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心の時空

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a day in my life

カテゴリ:映画(シネマの世界)( 991 )

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LGBT映画という カテゴリーが、映画のジャンルにあるのかどうか、私には、分かりませんが、フランスの名匠フランソワ・オゾン監督(1967~)は、自らゲイであることを公表していることもあり、オゾン監督作品のほとんど(全a0212807_13203262.jpg部かも)に LGBTの主人公か、主人公にからむ主要な人物に 必ずゲイ(の男女)が、登場いたします。
この2005年作品「ぼくを葬る」(作品原題「Le temps qui reste」 残された時間)もまた ‘ヒンヤリした映画’ ながら、見逃していたオゾン監督作品であること、フランスの美男俳優にして名優でもあるメルビル・プポー(1973~)が、主演なので見ました。
a0212807_13203734.jpgメルビル・プポーは、ゲイの役柄が、多く2005年「ぼくを葬る」の主人公で、ゲイのカメラマン、2009年「ムースの隠遁」は、ゲイの主人公で、バイセクシャルの兄役、2012年「わたしはロランス」の主人公であるゲイの高校教師役など、メルビル・プポー本人もゲイではないかと(ちなみに彼は、ヘテロで妻子あり)想わせるくらい適役で上手いゲイの役を演じます。
a0212807_13204001.jpg「ぼくを葬る」には、フランスの名女優 ジャンヌ・モロー(1928~2017)が、メルビル・プポー演じる主人公の祖母役で、実在感(リアリティ)あふれる田舎に隠遁した偏屈な老女を名演、日本の名女優 樹木希林(1943~2018)演じる偏屈な老女の演じぶりと比較し見てみるのも一興です。
a0212807_13210075.jpg併せて、イタリアの名女優 バレリア・ブルーニ・テデスキ(1964~、2013年「人間の値打ち」、2015年「アスファルト」)が、出番は、少ないものの 不妊症の夫をもつレストランのウェイトレス役で出演、余命いくばくもない31歳のゲイの主人公に精子提供を依頼する(愛する夫と一緒にベッドに入りセックスし精子提供してもらう)貞淑な中年女性役を好演しています。
a0212807_13210379.jpg女性の名撮影監督 ジャンヌ・ラポワリー(1963~)が、オゾン監督の演出を情感あふれる映像で撮影、さらにオゾン監督作品の常連である音楽監督フィリップ・ロンビ(1968~)の情緒あふれる音楽は、演出と映像を引き立て主人公の哀しみを切なく表現しています。
a0212807_13211778.jpg映画のストーリーを簡単に云うと、ファッション雑誌の売れっ子カメラマンであるロマン(メルビル・プポー)は、撮影中突然、倒れました。
ロマンが、病院で精密検査すると「末期のガンで余命は、あと3カ月」と告げられました。
ショックを受けたロマンですが、化学療法を勧める医師の治療を拒否、ゲイの恋人(セックスシーンの演出で オゾン監督が、メルビル・プポーにペニスa0212807_13212040.jpgを勃起させ、それをリアルに撮らせたゲイの監督らしい ‘こだわり’ を私は、いたく感心!映像も無修正)にも伝えず、両親にも仲違いしたまま犬猿の仲(子供のころは、大の仲良しだった)の姉にも言いませんでした。
ロマンは、仕事をすべてキャンセルし、パリから遠く離れた田舎に一人で暮らす祖母(ジャンヌ・モロー)を訪ね、自分の命が、あと3か月であることを伝えました。
祖母の家を訪ねる途中、立ち寄ったレストランで働く中年女性(バレリア・ブルーニ・テデスキ)から突然「ぶしつa0212807_13212386.jpgけながらお願いがあります‥」と精子提供を依頼されました。
このレストランの店主で彼女の夫が、不妊症であること、妻である彼女は、子供を諦めきれず、偶然来店した物静かな若くハンサムで知的な雰囲気のロノンに一目惚れしました。
ロマンは、自分が、ゲイであること、子供嫌いであることを彼女に伝えました。
a0212807_13212626.jpg今まで想像もしなかった自分の悲劇にどう対処すべきか分からず混乱するロマンは、残された余命3か月の生(命)に何の意味が、あるのか、どうすればいいのか、苦悩するばかりでした。
祖母から「なぜ 自分にだけ余命3か月であることを言うのか」と問われたロマンは、「あなたは、間もなく死ぬ人だから、ボクの気持ちが、分かるはず」a0212807_13213394.jpgと答えました。
