッド・ファミリー」、同年「サスペクト 哀しき容疑者」、2017年「V.I.P. 修羅の獣たち」など他にも面白い映画は、たくさんあります。
今夜は、2017年作品「コンフィデンシャル/共助」(原題「confidential」 極秘)を紹介します。
この韓国映画「コンフィデンシャル/共助」は、北朝鮮と韓国の南北対立を背景に北朝鮮の闇の「偽ドル印刷組織」から銅版を強奪し韓国へ逃亡(脱北)した北朝鮮軍の犯罪者グループ(闇の「偽ドル印刷組織」を捜査していa0212807_03290422.jpgた秘密警察グループ)逮捕のため韓国が、歴史上初の南北共助による極秘捜査に調印ことから始まります。
北朝鮮から国際犯罪の捜査要請を受け入れた韓国ながら、この時まだ 精巧な銅の偽ドル札印刷原版にからむ極秘捜査であることを知りませんでした。
北朝鮮の秘密警察官 イム・チョルリョン(ヒョンビン 1982~)は、闇の偽ドル札印刷組織摘発の極秘任務中、上官のチャ・ギソン(キム・ジュヒョク 1972~2017)率いるグループの裏切りで自分の部下と妻を殺されました。
a0212807_03290760.jpgチャ・ギソンのグループは、銅の偽ドル札印刷原版を強奪すると韓国に逃亡(脱北)しました。
その事実を韓国はおろか世界に知られず極秘で奪還しなければならない北朝鮮は、担当官のイム・チョルリョンを北朝鮮の捜査官としてソウルに派遣しました。
韓国は、南北共助による犯罪捜査に調印したものの北朝鮮の説明を信用しておらず、その真の狙い(裏の目的)を探ろうとソウル市警の刑事 カン・ジンテ(ユ・ヘジン 1970~)に捜査協力と偽装して、北朝鮮の刑事 イム・a0212807_03291479.jpgチョルリョン(ヒョンビン)に密着し監視するよう命じました。
そして二人は、ソウルに潜む凶悪な北朝鮮の犯罪組織との戦いに身を投じていきました。
韓国の映画は、北朝鮮が、絡むとコメディでもシリアスな作品(前述「レッド・ファミリー」は、その典型)になります。
この「コンフィデンシャル/共助」もまたシニカルながらブラックユーモアたっぷりの面白い映画です。

by blues_rock | 2019-02-20 03:22 | 映画(シネマの世界) | Comments(0)
普段使っている食器のキズを「色漆直しの金継ぎ」で修理してみました。
普段使いの修理は、色漆による直しが、気楽に出来て重宝です。
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古伊万里の呉須「千鳥文松竹梅窓絵」7寸皿に長く深い窯疵が、ありましたので錆漆で埋め呂色漆で整え浅葱漆で直しました。
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三角反り皿(一辺15㌢)に一箇所、窯疵が、ありましたので錆漆をいれ、全体の色調に合わせコバルト・ブルーの浅葱漆で直しました。
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高蒔絵小菊文の配(あしら)われたアンティーク小皿(経7㌢、たぶん明治期の有田窯)の縁のカケを刻苧で埋めて弁柄漆の下地に白漆で草文を描きました。
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今どきの丸皿ながら縁のカケが、おもしろくパテで元のように成形し呂漆で固め、弁柄漆のうえに白漆の露草文を蒔きました。
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どこにでもあるリキュール・グラスとビール・グラスのステム(軸=持ち手)が、味気ないので朱漆のうえに錫箔微塵粉を蒔き、梨子地漆で固め生正味漆を摺りました。
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木目の美しい四角盆を見つけましたので拭き漆にしました。
