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心の時空

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a day in my life

<   2018年 03月 ( 16 )   > この月の画像一覧

石膏の複製彫刻を見て木炭デッサンするのは、美大入試の実技課題なのでふつう美大受験生ですが、私は、美大を受験するわけでもないのに、大学の美術部に入部するとアトリエにある古代ギリシャ彫刻の石膏複製を
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一生懸命、木炭デッサンしていました。
田舎育ちであった私は、19歳まで油絵を描いた経験が、なく 大学生となり美術部の先輩や同輩たちの油絵を見るとコンプレックスにa0212807_09194695.jpg苛まれ 劣等感を隠すための‛足掻き’だったように思います。
とにかく、ヒマさえあれば(授業に出ていないのだからヒマに決まっています)、アトリエに入り浸り、無我夢中で木炭デッサンをしていました。
貧乏学生ゆえ自由になるお金もなく、木炭紙と木炭さえあれば、いつでも絵が、描ける一番お手軽な手段だったものの ‘作品’では、ありませんでした。
社会人となり転勤で引っ越しても、しばらく保存(持ち運び)していましたが、デッサンやスケッチなど‘青春の残滓’は、やがて画材共々ほとんど廃棄しました。
いま手元に残る数枚の木炭デッサンを改めて眺めると、未熟ながら結構しっかり描いていて、当時のことを懐かしく思い出します。
a0212807_09195791.jpgそのころ中核派の拠点だった母校は、アトリエの外で全共闘が、歪んだ音のハンドスピーカーで何を言っているのか さっぱり理解できないことを叫び 私は、それが、うるさく ラジオの音量を上げてロック音楽ばかり聴いていました。
たしか福岡学生美術連盟の主催だったと記憶していますが、福岡女子大のアトリエにプロの女性ヌードモデルを招き、ヌードデッサン会もしていました。
スケッチブック持参の面々(とくに男子学生諸子)は、モデル正面に集まりデッサンしますが、イーゼルを立て木炭デッサンする私などは、混雑する正面を避け、人の少ないモデルの背面へ回りますので残っているヌードデッサンを見るとお尻のデンとしたデッサンばかりながら レアリテ(迫力と肉質感)が、あり、今見ると「好いじゃないか」と自画自賛しています。
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当時まだ二十歳そこそこで恥ずかしがりや(本当に奥手でした)の私は、真っ正面から全裸女性を見る勇気が、なく仕方なくヌード女性のお尻ばかりを追っかけて(お尻フェチだからではありません)描いていました。

