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鉄 輪(かなわ)  シネマの世界  シネマの世界<第819話>

鉄 輪(かなわ)  シネマの世界  シネマの世界<第819話>_a0212807_20501735.jpg今夜は、巨匠 新藤兼人監督(1912~2012)が、1972年に初めてカラー映像で撮った作品「鉄輪(かなわ)」をご紹介します。
当時、作家 野坂昭如氏(1930~2015)が、編集長をしていた月刊誌「面白半分」に掲載した「四畳半襖の下張」は、猥褻(ワイセツ)であるとして刑法175条違反容疑で起訴され裁判沙汰になっていて、この映画「鉄輪(かなわ)」も、芸術と猥褻(ワイセツ=エロティシズム)の境界にあるカルト・ムービーとして社会の注目を浴びました。
鉄 輪(かなわ)  シネマの世界  シネマの世界<第819話>_a0212807_20502453.png
今や映画ファンにとって伝説となった日活ロマンポルノ映画が、1971年からスタートし、1973年には、「四畳半襖の下張」ワイセツ裁判事件の影響もあって日活ロマンポルノもまたワイセツ裁判の対象になっていました。
鉄 輪(かなわ)  シネマの世界  シネマの世界<第819話>_a0212807_20503443.jpg「鉄輪(かなわ)」の性描写は、かなり大胆(ポルノ=AVのよう)で、映画の冒頭からラストまでオールヌードのフラワー・メグ(1951~、1年間の芸能活動の後20歳で引退)が、スクリーンを動き回る映像ながら無粋なボカシやモザイクは、まったくなく、新藤監督の1960年作品「裸の島」以来の盟友である撮影監督 黒田清巳が、見せたカメラ・ワークの卓越した技と併せ、新藤監督の計算された演出な鉄 輪(かなわ)  シネマの世界  シネマの世界<第819話>_a0212807_20505653.jpgらびに主演したフラワー・メグと観世栄夫(1927~2007、シテ方観世流能楽師)の絡み(セックス演技)の上手さで自然なセックスシーンにしています。
映画のプロット(物語)は、中年夫婦(妻役 乙羽信子 1924~1994、夫役 観世栄夫)と夫の若い愛人(フラワー・メグ)の三角関係を描き、彼らの中で渦巻く、嫉妬、怨念、欲望、妄想を平安時代にカットバックさせながら、ポルノ、ホラー、オカルト、鉄 輪(かなわ)  シネマの世界  シネマの世界<第819話>_a0212807_20510187.jpgコメディなどのシーンを日本伝統の「能」と融合させた映像は、映画芸術を通して権力社会へのレジスタンス(反骨心)が、見て取れる映画です。
中年夫の若い女への性の執着に嫉妬する中年の妻が、夜な夜な丑三つ時になると藁人形に釘を打つシーンのおどろおどろしい雰囲気を創り出しているのは、新藤監督作品を2011年映画「一枚のハガキ」(音楽監督林光の遺作)まで、じつに22作鉄 輪(かなわ)  シネマの世界  シネマの世界<第819話>_a0212807_20511469.jpg品の音楽監督を務めた作曲家 林光(1931~2012)の音楽にあります。
共演するのは、昭和時代の後半に活躍した名優 殿山泰司(1915~1989)、戸浦六宏(1930~1993)など脇をしっかり固め、新藤兼人監督の「鉄輪(かなわ)」を上質なAV(ポルノ)映画にしています。
有象無象のAV監督たちよ、新藤兼人監督の「鉄輪(かなわ)」や大島渚監督の1976年ポルノ映画の名作「愛の
鉄 輪(かなわ)  シネマの世界  シネマの世界<第819話>_a0212807_20511973.jpg
コリーダ」を見習い見るに堪える和製ポルノ(上質なAV)を撮って欲しいな。

by blues_rock | 2018-03-09 00:09 | 映画(シネマの世界) | Comments(0)
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