
私は、近所の
在宅通所高齢者介護施設で、月 2回 「絵画の時間」のお手伝いをしています。
お手伝いと云っても、A4版の画用紙を 「絵画の時間」に参加された 10数名~20名くらいの方々に配り、鉛筆、木炭、墨汁、クレヨン、水彩絵具など 簡易な道具を使って、四季折々の花、野菜や果物、静物などを 自由に描いていただくために簡単なアシストをしているだけです。
筆も 大・中・小さまざま、時には、割り箸や 竹串を使って描いていただくこともあります。
皆さん方 当然全員高齢者で 個人差は、ありますが、認知症を患われ、在宅生活なので 福岡市から日常の暮ら

しに何かしら介護や介助を必要とする要介護認定を受けた方々です。
皆さん方全員、戦前、戦中の子供時代と青春時代は、艱難辛苦の厳しい生活を強いられたろうと推察します。
絵を描こうものなら ‘贅沢は敵、非国民’と 罵られた時代でしたので、80歳~90歳になって 初めて絵を描かれる方々ばかりです。
皆さん方が、描き始める前に 私からお話するのは、「三歳児が、裏紙に落書きするように楽しく描いてください。 できるだけ下手にゴシゴシ描いてください。 上手に描こうと思った瞬間その絵は、もう失敗です。」、「絵は、心から楽しく描くもの、たかが絵じゃないですか? 絵を苦しんで

描くなんてバカげています。 皆さん方は、今までにもう十分苦しい思いをされはずです。 もし絵を描くことが、苦しいのなら描かないで欲しいと思います。」と伝えます。
皆さん方の反応は、千差万別、すぐ一心不乱に描き始める方、じっと画用紙を見つめ描こうとしない方、お一人お一人の席を回りながら私が、アドバイスするのは、 「いいねえ」と「すばらしい」だけ、もし描いていない方が、おられたら「どこかに線を一本、自由に引いてください。」と背中を押してあげ、意欲を煽るだけです。
真面目に上手く描こうと苦心している方には、「お手伝いしましょうか?」と声をかけ「うん」と云う返事が、あれば

‘私の手の平’で描かれている画面を ゴシゴシこすり「傑作が、できたー!」とお返しします。
まあ、喜んでいただけるのは、一人か二人かで、ほとんどの方からは、「何すんの、あっち行って!」の抗議ですが‥。
一時間後、皆さん方が、描いた絵を見て今度は、私が、感動をいただきます。
楽しいことに 夢中になること、一心不乱 何かに集中して取り組むこと、何より そのことに
感動する心が、あれば、生涯その方の人生は、豊かでしょう。
酷い認知症を罹患した方の顔は、険しい表情で、穏やかな笑顔が、ありませんから その方の認知症の深刻さ

は、門前の小僧の私にも直ぐに分かります。
認知症は、いまや国民病、「自己認識できない脳の病気」で、加齢して発症する高齢者特有の病気と云うわけでもなく、若年層や中年層でキレやすく、どうにもならないジコチューの人たちは、すでに若年性認知症の周辺症状が、でている証で 加齢とともに重度の認知症患者になることでしょう。
認知症は、発症すると治りませんが、早期診断と正しい薬の処方箋が、あれば、さほど家族や他人に迷惑かけることなく、最期まで自分を認識し、きっと楽しい生涯を終えことができるでしょう。 (備考 : 最後の絵は、「描いて見せてよ」と差し出された紙を私が、グシャグシャにして極太鉛筆で描いた心象風景画です。)