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心の時空

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コンタクト  シネマの世界<第868話>

名匠ロバート・ゼメキス監督(1952~、1985年から1990年の「バック・トゥ・ザ・フューチャー Ⅰ・Ⅱ・Ⅲ」は、とくに有名)が、1997年に撮ったSF映画「コンタクト」は、“地球外知的生命体”の探査を通して、いまここにいる私たち
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にとって「人類とは何か? 科学(その存在を証明した知性)と宗教(神の存在)の対立、ポピュリズムの氾濫(集団迎合の市民社会と衆愚政治)、愛の実証(その証明)」などが、SF映画の範疇(プロット)を超えて描コンタクト  シネマの世界<第868話>_a0212807_07563507.jpgかれています。
原作者であるアメリカの天文学者にしてSF作家カール・セーガン(1934~1996病没、享年62歳)は、映画製作を喜び、公開を楽しみにしていたそうです。
しかし、完成した映画を見ることなく、カール・セーガンが、亡くなりましたので ゼメキス監督は、カール・セーガンへの哀悼と敬意をこめて映画の最後に「カールに捧げる」とクレジットして
います。
撮影監督ドン・バージェス(1956~、1994年「フォレスト・ガンプ/一期一会」からゼメキス監督作品の常連撮影監督)の映像もゼメキス監督演出の期待に応え神秘的な宇宙の様子を見る者の目に解るよう視覚的に描いて
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います。 (上写真 2枚 : 地球から25光年のベェガ、中央左斜め下の明るい星、と アレシボ天文台)
主人公の地球外知的生命体探査(SETI セティ)責任者で天文学教授のエリーをジョディ・フォスター(1962~)、コンタクト  シネマの世界<第868話>_a0212807_07570813.jpgそして エリーに近づきSETIを監視する政府の宗教学者パーマーをマシュー・マコノヒー(1969~、主演した「インターステラー」も SF映画の秀作)、さらにエリーを天文学に導き彼女の愛する亡父テッドをデヴィッド・モース(1953~)、エリーの少女時代をジェナ・マローン(1984~、2001年「ドニー・ダーコ」は、長編2作目)が、務めています。
コンタクト  シネマの世界<第868話>_a0212807_07572095.jpg“地球外知的生命体”は、存在するのか ‥ 「コンタクト」で地球外知的生命体いわゆるエイリアンのような姿あるものは、登場しませんが、“兆候(地球から25光年のベェガから届く微かな電波)”を見せながら映画は、展開していきます。
前述したとおり映画は、「人類とは何か? 科学と宗教の対立、ポピュリズム(無知ゆえの衆愚)、愛の実証(存在の証明)」を絡め今コンタクト  シネマの世界<第868話>_a0212807_07574746.jpgもなお無限に拡大している宇宙、宇宙の創造主とかいう神の存在(「神が、人間を創ったのではない。人間が、神を作ったのだ。」という1963年ゴダール監督作品「軽蔑」の中のセリフが、最も正しい)、知見できる愛(愛したこと、愛していることの証明)、知性の共有など、哲学的、神学的、ときに思想的な思索を必要とします。
コンタクト  シネマの世界<第868話>_a0212807_07575140.jpgとくに14世紀、イギリス(オツカム出身)のスコア哲学者にして神学者ウィリアム(1285~-1347)が、唱えた単純な説明ほど正しいという「オッカムの剃刀(かみそり)」は、今も格言として使われ、この映画の中でもエリー教授が、地球外知的生命体探査(SETI)存続を議論する公聴会で理解できない議員や政府の役人に“地球外知的生命体存在の兆候”を説明するとき、このオッカムの剃刀で一刀両断します。
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この一言で無神論者(実証主義者)である天文学教授エリーの研究と情熱をアメリカ大統領の宗教顧問で神学者パーマーも認め、それまでエリーに冷ややかであったパーマーが、エリーに協力するようになりました。
コンタクト  シネマの世界<第868話>_a0212807_07584521.jpg映画のリアリティを表現するためにCNNの現役リポータ25人の出演、宇宙にある時空の捻じれ(ワームホール)を抜ける探査カプセルが、狂信的宗教活動家の自爆テロで破壊され、そんなリスクを想定していたのか北海道東北部の海岸に極秘で建造された探査カプセルの登場とか、見どころも多くとても書き切れませんので SFファンの方は、名作ですのコンタクト  シネマの世界<第868話>_a0212807_07584735.jpgでぜひご覧ください。
映画は、冒頭カメラが、広大な天体を写し出し宇宙空間をズームバックしながら少女時代のエリーの瞳につながるという印象的なシーンから始まります。
エンディングは、宇宙の地球外知的生命体探査(SETI)の責任者として子供たちに宇宙の神秘を教えているところで終わります。
コンタクト  シネマの世界<第868話>_a0212807_07585043.jpgそれは、悪霊のさまよう闇の世界をロウソクの光で照らすようなもの、懐疑する精神、不思議な現象に驚く感受性、弛まず努力を続ける情熱という‘科学する技術’が、なければできないことであるとゼメキス監督は、メッセージ(私たちの心にコンタクト)しています。

by blues_rock | 2018-08-18 00:08 | 映画(シネマの世界) | Comments(0)
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