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バカ塗りの娘  シネマの世界<第1225話>

バカ塗りの娘  シネマの世界<第1225話>_a0212807_09013931.jpg
先日、日本映画の新作「リボルバー・リリイ」、「春に散る」、「バカ塗りの娘」 と 3作続けて見ました。
バカ塗りの娘  シネマの世界<第1225話>_a0212807_09014553.jpg「リボルバー・リリイ」(行定勲監督、1968~)は、綾瀬はるか(1985~、2015年「海街diary」が、記憶に新しいけれど 早や8年前の作品)を アクション女優に仕立てて撮った艶やかな 昭和浪漫たっぷりの ノスタルジックな娯楽映画です。
第二次世界大戦前の 日本帝国軍内の 陸軍と海軍との ‘対立秘話’ をプロットにするも 先の戦争に名前を残す重要人物を演じるキャストが、軽く、最後までベタな娯楽映画の域を出ませんでした。
瀬々敬久監督(1960~)の新作「春に散る」は、名優 佐藤浩市(1960~)と 新鋭の若手俳優 横浜流星(1996~)を主役に プロ・ボクシングの世界を描いた ヒューマン・ドラマです。
‘明日のジョー’ っぽさは、拭えませんでしたが、それは、それとして 過っての元名プロボクター役の 佐藤浩市と夜の街で絡み、彼からバカ塗りの娘  シネマの世界<第1225話>_a0212807_09014907.jpg クロスカウンターでダウンさせられた世界チャンピオンを夢見る青年ボクサー役の横浜流星(1996~)二人が、演じるプロボクサーとしての ‘役積み’は、お見事でした。
横浜流星を ジョーとするなら 彼が、劇中で タイトルに挑戦する世界チャンピオンをジョーのライバル力石は、世界チャンピオン役の窪田正孝(1988~)と云うことになりますが、彼の好演を以てしても プロボクサーのもつ強靭かつ精悍な体とは云えず、階級差の異なる ボクシングの試合を見ているようで少しシラケました。
と云うわけで今夜は、3作の中から「バカ塗りの娘」をご紹介いたします。
若手女性監督 鶴岡慧子(1988~、24歳で監督デビュー 現在35歳)の最新作(8作目)「バカ塗りの娘」は、青森県(弘前市)の伝統漆芸(津軽塗=唐塗・七七子バカ塗りの娘  シネマの世界<第1225話>_a0212807_09024734.jpg塗ほか)の職人親子(父娘)を主人公にした これもまたヒューマン・ドラマです。
ウンザリするくらい 幾重にも(バカ丁寧に)漆を塗っては、固め、そのたびに手間暇かけて(バカ丁寧に)研いで 磨いての工程を繰り返すことから‘バカ塗り’と呼ばれる伝統工芸漆器「津軽塗」へのバカ塗りの娘  シネマの世界<第1225話>_a0212807_09032740.jpg鶴岡監督の敬意が、演出にも表われ、津軽塗職人の工房と 漆を塗っては、研ぎ磨く作業をしている職人の手元を何度も クローズアップした映像で挿入、私のような 漆芸に興味を持つ者にとって興味津々の シークエンス(シーンの連続)でした。
実直な津軽塗職人役の小林薫(1951~)、その後継者になりたい娘役の 堀田真由(1998~)の好演が、光りました。
バカ塗りの娘  シネマの世界<第1225話>_a0212807_09033157.jpg元津軽塗職人で 今は高齢者介護施設で暮らす認知症の祖父役の 坂本長利(1929~、94歳)が、施設から抜け出し行方不明になるも彼は、過って自分が、制作した津軽塗の漆器類のある工芸館にいて、自分を必死で捜し心配している後継者の息子(小林薫)と 後継者になバカ塗りの娘  シネマの世界<第1225話>_a0212807_09034029.jpgろうとしている孫娘(堀田真由)の前で ポツリと「続けること、続けること、続けること」と 独り言のように呟き、その後亡くなりました。
映画は、オール弘前ロケで撮影されていますので四季折々の町の佇まいに リアリティが、ありました。
シネフィルとしてバカ塗りの娘  シネマの世界<第1225話>_a0212807_09034427.jpg小言を云うなら、孫娘が、淡い恋心を抱く青年と 彼女の兄との同性婚のエピソードならびに 廃校になった小学校に放置されている グランドピアノを孫娘は、津軽塗したさの一念で、真冬の音楽室で津軽塗をして、そのグランドピアノが、話題となり 国際的に評価されると云う シークエンスは、映画に今風なエンタメ性を持たせるためかもしれませんが、余計(蛇足)だったように思い、ちょっぴり残念でした。

by blues_rock | 2023-09-28 00:08 | 映画(シネマの世界) | Comments(0)
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