祖母から奇跡を信じ化学治療を受けるよう勧められたロマンでしたが、苦しむのは、嫌だと答え「今夜一緒に寝て欲しい」と祖母のベッドに入りました。
祖母と別れたロマンは、レストランを訪ね、精子を提供するが、自分は、もうあまり時間のないこと、必要なら今すぐ提供したい、とレストランのオーナー夫婦に伝えました。
精子提供(ロマンと夫婦、三人の セックスシーンを撮るオゾン監督の演出は、ゲイのラブシーンのこだわりに比a0212807_13213651.jpgべ、子作りのための性行為と云った実にあっさりとしたもの)を終えたロマンに夫婦から、間もなく妊娠したとの連絡を受けるとすぐ夫婦を伴って弁護士に会い、自分の全財産を産まれてくる子供に遺すと遺言書を作成しました。
死期に向け、どんどん痩せていくロマン(メルビル・プポーの役作り減量が、すばらしい!)は、子供のころ家族一緒に行った海岸に行き海を眺め浜辺に横たわると静かに目を閉じました。

by blues_rock | 2019-02-16 00:16 | 映画(シネマの世界) | Comments(0)
a0212807_10420567.jpgイギリスの女性映画監督 リン・ラムジー(1969~)が、2017年に撮った秀作「ビューティフル・デイ」は、女性とは想えない骨太(ハードボイルド)なバイオレンス&サスペンス映画でした。
その「ビューティフル・デイ」の前 2011年に撮ったのが、サイキックなホラー映画「少年は残酷な弓を射る」(We Need to Talk About Kevin)です。
「少年は残酷な弓を射る」は、母親に強い悪意とサイキックな執着心を抱く息子(少年)、我が子(=少年)から鋭い敵意ある視線(憎悪の眼差し)に射られ、悪意に満ちた仕打ちを受ける母親、この二人の関係を緊張感たっぷりに描いたなかなかの秀作です。
ラムジー監督の演出は、‘母親と少年の間にある背筋の凍るような緊張感’を、これでもかと云わんばかりに強調、この演出を名撮影監督 シーマス・マッガーベイ(1967~、2007年「つぐない」、2009年「ノーウェアボーイ ひとりぼっちのあいつ」、2016年「ノクターナル・アニマルズ」、2016年「ザ・コンサルタント」の撮影監督)が、親子(母親と息子)のただことではないミステリアスな関係をまさしくホラーのようa0212807_10423440.jpgな映像で撮っています。
サウンドトラックもイギリスのロックバンド レディオヘッドのジョニー(ジョナサン)・グリーンウッド(1971~、リン・ラムジー監督作品は、「ビューティフル・デイ」に続く音楽監督、2018年「ファントム・スレッド」の音楽監督、2007年「ゼア・ウィル・ビー・ブラッド」で音楽監督デビュー)が、琵琶の音色を想わせるような不気味なヒンヤリとした音で映画を見ている者に
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迫ります。
ちなみに、レディオヘッドと云えば、ジョニー・グリーンウッドと共にバンドの中心であったトム・ヨーク(1968~)もa0212807_10425555.jpgまた現在公開中の「サスペリア」の音楽監督を担っていますから、オルタナティヴ・ロックのレディオヘッドは、そこらに数多いるロックバンドでなかったことが、窺えます。
映画は、ミステリアスな親子関係を描いたサスペンス・ホラーなので ‘見てのお楽しみ’ と云うことにして、粗筋だけお話しすると自由気ままに生きていた旅行作家エバ(ティルダ・スウィントン 1960~)は、望まない妊娠で旅行作a0212807_10432699.jpg家のキャリアを捨て母親になりました。
生まれた息子ケビンは、幼い頃から母親のエバにだけなつかないで、手を焼かせ、また言うことも聞かず反抗ばかりしていました。
ケビン(エズラ・ミラー 1992~、2014年「ボヴァリー夫人」に出演)は、美しい少年に成長しますが、彼の反抗心は、ますます強まり母親への面当てのように父親(ジョン・C・ライリー 1965~)に甘え、誕生日に父a0212807_10433416.jpg親から買ってもらった洋弓(アーチェリー)に熱中しました。
そして、想像を絶する悪魔のような事件を起こしました。
この映画は、写真でお分りのとおり背筋が、ぞくぞくするショット(息子の幼児期から少年期までの母親を見るときの射るような視線の連続)を見る映画で、冷徹な演出、美しい映像と静かな音で見せるのが、真のホラー映画です。


by blues_rock | 2019-02-14 00:14 | 映画(シネマの世界) | Comments(0)
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映画は、漠然と小説家を目指すフリーターの青年ジョンス(ユ・アイン)が、幼なじみの女性ヘミ(チョン・ジョンソ)と街で偶然再会するシーンから始まります。
