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心の時空

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a day in my life

2018年 06月 22日 ( 1 )

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イギリス出身の稀代の名優 ダニエル・デイ=ルイス(1957~、1989年「マイ・レフトフット」、2007年「ゼア・ウィル・ビー・ブラッド」、2012年「リンカーン」で3度のアカデミー主演男優賞受賞、歴代ただ一人)が、鬼才ポール・トーa0212807_07161061.pngマス・アンダーソン監督(1970~) の新作「ファントム・スレッド」(アンダーソン監督=製作・脚本・監督・撮影の4役)を最後に、俳優業から引退すると宣言、彼は、靴職人でもありますから、靴の専業職人になるのかもしれません。
引退の理由が、「映画の撮影中、突然の悲しみに包まれた」からとか、天才の気持ちを推し量ることなどできまa0212807_07162283.jpgせんが、どの映画に出演しても劇中のその人物に憑依したような怪演(名演とか熱演の域を超えた唯一無二の演技)を見せてくれた名優でしたので何とも‘もったいない’話です。
私が、ダニエル・デイ=ルイスと出遭ったのは、1988年にフィリップ・カウフマン監督が、撮った傑作「存在の耐えられない軽さ」のトマシュ役でした。
a0212807_07162544.jpgそれ以来、ダニエル・デイ=ルイスが、出演した主な作品は、ほとんど見てきましたが、新作「ファントム・スレッド」は、2007年の傑作「ゼア・ウィル・ビー・ブラッド」の鬼才ポール・トーマス・アンダーソン監督と天才俳優 ダニエル・デイ=ルイスが、2度目のタッグを組んだ作品です。
1950年代のイギリスを舞台に、ダニエル・デイ=ルイスが、演じるのは、カリスマ、オートクチュール・デザイナーa0212807_07162918.jpgのレイノルズで、彼のデザインしたドレスを着ることが、王侯貴族夫人方のみならず当時の上流階級の女性たちすべての憧れでした。
しかし、レイノルズは、表の顔と裏腹にたいへん神経質で 他者とのコミュニケーションが、大の苦手、毎日同じルーティンで生活しないと不機嫌な偏執狂(強迫観念症)でした。
a0212807_07163802.jpgある日、気晴らしに出かけた田舎のレストランで、アルマ(ヴィッキー・クリープス 1983~)という若いウェイトレスの容姿に興味を持ちました。
レイノルズは、アルマに声かけ、自宅アトリエに連れて帰ると、さっそく服を脱がせ、ベッドへ誘われると思っているアルマを尻目に、メジャーで彼女の体の寸法を細かく測り始めました。
a0212807_07164101.jpgレイノルズの姉シリル(レスリー・マンヴィル 1956~)は、弟レイノルズの豪華なファッションハウス(最新の高級服のメーカー)の事業管理をし、彼の人生にも大きな影響を与える人物でした。
シリルは、弟のレイノルズが、田舎で見つけた娘アルマは、ドレスのデザインにひらめきを与える ‘ドレス創造のミューズ ’として見ていると察しアルマをa0212807_07164658.jpg姉弟の自宅に迎え入れ、同居を始めました。
常に仕事をしているレイノルズは、食事中もデザイン画を描いていて、アルマが、トーストにジャムを塗る音、紅茶を混ぜるスプーンの音にも、眉をしかめ不機嫌になりました。
レイノルズは、自分のじゃまをしない限り身の回りの世話をアルマに任せ、アシスタントそして ‘最愛の人’ と思
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うようになりましたが、結婚する意思は、ありませんでした。
アルマは、レイノルズを愛するあまりレイノルズが、望まないことも ‘レイノルズのために’ と思い、少しずつ自分a0212807_07172312.jpgの気持ちを彼に押し付けるようになりました。
ここから映画は、レイノルズの偏愛とアルマの独善愛の交錯した ‘偏執狂的愛’ の物語(プラトニックSMラブ)になっていきます。
ダニエル・デイ=ルイスが、天才俳優と称される所以(ゆえん)に、役の人物に憑依する名演技にあり「ファントム・スレッド」では、ドレス・デザイナーの役作りのため ヴィクトリア&アルバートa0212807_07172705.jpg博物館に通い、2年間縫製(スレッド)を学び、実際、立派なドレスを自分で縫い、そのドレスを妻のレベッカ・ミラー(1962~、映画監督・脚本家・女優、劇作家アーサー・ミラーの娘)に着せたといいますから驚きです。
衣装を担当したマーク・ブリッジスは、2011年の傑作「アーティスト」(アカデミー賞作品賞・監督賞と併せ衣装デa0212807_07172598.jpgザイン賞など5部門で受賞)に続き「ファントム・スレッド」で 2度目のアカデミー賞衣装デザイン賞に輝きました。
音楽は、楽器なら何でも熟(こな)す多才なロック・ミュージシャン ジョニー・グリーンウッド(1971~、2007年ダニエル・デイ=ルイス 2度目のアカデミー賞主演男優賞受賞作品「ゼア・ウィル・ビー・ブラッド」や先日紹介した新作「ビューティフル・デイ」の音楽監督)でa0212807_07172987.pngエレガントに、時には、官能的に撮影監督でもあるアンダーソン監督のカメラクルーが、手持ちカメラで撮った数々の、美しい色鮮やかなドレスの映像とシンクロし見る者の視覚を刺激、映画は、“総合芸術”であることを私たちに改めて教えてくれました。

by blues_rock | 2018-06-22 00:02 | 映画(シネマの世界) | Comments(0)