女性主人公ララ・クロフトで大人気のアドベンチャー活劇「トゥームレイダー」のリメイク新作にいまや人気女優となったスウェーデンのアリシア・ヴィキャンデル(1988~、2012年「ロイヤル・アフェア 愛と欲望の王宮」、2015年
「リリーのすべて」、2015年「エクス・マキナ」、2016年「ジェイソン・ボーン」)が、ララ・クロフト役で出演、楽しみにしていた半面、「トゥームレイダー」のララ・クロフトと云えば、私は、すぐアンジェリーナ・ジョリー(1975~、2001年「トゥームレイダー」 、2003年「トゥームレイダー 2」)のイメージが、強く(秀逸なララ・クロフト役でした)アリシア・ヴィキャン
デルファンの私としては、心配でしたが、アリシア・ヴィキャンデルのララ・クロフトもなかなかで 杞憂でした。
監督は、ノルウェーのローアル・ユートハウグ(1973~)でアメリカ製作(ハリウッド)映画に招かれての初監督作品です。
女性のトレジャーハンターを主人公にした冒険アクション映画なので女性版 インディ・ジョーンズと云えるかもしれません。
女性トレジャーハンターのララ・クロフトは、7年前に行方不明になった父リチャードの残した暗号を解読すると、父リチャード(ドミニク・ウェスト 1969~)が、古代日本の女王 ヒミコの墓(トゥーム)のある絶海の孤島に向かったことを知りました。
映画のプロットは、古代日本の女王 ヒミコの墓(トゥーム)の秘密にまつわる荒唐無稽のB級アドベンチャー活劇ながら、ララ・クロフトの役作りのため筋肉を鍛えた美貌のアリシア・ヴィキャンデルを見るための映画です。
個性派の名女優 クリスティン・スコット・トーマス(1960~、2014年「パリ3区の遺産相続人」、2017年「ウィンストン・チャーチル ヒトラーから世界を救った男」のチャーチル夫人)が、影の悪役を、登場するシーンは、短いながらエギゾチック美人女優 ハンナ・ジョン=カーメン(1989~)なども注意して見るとおもしろいと思います。
「レッド・スパロー」は、フランシス・ローレンス監督(1971~)が、2013年の「ハンガー・ゲーム2」シリーズで組んだ今やスター女優のジェニファー・ローレンス(1990~)を主演に迎え、妖艶なロシアの女スパイ(レッド・スパロー
=娼婦然とした容姿と性フェロモンのハニートラップを武器に、敵国の要人を暗殺する女工作員、中世日本(戦国から江戸時代の女忍者 ‘くノ一’ と同じ使命)ドミニカを演じています。
少女だったジェニファー・ローレンスもいまや 28歳の女盛り、私は、2008年18歳のデビュー映画「早熟のアイオワ」と「あの日、欲望の大地で」、2010年20歳の時に主演した「ウィンターズ・
ボーン」でジェニファー・ローレンスが、演じた気丈ながらも屈折した少女の面影を残す娘役の印象強く、あれから早10年2018年の最新作「レッド・スパロー」で見せた身長175㌢の成熟した女性28歳の‘フルヌード’に、内心うれしいやら、正直とまどうやら、ジェニファー・ローレンスの妖艶な女スパイ ドミニカは、ミスキャスト(ジェニファーの責任ではありませんが)のような気が、し
ました。
彼女が、恋に落ちるCIA工作員ネイトを演じるのは、ジョエル・エドガートン(1974~、2016年に主演した「ラビング 愛という名前のふたり」は秀逸)、姪のドミニカをレッド・スパローにするロシア情報庁副長官ワーニャ役をベルギーの俳優 マティアス・スーナールツ(1977~、2010年ベルギー映画「闇を生きる男」、2012年フランス映画「君と歩く世界」)、冷徹なス
パイ養成所の教官にシャーロット・ランプリング(1946~)、ロシアの将軍をジェレミー・アイアンズ(1948~)、闇の政商ザハロフ役にキーラン・ハインズ(1953~)とそうそうたる名優と女優が、脇で支えています。
映画のプロットは、ボリショイ・バレエのプリマドンナだったドミニカが、公演中に仲間の仕組んだ事故で足を骨折、バレリーナの道を断たれた彼女は、仲間二人を惨殺し
ました。
ロシア情報庁副長官の叔父ワーニャは、ドミニカの女としての魅力に目を付け、彼女の母が、難病で治療の継続を条件に姪であるドミニカをレッド・スパロー(ハニー・トラップの女スパイ)にするためにロシアの国家スパイ養成所に送りました。
彼女の最初のミッションは、アメリカCIA機関に接近してロシアに潜む反逆スパイを摘発することでした。
しかし、その過酷なミッションの遂行中、彼女の命は、CIAだけではなくロシア政府の秘密組織からも狙われました。
女性ハード・アクション映画は、1990年のフランス映画の傑作「ニキータ」以来、少しずつ増える傾向にあったものの、お下品ネタの絶えないアメリカ大統領の登場で、その製作数を間違いなく増やしているように思います。
理不尽な悪漢 および悪徳犯罪者たち ならびに反社会的な暴力男らを痛快に打倒(始末)していくプロットは、どれも定番ながら社会的地位を笠に ‘ワイセツなセクハラを繰り返す男ども’ に泣き寝入りしていた女性たちが、「Me Too」と声をあげたり、女性軽視の風潮に「Enough」と主張していることなどもそのきっかけになっているのだろうと思います。 (上写真 : 撮影中のジェニファー・ロレンス)