五枚が、それぞれ異なった木目で小ぶりながら裏表使える(リバーシブルな)菓子盆です。
a0212807_14250590.jpg犬も歩けば、棒に当たる です。
‘漆目’で街を歩けば、棒だらけ ‥ 時おり百均より安い万円棒(超掘り出し物)に ぶち当たったりするので アンティーク店(ユーズド・ショップ)覗きは、止められません。
コツは、「こんにちは、見せてください。」と気楽に入り‘衝動買い’をしないこと、グッと来る‘超掘り出し物’が、なければ、潔く立ち去ること、これを繰り返していれば‘超掘り出し物’は、向こうからあなたの前に出現します。

by blues_rock | 2019-02-18 00:08 | 金継ぎ/古美術/漆芸 | Comments(0)
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LGBT映画という カテゴリーが、映画のジャンルにあるのかどうか、私には、分かりませんが、フランスの名匠フランソワ・オゾン監督(1967~)は、自らゲイであることを公表していることもあり、オゾン監督作品のほとんど(全a0212807_13203262.jpg部かも)に LGBTの主人公か、主人公にからむ主要な人物に 必ずゲイ(の男女)が、登場いたします。
この2005年作品「ぼくを葬る」(作品原題「Le temps qui reste」 残された時間)もまた ‘ヒンヤリした映画’ ながら、見逃していたオゾン監督作品であること、フランスの美男俳優にして名優でもあるメルビル・プポー(1973~)が、主演なので見ました。
a0212807_13203734.jpgメルビル・プポーは、ゲイの役柄が、多く2005年「ぼくを葬る」の主人公で、ゲイのカメラマン、2009年「ムースの隠遁」は、ゲイの主人公で、バイセクシャルの兄役、2012年「わたしはロランス」の主人公であるゲイの高校教師役など、メルビル・プポー本人もゲイではないかと(ちなみに彼は、ヘテロで妻子あり)想わせるくらい適役で上手いゲイの役を演じます。
a0212807_13204001.jpg「ぼくを葬る」には、フランスの名女優 ジャンヌ・モロー(1928~2017)が、メルビル・プポー演じる主人公の祖母役で、実在感(リアリティ)あふれる田舎に隠遁した偏屈な老女を名演、日本の名女優 樹木希林(1943~2018)演じる偏屈な老女の演じぶりと比較し見てみるのも一興です。
a0212807_13210075.jpg併せて、イタリアの名女優 バレリア・ブルーニ・テデスキ(1964~、2013年「人間の値打ち」、2015年「アスファルト」)が、出番は、少ないものの 不妊症の夫をもつレストランのウェイトレス役で出演、余命いくばくもない31歳のゲイの主人公に精子提供を依頼する(愛する夫と一緒にベッドに入りセックスし精子提供してもらう)貞淑な中年女性役を好演しています。
a0212807_13210379.jpg女性の名撮影監督 ジャンヌ・ラポワリー(1963~)が、オゾン監督の演出を情感あふれる映像で撮影、さらにオゾン監督作品の常連である音楽監督フィリップ・ロンビ(1968~)の情緒あふれる音楽は、演出と映像を引き立て主人公の哀しみを切なく表現しています。
a0212807_13211778.jpg映画のストーリーを簡単に云うと、ファッション雑誌の売れっ子カメラマンであるロマン(メルビル・プポー)は、撮影中突然、倒れました。
ロマンが、病院で精密検査すると「末期のガンで余命は、あと3カ月」と告げられました。
ショックを受けたロマンですが、化学療法を勧める医師の治療を拒否、ゲイの恋人(セックスシーンの演出で オゾン監督が、メルビル・プポーにペニスa0212807_13212040.jpgを勃起させ、それをリアルに撮らせたゲイの監督らしい ‘こだわり’ を私は、いたく感心!映像も無修正)にも伝えず、両親にも仲違いしたまま犬猿の仲(子供のころは、大の仲良しだった)の姉にも言いませんでした。
