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ザ・ロード  シネマの世界<第839話>

ザ・ロード  シネマの世界<第839話>_a0212807_14204829.jpgオーストラリアの名監督 ジョン・ヒルコート(1961~、2012年「欲望のバージニア」、2016年「トリプル9 裏切りのコード」)が、2009年に撮ったデストピアSF映画「ザ・ロード」は、地球を襲った曽有の大災害で壊滅的な被害を受けた人類、そして文明を失ってから10年以上経った世界を描いています。
映画に映し出される破壊し尽くされた荒涼とした自然、廃墟と化した都市の光景を演出のヒルコート監督と撮影のハビエル・アギーレサロベ撮影監督(1948~、2001年「アザーズ」、2004年「海を飛ぶ夢」、200年「宮廷画家ゴヤは見た」、2013年「ブルージャスミン」いずれも秀作の撮影監督)は、CG(VFX)を使わないでロケ撮影したといいますから、安易にCG(SFX・VFX)を多用した軽佻浮薄なゲテモノ映画が、多いなか「凄い映画魂」ザ・ロード  シネマの世界<第839話>_a0212807_14210005.jpgに絶賛します。
映画「ザ・ロード」の描く地球は、環境の壊滅的な悪化で粉塵に覆われた大気が、太陽を遮断し、空は、灰色にくすみ、地球の寒冷化により次第に動植物が、死滅していました。
人類(人間たち)は、餓死するか、自殺するか、お互いを喰い合う(共喰い)しか生き残る手段が、ありませんでした。
ザ・ロード  シネマの世界<第839話>_a0212807_14205866.jpgそんな荒廃した地球上で父(ヴィゴ・モーテンセン 1958~)と息子(コディ・スミット=マクフィー 1996~、出演時13歳)は、自らを戒め利己的にならず弱者を助け、つねに善き人間であろうと努力して生き、極寒から逃れるため南へ歩き続けていました。
ヒルコート監督の人間ドラマとしての演出とSFながら現実味(リアリティ)あふれるアギーレサロベ撮影監督の映像が、すばらしく、ザ・ロード  シネマの世界<第839話>_a0212807_14211486.jpg廃墟に残された缶詰、ボロ靴、小さな石鹸などディテールをさりげなく見せ、つねに付きまとう飢餓と凍死の絶望という地獄の描き方は、抜群です。
同時に、かすかな希望の匂わせ方も秀逸、2010年のデンゼル・ワシントン(1954~)とゲイリー・オールドマン(1958~)名優二人が、共演したデストピアSF映画「ザ・ウォーカー」、同じくアレックス・ミラー監督(1949~)のデストピアSF映画ザ・ロード  シネマの世界<第839話>_a0212807_14211751.jpgマッドマックス」シリーズも この「ザ・ロード」同じで、黙示録の描く絶望的な世界で蠢(うごめ)く人間の世界を描きつつも親子であったり恋人同士であったり‘愛’は、希望の源泉であることをプロットの基本にしています。
オーストラリアのロックミュージシャンで映画音楽の名作曲家 ニック・ケイヴ(1957~)のサウンドトラックも秀逸です。
出演者は、他に シャーリーズ・セロン(1975~、今やデストピアSF映画に欠かせない名女優)、ロバート・デュバル(1931~)、ガイ・ピアース(1967~)、モリー・パーカー(1972~)など名優(名女優)が、しっかり脇を固めていることも映画の質を高めているといえるでしょう。

by blues_rock | 2018-05-15 00:05 | 映画(シネマの世界) | Comments(0)
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