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心の時空

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a day in my life

<   2018年 07月 ( 9 )   > この月の画像一覧

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フランス映画の革新運動家であった映画監督 ジャン=リュック・ゴダール(1930~)は、1960年「勝手にしやがれ」で長編映画監督デビュー、1965年の「気狂いピエロ」で‘ヌーヴェルヴァーグの旗手’として名を馳せますが、
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1967年、中国の文化大革命(共産主義原理運動)にかぶれたゴダール監督は、商業映画との決別を宣言、政治的(共産主義的)映画集団 ジガ・ヴェルトフ(1968~1972)を結成、そのリーダーとなるもメンバーの平等意見a0212807_14280438.jpg(必然として無能の混入)で製作(ジャン=リュック・ゴダールをクレジットせず匿名製作)をしましたので当然のことながら映画と呼べるものではありませんでした。
名匠 ミシェル・アザナヴィシウス監督(1967~、脚本・監督・製作、2011年作品「アーティスト」は、アカデミー賞作品賞・監督賞など5部門受賞)は、この新作「グッバイ・ゴダール!」をゴダール二番目の妻にして女優 アンヌ・a0212807_14281011.jpgヴィアゼムスキー(1947~2017、フランスのノーベル文学賞作家モーリャックの孫娘)の目を通し(自伝小説「それからの彼女」をもとに)、1967年ゴダール監督が、19歳のアンヌと結婚してから別れる(1972年に別居)までの数年間の長い低迷の時代を描いています。
時まさに1968年、フランスの反体制運動「五月革命」前夜でした。
a0212807_14284173.jpg私見ながらゴダール作品が、「気狂いピエロ」レベルに甦るのは、オランダ出身の無名の新人女優 マルーシュカ・デートメルス(1962~)を抜擢して撮った1983年傑作「カルメンという名の女」(ヴェネツィア国際映画祭グランプリ受賞)からと思います。
この映画の見どころは、何といってもゴダール二番目の妻で女優、原作者のアンヌ・ヴィアゼムスキーを演じるa0212807_14284508.jpg新鋭女優 ステイシー・マーティン(1991~、2013年22歳のとき出演した「ニンフォマニアック」第一巻、色情狂ジョーの若い頃をフルヌードで奔放に演じ注目される、ステイシーも今や27歳、引き締まった美しいヌードを披露)とジャン=リュック・ゴダールを演じた若手の名優 ルイ・ガレル(1983~)、二人の夫婦にして監督と女優、何より男と女としての人間模様をアザナヴィシウス監督が、ユーモアたっぷりシニカル(冷笑的)に描いa0212807_14285712.jpgていることです。
アザナヴィシウス監督は、名女優で愛妻のベレニス・ベジョ(1976~)を当時37歳のゴダールと19歳のアンヌの二人をよく知る親友として狂言回し役にして、意地が悪いくらい稀代の映画監督 ジャン=リュック・ゴダールの人として、さらに男としての未熟さ(ある意味エゴイスティックな人間らしさ)を活写しています。
a0212807_14291077.jpg映画は、チャプターごとに構成されていますが、ゴタールと云えば‘眼鏡’、チャプターをつなぐ小道具として都度「眼鏡を破壊していく演出」は、アザナヴィシウス監督の名匠たるセンスを感じました。
                 (上写真 : ゴダール夫人であったころの女優 アンヌ・ヴィアゼムスキー 本人)

by blues_rock | 2018-07-17 00:07 | 映画(シネマの世界) | Comments(0)
a0212807_12025999.jpg学生のころ美術部の友人たちと長崎へ、よくスケッチ旅行に出かけました。
250年余の長い鎖国時代、唯一外国に門戸を開いた交易港(出島)で、キリスト教の教会や異人屋敷が、点在する坂の街長崎の異国情緒は、私の幼い創作意欲を刺激してくれました。