by blues_rock | 2018-03-31 00:01 | 美術/絵画/彫刻 | Comments(0)
監督になり45年、作品数が、少ない寡作の映画監督ながら傑作や話題作を発表し続ける巨匠テレンス・マリック監督(1943~)の2015年新作「聖杯たちの騎士(Knight of Cups)」を紹介します。
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マリック監督の新作「聖杯たちの騎士」もまた、いつも通り作家性(哲学的・思想性・宗教観)の強い作品です。
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こう前段で書くと、敬遠する方も多いかも知れませんが、一旦見始めると、もう途中で止められなく不思議な映画です。
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この映画の脚本を書き監督したマリック監督は、隠者のような方でアカデミー賞の監督賞や脚本賞にノミネートされても欠席、カンヌやベルリンの国際映画祭でグランプリ受賞しても式典に出席せず、インタビューa0212807_16161317.jpgならびに取材を受けないのでも有名です。
映像の名人であるメキシコの名撮影監督 エマニュエル・ルベツキ(1964~、史上初となる3年連続アカデミー賞撮影賞を受賞)は、マリック監督と相性が、良いのかマリック監督演出の特長ともいえる自然の景色 ‥ 水、風、光などを映像詩のように映し、ときに抽象的な映像に昇華して撮影する技は、マリック監督作品に不可欠なルベツキ監督ならでa0212807_16162749.jpgはの卓越した撮影技術(カメラワークがすばらしい!の一言)です。
「聖杯たちの騎士」にストーリーらしいストーリーはなく、サンタモニカの高級住宅街と海岸を舞台に人生を見失った脚本家の男性(クリスチャン・ベール1974~)と自殺で弟を亡くした彼の家族(父親と喪失感の癒えないもう一人の弟)、彼を愛する女医の美しい妻(ケイト・ブランシェット 1969~)、さらにa0212807_16163084.jpg5人の美しい愛人との愛の交歓、不毛な愛が、醸し出す登場人物たちそれぞれの哀感には、リアリティがあります。
マリック監督が、明らかに即興で演出したと推察されるシーンでも、名優・名女優たちの演技は、当意即妙で見事です。
ルベツキ撮影監督のカメラワークが、じつにすばらしく、映画に登場する人物を追っかけ、対象に密着しクローズアップで撮影しているので、マリックa0212807_16163416.jpg監督の哲学的な視点と抽象的な語り「人生の意味‥エジプトにあるという美しい真珠を求め旅に出た王子が、目的地にたどり着き享楽しているうちに旅の目的も忘れ自分の人生を見失い深い眠りに落ちる」(語り部としてベン・キングズレーが声の出演)に起承転結は、なくとも詩的で美しく、主人公の人生への迷いを圧倒的なイマジネーションで映像にしています。
a0212807_16170117.jpg5人の美しい愛人役をナタリー・ポートマン(1981~)、イザベル・ルーカス(1985~)、テリーサ・パーマー(1986~)、フリーダ・ピント(1984~、2008年「スラムドッグ$ミリオネア」)、イモージェン・プーツ(1989~、2012年「25年目の弦楽四重奏」)が、演じています。
中でも、最後に登場する夫と愛人二股かけた人妻役のナタリー・ポートマンが、妊娠したことで精神錯乱し子供a0212807_16170544.jpgの父親を特定できず取り乱す姿の演技は、秀逸でした。
男優では、主人公のクリスチャン・ベール以外、出演の少ない脇役ながらアントニオ・バンデラス(1960~)、ジェイソン・クラーク(1969~)など主演級のキャストで、ベテラン名優のブライアン・デネヒー(1938~)やアーミン・ミューラー=スタール(1930~)が、出演、女優・男優とも出演者は、テレンス・マリック監督ならではの豪華キャストで一見の価値が、あります。

by blues_rock | 2018-03-29 03:29 | 映画(シネマの世界) | Comments(0)
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私の陶修行(修業でも就業でもない)の師 玄洋窯主人冨永陶工の クマガイモリカズ を想わせる絵柄の「伊羅保 中鉢」と私の「オリーブ用植木鉢」・「灰釉湯呑茶碗」を掲載します。
金継ぎ用の茶碗作りに挑戦して早一年 ‥ 手びねり(ひも作り)で、せっせとイビツな茶碗を作り、窯から出てa0212807_01034925.jpg来た茶碗をわが手で弄り、感激するのも、しばしの間だけでした。
ロクロ名人の師から「ちゃんとした茶碗が、できんのに‘好い茶碗’などできるはずない。」と、私のムチャクチャな作陶を一年黙って見て来られた師から初めて辛辣に諭されました。
金継ぎするようになり金継ぎ茶碗は、むろんのこと、自分の陶胎漆茶碗を無性に創ってみたくなりました。
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漆器の木地(木胎)の代わりに陶胎の漆器を創るわけですから茶碗であれ鉢であれ、陶土(つち)を薄くひき、持ち手に軽く(ロクロ名人でないとできない技) さらに漆の付きを良くするため、釉薬を使わず、硬く焼き締めますのでロクロの技が、重要です。
a0212807_01040220.jpg現在(いま)、私は、ロクロの回転に惑わされつつ毎週、陶土(つち)と格闘 ‥ ほんの一瞬、指先に土の精が、降りてきた感触を感じるときもありますが、それも束の間 またスゥーとどこかへ行ってしまいます。
お手本を示す師のロクロ上の土は、まるで生き物のよう ‥ 伸びたり縮んだり、広がったり狭くなったりと自由自在、不思議な軟体生物が、ロクロの上で動いているように思えます。
惚れ惚れしながら見入り、我を忘れていると「分かった!?」との師の声で現実に戻り「分かりません。」と私、水浸しになったロクロから土を飛ばし胸から足元まで泥んこになりながら作陶修行しています。



