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心の時空

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(三度目の) 万引き家族  シネマの世界<第847話 続編>

(三度目の) 万引き家族  シネマの世界<第847話 続編>_a0212807_22085566.jpg万引き家族」が、封切りされてから 一か月、公開初日に見て感動して以来、三度見ました。
主演した安藤さくらが、インタビューに応えて「納豆ご飯のような映画です。」と表現したのは、さすが云い得て妙のコメントでした。
これを受け是枝監督も「毎日食べても飽きない ‘納豆ご飯’ のような作品で何度見ても楽しめる映画です。」と作品の出来に満足している表情でした。
確かにその都度、新しく ‘見えるもの’ が、あり是枝監督の表現力(演出力)の見事さに私は、感動しました。
先日、ご紹介した「万引き家族(後)」の文章に一箇所、訂正してお詫びするところがありました。
疑似家族の母親であった安藤サクラが、取調室で刑事から厳しい取り調べ受けているとき ‥ 「この(三度目の) 万引き家族  シネマの世界<第847話 続編>_a0212807_22090952.jpg子(幼い少女)は、捨てられたんだよ。 棄てられたものを拾って何が悪い! 悪いのは、この子を棄てた母親だろうが ‥」 と吐き捨てると絶句、両手で涙を拭きながら泣くシーン、と書いた文章は、私の思い違いでした。
正しくは、「棄てられたんだよ。 棄てられたものを拾って何が、悪い! 悪いのは、棄てたほうだろうが ‥」 と吐き捨てるように言うシーンは、老衰死した祖母(樹木希林)(三度目の) 万引き家族  シネマの世界<第847話 続編>_a0212807_22091383.jpgの死体遺棄について取り調べる刑事(池脇千鶴)に答えるシーンでした。
安藤さくらが、両手で髪をかきあげながら泣くシーンは、実親のもとに返された5歳の少女 リン(実名ジュリ)が、刑事から皆のところへ帰りたいと言っていると聞いて「あなたは、何て呼ばれたの? お母さんと呼ばれたの? あなたは、母親になれないのよ。」と責められ「そお? リンが、帰りたいと言って(三度目の) 万引き家族  シネマの世界<第847話 続編>_a0212807_22091766.jpgいるの?」とつぶやき 絶句するシーンで、溢れる涙を両手で拭き、髪をかきあげ泣くシーン(長回し)の撮影も演じる安藤サクラに台本はなく、いきなりカメラを回し彼女のその演技は、モニターの前で見ている是枝監督をうならせ、カンヌの審査員たちを驚かせました。
是枝監督は、台本を渡さずに俳優の役者魂を刺激、その演出手法が、触媒となり、名優たちの潜在的な演(三度目の) 万引き家族  シネマの世界<第847話 続編>_a0212807_22093172.jpg技才能は、お互い化学反応を起こし数々の名シーンを生みました。
ポストプロダンションが、安易にできるデジタル(CG)カメラは、使わずあえて ‘フィルム’で撮影した近藤龍人 撮影監督(1976~、2010年「海炭市叙景」撮影)の見事なカメラワーク、音楽監督の細野晴臣(1947~、ロックバンド「Y.M.O.」のリーダー)の雰囲気を醸し出(三度目の) 万引き家族  シネマの世界<第847話 続編>_a0212807_22093458.jpgすサウンドトラック、リアリティのあるプロダクションデザインで、美術を担当した三ツ松けいこ、衣装担当の黒澤和子ほか製作スタッフの力量(情熱)、さらにロケのラインプロデュースクルーと現場撮影の随所に登場するエキストラの自然な存在感は、じつに見事です。
(三度目の) 万引き家族  シネマの世界<第847話 続編>_a0212807_22093879.jpg是枝裕和監督の「万引き家族」を三度見て私が、思ったのは、日本映画の最高傑作である小津安二郎監督作品「東京物語」や成瀬巳喜男監督作品「浮雲」 に匹敵する日本映画が、新たにまた一作誕生したということでした。
私は、これからも「万引き家族」を繰り返し見ることでしょう。

by blues_rock | 2018-07-11 00:01 | 映画(シネマの世界) | Comments(0)
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