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心の時空

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The guilty/ギルティ(後編)  シネマの世界<第930話>

アスガーを演じるのは、スウェーデンの名優ヤコブ・セーダーグレン(1973~、2010年トマス・ヴィンターベア監督作品「光のほうへ」主演)です。
The guilty/ギルティ(後編)  シネマの世界<第930話>_a0212807_07055737.jpg共演者は、電話向こうにいる三人、ひとりが、車に拉致されどこかに連れ去られている女性イーベン(イェシカ・ディナウエ 1993~、声だけの出演)、その怯えて恐怖に喘ぐ途切れ途切れの声でアスガーは、異常事態が、発生していることを知ります。
The guilty/ギルティ(後編)  シネマの世界<第930話>_a0212807_07055490.jpg警察官であったアスガーは、不祥事件の原告として係争中で、そのため緊急ダイヤル指令室のオペレーターとして左遷されていました。
元警察官のアスガーは、捜査経験を生かし通報者のイーベンから身元、拉致状況、車の位置情報を誘導しながら聞き出そうとするも、時おり聴こえる男の怒鳴り声に‘助けて!’と怯(おび)え、喘(あえ)ぐThe guilty/ギルティ(後編)  シネマの世界<第930話>_a0212807_07060275.png彼女の声が、聴こえるだけでした。
イーベンは、電話で話している相手が、幼い自分の娘と装い、緊急ダイヤル指令室に助けを求めてきたのでした。
アスガーは、聞き出した少ない情報から拉致した男が、イーベンの元夫ミカエル(ヨハン・オルセン 1969~、声だけの出演)で、二人の間に幼い娘(少The guilty/ギルティ(後編)  シネマの世界<第930話>_a0212807_07060536.jpg女、声だけの出演)と息子(少女の小さな弟)が、いると分かりました。
真っ暗闇の自宅でひとり、受話器を握りしめ一生懸命アスガーの問いかけに答える幼い少女は、安全なのか、奥の部屋に小さな弟が、いるという家の状況を知ろうとアスガーは、必死でした。
当初は、家庭内DVに端を発した単純な暴力拉致事件と思えましたが、モラー監督は、「視覚的な」音の感覚をThe guilty/ギルティ(後編)  シネマの世界<第930話>_a0212807_07062026.jpg絶妙に駆使しながら、見る者(声と音と聴く者)の先入観を打ち砕き、どんでん返しの予想しない方へ私たちを連れていきます。
モラー監督の脚本と演出の冴えも見事ながら、撮影監督 ジャスパー・J・スパニング(1987~、31歳)の映像と音楽監督 オスカー・スクライバーン(プロファイル不詳)の音響が、見る者の不安(不穏な心理)を煽
The guilty/ギルティ(後編)  シネマの世界<第930話>_a0212807_07061788.jpg
り、‘声と音’の効果は、抜群です。
タイトルの“ギルティ(罪)”の意味は、この不可解な拉致事件と相俟って主人公アスガーが、抱える係争中の刑The guilty/ギルティ(後編)  シネマの世界<第930話>_a0212807_07062281.jpg事事件の“罪”でもある重層的な意味であることを見る者は、知ることになります。
そして、「The guilty/ギルティ」は、次第にイマジネーション・スリラーから重層的なクライム・サスペンスへと変奏し‘深い余韻’を残して終わります。
The guilty/ギルティ(後編)  シネマの世界<第930話>_a0212807_07062674.jpg早くもハリウッドは、名優ジェィク・ギレンホール(1980~、右写真)主演で、リメイクするとのこと、このことからも「The guilty/ギルティ」が、いかにすばらしい作品であるか、お分りだろうと思います。

by blues_rock | 2019-03-21 00:01 | 映画(シネマの世界) | Comments(0)
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