ヘミは、ジョンスの忘れている子供の頃のことを良く記憶していて彼が、私をいじめたとか、古い井戸に落ち死にかけa0212807_04094983.jpgた私を助けてくれたとか、楽しそうに昔話を語り、屈託のないヘミは、翌日自分へのアパートにジョンスを誘いセックス(壁の微かな光を見ているジョンスの困惑した表情が、秀逸)します。
そして、ヘミは、ジョンスにアフリカ旅行中の留守の間、猫の世話(猫の姿は、見えず映画の終盤に登場します)を頼みました。
旅行から戻ったヘミをジョンスが、空港に迎えに行くと、旅先で知り合ったという得体の知れない資産家の若いa0212807_04100082.jpg男ベン(スティーブン・ユァン)をジョンスに紹介、ヘミとベンの意味深長な関係、ジョンスも入れた刹那的な愛の三つ巴の奇妙な友情は、次第に不穏な緊張感を漂わせていきます。
ジョンスの実家は、農家で北朝鮮との軍事境界線(38度線)に近いパジュという村にあり父親が、警察沙汰の暴力事件を起こし裁判中なので牛の世話をするため自宅に帰っているとベンの運転するポルシェに乗ってヘミは、自分の故郷でもあるパジュ村にジョンスを訪ねて来ました。
3人は、夕暮れの庭先でパジュ村に沈む夕日を眺めながら食事をしました。
a0212807_04101975.jpgベンは、大麻を吸いながらジョンスに「私の趣味は、古いビニールハウスに放火して燃やすことだ。 そろそろまた燃やすころだ。」と事も無げに語りました。
酒と大麻に酔ったヘミが、夕焼けの美しい空に向かって服を脱ぎ上半身裸になり泣きながらアフリカで憶えたダンスを踊りました。
この夕焼けを背景に踊るヘミ(逆光線でシルエットのチョン・ジョンソの姿)が、美しく、同時に夕暮れのパジュ村a0212807_04102455.jpgを長回しで(ゆっくりパーンして)撮った幻惑的な風景は、必見のシークエンスです。
ヘミを複雑な想いで黙って見ていたジョンスにベンは、「ヘミを愛している。」と伝えました。
酔って気を失った彼女が、目を覚まし深夜ベンと帰ろうとするヘミに近付きジョンスは、耳元で「人の前で裸になるな。人前で服を脱ぐのは、娼婦だ。」と詰(なじ)りました。
ヘミを愛し始めたジョンスが、初めて感情的な言葉をヘミにぶつけたその日からヘミは、ジョンスの前から姿を消し連絡もなく電話にも出なくなりました。
a0212807_04100497.jpgジュンスは、必死でヘミの行方を捜しますが、ベンは、「また旅に出たのでは?」とヘミの存在などまるで気にしていませんでした。
ジョンスは、ベンが、ヘミのことを何か知っているはずと思い、彼の後を付け、ヘミの行方を必死で捜しました。
ジョンスが、錆びた農作業用のトラックでベンのポルシェの追うシーン、軍事境界線近くのパジュ村にあるジョンスの朽ちかけた農家とソウルの高級住宅街にあるベンの高級マンションとの映像の対比は、シリアスな韓国社会(万国共通かも)の格差をクールに映し出していてリアリティが、あります。
a0212807_04104058.jpgそれまで沈黙し抑圧していたジョンスの心(怒り)が、爆発し「バーニング(燃焼)」する長回しのエンディングは、 映画史に残る名ラストシーンだと私は、いたく感動しました。

(左写真) 撮影中のイ・チャンドン監督

by blues_rock | 2019-02-10 00:10 | 映画(シネマの世界) | Comments(1)
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2月1日からKBCシネマで公開されている韓国の名匠にして名プロデューサーである イ・チャンドン監督(1954~ 1999年「ペパーミント・キャンディー」監督、2009年「冬の小鳥」と2014年「私の少女」は、製作) の最新作「バーニング」(製作・脚本・監督)を見ました。
a0212807_04090572.jpgこの「バーニング」は、2018年カンヌ国際映画祭で国際批評家連盟賞(脚本賞)を受賞するも 同映画祭で‘パルムドール’(最優秀作品賞)を受賞した是枝裕和監督の「万引き家族」と最後までパルムドールを競った作品で是枝監督ファンの私は、「万引き家族」を傑作と評価するも、総合芸術の映画を評価する場合、むしろイ・チャンドン監督の「バーニング」の方に映画の本質を感じるほど、最近類まれなるミステリー映画の傑作と思います。
原作は、村上春樹が、1983年に発表した短編小説「納屋を焼く」とか、原作を読んでいないのでコメントできませa0212807_04082169.jpgんが、40ページの短編小説を映画化した「ハナレイベイ」(これは、原作を読みました)は、原作の短い物語をかなり膨らませて(脚色して)映画にしていますが、この「バーニング」原作の短編小説「納屋を焼く」は、ミステリー性のないバブル期の日本社会のアンニュイな物語で30ページくらいの短編とか、監督のイ・チャンドンと脚本を共同執筆した弟子の若手女性脚本家オ・ジョンミが、主人公3人のキャラクターを脚色し、今の韓国の若者たちの怒りや浮遊性を加え犯罪の匂いのする大胆なミステリー映画の脚本に仕上げました。