by blues_rock | 2018-03-27 12:00 | 金継ぎ/古美術/漆芸 | Comments(2)
フィリピンのスラム街を舞台にストリートチルドレンの少女 ブランカ(サイデル・ガブテロ2004~、初めての映画出演かつ初主演)と、ホームレスの盲目のギター弾き ピーター(ピーター・ミラリ、映画の撮影後ヴェネツィア国
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際映画祭での公開を待たずに病死)の心の交流を描いた2015年のイタリア映画で、監督・脚本が、日本人の長谷井宏紀(1975~、ポーランド国立映画大学出身、新人監督対象の新藤兼人賞を受賞)です。
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フィリピンのタガログ語映画「ブランカとギター弾き」が、イタリア映画になっているのは、ヴェネツィア国際映画祭出資(プロデュース)だからで 長谷井宏紀監督の脚本と企画が、ヴェネツィア国際映画祭の制作プロジェクト対
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象作品に選ばれたからです。
長編映画監督デビュー作品となった「ブランカとギター弾き」のキャストを長谷井監督は、主人公のブランカを演
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じる11歳の少女サイデル・ガブテロ(YouTubeの少女歌手)を抜擢した以外、もう一人の主人公である盲目のギター弾き ピーターも含め、劇中ブランカとピーターに関わるストリートチルドレンのセバスチャン少年役のジョマ
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ル・ビスヨやラウル少年役のレイモンド・カマチョなど映画に登場する人物たち皆なストリートで見つけてキャスティングした素人俳優たちと云うから驚きです。
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日本人の撮影監督 大西健之が、撮ったスラム街の喧騒と猥雑にして色鮮やかな風景をバックに瑞々しくもリアルな彼らの演技は、見事と云うしかありません。
コスモポリタン映画「ブランカとギター弾き」は、リアルにしてファンタジーな映画です。

by blues_rock | 2018-03-25 00:05 | 映画(シネマの世界) | Comments(0)
a0212807_09072395.jpg二十歳のころ、寝食を忘れて油絵を描くことに夢中になり、自室で描けないような大作(50号~100号)は、大学美術部の専用アトリエで描いていましたので制作のため日曜日も含め毎日通学、授業には出席しなかったものの、この大学生活の4年間が、もののけにとり憑かれたように人生で最も集中して絵を描いた時間でした。
a0212807_09073670.jpg当時は、今のように高性能デジカメやスマホで何でも気楽に撮れる時代ではなく、気になる モチーフが、目に入るとスケッチブックやクロッキー帖を出し写生(デッサン)して記録するしかなく、その分、自分の眼で対象をしっかり観察していました。   (下写真 : 田んぼの「雨あがり」を描いた10号の油絵)
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私の心をかき乱し、‘絵を描くことに夢中’となり、憧れたのが、画家 山口薫の絵でした。
今でも最も敬愛する画家を一人挙げよ、と云われたら「山口薫」と私は、即座に答えます。
a0212807_02260833.jpgしかし、私が、当時描いていた心象風景画は、描けば描くほど山口薫の絵の‘呪縛’から逃れられず、いつしか絵具箱を閉じ絵筆を仕舞い 気を紛らわすかのように 漆工芸の「黒田辰秋」・「松田権六」の作品を眺め、若かりしころより敬愛する白洲正子さんの美意識と慧眼に改めて触発され古志野や古唐津の茶碗に魅かれ、六古窯古陶a0212807_09080480.jpgの簡潔な美しさに心ときめくようになりました。
今年になり、私は、押し入れの中にあった二十歳のころの油絵を取り出し改めて眺め、これを漆の変わり塗り(唐塗り)にしてみたいとの衝動に駆られました。
漆の特性や漆芸技法を知らない私は、「今日は 残りの人生 最初の一日」(1999年映画「アメリカン・ビューティ」の中のセリフ)と思いながら漆に塗(まみ)れています。

