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心の時空

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牝猫たち  シネマの世界<第846話>

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現在(2018年6月)、公開中の「孤狼の血」の監督 白石和彌(1974~、2013年「凶悪」、2016年「日本で一番悪い奴ら」、2017年「彼女がその名を知らない鳥たち」 いずれも優れた作品)が、2016年に撮った「牝猫たち」(監督・a0212807_09173514.jpg脚本)も秀作です。
是枝裕和(1962~)は、カンヌ国際映画祭で最新作の「万引き家族」が パルムドール賞受賞後のインタビューで「映画は、文化である。 いま日本の文化が、衰退している。」と日本映画の水準低下を憂慮していましたが、私は、是枝監督から私たち日本の映画ファンへ日本映画に対する目利き度(映画批評精神)を上げて欲しいとのメッセージと理解しました。
a0212807_09184539.jpgさて、この白石監督の「牝猫たち」ですが、白石監督は、大都会東京、池袋にカメラを持ち込み、徹底したリアリズムでデリヘル嬢と呼ばれる出張売春をする性風俗業に携わる3人の若い女性に密着、主人公となる3人を媒体として日本文化の現実を描いています白石監督の演出のもと白石監督作品の常連撮影監督 灰原隆裕(白石監督作品以外では 2013年「0.5ミリ」が秀逸)ほかa0212807_09191557.jpg製作陣(ラインプロデューサーほか録音・編集などスタッフ)のチームワークも抜群で、大都会東京に人知れず生存している若者たちの孤独と自業自得と云える‛愛の不毛’ (刹那=秒より短い時間の単位)をクールに描いています。
インターネットカフェを転々としながらスマホでデリヘルの指示を待つホームレスの雅子(井端珠里 1987~)、夫のいる里枝(美知枝、2016年「沈黙 サa0212807_09191160.jpgイレンス」出演)、児童虐待する未婚の若い母 結依(真上さつき 1996~)を中心に映画は、展開していきます。
この主人公 3人のデリヘル嬢に絡む主な男たちが、デリヘル店を経営する男(音尾琢真 1976~、2018年「孤狼の血」の暴力団幹部が秀逸)、店員で送迎ドライバーの青年(吉村界人 1993~、2014年「百円の恋」、2018年「モリのいる場所」に出演)、母親結依からa0212807_09195836.jpg虐待されている男の子のベビーシッターの青年(松永拓野 1992~、2016年「沈黙 サイレンス」出演)の3人です。
劇中、おやっ!? と思ったのが、1970年代初め日活ロマンポルノ映画全盛時代ロマンポルノの女王と呼ばれた女優白川和子(1947~)で、SMクラブのオーナー役でワンシーンに登場していました。
a0212807_09200583.jpg映画は、インターネット社会の裏側(闇)も映し出し、インターネットの中だけにしか居場所のない(自己表現できない、コミュニケーションできない)哀れな若者たちや、他人の不幸を見る(他人の足を引っ張って狂喜する)ことでしか心を癒せない歪んだ欲望と孤独をもつ今日本国中どこにでもいる男女の現実をリアルに表現しています。
a0212807_09195528.jpgこの映画「牝猫たち」を2017年作品「最低。」と併せてご覧になると現代社会に蠢(うごめ)く「老若男女の空ろな愛」の姿が、透けて見えて来ます。

by blues_rock | 2018-06-08 00:08 | 映画(シネマの世界) | Comments(0)