a0212807_04091131.jpgカンヌに集まった映画評論家たちは、最高の脚本と大絶賛、イ・チャンドン監督のキメ細かでスキのない演出と名撮影監督 ホン・ギョンピョ(1962~)の映像のトーンを暗くしたスクリーン、それを受けて名音楽監督 モグ(1972~、2010年「悪魔を見た」、2016年「密偵」の音楽監督)の打楽器とベース音をシンクロさせたサウンドトラックの不穏な音色、さらに主人公の3人を演じる若手俳優のユ・アイン(1986~)とスティーブン・ユァン(1983~)、オーディションで選ばれた映画初出演の新人女優チョン・ジョンソ(1994~)が、鬱屈した不穏な怒りを抱える今の韓国の若者たちを秀逸に演じています。
a0212807_04091530.jpg韓国社会の現在(いま)の閉塞感と若い世代の怒り、浮遊感を見事に表現、あまりのリアリティに韓国の若者たちは、身につまされるのか、韓国での動員数が、伸びなかったようです。
私は、これから「映画とは、何ですか?」と、人から尋ねられたら「バーニングを見てください。」と答えようと思うくらい、総合芸術性の高い映画と思います。
映画は、冒頭の静かな滑り出しから徐々に主人公たちの言っていることが、真実なのか嘘なのか、彼らに起きている事は、現実なのか幻想なのか、見ている者の心理を掻き乱しつつ、次第に異様な緊張感に包a0212807_04091868.jpg込んで 2時間28分の長編映画を「あっという間に終わった」と感じさせるでしょう。
イ・チャンドン監督と若手脚本家オ・ジョンミの師弟コンビが、書いた‘メタファ’(暗喩)に溢れた主人公たちのセリフ(字幕=脚本)をお聞き漏らし(字幕だからお見逃しかな)のないように、この映画を楽しめるかどうかの重要なポイントになります。(後編に続く)

by blues_rock | 2019-02-08 00:08 | 映画(シネマの世界) | Comments(0)
a0212807_01294342.jpg日韓両国は、お隣同士、戦後生まれの国民が、9割を占めるのにデストピア(不幸に向かう暗い未来)願望の何と多いことか、戦前(日韓過去2千年の歴史の中で起きたたった1910年から1945年 35年間の不幸な日韓併合事件)の‘暗い歴史の瑕疵(キズ)’を論(あげつら)うより、子供たちのためにお互い「二度と繰り返さない」未来志向の隣人になりたいと私は、心から願います。
この映画「道 白磁の人」は、高橋伴明監督(1949~)が、日韓併合時代の朝鮮半島(韓国)で乱伐された朝鮮半島の山々に「朝鮮五葉松」を植林し続けた夭折の林業家にして朝鮮民芸啓蒙家 浅川巧(1891~1931没、享年40歳)の短い生涯を渾身の情熱で描いた実話に基づく伝記映画です。
浅川巧は、1914年23歳のとき京城(現在のソウル)にいる朝鮮古陶磁研究家であった兄の浅川伯教を頼り、朝鮮総督府の林業試験場に就職しました。
映画は、主人公 浅川巧(吉沢悠 1978~)の朝鮮語の師で、林業試験場の作業員イ・チョンリム(ペ・スビン1976~)との 生涯変わらぬ友情を軸に、二人が、朝鮮a0212807_01300498.jpg半島の山(つち)には、朝鮮半島在来種の「朝鮮五葉松」が、最適であることを発見(発芽に成功)するも、朝鮮総督府の軍人らの、韓国住民への強権的で横暴な態度と併せ、庶民の日本帝国支配への抵抗(敵視)の狭間で二人は、苦悩します。
朝鮮の山を歩きながら二人は、「朝鮮五葉松」の植林を通して友情を育み、当時庶民の生活雑器であった「朝鮮白磁」の民芸品とa0212807_01301044.jpgしての美しさを発掘、その美術的価値を評価する兄の浅川伯教と民芸運動家の柳宗悦(浅川巧の人柄を‘白磁のような人’と称しました)と共に朝鮮民族文化(陶磁器や木工調度品など)を日本に紹介、韓国の人々にも啓蒙していきました。
浅川巧は、病気(急性肺炎)のため1931年(日本敗戦の14年前)40歳の時に亡くなりますが、生前「死んだら朝鮮の土になりたい」と遺言してa0212807_01301490.jpgいました。
朝鮮半島の植林(緑化)に生涯を捧げた浅川巧の墓は、いま朝鮮独立運動などに身を捧げ亡くなった韓国人しか埋葬されない‘忘憂里(マンウリ)共同墓地’にあり、彼の墓碑には、「韓国の山と民芸を愛し、韓国人の心の中に生きた日本人、ここ韓国の土となる」と刻まれ、現在も彼の遺志を受け継ぐ韓国の人たちから大切に維持管理されています。
