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心の時空

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ぼくを葬(おく)る  シネマの世界<第922話>

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LGBT映画という カテゴリーが、映画のジャンルにあるのかどうか、私には、分かりませんが、フランスの名匠フランソワ・オゾン監督(1967~)は、自らゲイであることを公表していることもあり、オゾン監督作品のほとんど(全a0212807_13203262.jpg部かも)に LGBTの主人公か、主人公にからむ主要な人物に 必ずゲイ(の男女)が、登場いたします。
この2005年作品「ぼくを葬る」(作品原題「Le temps qui reste」 残された時間)もまた ‘ヒンヤリした映画’ ながら、見逃していたオゾン監督作品であること、フランスの美男俳優にして名優でもあるメルビル・プポー(1973~)が、主演なので見ました。
a0212807_13203734.jpgメルビル・プポーは、ゲイの役柄が、多く2005年「ぼくを葬る」の主人公で、ゲイのカメラマン、2009年「ムースの隠遁」は、ゲイの主人公で、バイセクシャルの兄役、2012年「わたしはロランス」の主人公であるゲイの高校教師役など、メルビル・プポー本人もゲイではないかと(ちなみに彼は、ヘテロで妻子あり)想わせるくらい適役で上手いゲイの役を演じます。
a0212807_13204001.jpg「ぼくを葬る」には、フランスの名女優 ジャンヌ・モロー(1928~2017)が、メルビル・プポー演じる主人公の祖母役で、実在感(リアリティ)あふれる田舎に隠遁した偏屈な老女を名演、日本の名女優 樹木希林(1943~2018)演じる偏屈な老女の演じぶりと比較し見てみるのも一興です。
a0212807_13210075.jpg併せて、イタリアの名女優 バレリア・ブルーニ・テデスキ(1964~、2013年「人間の値打ち」、2015年「アスファルト」)が、出番は、少ないものの 不妊症の夫をもつレストランのウェイトレス役で出演、余命いくばくもない31歳のゲイの主人公に精子提供を依頼する(愛する夫と一緒にベッドに入りセックスし精子提供してもらう)貞淑な中年女性役を好演しています。
a0212807_13210379.jpg女性の名撮影監督 ジャンヌ・ラポワリー(1963~)が、オゾン監督の演出を情感あふれる映像で撮影、さらにオゾン監督作品の常連である音楽監督フィリップ・ロンビ(1968~)の情緒あふれる音楽は、演出と映像を引き立て主人公の哀しみを切なく表現しています。
a0212807_13211778.jpg映画のストーリーを簡単に云うと、ファッション雑誌の売れっ子カメラマンであるロマン(メルビル・プポー)は、撮影中突然、倒れました。
ロマンが、病院で精密検査すると「末期のガンで余命は、あと3カ月」と告げられました。
ショックを受けたロマンですが、化学療法を勧める医師の治療を拒否、ゲイの恋人(セックスシーンの演出で オゾン監督が、メルビル・プポーにペニスa0212807_13212040.jpgを勃起させ、それをリアルに撮らせたゲイの監督らしい ‘こだわり’ を私は、いたく感心!映像も無修正)にも伝えず、両親にも仲違いしたまま犬猿の仲(子供のころは、大の仲良しだった)の姉にも言いませんでした。
ロマンは、仕事をすべてキャンセルし、パリから遠く離れた田舎に一人で暮らす祖母(ジャンヌ・モロー)を訪ね、自分の命が、あと3か月であることを伝えました。
祖母の家を訪ねる途中、立ち寄ったレストランで働く中年女性(バレリア・ブルーニ・テデスキ)から突然「ぶしつa0212807_13212386.jpgけながらお願いがあります‥」と精子提供を依頼されました。
このレストランの店主で彼女の夫が、不妊症であること、妻である彼女は、子供を諦めきれず、偶然来店した物静かな若くハンサムで知的な雰囲気のロノンに一目惚れしました。
ロマンは、自分が、ゲイであること、子供嫌いであることを彼女に伝えました。
a0212807_13212626.jpg今まで想像もしなかった自分の悲劇にどう対処すべきか分からず混乱するロマンは、残された余命3か月の生(命)に何の意味が、あるのか、どうすればいいのか、苦悩するばかりでした。
祖母から「なぜ 自分にだけ余命3か月であることを言うのか」と問われたロマンは、「あなたは、間もなく死ぬ人だから、ボクの気持ちが、分かるはず」a0212807_13213394.jpgと答えました。
祖母から奇跡を信じ化学治療を受けるよう勧められたロマンでしたが、苦しむのは、嫌だと答え「今夜一緒に寝て欲しい」と祖母のベッドに入りました。
祖母と別れたロマンは、レストランを訪ね、精子を提供するが、自分は、もうあまり時間のないこと、必要なら今すぐ提供したい、とレストランのオーナー夫婦に伝えました。
精子提供(ロマンと夫婦、三人の セックスシーンを撮るオゾン監督の演出は、ゲイのラブシーンのこだわりに比a0212807_13213651.jpgべ、子作りのための性行為と云った実にあっさりとしたもの)を終えたロマンに夫婦から、間もなく妊娠したとの連絡を受けるとすぐ夫婦を伴って弁護士に会い、自分の全財産を産まれてくる子供に遺すと遺言書を作成しました。
死期に向け、どんどん痩せていくロマン(メルビル・プポーの役作り減量が、すばらしい!)は、子供のころ家族一緒に行った海岸に行き海を眺め浜辺に横たわると静かに目を閉じました。

by blues_rock | 2019-02-16 00:16 | 映画(シネマの世界) | Comments(0)