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心の時空

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甘き人生  シネマの世界<第818話>

イタリアの異才マルコ・ベロッキオ監督(1939~、1986年秀作映画「肉体の悪魔」、2012年秀作映画「眠れる美女」など)が、2016年に撮った最新作「甘き人生」(原題「Fai bei sogni」良い夢を)を今夜は、紹介いたします。
甘き人生  シネマの世界<第818話>_a0212807_13353064.jpg
原題の「良い夢を」とは、主人公マッシモ(ヴァレリオ・マスタンドレア 1972~、2012年「フォンターナ広場 イタリアの陰謀」主演)が、少年(9歳)のとき若くて美しい大好きな母親(バルバラ・ロンキ プロファィル不明)が、眠る前に耳甘き人生  シネマの世界<第818話>_a0212807_13353673.jpg元でささやいてくれたこの最後の言葉から映画は、始まります。
主人公のマッシモは、いまや40歳ながら母親の突然死(彼は心筋梗塞による突然死で亡くなったと聞かされている)が、トラウマとなって、それ以来9歳のボクのまま精神を自閉し母のいない喪失感に苛まれ精神疾患に苦しんでいました。
甘き人生  シネマの世界<第818話>_a0212807_13354090.jpgマッシモの潜在意識の中に「愛する母は、自分ひとり遺して投身自殺したのではないか?」との思いが、ずっと付きまとい40歳の中年になっても当時のままのマザコンでマッシモは、勤勉・無口・保守的なピエモンテ(イタリア北西部フランスとスイス国境の州、州都トリノ)気質そのままのトリノ人でした。
甘き人生  シネマの世界<第818話>_a0212807_13354840.jpg彼は、子供のころ母親と一緒に見た「怪人ベルファゴール」が、いつも夢に現れ彼の守護神となり自分を守ってくれる(ホラー的イメージ)と信じていました。
また、彼の子供のころの性癖に物を窓から落下させたり、墜落していく悪夢を見たりとつねに母親の投身自殺をイメージさせる垂直運動のシーンが、劇中にたびたび登場します。マッシモは、自分の中にずっと滞留している悪夢甘き人生  シネマの世界<第818話>_a0212807_13355588.jpg(精神の牢獄)に囚われ自分もまた母親と同じように心筋梗塞で死ぬのではないかと不安に怯えていました。
そんなある日、精神科医の女医エリーザ(ベレニス・ベジョ 1976~)と知り合いました。
精神科女医を演じるベレニス・ベジョが、精神疾患(母性の喪失感に喘ぐマザコン)の主人公マッシモと関わるシーンに私は、ベレニス・ベジョのファンとしてもっと甘き人生  シネマの世界<第818話>_a0212807_13361148.jpg期待したのですが、映画の後半に少し登場して二人は、関わるもののあっさり分かれてしまうので、なんだか肩透かしを食らったようでした。
ベロッキオ監督のこの映画もまた難解(ストーリーが、分かりにくいという意味ではなく)で、見る人の感性で見る映画かもしれません。

by blues_rock | 2018-03-05 05:05 | 映画(シネマの世界) | Comments(0)
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