a0212807_01483701.jpg映画にもありますが、浅川伯教、巧 兄弟とイ・チョンリムの収集した朝鮮古陶磁の数々は、朝鮮民族美術館となり、現在ソウルの国立民俗博物館(旧国立中央博物館)に展示され一般公開されています。
いまの日韓両国は、金切り声あげてお互い 諍(いさか)うばかりで 未来志向する気などまるでなく、その何と非生産的で後ろ向きなことか、実に情けない話です。
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映画の劇中、浅川巧とイ・チョンリムが、「日韓、お互い理解し合えると思うのは、夢かもしれない。 しかし、夢を追うことは、大切なことだと思う。」と語り合うシーンは、今まさに私たちに必要な未来志向の原点です。
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名映画音楽作曲家(名音楽監督)安川午朗(1965~)の静かながらドラマチックな音楽も秀逸でした。
「韓国の山と民芸を愛し、韓国人の心の中に生きた日本人、ここ韓国の土となる」と墓碑にあります。

by blues_rock | 2019-02-06 00:06 | 映画(シネマの世界) | Comments(0)
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昨年のカンヌ国際映画祭で‘パルムドール’(最優秀作品賞)を受賞した「万引き家族」の監督、是枝裕和監督(1962~)が、ドキュメンタリー映画監督から長編映画監督として撮った1995年のデュー作品「幻の光」を先日、
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福岡映画サークル協議会主催のシネラ(福岡市総合図書館映像ホール)で久しぶりに見ました。
是枝監督は、33歳のときに撮ったデュー作「幻の光」から56歳で撮った「万引き家族」まで23年間で13の長a0212807_10510130.jpg編映画を撮っています。
私は、是枝監督全作品13作を見て来ましたが、改めて「幻の光」(映画の詳細については、こちら をご覧ください)を見て、当時33歳の監督デビュー作とは、思えない何作も撮った巨匠監督のような風格と老練な演出に驚き改めて感動いたしました。
「栴檀は、双葉より芳し」とは、是枝裕和監督のことを云うのでしょう。
a0212807_10510437.jpg「幻の光」は、当時29歳の江角マキコ(1966~)が、女優として初出演(デビュー)した映画です。
是枝監督の演出のもと 新人女優の江角マキコは、静謐な演技で 理由なく自死した幼なじみの夫(死者)を弔えない苦悩に翻弄される女性ゆみ子を好演しています。
共演は、尼崎の下町で一緒に育ち結婚した幼なじみの亡き夫郁夫を浅野忠信(1973~)、能登半島 輪島市のa0212807_10510755.jpg鄙びた漁港で一緒に暮らす再婚した夫民雄を内藤剛士(1955~)、再婚した夫の父貴大を柄本明(1948~)が、ゆみ子の苦悩にシンクロするように静かに好演しています。
現在(いま) 是枝監督は、フランスで カトリーヌ・ドヌーブ、ジュリエット・ビノシュ、イーサン・ホークという名立たる名女優、名優が、出演する、是枝監督には、14作目となる新作を撮影中、公開されたらすぐ見に行こうと思っています。


by blues_rock | 2019-02-02 00:02 | 映画(シネマの世界) | Comments(0)
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昨年(2018年)大晦日、福岡市東中洲の大洋映画劇場でチリ出身の名匠 アレハンドロ・アメナーバル監督(1972~、監督と併せ製作・脚本も)の最新作(2015年サイコスリラー映画)「リグレッション」(Regression 後退)を見たa0212807_22593771.jpgものの記事にまとめ切れず、ぐずぐずしていたら早くも1月も終わりになりましたので今夜ご紹介いたします。
アメナーバル監督のサイコスリラーには、オーストラリアの名女優 ニコール・キッドマン主演の2001年秀作「アザース」(監督・脚本・音楽)が、あります。
アメナーバル監督作品には、サイコスリラーではありませんが、尊厳死をテーマにしたスペインの名優 ハビエルa0212807_22594159.jpg・バルデム主演の2004年心理劇の秀作「海を飛ぶ夢」(アメナーバル監督の脚本・製作・音楽)、イギリスの名女優 レイチェル・ワイズが、主演した4世紀エジプトに実在した女性天文学者を主人公にした2009年の歴史映画「アレクサンドリア」(監督・脚本)、スペイン内戦前夜の不穏な時代を描いた1999年の歴史映画の傑作「蝶の舌」では、音楽監督を務めてa0212807_22594327.jpgいます。
