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心の時空

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a day in my life

2018年 10月 08日 ( 1 )

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ポーランド出身の鬼才ロマン・ポランスキー監督(1933~)が、1965年に撮ったイギリス映画「反撥」(原題 Repulsion 嫌悪)は、フランスの名女優カトリーヌ・ドヌーブ(1943~)を主演に迎え、神経質で潔癖性の若い女性
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が、次第に幻覚(幻視・幻聴の‘統合失調症状’)に怯え殺人を犯していくスリラー映画の傑作です。
当時 22歳のカトリーヌ・ドヌーブが、美しく実に見事な演技を見せてくれ、私は、この映画で、名女優カトリーヌ・a0212807_01145502.jpgドヌーブの演技者としての才能を強く感じました。
ポランスキー監督は、1962年、ポーランド映画「水の中のナイフ」で監督デビュー、その才能が、世界で高く評価されたものの当時社会主義国のポーランドでは、黙殺されました。
1963年、表現の自由を求めてイギリスに渡り、ロンドンを舞台に撮ったイギリス映画が、「反撥」です。
映画は、全編英語でヌーヴェルヴァーグを彷彿とさせるモノクロ映像(カメラワーク)は、1959年のトリュフォー監督の「大人は判ってくれない」、同年のゴダール監督「勝手にしやがれ」を感じさせます。
「反撥」を製作するに当たって当時32歳のポランスキー監督は、撮影監督ギルバート・テイラー(1914~2013)が、1964年に撮ったスタンリー・キューブリック監督の「博士の異常な愛情 または私は如何にして心配するのを止めて水爆を愛するようになったか」とリチャード・レスター監督の「ビートルズがやって来る ヤァ!ヤァ!ヤァ!」を見て「反撥」の映像イメージが、浮かんだのではないかと思います。
カトリーヌ・ドヌーブは、「反撥」に出演する前年の1964年「シェルブールの雨傘」が、大ヒット、その悲恋の清純な娘ジュヌヴィエーヴの印象は、カトリーヌ・ドヌーブの美貌と相俟って彼女を一躍スターにしましたが、翌年出演した「反撥」の主人公キャロルは、悲恋の清純な娘の真逆で、精神に異常をきたした若い女性の殺人者でした。
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ポランスキー監督の演出とテイラー撮影監督のカメラは、‘ カトリーヌ・ドヌーブ ’をトラッキング、フォロー、さらに多様なクローズアップ、とくに精神錯乱のキャロル(カトリーヌ・ドヌーブ)をエクストリーム・クローズアップ(顔a0212807_01152919.pngの大写し)で捉え、それに応える新鋭女優カトリーヌ・ドヌーブが、息をのむ美しさで、秀逸にして文句なしの名演技でした。
音楽もまたすばらしく ジャズ・ドラマー チコ・ハミルトン(1921~2013)の激しいドラム音は、キャロルの不穏な精神を音で見事に表現しています。
a0212807_01153699.jpgキャロルの精神の変調要因になるのが、隣室に毎晩愛人を連れ込んでセックスする姉ヘレン(イヴォンヌ・フルノー 1926~)の喘ぎ声、アパートの隣にある教会の鐘の音、テーブルに放置された食べ残しのウサギのローストなどで、やがて神経質にして潔癖な処女のキャロルは、勤め先の美容院を無断欠勤するようになり、自室に引きこもり電話のベルにも怯え、電話線も切ってしまいました。
a0212807_01154771.jpg夜毎、見知らぬ男にレイプされそうになる悪夢、部屋の壁が、亀裂する幻覚、廊下の壁から差し出される男たちの腕 ‥ と妄想は、次第に広がり、少しずつキャロルの精神を壊していきました。
そして、キャロルのいるアパートの部屋で二つの殺人事件が、起きました。
キャロルは、ベッドの下でうずくまり気を失っているところを姉のヘレンと愛人、アパートの隣人や駆け付a0212807_01155010.jpgけた警察官たちに発見されました。
映画は、冒頭、キャロルの右目瞳孔を大きく映して始まり最後に、家族写真に写る少女時代のキャロルの不穏な目をクローズアップして終わります。

(左写真 : ポランスキー監督と打ち合わせるカトリーヌ・ドヌーブ)

by blues_rock | 2018-10-08 00:08 | 映画(シネマの世界) | Comments(0)