ひとり、キャンバスを抱え、絵具箱・イーゼルを肩から下げて長崎へ行き、人の行き交う街中にイーゼルを立て、油絵を描いた(旧く洒落た公衆トイレを描いた記憶)こともありました。
‘隠れキリシタン’ の心の拠りどころであった日本最古のキリスト教(カトリック)教会「大浦天主堂」は、長崎を訪ねるたびにモチーフ(制作対象)としてスケッチして帰りました。
大浦天主堂の名称は、日本二十六聖殉教者天主堂といい、1953年(昭和28年)国宝に指定されています。
天下人となった豊臣秀吉(1537~1598)は、成り上がりの俗物ではありましたが、国家経営のガバナンスに秀(ひい)でa0212807_12030532.jpg、利に目敏く、嗅覚鋭い独裁権力者でした。
そのころ世界は、スペイン・ポルトガル・イギリス・フランスの専制国家(植民地主義帝国)が、地球上の領土支配と覇権を競い ‘キリスト教布教を大義名分’ にした新大陸争奪の大航海時代、秀吉は、明朝中国への侵攻(唐入り)を準備しながら東アジア(とくに朝鮮半島と琉球諸島)さらにすでにスペイン・ポルトガルの植民地となっていたフィリピンやインドに対し日本に従属(服属入貢)するよう覇権の圧力をかけました。
織田信長は、フランシスコ・ザビエルに始まるキリスト教イエズス会の布教を認めていましたので、西国(中・四国、九州)大名にクリa0212807_23324130.jpgスチャンが、多く、絶対服従を求める 天下人秀吉の命令も 面従腹背の信仰ネットワークのもとでは、ザルで水汲むも同然でした。
スペイン・ポルトガル王国の用意周到な日本征服の謀略を疑った秀吉は、1587年キリスト教禁止令~バテレン(宣教師)追放令を出し、先手必勝とばかり、1592年16万の、1597年14万の大軍を朝鮮へ出兵し大陸侵攻の足がかりにしようとしました。
さらに1597年には、いかなる拷問をされようとキリスト教を棄教しない宣教師と信者の26人を見せしめのため磔(はりつけ)処刑(逆に殉教者 二十六聖人と崇拝された)しました。
翌1598年秀吉死去、豊臣を滅ぼし最高権力者となった徳川家康は、徳川幕府の命を絶対のものとするため 外国の情報・干渉を徹底して排除する鎖国政策をとり、キリスト教も長崎奉行に命じ厳しく弾圧(こちら 参照)しました。
その後、敬虔なクリスチャンは、隠れキリシタンとして身を隠し封建社会の奥深くで息をひそめ信仰を捨てずに250年余り潜伏、先ごろこの隠れ(潜伏)キリシタンの遺構と遺産が、世界文化遺産に登録されました。

by blues_rock | 2018-07-15 00:15 | 柏原生活/博多叙景 | Comments(0)
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スリラー映画の巨匠 ロマン・ポランスキー監督(1933~、1968年作品「ローズマリーの赤ちゃん」は、スリラー映画の傑作)とミステリー映画の名匠 オリビエ・アサイヤス監督(1955~、2014年作品「アクトレス 女たちの舞a0212807_20140846.jpg台」、2016年作品「パーソナル・ショッパー」ともに秀作ミステリー)二人の鬼才が、共同で脚本を書き、ポランスキー監督は、アサイヤス監督のミステリー性を取り入れた演出で新作「告白小説、その結末」を撮っています。
「告白小説、その結末」のフランス語原題のタイトルは、「D'après une histoire vraie(ある実話の結末)」で、フランスの女性作家 デルフィーヌ・ドゥ・ヴィガンの小説「デルフィーヌの友情」が、ベースになっていて主人公も女性作家でデルフィーヌa0212807_20141654.jpg(エマニュエル・セニエ 1966~、ポランスキー監督夫人)という名前です。
スランプと鬱病に苦しむ作家のデルフィーヌに絡むのが、彼女の‘熱烈なファン’で最大の理解者と自称、著名人のゴーストライターを仕事にしているというエル(エヴァ・グリーン 1980~、2006年「007 カジノ・ロワイヤル」の美しさは抜群)です。
a0212807_20143687.jpgポランスキー監督もそういえば、2010年にスリラー映画「ゴーストライター」を撮っています。
このミステリー映画「告白小説、その結末」は、作家デルフィーヌが、自殺した自分の母親について書いたデビュー小説のサイン会で始まります。