by blues_rock | 2018-03-23 00:03 | 金継ぎ/古美術/漆芸 | Comments(0)
現在公開中(KBCシネマ)のチリ映画「ナチュラルウーマン」は、主人公マリーナを演じたトランスジェンダー(LGBT)の俳優(女優かな) ダニエラ・ベガ(1989~)を見る映画です。
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チリのセバスティアン・レリオ監督(1974~、脚本・共同製作)が、同国の性同一性障害の歌手 ダニエラ・ベガを主人公のマリーナに抜擢、初老の恋人を深く愛し、一生懸命自分らしく女性であろうとし、まわり(社会)の差別a0212807_21570983.jpgや偏見と闘う性同一性障害の男性(性転換せずにありのままの姿で女性であろうとするファンタジック ウーマン)マリーナを描いています。
チリ代表の作品としてアカデミー賞外国語映画賞を受賞、ベルリン国際映画祭では、レリオ監督が、脚本賞を受賞しています。
主人公マリーナは、ウェイトレスをしながらナイトクラブの歌手として働くトランスジェンダーの女性でした。
a0212807_21571661.jpgマリーナは、歳の離れた恋人のオルランド(フランシスコ・レジェス 1954~)と幸せに暮らしていましたが、オルランドは、誕生日を祝った夜、脳溢血で倒れました。
最愛のオルランドの突然の死で、警察や病院、オルランドの元妻や子供たちから容赦ない攻撃(差別や偏見による侮辱)をマリーナは、受けました。
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教会に安置された最愛の人への‘最期の別れ’もさせてもらえず‘変態’とか‘化け物’など罵詈雑言を浴びながらも理不尽な現実への怒りは、自室のパンチボールにぶつけていました。
a0212807_21573300.jpgマリーナは、葬儀後に誰もいなくなってから故人のゴーストに導かれオルランドが、安置されている部屋へ行き最期の別れをしました。
そして、凛としてあるがままな女性(ナチュラルウーマン)として生きていく決意をしました。
フランスの撮影監督 ベンハミン・エチャサレッタ(1975~)が、撮ったシャープな映像も秀逸です。
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(上写真 : 日本の若者とディスカッションするトランスジェンダーの俳優ダニエラ・ベガ)

by blues_rock | 2018-03-21 00:01 | 映画(シネマの世界) | Comments(0)
昨年秋、拙ブログ「作陶 木の葉」の記事(後半)で、拾った枇杷の枯れ葉に、拭き漆していることを書きましたが、あれ以来、枇杷の葉っぱを見ると無性に ‘枇杷の葉器’ を創りたいと想うようになりました。
そこで、枇杷の木をしげしげ眺め、大きくて形の良い、あまり疵のないものを選び、新聞紙に一枚一枚挟むよう
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に包み重石(ウエイト)を乗せて水抜きと葉の反りを均すために半月(2週間)くらい押し花の要領で下準備しました。
2週間くらい経ったら‘器になりそうな’葉っぱを選び(10枚押し花して3、4枚残れば好い方)、枝に付いていたほうの先端を糸で括り、室内の乾燥している邪魔にならない場所に吊るして 1か月くらい乾燥させました。
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色は、緑ながらカラカラに乾いたら下地の出来上がり(上写真、カラカラに乾いた緑の枇杷の葉)、それから生漆なり木地呂漆なりを塗り漆室で乾かしまた塗り乾かしを納得できる(気に入る)まで繰り返します。
一回の作業工程は、概ね一週間が、目安です。
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10回(2か月くらいかな)も漆を塗り重ねれば、枇杷の葉っぱも漆のチカラで強固になり美しい光沢になります。
上写真の枇杷の葉っぱが、欠けているのは、落ち葉を拾ったからながら、これもまた風流、侘び寂びです。
遊びをせんとや生れけむ、戯れせんとや生れけん ‥ です。

