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心の時空

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a day in my life

めぐりあう日  シネマの世界<第889話>

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韓国系フランス人でフランスの女性監督ウニー・ルコント(1966~)の 長編作品第2作目となる2015年映画「めぐりあう日」(脚本・監督、原題「Je vous souhaite d'etre」あなたは私の希望)は、前作2009年のデビュー作品(脚本・a0212807_08542230.jpg監督) ‘冬の小鳥’で、韓国に生まれ韓国人の親に捨てられた自分が、なぜフランス人なのかという ‘アイデンティティ’ の拠りどころを描いたときと同じように、実の親を知らないフランス人女性の ‘自分探し(アイデンティティ探し)’ をテーマにした作品です。
主人公の理学療法士エリザ(セリーヌ・サレット 1980~、2013年「君と歩く世界」に出演)は、パリで夫アレックa0212807_08543419.jpgス(ルイ=ド・ドゥ・ランクザン 1963~、2016年「パレス・ダウン」出演)と8歳の息子と暮らしていますが、自分の産みの親を知りませんでした。
フランス人の夫との間にできた息子の容姿が、アラブの男の子を思わせる容姿であることからエリザは、夫から疑われ苦しみました。
夫と別れ、心の底に蟠(わだかま)る自分の過去を知るため、息子を連れ出生地の北フランスの港町ダンケルクa0212807_08544273.jpgへ移り住みました。
実の親(両親)の手がかりは、なかなか見つからずにいたある日、息子の通う学校で、給食補助員として働くアネットという中年女性(アンヌ・ブノワ、2006年「薬指の標本」出演)が、患者としてエリザの治療室を訪れて来ました。
エリザが、アネットを治療するうちに二人は、お互い次第に不思議な親近感を覚えるようになりました。
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ここから映画は、アネットの青春時代、16歳のときの一途な愛と悲恋、そして訪れる悲痛な苦悩とエリザが、想像もしなかった彼女の人生を映していきます。
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この重く切ない二人の女性の人生を フランスの名撮影監督 カロリーヌ・シャンペティエ(1954~、名監督の傑作を多く手がけるベテランの名撮影監督、近作でも2011年「神々と男たち」、2012年「ハンナ・アーレント」、2017年a0212807_08550886.jpg夜明けの祈り」など)が、繊細なカメラワークで表現、見ている私たちの心を惹き付けていきます。
「めぐりあう日」は、脚本・監督のウニー・ルコント監督、カメラのカロリーヌ・シャンペティエ撮影監督、主人公エリザ役のセリーヌ・サレットとアネット役のアンヌ・ブノワ 4人の女性たちの情熱で生まれた秀作映画です。
a0212807_08545099.jpg映画ラストのシークエンスで流れるアンドレ・ブルトン(愛を否定し自分が、生まれたことを呪っていたフランスのシュールレアリスト詩人)が、父となり 生後8か月の娘へ贈った詩の一節「あなたの誕生に何一つ偶然はない」から続く詩の朗読は、じんじんと私の胸に染み入りました。

by blues_rock | 2018-10-20 01:20 | 映画(シネマの世界) | Comments(0)