a0212807_20144079.pngサイン会場でエル(Elle 彼女)と親しくなり、次作の執筆に入れず鬱々としているデルフィーヌにエルは、次々に新作構想のアドバイスをしますが、同時に、デルフィーヌは、「自分の家族の恥(母親の自殺)をさらして喜んでいる」と彼女を非難した匿名の手紙が、送られてくるようになりました。
a0212807_20145290.jpgやがてデルフィーヌのまわりで不可解な事件が、起き始めました。
エルの行動もまた‘熱烈なファン’の範疇を超える振舞いをするようになりました。
アメリカのスリラー映画「ミザリー」(1990)で、キャシー・ベイツ(1948~、「ミザリー」でアカデミー賞主演女優賞受賞)が、演じたような狂気を エヴァ・グリーンは、a0212807_20145578.jpg彼女の美しい眼でサイコパスな表情(目元が、美しいだけに秀逸)を見事に演じていました。
映画は、デルフィーヌの新作出版サイン会で終わります。
デルフィーヌは、神秘的なエルが、自分に話したことを秘かにメモし新作の準備をしていたところ書いた憶えのない新作は、すでにベストセラーとなっていました。
a0212807_20145780.jpg撮影は、ポランスキー監督作品でおなじみの撮影監督パベル・エデルマン、音楽が、映画音楽のスペシャリストで名作曲家のアレクサンドル・デスプラ(1961~、2014年「グランド・ブダペスト・ホテル」、2017年「シェイプ・オブ・ウォーター」でアカデミー賞音楽賞受賞、ほかにも名作映画の音楽を多数作曲)で 二人が、ポランスキー監督とa0212807_20273027.jpgアサイヤス監督によるスリラー&ミステリーの名演奏(コラボ)に参加しジャズのセッションをしているような 心地よい見事なアンサンブルを披露しています。
「告白小説、その結末」は、ミステリー映画であり 現在公開中なので、ここまでにします。

by blues_rock | 2018-07-13 00:03 | 映画(シネマの世界) | Comments(0)
a0212807_22085566.jpg万引き家族」が、封切りされてから 一か月、公開初日に見て感動して以来、三度見ました。
主演した安藤さくらが、インタビューに応えて「納豆ご飯のような映画です。」と表現したのは、さすが云い得て妙のコメントでした。
これを受け是枝監督も「毎日食べても飽きない ‘納豆ご飯’ のような作品で何度見ても楽しめる映画です。」と作品の出来に満足している表情でした。
確かにその都度、新しく ‘見えるもの’ が、あり是枝監督の表現力(演出力)の見事さに私は、感動しました。
先日、ご紹介した「万引き家族(後)」の文章に一箇所、訂正してお詫びするところがありました。
疑似家族の母親であった安藤サクラが、取調室で刑事から厳しい取り調べ受けているとき ‥ 「このa0212807_22090952.jpg子(幼い少女)は、捨てられたんだよ。 棄てられたものを拾って何が悪い! 悪いのは、この子を棄てた母親だろうが ‥」 と吐き捨てると絶句、両手で涙を拭きながら泣くシーン、と書いた文章は、私の思い違いでした。
正しくは、「棄てられたんだよ。 棄てられたものを拾って何が、悪い! 悪いのは、棄てたほうだろうが ‥」 と吐き捨てるように言うシーンは、老衰死した祖母(樹木希林)a0212807_22091383.jpgの死体遺棄について取り調べる刑事(池脇千鶴)に答えるシーンでした。
安藤さくらが、両手で髪をかきあげながら泣くシーンは、実親のもとに返された5歳の少女 リン(実名ジュリ)が、刑事から皆のところへ帰りたいと言っていると聞いて「あなたは、何て呼ばれたの? お母さんと呼ばれたの? あなたは、母親になれないのよ。」と責められ「そお? リンが、帰りたいと言ってa0212807_22091766.jpgいるの?」とつぶやき 絶句するシーンで、溢れる涙を両手で拭き、髪をかきあげ泣くシーン(長回し)の撮影も演じる安藤サクラに台本はなく、いきなりカメラを回し彼女のその演技は、モニターの前で見ている是枝監督をうならせ、カンヌの審査員たちを驚かせました。
是枝監督は、台本を渡さずに俳優の役者魂を刺激、その演出手法が、触媒となり、名優たちの潜在的な演a0212807_22093172.jpg技才能は、お互い化学反応を起こし数々の名シーンを生みました。