サイコスリラー「リグレッション」の不気味な、そして不穏な空気感をアメナーバル監督演出の意を受けた撮影監督のダニエル・アラーニョ(1973~)が、見事な映像で表現しています。
サイコスリラーなのでストーリーは、これから見る人のために教えないほうが、良いのは、分かっていますが、それでは、シネマの世界に書けませんのでネタバレしないa0212807_22595840.jpgギリギリの線で骨子を紹介したいと思います。
映画の時代と舞台は、1990年アメリカ、ミネソタの小さな町です。
地元警察のケナー刑事(イーサン・ホーク 1970~)は、17歳の少女アンジェラ(エマ・ワトソン 1990~)が、父親から虐待を受けていると告発したことを受けて父親のジョン(デビット・デンシュク 1974~)を虐待容疑者として取り調べました。
a0212807_23001145.jpgしかし、被害者である娘のアンジェラも、訴えられた父親のジョンも記憶が、ともに曖昧で捜査は、一向に進展しませんでした。
ケナー刑事は、有名な心理学者レインズ教授(デビット・シューリス 1963~)に協力を求め、虐待事件の真相究明を進めるためケナー刑事が、被害者の少女アンジェラや加害(容疑)者の父親ジョンなど、関係者たちの記憶をリグレッションさa0212807_23001465.jpgせ辿っていくうち、この虐待事件は、単なる精神疾患の父親による家庭内暴力事件でなく、他にも町のあちこちで起きている不可解な事件(悪魔崇拝のカルト儀式)と関連しているのではないかと疑い始めました。
その時から、ケナー刑事も悪魔崇拝のカルトな悪夢にうなされるようになりました。
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そして‥あっと驚くエンディングを迎えます、と私が、こう述べると見たくなるでしょ!?
見たら気持ちが、すっきりすると思いますよ。
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(上写真) 主演女優のエマ・ワトソンに撮影の説明をする アレハンドロ・アメナーバル監督。
(下写真) 昨年(2018年)大晦日の中洲夜景、この後 すぐ新年(2019年)になりました。
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by blues_rock | 2019-01-31 00:01 | 映画(シネマの世界) | Comments(0)
私が、カナダのジョナサン・ソボル監督(1983~)作品を見るのは、この2018年映画「リベンジ・チェイス」(原題「The Padre」神父)が、初めてながら日本語タイトルの「リベンジ・チェイス」そのままに逃げる詐欺師(=ニセ
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父)と復讐のため追う(リベンジのためにチェイスする)元連邦保安官というシンプルなプロットと地味な構成の‘おもしろい’映画でした。
a0212807_00111993.jpg映画の舞台は、南アメリカのコロンビア、名優ティム・ロス(1961~)演じる飲んだくれの詐欺師でニセ神父が、名優ニック・ノルティ(1941~)演じる元連邦保安官ネメスの個人的な復讐心のために個人懸賞金までかけられ執拗に追いかけられコロンビアへ逃亡していました。
コロンビアの警察官ガスパル(ルイス・ガスマン 1956~、プエルトリコ出身)は、懸賞金5千ドル欲しさにネメa0212807_00112131.jpgスのニセ神父捜しに協力していました。
このむくつけし(無骨で無作法な)男3人にからむのが、コロンビアの美人女優バレリア・エンリケス(1994~)演じるレナで、8歳のとき両親を失くし教会の児童養護施設に収容されたもののたった一人の家族の妹をアメリカのミネソタに売られ教会の施設から逃げると妹を取り戻すためアメリa0212807_00112833.jpgカに行く(密入国する)資金稼ぎのため、まがい物の時計を大人たちに売りつけて暮らしていました。
そんなある日レナは、酔っぱらいながらスリの上手いニセ神父と出遭い、しつこく付きまとい軽犯罪で貯めた紙幣を見せながらコロンビアから自分を連れ出してくれるよう依頼しました。
a0212807_00113347.jpgリベンジ(復讐)のためチェイスする(追う)というプロットは、映画の定番で在り来たりながらティム・ロスとニック・ノルティという名優二人の渋い演技に加え、共演のルイス・ガスマンの泥臭い存在感と相俟って見ているとヒューマンな心打たれる心理劇映画になるから不思議なものです。
