愛の悪魔 / フランシス・ベーコンの歪んだ肖像 シネマの世界<第812話>
イギリスの有名な現代画家 フランシス・ベーコン(1909~1992)の後半生を描いた伝記映画ながら監督(と脚本)ジョン・メイバリー(1958~、2005年SFミステリー「
ジャケット」は傑作)は、正しくフランシス・ベーコンの絵が、
放つ狂気のような雰囲気をうまく表現しています。
ゲイ(同性愛)であったフランシス・ベーコンを演じるイギリスの名優デレク・ジャコビ(1938~)自身もゲイ(同性
愛)なので、フランシス・ベーコンの愛人にしてモデルであったダニエル・クレイグ(1968~)演じるフランシス・ベーコンとの性愛シーンもねちねちとした同性愛の性行為にリアリティが、あります。
ダニエル・クレイグには、どうしても2006年からの
007シリーズ 6代目ジェームス・ボンドや2011年の主演映画「
ドラゴン・タトゥーの女」での印象が強
く、1998年のダニエル・クレイグ30歳の時の作品とはいえ同性愛の画家フランシス・ベーコンの愛人でモデル(男性なので美の女神ミューズではないがフランシス・ベーコンにとって正しくミューズであった)に違和感をもつもの
のフランシス・ベーコンのサディスチックな言動に振り回されるジョージのマゾぶりをダニエル・クレイグが、それこそオールヌードの体当たりの演技で熱演していました。
ジョージが、「愛している、フランシス」と言っても「どこでそんなセリフを覚えた。テレビか?」と突き放すフランシス・ベーコンのサドぶりをデレク・ジャコビもまた怪演、この
「愛の悪魔 / フランシス・ベーコンの歪んだ肖像」は、見る人を選ぶ映画かもしれません。
フランシス・ベーコンの大ファンである坂本龍一(1952~)が、音楽監督をノーギャラで務めているのも興味深いところです。
初期
ローリング・ストーンズの ‘不良イメージ’ 作りに貢献し、とくにキース・リチャーズ(1943~)とは、10年以上事実婚していた関係でキースに多大な影響(良い意味でファッション、悪い意味で麻薬常習)を与えたモデルで
女優のアニタ・パレンバーグ(1944~2017)が、劇中カジノの客役でカメオ出演していますのでぜひ注意してご覧ください。
余談ながら、この映画の主人公である画家フランシス・ベーコンの「ルシアン・フロイドの三習作」の絵が、2013年にニューヨークのクリスティーズ・オークションにて、なんと141億円という高額な価格で落札されていますので興味のある方は、
こちら をご覧ください。