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心の時空

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異才 鈴木清順監督の大正浪漫三部作(前編)  シネマの世界<第891話>

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a0212807_03000627.jpg鈴木清順監督(1923~2017)の作品(特集)を福岡市総合図書館シネラで見ました。
やはり、何といっても鈴木清順監督が、異彩を放つのは、映画の製作と興行とが、一体となったシネプラセット上映の名プロデューサー荒戸源次郎(1946~2016)と名脚本家田中陽造(1939~)との異色の才人三人による「大正浪漫三部作」です。
a0212807_03000181.jpg1980年の怪奇的耽美映画「ツィゴイネルワイゼン」は、冒頭、作曲家サラサーテが、自らバイオリンを演奏し録音したSPレコード盤の名曲「ツィゴイネルワイゼン」を聴いた二人の男が、演奏と一緒にレコードに録音されているというサラサーテの呟(つぶや)きについて「何て言ったんだろ!?」、「君にもわからないか?」と語りながらカットインしてくるところから始まります。
スペイン(バスク人)の作曲家サラサーテが、ジプシー(ロマ)音楽をもとに作曲した物憂げで哀感たっぷりの「ツィゴイネルワイゼン」をバックに映画「ツィゴイネルワイゼン」は、退廃的なエロティシズムと夥(おびただ)しい食べるシーンが、散りばめられた死の感触を醸し出していきます。
男が、「腐りかけがいい。 何でも腐ってゆくときが、一番美味いのさ。」と女の肉体を貪り、女は、腐りかけた桃を口に入れ、その水蜜桃の皮まで舐めるシーンなど秀逸至極、傑作「ツィゴイネルワイゼン」は、耽美派映画監督 鈴木清順の演出するエロティシズムが、鮮烈です。
主人公の男二人を一人は、稀代の名優 原田芳雄(1940~2011)、もう一人を映画監督にして俳優 藤田敏也(1932~1997)が、演じています。
得体の知れない風来坊役の原田芳雄とからむ妖艶な女を演じるのが、大楠道代(1946~、デビュー当時安田道代、美しかった! 結婚で一旦女優を引退するもこの「ツィゴイネルワイゼン」で女優大楠道代a0212807_03021161.jpgとして復活、当時35歳、妖艶な女のエロティシズムが、秀逸!)です。
藤田敏也演じる資産家の貞淑な妻を大谷直子(1950~、出演時30歳)が、演じ、性欲を圧し殺したその禁欲的な表情もまたエロチックでした。
映画ファン、映画評論家から絶賛されa0212807_03011929.jpgた「ツィゴイネルワイゼン」の翌年の1981年、鈴木清順監督は、‘フィルム歌舞伎’と呼ばれた「陽炎座(かげろうざ)」を発表、当時人気アクション俳優の松田優作(1949~1989病没、享年40歳)を主役に起用、鈴木清順監督は、彼の前で直径1mの円を描き、「この円の中から出ないような演技をしてa0212807_03011531.jpgください。」と当時32歳の松田優作を指導、この映画出演後の彼が、演技の‘新境地’を拓いた作品として見るとたいへん興味深いと思います。
1926年、大正最後の年15年(昭和元年)の東京、新派の劇作家松崎(松田優作)は、落とした手紙が、縁で品子a0212807_03025767.jpg(大楠道代)と出遭います。
その後も松崎は、偶然品子と出遭い、彼が、品子と一夜を共にしたその部屋は、彼のパトロン玉脇(中村嘉葎雄、1938~)の部屋にそっくりであることに気が、付きました。
松崎は、品子の「金沢で待つ」という手紙に誘い出され金沢に向かいますが、a0212807_03030396.jpg品子は、手紙を出した憶えはないと言いました。
その後、松崎は、パトロン玉脇から品子との心中をしつこく唆(そそのか)され、逃げ出し松崎は、アナーキストの和田(原田芳雄)と知り合いました。
そして、不思議な祭り囃子に導かれ、奇妙な芝居小屋の「陽炎座」にたどり着きました。
出演している女優は、大楠道代のほかに加賀まりこ(1943~、出演時38歳)、楠田枝里a0212807_03030758.jpg子(1952~、同29歳)、「陽炎座」の原作が、怪奇ロマン作家の泉鏡花(1873~1939)、製作=荒戸源次郎、脚本=田中陽造、監督=鈴木清順、これに前作「ツィゴイネルワイゼン」を撮った撮影監督の永塚一栄(1906~1982)を加えた最強のカルテットですから、映画「陽炎座」が、おもしろくないはずはありません。(後編へ続く)

by blues_rock | 2018-10-30 00:03 | 映画(シネマの世界) | Comments(0)