ブログトップ | ログイン

心の時空

yansue.exblog.jp

a day in my life

フランス映画祭2018 in 福岡(後編)  シネマの世界<第852話>

a0212807_20561857.jpg次に見たのが、農家出身の映画監督 ユベール・シャルエル(1985~)のデビュー作にして社会派(深刻な酪農問題を扱った)作品の「ブラッディ・ミルク」です。
映画は、酪農を営む青年ピエール(スワン・アルロー 1981~、2010年「美しき棘」出演)を主人公に家族経営の零細農家の立場からEUの官僚的な農業政策を真っ向から問題提起した話題作です。
同時に私たち消費者の「食と農」への安易な認識(安全な食品が、安心していつでも簡単に買えるという思い込み)を問いかける農家出身のシャルエル監督の真骨頂が、ここにあります。
主人公ピエールの毎日は、老いた両親から受け継いだ小さな農場と20数頭の乳牛の世話、そして時々訪ねてくる獣医の妹(サラ・ジロドー 1985~)で回っていました。
ある日、フランスで原因不明の牛の伝染病が、初めて発見されました。
ピエールが、一番恐れたのは、自分の牛たちへの感染でした。
しかし、彼の努力も空しく一頭の牛が、伝染病の兆候(症状)を見せ始めました。
a0212807_20573160.jpg彼は、役所に報告し手塩にかけて育ててきた大切な牛たちを感染経路不明のまま殺処分することなど、どうしてもできませんでした。
そして、酪農のほかに自分のできること、したいことが、何もないこともよく知っていました。
ピエールは、愛する牛たちを助けるために、どんなことでもする決意をしました。
この「ブラッディ・ミルク」は、フランスのアカデミー賞と称されるセザール賞で作品賞、主演男優賞(スワン・アルa0212807_20574193.jpgロー)、助演女優賞(サラ・ジロドー)を受賞しています。
三作目の「トマ」は、わずか13分の短編でプロローグ(序章)とエピローグ(終章)だけの映画ながら女優のローラ・スメット(1983~、2015年「ブルゴーニュで会いましょう」)が、母親の名女優 ナタリー・バイ(1948~、フランス映画祭2018の団長)を主演に撮ったなかなか洒脱な短編映画です。
a0212807_20575250.jpgアンナ(ナタリー・バイ)は、朝起きて、いつものようにコーヒーを作ろうとしたら、コーヒー・メーカーが、故障していました。
彼女は、初めて行く電化製品店で新しいコーヒー・メーカーを購入、新規の顧客リストを作る手続きをしようとしたらすでに彼女の名前が、顧客リストにあり、数日前に電化製品を購入していると告げられました。
a0212807_20582332.jpg最後4作目は、ナタリー・バイとエマニュエル・ドゥヴォス(1964~)が、共演(主演)したミステリー映画「モカ(モカ色の車)」です。
スイスのフレデリック・メルムー監督(1969~)は、サスペンス仕立ての演出で、老いても尚美しいナタリー・バイと成熟した中年女性の魅力あふれるエマニュエル・ドゥヴォスをたっぷり見せてくれました。
ディアンヌ(エマニュエル・ドゥヴォス)は、スイスのローザンヌで一人息子が、モカ色のメルセデスベンツから轢き逃げされ、亡くなってからというもの喪失感と犯人への憎悪で立ち直れないでいました。
a0212807_20583993.jpg
失意のディアンヌは、進展しない警察の捜査に業を煮やし、事故を目撃したバスの運転手の証言「轢き逃げしたのは、モカ色のメルセデスベンツ、運転席に金髪の女性、助手席に男が、乗っていた」ことを手がかりにスイ
a0212807_20584383.jpg
スに向かいました。
途中フェリーで知り合った違法薬物運び屋の青年を助けたことから親しくなり、国境近くの田舎町エヴィアンで、a0212807_20584666.jpg拳銃を手に入れ、彼にモカ色のメルセデスベンツ捜しを依頼しました。
名女優の二人、ナタリー・バイとエマニュエル・ドゥヴォスの絡むシーンが、すばらしいので、メルムー監督の演出に難クセつける気は、ないものの ミステリー映画で犯人が、早く分かるのもさみしく、もう少し引っ張って欲しかったな、と私は、思いました。

by blues_rock | 2018-07-01 00:01 | 映画(シネマの世界) | Comments(0)