a0212807_00113592.jpgソボル監督の演出を名撮影監督のポール・サロッシー(1963~)が、外連味なく淡々と撮影、ニセ神父(ティム・ロス)と元連邦保安官(ニック・ノルティ)との間に横たわる怨念と復讐(過去の因縁)の顛末、それに合わせて2人にからむ浮浪の娘レナ(バレリア・エンリケス)の未来を暗示しながら幕を引くエンディングは、秀逸でした。

by blues_rock | 2019-01-27 00:07 | 映画(シネマの世界) | Comments(0)
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日本では、劇場未公開ながら私が、‘お一人さま映画劇場’で見た秀作映画の一つ、骨董に例えるなら 掘り出し物 の作品でした。
a0212807_22344474.jpg「ビリー・リンの永遠の一日」は、主人公の青年ビリー・リンの姉キャスリンを演じているのが、私の好きな名女優クリステン・スチュワート(1990~)でしたので、ずっと以前に見た映画ながら「若き名女優 クリステン・スチュアート ~ その3 シネマの世界<第786話の続き>」で書こうと思い、つい先送りしていました。
a0212807_22344873.jpg今夜、予定を変更しご紹介したいと思います。
イギリス・アメリカ・台湾共同製作の2016年作品「ビリー・リンの永遠の一日」(Billy Lynn's Long Halftime Walk)は、アカデミー賞監督賞を2度受賞した台湾の名匠アン・リー監督(1954~、2005年「ブロークバック・マウンテン」、2007年「ラスト、コーション」、2012年「ライフ・オブ・パイ トラと漂流したa0212807_22345513.jpg227日」と立て続けに秀作を発表)が、偶然の出来事でイラク戦争の英雄になった青年(一兵士)の心にわだかまる葛藤を通して ‘アメリカ社会の現在’(何でもフェィク!フェイク!とわめき散らす愚かなフェイク大統領を選んだアメリカ社会のポピュリズム)を鋭利に切り取った社会派映画です。
a0212807_22350357.jpgこれまた2度アカデミー賞撮影賞を受賞した撮影監督ジョン・トール(1952~)の映像が、すばらしく! とくに必見なのは、一兵士のビリー・リンが、イラク前線の戦闘で起きた事件の記憶を蘇らせる「ラスト12分」は、世界初という映像技術(120 フレーム/秒)を駆使した秀逸なエモーショナル映像です。
a0212807_22350694.jpgこの映画は、いまTSUTAYAでレンタルできますので「何か良い映画が、見たい」という映画ファンの方に見ていただけるようにドラマのポイントを紹介いたします。
2004年のイラク戦場で19歳の新兵ビリー・リンは、突然の敵の襲撃に動転、恐怖と目の前で上官の軍曹が、撃たれて倒れましたので咄嗟(とっさ)に激しい銃撃にも関わらず跳び出しました。
a0212807_22354278.jpgそれを従軍カメラのレンズが、偶然捉えていました。
その瞬間を映した映像が、全国放送のニュースで取りあげられるやビリー・リンの部隊は、一躍イラク戦争の英雄となり、軍から一時帰国させられ全国イラク戦争キャンペーンに(イラク戦争凱旋ツアー=戦意高揚のための宣伝部隊として)駆り出されました。
故郷の歓迎ぶりと裏腹にビリー・リンは、ただ騒ぐだけの大衆の嘘っぽさが、次第にイヤ(憂鬱)になり、芽生えたa0212807_22354572.jpg除隊しようという(再出兵をためらう)気持ちの一方で、イラク戦争のヒーローとして扱われる自分に違和感を抱くようになりました。
そしてビリーが、イラクへ帰る前日、凱旋ツアー最大の目玉として計画されたアメリカン・フットボールのハーフタイム・イベントでビリーは、自分たちの部隊に熱狂するふりをしているだけで敬意を抱いていない群衆を見ているうちにイラクの現実が、まるでウソa0212807_22360810.jpg(フェイク)のように思え、戦場での壮絶な体験と目の前の光景とのギャップに戸惑いました。
この映画でデビューしたイギリスの新人俳優ジョー・アルウィン(1991)が、主人公の青年ビリー・リンを好演、準主役として精神疾患PTSDを理由に除隊するよう勧める姉のキャスリン役にクリステン・スチュワート、戦死するシュルーム軍曹をビン・ディーゼル(1967~、「ワイルド・スピード」シリーズのアクション俳優ながらシュルーム軍曹a0212807_22363861.jpgの演技は、秀逸)、一方でテキサスのアメリカン・フットボール会場オーナーで大資産家ノームを演じるスティーブ・マーティン(1945~)の傲慢さと俗っぽさは、今のアメリカ大統領に被さり、そのアイロニー(皮肉)に笑ってしまいました。