ポストプロダンションが、安易にできるデジタル(CG)カメラは、使わずあえて ‘フィルム’で撮影した近藤龍人 撮影監督(1976~、2010年「海炭市叙景」撮影)の見事なカメラワーク、音楽監督の細野晴臣(1947~、ロックバンド「Y.M.O.」のリーダー)の雰囲気を醸し出a0212807_22093458.jpgすサウンドトラック、リアリティのあるプロダクションデザインで、美術を担当した三ツ松けいこ、衣装担当の黒澤和子ほか製作スタッフの力量(情熱)、さらにロケのラインプロデュースクルーと現場撮影の随所に登場するエキストラの自然な存在感は、じつに見事です。
a0212807_22093879.jpg是枝裕和監督の「万引き家族」を三度見て私が、思ったのは、日本映画の最高傑作である小津安二郎監督作品「東京物語」や成瀬巳喜男監督作品「浮雲」 に匹敵する日本映画が、新たにまた一作誕生したということでした。
私は、これからも「万引き家族」を繰り返し見ることでしょう。

by blues_rock | 2018-07-11 00:01 | 映画(シネマの世界) | Comments(0)
この陶胎皿は、手練り茶碗を作っているとき、陶土(つち)を弄りながら 丸めたものを押し潰し円盤状に均(なら)し、よれた針金で引くように横切りしたものです。
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横に引いて上下を分けると左右対称の陶皿が、2枚できますので、縁を少し持ち上げ、素焼きしてもらいました。
一年以上そのままにしていましたが、ああでもない こうでもないと 試行錯誤の末 というより手に負えなくなり
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ジ・エンド(おしまい) となりました。
数年前、確か百円ショップで 平板と‘K’の文字板を購入、これまた ほんの遊び心で、風変わりな根来の飾り台
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を作りました。(上写真 : ベランダから眺める油山を背景に撮影)
繋ぎ(組立て)も塗りも、すべて 漆オンリーです。

by blues_rock | 2018-07-09 00:09 | 金継ぎ/古美術/漆芸 | Comments(0)
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この5月、新作の「君の名前で僕の名を呼んで」を見て、シネマの世界でご紹介しようと書き始めたら、6月に「君の名前で僕の名を呼んで」を共同製作し脚本を書いたジェームズ・アイボリー監督(1926~、1996年秀作「サa0212807_07595540.jpgバイビング ピカソ」)が、1987年に撮った(脚本・監督)「モーリス」(4K)の上映を知り 私は、まだ見ていなかったので「モーリス」を見て書くことにしました。
「君の名前で僕の名を呼んで」、「モーリス」(4K)、さらに2005年の「ブロークバック・マウンテン」は、ホモセクシャル映画の秀作であると思います。
a0212807_07595878.jpg同性愛については、観念的にしか理解できない(ヘテロの)私ながら同性愛映画は、プロットが、ホモセクシャルであれ、レスビアンであれ、映画を演出する監督、出演する俳優や女優で見るようにしています。
ポルノ映画を撮るわけではないので、脚本の質も当然のことながら、監督の表現(演出)才能、それを受けて演じる俳優や女優の品性と美しさが、映画の良し悪しを決めるa0212807_08000294.jpg重要なキーポイントになります。
映画は、総合芸術! 同性愛映画を製作するときには、とくに細部にこだわるプロデュースセンス(神は細部に宿る)が、ないと、市中に出回る薄汚くゲスで愚劣なポルノ映画(まあ、これはこれで劣情を刺激するAVのひとつ)となるでしょう。
同性愛でもプラトニックな関係(ゲイでも)なら友愛・友情と呼び、これにスキンシップ(キス・全裸の抱擁・セックa0212807_08000607.jpgス)が、加わると男性の場合 ホモセクシャル、女性の場合 レスビアンと呼ばれ、同性愛カップルの「相思相愛」を理解できない異性愛カップルの男女(ヘテロセクシャル)にとって異次元の異常な「性愛関係」に想えるのでしょう。
その中間(ニュートラル)に両性愛(バイセクシャル)で偽装恋愛、偽装結婚している人たちもいて彼らは、それぞ
