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心の時空

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アリス  シネマの世界<第1073話>

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チェコスロバキアのシュールレアズム芸術家で、アニメーション作家の鬼才 ヤン・シュヴァンクマイエル監督(1934~)が、1988年に 3年の歳月をかけ 初めて撮った長編作品が、「アリス(Něco z Alenky ‘アリスの何か’)」
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です。
映画は、主人公の少女 アリスを演じた クリスティーナ・コホウトヴァー(プロファイル不詳)だけが、人間で 他は、小アリス  シネマの世界<第1073話>_a0212807_21480856.jpg動物の人形やオモチャをストップ・モーションで撮影(特殊撮影=ひとコマ撮影)されたアニメーション映画です。
プロットは、「不思議の国のアリス」を元にしていますが、シュヴァンクマイエル監督は、持ち前の ダーク(陰気)でシュール、さらにグロテスクな雰囲気も漂わせながら、映画は、剥製のウサギを追いかけていた少女アリスが、無気味で摩訶不思議な世界に迷い込んだ物語です。
アリス  シネマの世界<第1073話>_a0212807_21481408.jpg少女アリスの実写映像とストップ・モーションのアニメーション映像を融合させた作品「アリス」は、 ‘戦闘的シュールレアリスト’ ヤン・シュヴァンクマイエル監督の一筋縄では、行かない 反社会主義・反全体主義・反商業主義のパラダイム(信念=哲学)が、仕込まれていますので、まさしくチェコ版の原題「Něco z Alenky ‘アリスの何か’」のように意味深長で 国家権力の検閲(言いが
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かり)を回避するため、メタファ(暗喩)により歪曲表現されているので、分かりにくいのも当然です。
一人遊びに退屈していたアリスの前で、突然動き出した剥製のウサギは、懐中時計を見て慌てて机の引き出し
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の中へ消えました。
その後を追いかけたアリスが、奇想天外なワンダーランド(奇妙な世界)へ迷い込んでいくところからドラマは、始アリス  シネマの世界<第1073話>_a0212807_21484955.jpgまります。
グロテスクと云えば、グロテスク、悪趣味な妄想と云えば、確かに悪趣味な妄想かもしれませんが、映画は、不思議なオブジェに溢れ、無気味な容姿ながら、どこかユーモラスで愛らしい人形(キャラクター)たちが、織りなす想像力豊かな夢幻の世界は、ブラックなユーモアに溢れています。
アリス  シネマの世界<第1073話>_a0212807_21485100.jpg映画は、そのユニークな映像と相俟って 物が、触れあう音、軋む音、歯車のカチカチという音、金属のぶつかる音など 奇妙な物音ばかり耳に入り見ている者は、音のリアリティと相俟って幻想の世界に翻弄されるので、目と耳の両方で映画を鑑賞することになります。
劇中、「食べる」シーンが、頻繁に登場します。
アリス  シネマの世界<第1073話>_a0212807_21491090.jpgその食べ物たるや どれもマズそうで、カメラが、執拗に食べる時の口元をズーム(強調)し、音響は、不快な効果音を頻繁に入れ、さらにプロダクション・デザイン(美術)が、両開きのタンスや引き出し付きの机、動く肉片や衣装などに、性的(エロティック)なメタファーを持たせています。
ヤン・シュヴァンクマイエル監督の初長編作品「アリス」から刺激を受けた若手のアニメーション監督ならびに映像
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作家も多く、「アリス」が、製作されてから 33年、すでにアニメーション映画史に残る作品として映画ファンからオマージュされ、高い評価を受けています。
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(上写真 ) ヤン・シュヴァンクマイエル監督が、少女 アリスを演じた クリスティーナ・コホウトヴァーに撮影の説明をしているところ。

by blues_rock | 2021-02-02 00:02 | 映画(シネマの世界) | Comments(2)
Commented by mementomorierikon at 2021-02-04 15:06
ビックリ(@_@)。。。
何故かって!?
この日、調度娘からこの映画の一部を(ご紹介の辺り)
観せてもらっていたんですよ。
何年も前から観ていて、彼女の好きな映画の一本です。
逸品のようですね。

私はディスに作品でもアリスは怖いんです。
Commented by blues_rock at 2021-02-04 19:16
お嬢さんからしたら、今ごろ書くな、遅いだろ!だろうと推察します。
私の友人の娘さん、いま高校三年生の受験生ですが、3、4才くらいのとき「アリス」見せたら大好きになり、以来2、3百回は、見ているそうです。
簡単なアニメ動画を作るので、ちゃんとその方向を目指しなさい、「アリス」を超えなさい、と言ったら「寄生虫」にみいられているらしく、そちらの分野に進むんだとか、3、4才からこの「アリス」を見ていたら、分かるような、気がします。
まだ、18才、前途洋々です。
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