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心の時空

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グリーンブック   シネマの世界<第937話>

a0212807_12264277.jpgコメディを得意とするファレリー兄弟監督(1998年「メリーに首ったけ」)の兄ピーター・ファレリー(1956~、最後の写真)が、製作・脚本・監督して撮った黒人天才ピアニストと彼のイタリア系白人運転手二人によるバディ&ロードムービー「グリーンブック」は、今年のアカデミー賞作品賞、脚本賞、助演男優賞を受賞(カナダのトロント国際映画祭では、最高賞の観客賞を受賞)しました。
ピーター・ファレリー監督は、この映画の主人公のひとり イタリア系白人運転手トニーのモデルとなったトニー・バレロンガの息子ニック・バレロンガ(1959~)と共同製作・共同脚本しており、もうひとりの主人公である黒人天才ピアニスト、ドクター・ドナルド・シャーリーも実在した黒人ピアニストで、ロシアの作曲家ストラヴィンスキーが、「彼の技巧は、神の領域だ」とa0212807_12275200.jpg絶賛した天才ピアニストでした。
映画は、ひどい人種隔離政策が、残る 1962年のアメリカ南部が、舞台です。
トニー(ビゴ・モーテンセン 1958~、2007年「イースタン・プロミス」、2005年「ヒストリー・オブ・バイオレンス」、2009年「ザ・ロード」、2011年「危険なメソッド」)は、ニューヨークのナイトクラブで用心棒として働いていましたが、クラブの閉鎖で失業a0212807_12275675.jpgしました。
無職となったトニーは、家族を養うために友人の口利きで、カーネギー・ホールの上の高給アパートに住み、ホワイトハウスでも演奏会をする黒人天才ピアニストのドクター・ドナルド・シャーリー(マハーシャラ・アリ 1974~、2016年「ムーンライト」で24分の短い出演時間にも関わらずアカデミー賞助演男優賞を受賞する実力派俳優、2016年「ニュートン・ナイト」、2019年「アリータ バトル・エンジェル」では非道な悪役)の運転手兼ボディガa0212807_12280545.jpgードとして働くことになりました。
トニーは、レコード会社から “グリーンブック”(アメリカ南部で黒人の泊まれるホテル案内書)を渡され、ドクター・ドナルド・シャーリーの運転手として黒人差別のひどい南部5州を8週間かけてコンサート(ピアノの演奏会)ツアーに同行する仕事を言い渡されました。
a0212807_12292753.jpgピアニストなのにドクターと敬称されるドナルド(ドン)・シャーリーは、頭脳明晰でいくつもの博士号をもち繊細で上品、一方トニーが、自慢できるのは、腕っぷしの強さだけ、粗野で無教養、いつも口八丁手八丁で調子が、よく下品、二人は、何から何まで真逆で旅の当初、ギクシャクし衝突ばかりしていました。 (下写真 : トニーの愛妻ドロレスへの手紙をアドバイスするシャーリー)
a0212807_12282428.jpgしかし、旅を続けるうちにトニーは、ドン・シャーリーの卓越したピアノ演奏に感動し、ドンもまた黒人であるがゆえにニューヨークの上流階級社交界で認められるためにどんなに差別され侮辱されても冷静さを失わず我慢し、自分の感情を押し殺して生きてきたことから何事にも自由奔放なトニーの行動に憧れをもち始めました。
a0212807_12283386.jpg二人は、次第に冗談を言い信頼し合うようになり、友情を深めていきましたが、いかに有名な天才ピアニストであっても黒人である以上、ドン・シャーリーへの南部諸州の仕打ちは、ひどいものでした。
コンサート開催地の行く先々で、ドン・シャーリーに対する南部白人たちの仕打ち(侮辱や無礼)にトニーは、我慢ならず、たとえ相手が、警官であってもa0212807_12283605.jpg腕力にものを言わせ殴りかかり、彼を護りました。
ファレリー監督は、コメディが、得意なだけあって二人の価値観のズレを笑い飛ばし、人種差別の愚かさをあざ嗤うシーンを多く取り入れ「人間の本質は、何か」を押し付けがましくなくユーモラスに描いています。
映画ラストのシークエンスでクリスマスの夜、ニューヨークの自宅に戻り集まった友だちの一人が、「あのニグロa0212807_12283966.jpgは、どうだった?」と尋ねると黒人嫌いだったはずのトニーの口から「その言い方は、やめろ!」と注意し彼の変わりように皆びっくり、それを知るのは、妻のドロレスでした。
トニーは、ドン・シャーリーを友人として自宅のクリスマス食事会に誘います。
彼が、シャンペンを持ってトニー自宅の食事会に現われると集まったトニーの大家族も友だちも一同びっくりするもトニーは、ドンをしっかりハグし愛妻のドロレスを紹介しました。
ドロレスは、トニーが、旅先から自分に書き続けたロクンチックな手紙は、ドン・シャーリーの指導で書いたこと先刻承知しており、ドンを紹介されハグするとき、ドロレスが、a0212807_12284249.pngドンの耳もとでそっと「手紙を書いてくれてありがとう」とお礼を言うとドンは、ニコッと笑いました。
トニーの気丈な愛妻ドロレスを演じたリンダ・カーデリニ(1975~、2005年「ブロークバック・マウンテン」に出演)もなかなかチャーミングでした。
(備考) 青文字を クリックすると過去に掲載したシネマの世界記事に飛びますので、よかったら参考にしてください。

by blues_rock | 2019-04-22 00:02 | 映画(シネマの世界) | Comments(0)