by blues_rock | 2018-03-19 00:09 | 金継ぎ/古美術/漆芸 | Comments(0)
メキシコの鬼才 ギレルモ・デル・トロ監督(1964~)の最新作(原案・製作・脚本・監督)「シェィプ・オブ・ウォーター」(原題「The Shape of Water」 水のかたち)は、今年のアカデミー賞で作品賞を受賞、デル・トロ監督が、監督賞、フランスの名作曲家 アレクサンドル・デスプラ(1961~)が、音楽賞、アメリカのプロダクションデザイナー
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ポール・D・オースターベリーは、美術賞とアカデミー賞4部門で受賞しました。
これに先立つ昨年2017年9月のヴェネツィア国際映画祭で金獅子賞(グランプリ)を受賞、今年のアカデミー賞各部門でノミネートされ、アメリカ各都市にある映画批評家協会賞でも軒並み受賞しており、デル・トロ監督のa0212807_21430197.jpgシュールで、ファンタスティックなロマンス映画「シェィプ・オブ・ウォーター」は、下馬評通りアカデミー賞大本命の作品が、受賞といえるでしょう。
デンマークの撮影監督 ダン・ローストセン(1954~)の映像が、すばらしく、主人公ふたりの神秘的なファンタジーロマンス(R18+指定の大人のメルヘン、芸術に1箇所〇ボカシを入れた映倫の下品が恥ずかしい)を赤や青の照明(スポットライト)で醸し出しながら一方では、アメリカa0212807_21431057.jpg社会を覆う卑劣でエゴむき出しの恥も外聞もないハレンチな人間のリアリズム(傲慢と貪欲)をダークな色調でデル・トロ監督の意図した演出に見事に応えています。
映画のプロットは、アマゾンの奥地で捕獲された水中で生きる不思議な生き物(半魚人のようなクリーチャー)と発音障害(聴覚はあるがしゃべれない)の女性とのロマンスです。
1962年、ソ連との冷戦下のアメリカ、航空宇宙開発センター内にある軍管轄の秘密研究所で清掃員として働くa0212807_21431516.jpg女性 イライザ(サリー・ホーキンス 1976~)は、研究所に密かに運び込まれた ‘不思議な生き物(クリーチャー)’ を清掃中に目撃しました。
イライザは、アマゾン河の奥地で、原住民から神として崇められていたというクリーチャー(ダグ・ジョーンズ 1960~、デル・トロ監督作品の常連俳優)に心を奪われました。
幼児期に首を怪我したことで声の出ないイライザは、手話で話していましたが、ハンディキャップのある掃除婦a0212807_21433307.jpgの自分をありのままに見てくれるクリーチャーとの言葉の要らないコミュニケーションにイライザは、彼(クリーチャー)と次第に心を通わせていきました。
ソ連との宇宙開発競争に後れをとるアメリカ政府と軍は、強靭で知能のある不思議な生き物のクリーチャーを絶対服従させ有人宇宙飛行の実験動物にしようとしていました。
威圧的で傲慢な軍人 ストリックランド(マイケル・シャノン 1974~、今までにない非人間的でサディステックな役a0212807_21433706.jpgが印象的)は、言うことを聞かないクリーチャーに苛立ち暴力を振るい、虐待したあげく生体解剖して構造を調べると宣言しました。
傲慢なストリックランドと対立するクリーチャー研究グループのリーダー ホフステトラー博士(マイケル・スタールバ 1968~、じつはソ連のスパイ)は、ソ連本国からクリーチャー研究についての情報収集と併せアメリカの研究を妨害する工作、それが済んだらクリーチャーを抹殺(殺害)するよう指令を受けていました。
a0212807_21434276.jpgイライザは、ルームシェアしている初老の画家 ジャイルズ(リチャード・ジェンキンス 1947~、独身女性のイライザと同居するジャイルズをゲイにする脚色も面白い)と同僚の黒人女性ゼルダ(オクタビア・スペンサー 1972~)を巻き込んで「彼を救わなければ、私たちは、人間じゃない!」とクリーチャーを研究所から運び出しました。
肉を切り血しぶきの飛ぶ暴力と相俟って当然のことのように人種差別、男女差別、少数者差別、異端差別などa0212807_21441802.jpgの‘差別’のオンパレード、1960年代のアメリカ社会を映し出すようなドス黒い、リアルなシークエンスとその対極にあるファンタジックで美しい異色のラブシーン映像の合体は、奇怪なファタジー映画監督の印象が、強いデル・トロ監督の新境地なのかもしれません。
今またアメリカは、自分たちが、選んだアホウなフェィク大統領によって国家の分断と人種差別による国民対立という忌まわしい先祖返りをしています。
a0212807_21442335.jpgわずか150年前、アメリカ国家を二分し70万人の国民が、戦死した内戦、南北戦争(第二次世界大戦のアメリカ将兵戦死者数は40万人)を経験したはずなのに、また同じ過ちを繰り返そうとする一部の愚かなアメリカ国民へのギレルモ・デル・トロ監督のアンチ・メッセージ映画かもしれません。

