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心の時空

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異才 鈴木清順監督の大正浪漫三部作(後編)  シネマの世界<第891話>

a0212807_03030560.jpg「大正浪漫三部作」の最後が、1991年作品「夢二」です。
タイトルのとおり‘大正ロマン’ の象徴のような画家(元祖グラフィック・デザイナー) 竹下夢二を主人公に鈴木清順監督は、‘夢二’と関わる女たちを艶やかにして幻想的な映像により耽美主義の清順美学を見せてくれます。
a0212807_03033235.jpg「大正浪漫三部作」の中でもこの「夢二」に鈴木監督の色彩へのこだわりを一番感じます。
映画のプロットは、竹久夢二の詩と絵で有名な「宵待草」と見返り美人図として有名な「立田姫」をモチーフにしており、劇中、夢二に関わる三人の女それぞれに同じ着物をa0212807_03033536.jpg着せて夢二との絡みのシーンを撮ったり、映像を黄・赤・青・緑など明確な色調(トーン)で表現したり、鈴木監督悠々の遊び(美しくも軽やかな印象)を感じました。
映画は、1917年大正6年の金沢が、舞台です。主人公の夢二を沢田研二(1948~)が、一生懸命軽やかに演じているものの反って不自然で彼は、歌手であって俳優でa0212807_03033888.jpgないと分かっていても小林薫など演技達者な俳優に演じてもらいたかったと思いました。
「夢二」に絡む三人の女、巴代を毬谷友子(1960~、出演時31歳)、彦乃を宮崎萬純(1968~、同23歳)、お葉を広田レオナ(1963~、同28歳)が、それぞれの個性を生かしたa0212807_03034184.jpg美しさで(鈴木監督の演出手腕もあって美しく)、「大正浪漫三部作」に出演した女優たち皆なに共通することながら彼女たちの美しさは、際立っていました。
共演の原田芳雄、大楠道代ほか、劇中夢二と同じ時代に活躍した日本画家(速水御舟がモデル)を演じた坂東玉三郎(1950~)など
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が、脇を固めていました。
a0212807_03122686.jpg「大正浪漫三部作」以外でも2001年作品「ピストルオペラ」は、シュールにしてコミカルな不条理劇(前衛劇)です。
プロットは、あの世(霊界=死後の世界)とこの世(顕界=現世)の境界が、溶解してゆく怪異譚(たん)で、世にも不思議な(摩訶不思議な)怪奇エロチック映画です。
a0212807_03122892.jpgこの映画にストーリーうんぬんは、関係なし、この「ピストルオペラ」も女優を見るための映画です。
主演の江角マキコ(1966~、出演時35歳)は、28歳のとき今や日本を代表する名監督(名匠)是枝裕和監督の1995年デビュー作品「幻の光」で売れっ子モデルから女優に転身(女優デビュー)、7年のキャリアを積んでの出演なのでコミカルな演技も堂に入っています。
a0212807_03123140.jpgすばらしいのは、主演の江角マキコだけでなく、トップモデルの山口小夜子(1949~2007、出演時52歳、1989年「利休」の茶々役が、印象に残ります)、出演時11歳の韓英恵(1990~、女優デビュー作品、2018年「菊とギロチン」に出演)、さらに稀代の名女優 樹木希林(1943~2018、出演時58歳)たちが、鈴木監督に乗せられa0212807_03032134.jpgて楽しそうに演じています。
鈴木監督は、テンポよくシュールにしてコミカルに、不条理劇「ピストルオペラ」を演出、これにエゴ・ラッピンの音楽が、心地良くシンクロして行きます。
混沌とした「ピストルオペラ」のストーリーながら、それもさほど気にならず最後まで大いに楽しめる映画です。

by blues_rock | 2018-10-31 00:01 | 映画(シネマの世界) | Comments(0)