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リー・ミラー(LEE)  シネマの世界<第1263話>

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キノシネマで 公開された映画「リー・ミラー」(原題LEE)を観ました。
傑作です。
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リー・ミラーを演じた主演の ケイト・ウィンスレット(1975~、50歳)の、VOGUEの トップモデルにして、シュールレアリズム運動のミューズ(とくに芸術写真家 マン・レイのモデルにして恋人)から 女性として突如、第二次世界大
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戦の報道写真家(従軍カメラマン)となった リー・ミラーに憑依したような 全身全霊の演技は、すばらしい!の一言です。
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監督は、「リー・ミラー」の製作者でもある ケイト・ウィンスレットが、強く望んだ(監督を熱望)女性の撮影監督 エレン・クラス(1959~、66歳)で、彼女にとって長編監督デビュー作品です。
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撮影は、名撮影監督 パベウ・エデルマン(1958~)で、映像が、リアルで すばらしく、撮影監督 繋がりの エレン・クラス監督との 息もぴったりでした。
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ケイト・ウィンスレットは、「写真を撮られる側ではなく、撮る側になりたい」と 写真家になった リー・ミラーの 強靭な そして不屈の精神と 真実への情熱、同時に 抑えきれない(隠された)恐怖心、幼女期からの 心的外傷、過酷
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な最前線と 目と鼻を覆う 死屍累々の 残虐非道なナチス強制収容所で目撃したもの、トラウマ、ストレス(うつ病)によりアルコール(ジン)に依存する 心身の疲労感まで、渾身の力で演じています。
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エレン・クラス監督の 演出 と リー・ミラーと云う 天才直情型の女性と関わる男性たちを演じた 共演俳優たちの熱演も光ります。
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リーの恋人 ローランド・ペンローズ役で アレクサンダー・スカルスガルド(1976~、49歳)、編集者デイヴィッド・シャーマン役でアンディ・サムバーグ(1978~、47歳)、友人 ソランジュ・ダヤン役で マリオン・コティヤール(1975
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~、50歳)と ベテラン俳優、女優たちが、準主演の役柄で主人公 リー・ミラー役の主演 ケイト・ウィンスレットと絶妙に絡み、映画の濃度を上げています。
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物語は、ある若い ジャーナリスト(ジョシュ・オコナー、1990~ 一脇役ながら映画の要所に登場、重要な役回し)が、70歳を迎えたミラーに 過去の体験を尋ねる回想形式で始まります。リー・ミラー(LEE)  シネマの世界<第1263話>_a0212807_09404472.jpg
常時、酒のグラス(リー・ミラーは、ジンを愛飲した)を手放さず、あきらかに過去のトラウマを引きずっている彼女の態度は、若いジャーナリストに つっけんどんながら、やがて少しずつ 彼に自分の過去を語り始めます。
南仏のリゾート地で、芸術家仲間たちと 気ままにヴァンカスを楽しんでいたリーは、ヨーロッパが、独裁者ヒトラー率いる ナチスドイツに侵略され戦争リー・ミラー(LEE)  シネマの世界<第1263話>_a0212807_09410681.jpg状態に追い込まれたことを知り、当時、女性は、最前線へは、立入り禁止でしたが、タイムの編集者デイヴィッドを連れ、単身戦争の最前線へ行き、戦場の後方にいて 何も知らされていないヨーロッパ諸国の国民始め アメリカ市民ほか 世界の人々に向け、戦争(最前線)の悲惨な現実をカメラに収めました。
リー・ミラー(LEE)  シネマの世界<第1263話>_a0212807_09411131.jpg映画の見どころは、ナチスドイツの敗戦と 同時にナチスの強制収容所を訪れ、悪臭を放つ ユダヤ人収容者たちの死体の山を前に、異臭に鼻を押さえ、吐きながら無我夢中で シャッターを切るシーン、自殺したヒットラー邸宅の浴槽に浸り、撮った有名な写真が、生れる史実を踏まえた経緯のシーンは、必見です。
リー・ミラー(LEE)  シネマの世界<第1263話>_a0212807_09411801.jpgしかし、リーが、撮影した最前線からの 極めて重要な報道写真は、ロンドンの イギリス版ヴォーグ誌編集長(アンドレア・ライズボロー、1981~)は、「過去を忘れたがっている人々にショックを与える」という判断で掲載しませんでした。
(その後、アメリカでタイム誌が、掲載しました。)
リー・ミラー(LEE)  シネマの世界<第1263話>_a0212807_09412354.jpgそれを知ったリーは、激怒、ロンドンのヴォーグに預けた写真を破壊、最前線で 生死の境をさまよい 艱難辛苦の末、撮影した大量のヨーロッパ戦線の 報道写真(第二次世界大戦の記録)をその後イギリスの片田舎に引き籠った 屋根裏に隠し 封印したことなどを 自宅の部屋で 若いジャーナリストに語りました。
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そして、エンディングに続くシークエンスは、エレン・クラス監督の演出が、実に秀逸でした。

by blues_rock | 2025-08-17 08:17 | 映画(シネマの世界) | Comments(0)
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