by blues_rock | 2018-03-17 21:33 | 映画(シネマの世界) | Comments(0)
アメリカの名監督 ミロス・フォアマン(1932~、1975年傑作「カッコーの巣の上で」他 アカデミー賞監督賞2度受賞)に師事したリサ・チョロデンコ監督(1964~)が、秀作「キッズ・オールライト」(2010)の前に撮った2002年作品
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「しあわせの法則」を見て、名匠フォアマン監督の薫香を受けただけあって ‘映画作りの上手い女性監督だなあ’と感心しました。
a0212807_21061878.jpg主演は、今年 2度目のアカデミー賞主演女優賞(1996年「ファーゴ」、2017年「スリービルボード」)を受賞したフランシス・マクドーマンド(1957~)ならびに名優 クリスチャン・ベール(1974~、1987年のスピルバーグ監督作品「太陽の帝国」でスクリーンデビュー、当時13歳ながら秀逸な演技に感心)およびイギリスの美人女優 ケイト・ベッキンセール(1973~)と同じくイギリスの舞台女優 ナターシャ・マケルホーン(1969~、1996年「サバイビング ピカソ」のフランソワーズ・ジロー役でスクリーンデビュー)a0212807_21060916.pngが、1960年代後半から1970年代初めの、精神の自由と性の解放(快楽)を求めたヒッピー・ムーヴメントさ中のロサンゼルス、ローレル・キャニオン(この映画の原題「Laurel Canyon」)を舞台に、男女4人それぞれの ‘カウンターカルチャーロマンスのゆらぎ(愛の不確実さ)’ をリアルに演じています。
a0212807_21065506.jpg1960年代の音楽と背景(時代の空気感)を見事に醸し出しているのが、音楽監督のクレイグ・ウェドレン(1969~、2003年音楽映画「スクール・オブ・ロック」の音楽監督)と撮影監督のウォーリー・フィスター(1961~、名匠クリストファー・ノーラン監督 1970~の盟友にして常連撮影監督)の2人、ともに映画の時代背景である1960年代生a0212807_21062559.jpgまれなのも面白いと思います。
ハーバード大学医学部出身の精神科医師サム(クリスチャン・ベール)と遺伝学博士論文執筆中の同窓の妻 アレックス(ケイト・ベッキンセール)は、サムのロサンゼルス臨床研修のため、サムの母でヒッピーロック音楽の辣腕プロデューサー ジェーン(フランシス・マクドーマンド)が、使っていない家を借りて住むことにしていました。
a0212807_21070292.jpgサムとアレックスの2人が、空き家であるはずのローレル・キャニオンの家に着くと母ジェーンは、若い愛人と一緒に彼のロックバンドの新曲をプロデュース(収録)中でした。
自由奔放な母ジェーンと頭脳明晰にして堅物の一人息子サムとは、親子ながら正反対の性格で不仲、何かにつけて対立していました。
ロサンゼルス郊外ローレル・キャニオンの静かな環境は、愛する妻アレックスの博士論文執筆に最適と考えてa0212807_21072016.jpgいたサムでしたが、またも見事に裏切られ、さっそくアパートを探し始めました。
アメリカ東海岸の名門育ちのアレックスは、最初こそ西海岸の自由奔放なヒッピー文化に面食らっていましたが、夫サムの母ジェーンと次第に打ち解け、庭のスタジオで収録しているロック音楽を聴いてバンドを見ているうちにアレックスは、今までにないリラックスした心の解放a0212807_08035687.jpgを感じるようになりました。
サムは、研修先の病院で魅力的な研修生のサラ(ナターシャ・マケルホーン)と知り合い親しくなっていました。
そして、新婚のサムとアレックス二人のゆるぎのなかった相思相愛のロマンスが、ゆらぎ始めました。
映画のエンディングが、秀逸です。
お互いのすれ違いでひと悶着あったサムとアレックスでしたが、サムは、妻アレックスに「君が、いないと駄目だ」と詫び抱きしめて、元のさやに納まるかに思えました。
アレックスと仲直りしたサムでしたが、一旦は、男女の仲になりかけていたサラから自宅にかかってきた電話で「私は、決してあきらめない。」と熱愛の告白をされ、それまで自分は、「妻を愛しているから」と拒んでいたサムでしたが、近くにいる妻アレックスに聞こえないよう「すぐにかけ直す」とサラに答えて映画は、終わります。
不穏を残して終わるロマンス映画に秀作が、多いのも、ロマンスの本質である「ゆらぎ」を描いているからでしょう。