ロマンは、仕事をすべてキャンセルし、パリから遠く離れた田舎に一人で暮らす祖母(ジャンヌ・モロー)を訪ね、自分の命が、あと3か月であることを伝えました。
祖母の家を訪ねる途中、立ち寄ったレストランで働く中年女性(バレリア・ブルーニ・テデスキ)から突然「ぶしつa0212807_13212386.jpgけながらお願いがあります‥」と精子提供を依頼されました。
このレストランの店主で彼女の夫が、不妊症であること、妻である彼女は、子供を諦めきれず、偶然来店した物静かな若くハンサムで知的な雰囲気のロノンに一目惚れしました。
ロマンは、自分が、ゲイであること、子供嫌いであることを彼女に伝えました。
a0212807_13212626.jpg今まで想像もしなかった自分の悲劇にどう対処すべきか分からず混乱するロマンは、残された余命3か月の生(命)に何の意味が、あるのか、どうすればいいのか、苦悩するばかりでした。
祖母から「なぜ 自分にだけ余命3か月であることを言うのか」と問われたロマンは、「あなたは、間もなく死ぬ人だから、ボクの気持ちが、分かるはず」a0212807_13213394.jpgと答えました。
祖母から奇跡を信じ化学治療を受けるよう勧められたロマンでしたが、苦しむのは、嫌だと答え「今夜一緒に寝て欲しい」と祖母のベッドに入りました。
祖母と別れたロマンは、レストランを訪ね、精子を提供するが、自分は、もうあまり時間のないこと、必要なら今すぐ提供したい、とレストランのオーナー夫婦に伝えました。
精子提供(ロマンと夫婦、三人の セックスシーンを撮るオゾン監督の演出は、ゲイのラブシーンのこだわりに比a0212807_13213651.jpgべ、子作りのための性行為と云った実にあっさりとしたもの)を終えたロマンに夫婦から、間もなく妊娠したとの連絡を受けるとすぐ夫婦を伴って弁護士に会い、自分の全財産を産まれてくる子供に遺すと遺言書を作成しました。
死期に向け、どんどん痩せていくロマン(メルビル・プポーの役作り減量が、すばらしい!)は、子供のころ家族一緒に行った海岸に行き海を眺め浜辺に横たわると静かに目を閉じました。

by blues_rock | 2019-02-16 00:16 | 映画(シネマの世界) | Comments(0)
a0212807_10420567.jpgイギリスの女性映画監督 リン・ラムジー(1969~)が、2017年に撮った秀作「ビューティフル・デイ」は、女性とは想えない骨太(ハードボイルド)なバイオレンス&サスペンス映画でした。
その「ビューティフル・デイ」の前 2011年に撮ったのが、サイキックなホラー映画「少年は残酷な弓を射る」(We Need to Talk About Kevin)です。
「少年は残酷な弓を射る」は、母親に強い悪意とサイキックな執着心を抱く息子(少年)、我が子(=少年)から鋭い敵意ある視線(憎悪の眼差し)に射られ、悪意に満ちた仕打ちを受ける母親、この二人の関係を緊張感たっぷりに描いたなかなかの秀作です。
ラムジー監督の演出は、‘母親と少年の間にある背筋の凍るような緊張感’を、これでもかと云わんばかりに強調、この演出を名撮影監督 シーマス・マッガーベイ(1967~、2007年「つぐない」、2009年「ノーウェアボーイ ひとりぼっちのあいつ」、2016年「ノクターナル・アニマルズ」、2016年「ザ・コンサルタント」の撮影監督)が、親子(母親と息子)のただことではないミステリアスな関係をまさしくホラーのようa0212807_10423440.jpgな映像で撮っています。