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家庭を持ち子供もいるようです。
だから私は、人間の棲む三千世界が、とてもおもしろく、映画製作のネタに事欠かないのだろうと思っています。
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このところノーマルなヘテロセクシャルの恋愛映画が、あまりにくだらなくつまらないので(と思えるので)性的な感動を刺激して欲しい私は、同性愛映画の秀でた作品を見るようにしています。
a0212807_08013686.jpg女性の同性愛映画なら2013年「アデル、ブルーは熱い色」、2015年「キャロル」、男性の同性愛映画であれば、1987年「モーリス」(2018年4K再映)、2005年「ブロークバック・マウンテン」、2018年「君の名前で僕の名を呼んで」は、いずれも秀作です。
a0212807_08014623.jpg今夜は、前述のとおり「君の名前で僕の名を呼んで」と「モーリス(4K)」をご紹介したいと思います。
1987年映画「モーリス」の脚本を書き監督であったアイボリー監督は、当初「君の名前で僕の名を呼んで」の脚本(アカデミー賞脚色賞受賞)を書き自ら製作・監督するつもりだったようですが、共同製作するイタリアのルカ・グァダニーノ監督(1971~)に監督は、すa0212807_08014334.jpgべて任せました。
二作とも同じアイボリー監督の脚本ながら映画の時代設定が、「モーリス」の100年前のイギリスと「君の名前で僕の名を呼んで」の現代(1983年)のイタリアとでは、ホモセクシャルへの社会環境が、大きく変化しているものの、やはり‘監督(演出)’の違いは、如実に出ています。
a0212807_08015126.jpg「君の名前で僕の名を呼んで」は、北イタリアを舞台に考古学教授の息子17歳の少年エリオ(ティモシー・シャラメ 1995~)と教授の助手で博士論文執筆中の24歳の青年オリバー(アーミー・ハマー 1986~)二人のひと夏(6週間)の耽美的な情感溢れる同性愛の恋模様を描いています。
a0212807_08015386.jpg息子の恋人オリバーが、去り、傷心の息子に父親の語りかける言葉は、慈愛に満ち、名脚本家 ジェームズ・アイボリー監督の面目躍如です。
アイボリー監督が、アカデミー賞脚色(脚本)賞を受賞したこともあり、1987年(31年前)に脚本・監督した秀作「モーリス」もまた ‘4K’(ウルトラHD=超高画質)で再公開されました。
a0212807_08020320.jpg映画の舞台(時代設定)は、同性愛が、重罪であった百年前1910年のイギリス、ケンブリッジ大学の学生モーリス(ジェームズ・ウィルビー 1958~)とクライブ(ヒュー・グラント 1960~)、そしてクライブと別れたあとモーリスの愛人となる下僕の青年アレックス(ルパート・グレイブス 1963~、1992年「ダメージ」に出演)の物語です。
a0212807_08020594.jpg徹底した男社会の旧い保守的なイギリス上流階級の子息令嬢たちの役割は、年頃になったら家柄の良い(高い爵位)階級の異性と社交界で知り合い結婚し家系と資産(家督)を守ることでした。
それに反する観念や意識、行動は、重罪で社会的身分の消滅と家系からの抹殺と身の破滅、時に死刑も科されていました。
a0212807_08022803.jpg異性愛(ヘテロ)であれ、同性愛(ゲイ)であれ、命がけの恋(=性愛)が、プロットの映画でなければ、面白くも美しくもありません。
そう云えば、今日ご紹介した同性愛映画の傑作・秀作は、いずれも美男・美女ばかり、美しさに感動する同性愛映画でなければ、見るに堪えられないのも確かです。

by blues_rock | 2018-07-07 00:07 | 映画(シネマの世界) | Comments(0)
大根仁監督(1968~)作品は、初めて見ますが、2016年の「SCOOP!」は、秀逸でした。
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何より、福山雅治(1969~)演じる やさぐれた芸能スキャンダル写真週刊誌の 中年パパラッチと彼に裏情報をタレこむ覚醒剤中毒の男を演じたリリー・フランキー(1963~)の二人が、すばらしい!
