ヒース・レジャーに捧げる 「Dr.パルナサスの鏡」 シネマの世界<第815話>
夭折の名優ヒース・レジャー(1979~2008、
インフルエンザ中の睡眠薬過剰服薬死、享年28歳、アカデミー賞主演男優賞3回受賞の名優ダニエル・デイ=ルイスは、ヒース・レジャーの2005年作品「
ブローバック・マウンテン」
を見て比類なき完璧な演技と絶賛、映画への復帰を決心させたと語っている)の遺作となった「Dr.パルナサスの鏡」は、2009年鬼才
テリー・ギリアム監督(1940~、イギリスの伝説的コメディグループ「モンティ・パイソン」の一
員、1985年SF映画の傑作「
未来世紀ブラジル」、 1995年SFスリラーの傑作「
12モンキーズ」など名作多数)の製作・脚本・監督の怪作映画です。
とくに、主人公のトニーを演じていたヒース・レジャーが、撮影中、病気でなくなるとギリアム監督は、ヒースのトニー役を3人の俳優に振り分け、ストーリーの中で‘鏡の向こうにいる’トニー#1をジョニー・デップ(1963~)、トニー
#2をジュード・ロウ(1972~)、トニー#3をコリン・ファレル(1973~)が、演じました。
映画は、1000年生きたと自称するパルナサス博士(クリストファー・プラマー 1929~)は、下僕のパーシー(ヴァーン・トロイヤー 1969~)、若い団員のアントン(アンドリュー・ガーフィルド 1983~)、そして娘のヴァレンティーナ(リリー・コール 1987~)の4人で旅を続
けながら、大道芸の見世物興行「パルナサス博士のイマジナリウム」の興行を行っていました。
それは、舞台上に設けられた鏡の部屋に客を誘い入れ、人の心の中に渦巻く欲望の世界を見せるという摩訶不思議な代物で、パルナサス博士は、悪魔の化身であるMr.ニック(トム・ウェイツ 1949~)と鏡の中でどちらが、客を誘惑できるか、賭けを
していたのでした。
かつて悪魔との賭けで勝ち、不死の命を手に入れたパルナサス博士でしたが、今度の賭けの代償は、悪魔に敗けたら娘のヴァレンティーナを16歳の誕生日に渡す約束でした。
ある日、大道芸の一行は、橋の上から吊るされている若者トニー(ヒース・レジャー)を救いました。
命を助けられた謎の男トニーは、仲間になると類まれな商才を発揮、見世物興行を繁盛さるもののパルナサス
博士と悪魔との間で鏡の中にいる客をどちらが、誘惑できるかの賭けを巡るタイムリミットは、目前に迫っていました。
パルナサス博士と大道芸一行は、鏡の中の世界で賭けの対象であるヴァレンティーナを巡り、悪魔との熾烈な駆け引きを繰り広げていました。
若き名優ヒース・レジャーを偲んでご覧になると結構おもしろい映画かもしれません。