by blues_rock | 2018-03-15 00:05 | 映画(シネマの世界) | Comments(0)
私の好きなルネサンス期の画家フェルメール(プロファィルを知りたい方は、盗まれたフェルメール「合奏」の ‛フェルメール’ をクリックしてください)は、自作(フェルメールの作品で現存するのは34点、怪しい1、2点を含む)に多くの楽器を描いています。 (下写真 : ヴァージナルを弾く女性)
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私は、これまでフェルメールの絵を見るたびに絵の中の楽器は、どんな音を奏でていたのか、ずっと気になっていました。
知識として知っているのは、楽器の名前くらい、バロック音楽のレコードやCDで音を聴いていましたa0212807_12441598.jpgが、楽器の生音を直接聴いたことは、ありませんでした。
そのヨーロッパの古代楽器、リュート、バロックギター、チェンバロ、リコーダーなどの生のアコースティック音を太田耕平さんのコンサート(今まで3回ながら)で聴かせていただき、フェルメールの絵の空気感に浸りました。
16、17世紀当時のヨーロッパ、ルネサンス期の人たちは、こんな音色を聴いて生活していたのか、今のように、いつでもどこでもでは、なかったでしょうから、新鮮で美しい音に感動したことでしょう。
a0212807_12442034.jpgいま耳障りな雑音が、氾濫し過ぎているので、自分の好きな音、美しいと感じる音を聴くために自分の意思で余計な音を遮断する(断捨離する)ことも必要です。
つまらない人間関係やくだらない情報、いわんやテレビなど即刻、断捨離しましょう。
音楽に話を戻して云うならば、私は、聴いてどきどきワクワクする 心ときめく音だけが、音楽と思っています。
フェルメールの絵にパイプオルガンを描いたものは、ありません(フェルメールのアトリエに入らないからです)a0212807_13142572.jpgが、パイプオルガンの音色もフェルメールの静謐な世界に導いてくれます。
今までキリスト教の教会や映画のシーンで、何気に聴いていたパイプオルガンですが、数千本の筒(パイプ)で構成された楽器で奏でる重低音から高音域までの音色は、いつ聴いても天上の音楽のよう ‥宇宙の旅をしながら宇宙船の中で聴いているような悠久な気持ちにさせる音色です。
どこにであるような楽器ではなく、福岡でコンサートできるパイプオルガンは、福岡女学院の講堂、西南学院ランキンチャペルとホテル日航福岡の教会(左写真、私も実際 聴いたのは、ホテル日航福岡で一度だけ)の 3か所しかなく、パイプオルガンの生の音を直接聴く機会が、ありませんでした。
私は、友人のパイプオルガン奏者 野美山由加里さん(2014年のYouTubeから、リハーサル風景とコンサート
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模様を貼付しました)にコンサートの早い実現をお願いしているところです。
もし、実現した暁には、拙ブロクにお立ち寄りくださる皆様方にお知らせしたいと思います。
(付録 : 外国の方が、タイムラプス撮影した野美山由加里さんの 普段の練習風景 です。)

by blues_rock | 2018-03-13 00:03 | 音楽(Rock ほか) | Comments(0)