a0212807_18145491.jpg映画の終盤、リリー・フランキー演じる覚醒剤中毒の男が、幻覚症状で錯乱、溺愛する娘に会わせようとしない元妻とその愛人を射殺し、旧くからの親友(福山雅治)に、娘と二人の写真を撮らせようとするシークエンスの何と ‘すばらしい!’ こと、リリー・フランキーは、本当にジャンキーではないかと思わせるくらいの ‘ド迫力とリアリティ’ で、覚醒剤中毒男を怪演しています。
a0212807_18154651.jpg新作「万引き家族」で リリー・フランキーが、演じたのは、これと真逆の、心根のやさしい人の好い犯罪者(万引き犯)でしたが、カンヌ国際映画祭審査員の一人から、是枝監督に「(リリー・フランキーについて)彼は、何者か? 俳優なのか?」と質問あったそうな ‥ ‘役者目利き’ であるカンヌの審査員の目には、リリー・フランキーが、不思議な俳優に見えたことでしょう。
この映画「SCOOP!」は、ワルでスケベな福山雅治と完全に壊れたリリー・フランキーを見る映画(必見)です。
a0212807_18173105.jpg借金まみれで酒とセックスだけの自堕落な生活をしている中年パパラッチ(福山雅治)に絡むのが、写真週刊誌「SCOOP!」の新人記者を演じる二階堂ふみ(1994~)と副編集長役の吉田羊(年齢不詳 40代か)二人の美人女優です。
女優 吉田羊を「SCOOP!」で初めて見ましたが、良い監督の作品に出演すれば、印象に残る女優になるだろうと思います。
a0212807_18172149.jpg少女と思っていた二階堂ふみも今や22歳、ならば劇中、福山雅治と演じるベッドシーンに 中途半端な下着姿ではなく、オールヌードで挑んで欲しかったと思います。
これは、本人の責任ではなく、所属事務所の意向や大根監督の演出(制約があったと推察)なのでしょうが、二階堂ふみの女優としての将来(カンヌ・ベルリン・ヴェネチアに出品する映画への出演)を考えるa0212807_18180757.jpgと、本人の意思でトライして欲しかったと思います。
私の好きなフランスの名女優ばかりで恐縮ながら、レア・セドゥ(1985~)は、28歳のとき出演した2013年同性愛映画の傑作「アデル、ブルーは熱い色」でポルノと見紛うレスビアンの激しいセックスシーンを全裸で演じ、メラニー・ロラン(1983~)は、18歳のときに出演した2001年「これが私の肉体」で、若く美しいヌードを披露、a0212807_18192658.jpgエマニュエル・ベアール(1963~)が、23歳のとき出演した1986年「愛と宿命の泉 泉のマノン」では、芸術的なヌードを惜しげもなく見せてくれました。(28歳のときの「美しき諍い女」の全編ヌードは芸術!)