また、祖国の英雄に祭りあげられたビリー・リン人気にあやかるべく自分の売名のためビリーに近づく鼻持ちならないキリスト教a0212807_22365925.jpg原理主義者の美人チアリーダー役をイギリスのポルノ女優マケンジー・リー(1979~)が、好演、わが国なら人気アイドル女優からAV(ポルノ)女優に変身するその逆パターンながらキャスト(妖艶な悪女、えげつない美女、したたかな娼婦など)によっては、良い女優になるかもしれないと妙なことを想像していました。

by blues_rock | 2019-01-23 22:30 | 映画(シネマの世界) | Comments(0)
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ドラゴンのタトゥーをした天才ハッカー、リスベット・サランデルを主人公した‘ドラゴンのタトゥーの女’(ミレニアム・シリーズ)第3弾の新作「蜘蛛の巣を払う女」(原題「The Girl in the Spider's Web」)を期待してみましたが‥
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「ミレニアム」の原作者スティーグ・ラーソン(1954~2004没、享年50歳、「ミレニアム」は、3部構成)のオリジナル原作から起こした脚本では、ないため(ミレニアム・シリーズ第4話「蜘蛛の巣を払う女」は、スウェーデンの作家a0212807_11093943.jpgダビド・ラーゲルクランツが、執筆)プロットのメインが、リスベット出生の秘密(謎の多い過去)と二卵性双生児の妹カミラとの確執が、中心となり前作シリーズより多いアクションも霞んでしまいました。
監督は、ウルグァイ出身のフェデ・アルバレス(1978~)で今回、主人公のリスベット・サランデルをイギリスの女優クレア・フォイa0212807_11105342.jpg(1984~)が、演じています。
2009年「ミレニアム3部作」は、スウェーデンの女優ナオミ・パラスが、2011年「ドラゴンのタトゥーの女」では、アメリカの女優ムーニー・マーラが、それぞれ個性的なリスベット・サランデルを演じました。
新作「蜘蛛の巣を払う女」のストーリーの骨子は、人工知能(=AI)の世界的権威フランスのバルデル博士が、開発した核保有国のa0212807_11104894.jpg核攻撃システムにアクセス(侵入=ハッキング)するプログラムが、図らずもアメリカ国家安全保障局(NAS)の手に渡りました。
核保有国の核攻撃システムへのアクセスプログラムを開発したことをいたく後悔したバルデル博士は、天才ハッカーのリスベットに「君しか頼めない。私が、犯した罪(核攻撃システムへのアクセスを可能にしたこと)を取り戻して欲しい。」と依頼しまa0212807_11105141.jpgした。
世界中のハッカーからスズメバチと呼ばれ一目置かれている天才ハッカーのリスベットにすれば、精巧なセキュリティのかかったアメリカ国家安全保障局(NAS)システムへの侵入は、簡単なはずでした。
だが、厳しい冬のストックホルムには、河も人の心も凍てつかせる陰謀が、渦巻いていました。
a0212807_11111870.jpgリスベットは、16年前に生き別れた双子の妹カミラが、元KGBに所属しその極秘組織を裏で操っていた亡き父親(=精神異常者で双子の姉妹は、彼の虐待の被害者であった)の後継者となり、スパイダーという秘密組織を率いて世界征服と自分を置いて逃亡した姉のリスベットを恨み、彼女の回りを蜘蛛の巣のように張り巡らした罠(怨念の復讐)であることに気づきました。
a0212807_11112115.jpg双子の妹カミラをオランダのシルビア・フークス(1983~、2013年「鑑定士と顔のない依頼人」、2017年「ブレードランナー 2049」に出演)、リスベットの協力者で雑誌「ミレニアム」の記者ミカエルをスウェーデンのスベリル・グドナソン(1978~)が、演じ、出番は、少ないもののミカエルの妻にビッキー・クリープス(1983~、2017年「ファントム・スレッド」で引退する名優ダニエル・デイ=a0212807_11111667.jpgルイスの相手役に抜擢)、さらにアメリカ国家安全保障局(NAS)の特別IT監視官アロナをラキース・スタンフィールド(1991~、2013年「ショート・ターム」で自殺未遂常習の黒人少年を好演)が、脇をしっかり固めています。
面白い映画ながら前作の2作品に比べインパクト(リアリティと云っていいかも)に欠けるのは、スパイダーというa0212807_11112435.jpg秘密組織の存在が、希薄なことと十重二十重に厳重なシステム防御(ブロック)されているはずの高性能クラウド・コンピューターへのアクセスが、あまりにも簡単過ぎ、すぐハッキングされるシーンの連続は、やや鼻白み、もう少し演出の工夫(メリハリとキレ)が、欲しかったと私は、思いました。

by blues_rock | 2019-01-21 00:21 | 映画(シネマの世界) | Comments(0)