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スノー・ロワイヤル   シネマの世界<第953話>

スノー・ロワイヤル   シネマの世界<第953話>_a0212807_12343754.jpg現在(2019年6月)公開中の「スノー・ロワイヤル」(原題「Cold Pursuit」冷たい追跡)は、ノルウェーのハンス・ペテル・モランド監督(1955~)が、自分の原作・脚本・監督による2014年ノルウェー(とデンマーク・スウェーデン共同製作)映画「ファイティング・ダディ 怒りの除雪車」をアメリカ(ハリウッド)の製作で、北アイルランドの名優 リーアム・ニーソン(1952~)を主演に迎えてリメイクした作品です。
モランド監督のリメイク新作「スノー・ロワイヤル」が、予想以上に秀逸で面白いので私は、2014年ノルウェー映画「ファイティング・ダディ 怒りの除雪車」のオリジナル版を見ようと調べたら劇場未公開(DVDスルー)でした。
DVDスルーされているので TSUTAYA には、あるだろうと検索してみたら なんとスウェーデンの名優 ステラン・スノー・ロワイヤル   シネマの世界<第953話>_a0212807_12344424.jpgスカルスガルド(1951~)とスイスの名優 ブルーノ・ガンツ(1941~2019年2月逝去)が、出演しているので、何としても見たくなり、店に問い合わせて見たら取扱なしなので、取り寄せを依頼したら貸し出しの在庫もないとのこと、こうなると私は、シネマジャンキー特有の執着症状に苛まれ今、このDVDを探しています。
スノー・ロワイヤル   シネマの世界<第953話>_a0212807_12363577.jpgモランド監督のアメリカ版リメイク作品「スノー・ロワイヤル」のプロットは、オリジナル版「ファイティング・ダディ 怒りの除雪車」とほとんど同じながら映画の舞台が、アメリカ合衆国コロラド州の州都デンバー近くの田舎町キーホー山中雪原で、配役もアメリカ社会を皮肉るように ‘脚色’ され、主演のリーアム・ニーソンも ‘96時間’ の父親像とスノー・ロワイヤル   シネマの世界<第953話>_a0212807_12363851.jpgは、大違いの模範市民賞を受賞するくらい善良な除雪作業員の父親ながら、一人息子をギャングの勘違いで理不尽に殺されたことから、普通の父親であったネルソンが、その突然の喪失感に悲嘆し同時に怒り心頭、ブチ切れて復讐する映画です。
スノー・ロワイヤル   シネマの世界<第953話>_a0212807_12373030.jpgまず、クライムサスペンスとして、ネルソンの息子を殺したギャングの手下が、まず一人、ネルソンに復讐され殺されたことにより、デンバーで対立する麻薬組織は、お互い縄張り争いと勘違い、マフィアの勘違いが、さらなる勘違いの抗争を引き起こし地元警察まで巻き込みギャング同士の殺し合いは、無差別殺人になって行きます。
スノー・ロワイヤル   シネマの世界<第953話>_a0212807_12364420.jpgつぎに、バイオレンスアクションは、派手な立ち回りや銃撃戦を見せるのではなく、血生臭い短いカットが、表われるとそのシーンで殺された人物の ‘名前と♰(十字架)’ のクレジットが、画面(スクリーン)に表示され、次々に登場する人物たちは、いずれも滑稽なキャラで、彼らの短絡的な殺人が、まるでお笑いギャグのようなブラックユーモアスノー・ロワイヤル   シネマの世界<第953話>_a0212807_12510589.jpgに満ちています。
リーアム・ニーソン演じる父親ネルソンの感情を抑え切れない怒りの復讐も「96時間シリーズ(3作)」の元CIA特殊工作員の凄腕パパが、ド派手なアクションで立ち向かうのではなく、ベテラン除雪作業員の父親の、仕事で知り尽くした豪雪地帯の地形ならびに使い慣れた何台かの大型除雪車を駆使しスノー・ロワイヤル   シネマの世界<第953話>_a0212807_12373277.jpgてのリアルなリベンジアクションは、見応えが、あります。
モランド監督の演出は、テンポの良いカットと相俟って、どのシーンも皮肉たっぷりで冷笑的な(クールな)ブラックコメディとしても秀逸な映画です。
ネルソンの妻グレース(ローラ・ダーン 1967~)もまた一人息子を失い同じ悲痛な喪失感を抱えているのに感情的な復讐しか頭にない夫ネルソンに愛スノー・ロワイヤル   シネマの世界<第953話>_a0212807_12512958.jpg想を突かしたグレースは、黙って家を出ていき、女性警官キンバリー(エミー・ロッサム 1984~)が、デンバー郊外の田舎町キーホーで次々に起きる殺人事件にハイテンションな男性警官のトンチンカンな対応を冷ややかに見ているのもアイロニーに満ちて滑稽です。
スノー・ロワイヤル   シネマの世界<第953話>_a0212807_12510938.jpgざっくり「スノー・ロワイヤル」(=雪の中での生き残り戦)を俯瞰すると、映画に登場する男たちは、皆な短絡的で単細胞(おバカ)、そんな男たちに絡み翻弄されながらことの成り行きを冷徹に見つめクールにふるまう女たちが、皆な聡明と、そんな皮肉あふれるテンポの好い面白い映画スノー・ロワイヤル   シネマの世界<第953話>_a0212807_12512498.jpgでした。
雪原を舞台にしたクライムサスペンス映画としては、1996年の「ファーゴ」、2018年の「ウィンド・リバー」なども、山の高原一面に広がる豪雪が、もう一つの主役となる面白いサスペンス映画の秀作ですので、興味ある方にお薦めします。 (上写真 : 雪原の中で撮影の打合せをするモランド監督とリーアム・ニーソン)

by blues_rock | 2019-06-18 00:08 | 映画(シネマの世界) | Comments(0)
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