大女優のカトリーヌ・ドヌーブ(1943~)たるや、まだヌードご禁制の旧き時代にあって1969年映画「暗くなるまでこの恋を」の出演時、26歳のきれいな胸(乳房)を普通にスクリーンで見せてくれました。
a0212807_18193125.jpgおや、と思ったのは、塚本晋也監督(1960~)が、出版社編集長役でカメオ出演していたこと、そんなことより 名女優の資質をもつ 二階堂ふみの美しいヌードを早く見たいものだと、いちファンとして思います。

by blues_rock | 2018-07-05 00:05 | 映画(シネマの世界) | Comments(0)
「拭き漆」は、誰にでも、すぐできる 漆工芸の一つです。
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‘漆かぶれ’が、どうも‥という方は、市販されている使い捨ての衛生薄ゴム手袋を両手に装着して作業されるとかぶれることは、ないでしょう。
a0212807_17244999.jpgそれでも念(用心)のため作業後に食用油を少し手の平にのせ、両手首から指先まで摩り付けティッシュでよくふき取り、そのあと石鹸水で脂分を洗い流しておけば、大丈夫です。
もし、知らないうちに漆に触れていて、そこに小さな水疱が、でき痒みを感じたら 漆かぶれ(翌日か翌々日くらい後、触れたところに発疹ができる)ですが、痒止め軟膏を塗ると痒みは、治まり、かぶれ痕も残りません。
漆かぶれは、漆成分の一つウルシオールが、人間の細胞(抗体)に反応して痒みを引き起こす接触皮膚炎(アレルギー皮膚炎ではありません)です。
私は、普段ゴム手袋なし、使っても片手だけ使用して作業しますが、不注意により気づかないうちに、漆を付け
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てかぶれることもあり、万一対策として私は、オイラックス軟膏を常備しています。
さて、前置きは、これくらいにして初めての方向けに「拭き漆」について説明します。
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まず、準備するのは、木目のきれいな(おもしろい)木地板です。
樹種は、問いませんが、樹肌の粗い木地だと拭き始めるまで下地作り(木胎)にひと手間かかりますので注意し
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ましょう。
つぎに‘漆’の準備が、必用ながら漆は、多種多様 ‥ 本格的に漆工芸をするのでなければ、「生漆(きうるし)」
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一つあれば、OKです。
テーブル(机)の上に全開した新聞紙を数枚(朝刊一日分くらい)重ねて広げ、その上で作業すると後片付けも
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簡単、きちんと折りたたみ古紙として他の人が、触らないよう2日、3日くらい別保管し他の古紙と合わせて資源ゴミ回収に出せば良いと思います。
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牛乳パックは、捨てないでよく洗い取っておき、乾いたらハサミで切り広げ漆をのせる定盤(パレット)にします。
ピンポン玉くらいに丸めた脱脂綿をコットン(綿の古布、使用済の下着やTシャツ)で、てるてる坊主のような打包(a0212807_17262544.jpgたんぽ)を作り、ゴム手袋を両手にして定盤に出した生漆を浸けて一生懸命拭くだけです。
縦に拭き、横に拭き、「の」の字を書くように回し拭きし、また「逆の」の字にも回し拭き‥ 拭いて、拭いて、万遍なく拭いたら、ダンボールにビニールを敷き濡れタオルを広げで(拭き板に水が直接つかないよう注意)、簡単な漆風呂に入れ3日、4日して乾いていたら(表面凝固していたら)指先で触り、ざらつくようなら#400(~#600)のサンドペーパーで軽く研いでください。
2回、3回と拭いて、乾かし研いで、とだんだん#800、#1000~#2000とペーパーを緻密にしていきながら自分の目と指を信頼して「拭き漆の木面を5回~10数回)磨いていく」のが、コツです。
‘ワイプオール’(万能清拭紙)を小さく折りたたみ重ねてハケにようにして(ハケに見立てて)拭くのも良いと思います。
生漆オンリーで十分ながら、ちょっと上質な(ワンランク上の)拭き漆にしたいのなら最後に‘透き漆(生正味)’で良く拭きあげると漆芸家なみの「拭き漆」となるでしょう。
