一晩中 デジタル・リマスター版 シネマの世界<第1223話>
ベルギーの女性監督 シャンタル・アケルマン監督(1950~2015没、享年 65歳) の映画祭2023が、KBCシネマで開催されていたので、1982年 ベルギー・フランス共同製作の「一晩中」(原題「Toute une nuit」)を見ました。
シャンタル・アケルマン監督の作品を見るのは、初めてですが、私は、32歳の時に撮った「一晩中」(脚本・監督)が、たぶん代表作ではないかと 勝手に思うくらい秀作でした。

映画は、ブリュッセルの夏の ある暑い夜を舞台に、30数組の男女の‘浮遊’を描いています。
アケルマン監督が、90分の尺に 次々と 様々な男女、夫婦であったり、愛人であったり、恋人であったりを登場させるので、私は、指を折りながら数えましたが、似ている男女も中には、いるので、途中で分からなくなり諦めました。
登場する男女は、30数組 いたように(ホモセクシャルと レスビアンもそれぞれ一組ずついました)推察します。
アケルマン監督のハイ・テンポな オムニバスのような演出(群像劇)を 当時 28歳の 今や名女性撮影監督の カロリーヌ・シャンプティエ(1954~) が、撮影監督デヴュー作品とは、思えない、夜の闇に点在する街の灯りや、男女のいる室内と 窓から漏れる薄暗い明かりを背景に、次々と登場する男女、聴こえる音楽、ムンムンする熱気と風を見事に映像に撮り込んでいますから、栴檀は双葉より芳し、です。
登場する人物の中で私が、知っているのは、チェッキー・カリョ(1953~、1990年「ニキータ」)でした。
映画に ストーリーらしいものはなく、登場する男女の間に キスも セックスもなく、会話も ほとんどありません。

夜、男女が、出会い 浮遊し別れ、そして朝を迎える、ただそれだけの 90分映画ながら、最後まで退屈しないのは、女性のシャンタル・アケルマン監督と カロリーヌ・シャンプティエ撮影監督が、息の合った男への生理的な距離感と、お二人の共通する 男女感ゆえでしょうか?