
「お〜い、応為」は、大森立嗣監督(1970~、2013年「
さよなら渓谷」、2020年「
MOTHER マザー」)の新作ながら配役を見て、映画を見るのを 少し躊躇(ためら)いましたが、葛飾北斎の娘 応為(三女、本名 栄)を 主人公に

父親の 北斎との 父娘関係をプロットにしているので、21:50時からの レイトショウに駆けつけました。
主人公の北斎の娘応為を長澤まさみ(1987~)が、北斎を永瀬正敏(1966~)が、演じていて、この二人共に 名

女優、名優であることに 異を唱えるわけではないものの、これまで見た ‘北斎映画’、1981年「
北斎漫画」、2021年「
HOKUSAI」 の 2作と、どうしても、配役を比べてしまい、応為は、父北斎から 不美人であったために

「顎(あご)」と呼ばれていた容姿から想像しても 長澤まさみが、美人過ぎること、永瀬正敏の北斎も、「北斎漫画」の緒形拳、「HOKUSAI」の 田中泯演じる北斎に比べ ‘灰汁が無い’と感じました。

ともあれ、前の 2作は、北斎を主人公にしていますが、今回の「お〜い、応為」では、娘の応為が、主人公なので、北斎映画の新しい切り口と思います。

北斎父娘の ユニークな語り継がれる実話も、映画冒頭の絵師に嫁いだお栄が、絵師である夫の絵に 悪態ついて 離縁され、父北斎と暮らし始める エピソードなど、もっとデフォルメ(強調)された演出であったら、後に 絵師

葛飾応為となるお栄にインパクトを持たせるシーンになったと思います。
北斎、応為共に、散らかし放題で、部屋を片付けたり掃除したりする気など さらさら無く、ゴミ屋敷化した長屋で

大好物の饅頭食べながら、いつも着の身着のまま絵を描く 甘党の父北斎、娘の応為もまた父親に負けず劣らず 家事いっさい関心無く、煙草(長煙管)を燻らし、酒を飲み、父北斎と一緒に絵を描いていました。

北斎にとって応為は、娘であり、弟子であり、助手であり、共同制作者でもありました。
葛飾北斎ファンの私として 映画のストーリーに不満だったのは、絵師北斎父娘の暮らしを描いているのに、蔦屋

重三郎が、登場しないこと、北斎父娘は、一緒に春画(枕絵)を数多描いているのに、そのシーンが、無いことでした。

(余談ながら) 1998年、アメリカのライフ誌が、選んだ「この1000年の世界の歴史に偉業を残した 100人」の中に 日本人として、ただ一人「葛飾北斎」の名前が、あります。

浮世絵師 葛飾北斎 89年の人生で、晩年の 20数年を応為が、常時、北斎に付き添い、同居して一緒に絵を描き、北斎をして「美人画は、応為に及ばない」と述べていることからも、ライフ誌が、偉業を讃える 絵師葛飾北斎とは、「北斎と応為 父娘」(上 肉筆画 参照)のことを指していることになります。