後片付けのとき、漆の付着した布や紙、定盤、ゴム手袋は、専用の廃棄用ビニール袋にまとめて捨てゴミ袋に入れてください。

by blues_rock | 2018-07-03 00:03 | 金継ぎ/古美術/漆芸 | Comments(0)
a0212807_20561857.jpg次に見たのが、農家出身の映画監督 ユベール・シャルエル(1985~)のデビュー作にして社会派(深刻な酪農問題を扱った)作品の「ブラッディ・ミルク」です。
映画は、酪農を営む青年ピエール(スワン・アルロー 1981~、2010年「美しき棘」出演)を主人公に家族経営の零細農家の立場からEUの官僚的な農業政策を真っ向から問題提起した話題作です。
同時に私たち消費者の「食と農」への安易な認識(安全な食品が、安心していつでも簡単に買えるという思い込み)を問いかける農家出身のシャルエル監督の真骨頂が、ここにあります。
主人公ピエールの毎日は、老いた両親から受け継いだ小さな農場と20数頭の乳牛の世話、そして時々訪ねてくる獣医の妹(サラ・ジロドー 1985~)で回っていました。
ある日、フランスで原因不明の牛の伝染病が、初めて発見されました。
ピエールが、一番恐れたのは、自分の牛たちへの感染でした。
しかし、彼の努力も空しく一頭の牛が、伝染病の兆候(症状)を見せ始めました。
a0212807_20573160.jpg彼は、役所に報告し手塩にかけて育ててきた大切な牛たちを感染経路不明のまま殺処分することなど、どうしてもできませんでした。
そして、酪農のほかに自分のできること、したいことが、何もないこともよく知っていました。
ピエールは、愛する牛たちを助けるために、どんなことでもする決意をしました。
この「ブラッディ・ミルク」は、フランスのアカデミー賞と称されるセザール賞で作品賞、主演男優賞(スワン・アルa0212807_20574193.jpgロー)、助演女優賞(サラ・ジロドー)を受賞しています。
三作目の「トマ」は、わずか13分の短編でプロローグ(序章)とエピローグ(終章)だけの映画ながら女優のローラ・スメット(1983~、2015年「ブルゴーニュで会いましょう」)が、母親の名女優 ナタリー・バイ(1948~、フランス映画祭2018の団長)を主演に撮ったなかなか洒脱な短編映画です。
a0212807_20575250.jpgアンナ(ナタリー・バイ)は、朝起きて、いつものようにコーヒーを作ろうとしたら、コーヒー・メーカーが、故障していました。
彼女は、初めて行く電化製品店で新しいコーヒー・メーカーを購入、新規の顧客リストを作る手続きをしようとしたらすでに彼女の名前が、顧客リストにあり、数日前に電化製品を購入していると告げられました。
a0212807_20582332.jpg最後4作目は、ナタリー・バイとエマニュエル・ドゥヴォス(1964~)が、共演(主演)したミステリー映画「モカ(モカ色の車)」です。
スイスのフレデリック・メルムー監督(1969~)は、サスペンス仕立ての演出で、老いても尚美しいナタリー・バイと成熟した中年女性の魅力あふれるエマニュエル・ドゥヴォスをたっぷり見せてくれました。
ディアンヌ(エマニュエル・ドゥヴォス)は、スイスのローザンヌで一人息子が、モカ色のメルセデスベンツから轢き逃げされ、亡くなってからというもの喪失感と犯人への憎悪で立ち直れないでいました。
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失意のディアンヌは、進展しない警察の捜査に業を煮やし、事故を目撃したバスの運転手の証言「轢き逃げしたのは、モカ色のメルセデスベンツ、運転席に金髪の女性、助手席に男が、乗っていた」ことを手がかりにスイ
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スに向かいました。
途中フェリーで知り合った違法薬物運び屋の青年を助けたことから親しくなり、国境近くの田舎町エヴィアンで、a0212807_20584666.jpg拳銃を手に入れ、彼にモカ色のメルセデスベンツ捜しを依頼しました。
名女優の二人、ナタリー・バイとエマニュエル・ドゥヴォスの絡むシーンが、すばらしいので、メルムー監督の演出に難クセつける気は、ないものの ミステリー映画で犯人が、早く分かるのもさみしく、もう少し引っ張って欲しかったな、と私は、思いました。

by blues_rock | 2018-07-01 00:01 | 映画(シネマの世界) | Comments(0)