サウンドトラックもイギリスのロックバンド レディオヘッドのジョニー(ジョナサン)・グリーンウッド(1971~、リン・ラムジー監督作品は、「ビューティフル・デイ」に続く音楽監督、2018年「ファントム・スレッド」の音楽監督、2007年「ゼア・ウィル・ビー・ブラッド」で音楽監督デビュー)が、琵琶の音色を想わせるような不気味なヒンヤリとした音で映画を見ている者に
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迫ります。
ちなみに、レディオヘッドと云えば、ジョニー・グリーンウッドと共にバンドの中心であったトム・ヨーク(1968~)もa0212807_10425555.jpgまた現在公開中の「サスペリア」の音楽監督を担っていますから、オルタナティヴ・ロックのレディオヘッドは、そこらに数多いるロックバンドでなかったことが、窺えます。
映画は、ミステリアスな親子関係を描いたサスペンス・ホラーなので ‘見てのお楽しみ’ と云うことにして、粗筋だけお話しすると自由気ままに生きていた旅行作家エバ(ティルダ・スウィントン 1960~)は、望まない妊娠で旅行作a0212807_10432699.jpg家のキャリアを捨て母親になりました。
生まれた息子ケビンは、幼い頃から母親のエバにだけなつかないで、手を焼かせ、また言うことも聞かず反抗ばかりしていました。
ケビン(エズラ・ミラー 1992~、2014年「ボヴァリー夫人」に出演)は、美しい少年に成長しますが、彼の反抗心は、ますます強まり母親への面当てのように父親(ジョン・C・ライリー 1965~)に甘え、誕生日に父a0212807_10433416.jpg親から買ってもらった洋弓(アーチェリー)に熱中しました。
そして、想像を絶する悪魔のような事件を起こしました。
この映画は、写真でお分りのとおり背筋が、ぞくぞくするショット(息子の幼児期から少年期までの母親を見るときの射るような視線の連続)を見る映画で、冷徹な演出、美しい映像と静かな音で見せるのが、真のホラー映画です。


by blues_rock | 2019-02-14 00:14 | 映画(シネマの世界) | Comments(0)
2月7日、寺子屋かしはら主催(会場 柏原公民館)で、ゴスペルシンガー 本田路津子さんのフリー・コンサートが、開催されました。
遠い昔のことながら、本田路津子さんは、1960年代から70年代のアメリカで一世を風靡した女性フォークシンガー ジョーン・バエズ(本田さんご自身は、ジュディ・コリンズのファンだったとか)を想わせる 高音の清みきった声でa0212807_20120916.jpgフォークソングを歌い、1970年代、森山良子さんとカレッジ・フォークの女性シンガーとして人気 を二分、本田路津子さんのキリスト教系大学聖歌隊で鍛えた その歌声は、心に響きました。
本田さんは、学生のころ日本フォークソングの草分けである六文銭の小室等に見出だされデビュー、「秋でもないのに」、「風がはこぶもの」、「一人の手」、「耳をすましてごらん」などをリリース、ヒットしました。
しかし、本田路津子さんは、人気絶頂のとき結婚しフォーク歌手を引退、クリスチャンとなりアメリカに移住、1988年帰国後、福岡県宗像市(出身は、大牟田市)に住まわれゴスペル(讃美歌)シンガーとして復帰され地道にa0212807_20122415.jpg活動しておられます。
本田さんは、フォーク歌手引退のラスト・コンサート(1975)で、尊敬するジュディ・コリンズの「至上の愛」(アメイジング・グレイス)を歌ってキリスト教に帰依されました。
私は、その「至上の愛」を聴きたかったのですが、シャイな性格ゆえリクエストできませんでした。
女性の年齢を云うのもなんですが、古希を迎えられた今も当時のままに、伸びのある清んだビブラートのかかる高音に気持ちが、洗われました。
早春の柏原、樋井川源流の川原には、野水仙が、風に揺れ、油山東山麓の梅林からは、芳しい花の香りが、辺り一面に漂っています。 (写真 : 私の住まう 福岡市のチベット 柏原の梅林 と 樋井川の源流)

by blues_rock | 2019-02-12 00:02 | 柏原生活/博多叙景 | Comments(0)
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映画は、漠然と小説家を目指すフリーターの青年ジョンス(ユ・アイン)が、幼なじみの女性ヘミ(チョン・ジョンソ)と街で偶然再会するシーンから始まります。
ヘミは、ジョンスの忘れている子供の頃のことを良く記憶していて彼が、私をいじめたとか、古い井戸に落ち死にかけa0212807_04094983.jpgた私を助けてくれたとか、楽しそうに昔話を語り、屈託のないヘミは、翌日自分へのアパートにジョンスを誘いセックス(壁の微かな光を見ているジョンスの困惑した表情が、秀逸)します。
そして、ヘミは、ジョンスにアフリカ旅行中の留守の間、猫の世話(猫の姿は、見えず映画の終盤に登場します)を頼みました。
旅行から戻ったヘミをジョンスが、空港に迎えに行くと、旅先で知り合ったという得体の知れない資産家の若いa0212807_04100082.jpg男ベン(スティーブン・ユァン)をジョンスに紹介、ヘミとベンの意味深長な関係、ジョンスも入れた刹那的な愛の三つ巴の奇妙な友情は、次第に不穏な緊張感を漂わせていきます。
ジョンスの実家は、農家で北朝鮮との軍事境界線(38度線)に近いパジュという村にあり父親が、警察沙汰の暴力事件を起こし裁判中なので牛の世話をするため自宅に帰っているとベンの運転するポルシェに乗ってヘミは、自分の故郷でもあるパジュ村にジョンスを訪ねて来ました。
3人は、夕暮れの庭先でパジュ村に沈む夕日を眺めながら食事をしました。
a0212807_04101975.jpgベンは、大麻を吸いながらジョンスに「私の趣味は、古いビニールハウスに放火して燃やすことだ。 そろそろまた燃やすころだ。」と事も無げに語りました。
酒と大麻に酔ったヘミが、夕焼けの美しい空に向かって服を脱ぎ上半身裸になり泣きながらアフリカで憶えたダンスを踊りました。
この夕焼けを背景に踊るヘミ(逆光線でシルエットのチョン・ジョンソの姿)が、美しく、同時に夕暮れのパジュ村a0212807_04102455.jpgを長回しで(ゆっくりパーンして)撮った幻惑的な風景は、必見のシークエンスです。
ヘミを複雑な想いで黙って見ていたジョンスにベンは、「ヘミを愛している。」と伝えました。
酔って気を失った彼女が、目を覚まし深夜ベンと帰ろうとするヘミに近付きジョンスは、耳元で「人の前で裸になるな。人前で服を脱ぐのは、娼婦だ。」と詰(なじ)りました。
ヘミを愛し始めたジョンスが、初めて感情的な言葉をヘミにぶつけたその日からヘミは、ジョンスの前から姿を消し連絡もなく電話にも出なくなりました。
a0212807_04100497.jpgジュンスは、必死でヘミの行方を捜しますが、ベンは、「また旅に出たのでは?」とヘミの存在などまるで気にしていませんでした。
ジョンスは、ベンが、ヘミのことを何か知っているはずと思い、彼の後を付け、ヘミの行方を必死で捜しました。
ジョンスが、錆びた農作業用のトラックでベンのポルシェの追うシーン、軍事境界線近くのパジュ村にあるジョンスの朽ちかけた農家とソウルの高級住宅街にあるベンの高級マンションとの映像の対比は、シリアスな韓国社会(万国共通かも)の格差をクールに映し出していてリアリティが、あります。
a0212807_04104058.jpgそれまで沈黙し抑圧していたジョンスの心(怒り)が、爆発し「バーニング(燃焼)」する長回しのエンディングは、 映画史に残る名ラストシーンだと私は、いたく感動しました。

(左写真) 撮影中のイ・チャンドン監督

by blues_rock | 2019-02-10 00:10 | 映画(シネマの世界) | Comments(5)