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心の時空

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ザ・ホームズマン  シネマの世界<第810話>

a0212807_14192179.jpg名優(怪優)のトミー・リー・ジョーンズ(1946~)が、監督(ならびに脚本・主演)した2作目の映画「ザ・ホームズマン」は、1850年代のアメリカ西部 ネブラスカ準州を舞台に荒涼とした大地で生きる人たちを描いた ‘西部劇’ ながらガンマンが、一人も登場しない、よってガンファイトもない ‥ 何もない、わびしく切ない西部劇映画です。
その荒涼とした乾いた大地の美しさと同時に人間を撥ねつける自然の厳しさを見事に捉えた今世界最高の撮影監督 ロドリゴ・プリエト(1965~ メキシコ、下に写真)の映像が、美しく心に残る映画です。
ホームズマン(Homesman)とは、開拓地で暮らせない入植者(移住者)を出身地に連れて帰る仕事を請け負う人のことで、誰も受けたくないので集落(教区)の男たちが、クジで決め当たった者は、貧乏クジを引いたことになります。
主人公は、ヒラリー・スワンク(1974~)演じるアメリカ西部の何もない開拓地の集落で小規模農地を耕し規模拡a0212807_14195113.jpg大を夢見ている独身女のメリーとトミー・リー・ジョーンズ演じる男たちに吊るし首になりかけていた小悪党らしき初老の偏屈男ジョージの二人です。
メリーは、女性ながら男たちが、誰も引き受けないホームズマンの仕事を引き受け、西部辺境の地で精神病を患った三人の女(農婦)たちを馬車で隣の州アイオワの教会に届ける650㌔の長い旅に出ました。
途中、馬に乗ったまま木の枝から下げられたロープを首に巻かれ動けないでいるジョージと出遭ったメリーは、命を助けるa0212807_14195662.jpgかわりに300ドルの報酬で仕事を手伝うよう約束させました。
映画は、西部辺境の何もない開拓地に結婚して入植した女たちの現実、つまり厳しい生活を強いられる開拓農家の妻(農婦)というただ働くだけの労働力と子供を産むだけの(夫婦生活は生殖そのもの)二つの役割を淡々と映しながら、生きる夢(人生の目標)を失い厳しい現実に押しつぶされて精神を病んでいく女たちの姿をシリアスに描いています。
a0212807_14200482.jpg気丈で生真面目なメリーと自分のことしか考えないジョージの二人は、精神に異常を来たし手に負えない女たち三人をならず者やインディアンから守りながら、旅を続けるうちにメリーが、いつしかジョージを信頼したくましさに魅かれていく気丈な女の心情の変化をヒラリー・スワンクは、秀逸に演じています。
ある夜、メリーは、ジョージに結婚を申し込みネブラスカの農場で自分と一緒に家庭を作ろうとプロポースしますa0212807_14202672.jpgが、ジョージから断られました。
失意のメリーは、ジョージに自分を抱いて欲しい、恥をかかせないで欲しいとためらうジョージに懇願しました。
メリーの願いをトミー・リー・ジョーンズ演じる初老のジョージが、受け入れて抱いてやるシーンも淡々としていて印象に残りました。
翌朝、ジョージが、目を覚まa0212807_14203081.jpgすと隣にいるはずのメリーの姿は、なく胸騒ぎのしたジョージが、あわてて付近を捜すとメリーは、首を吊って自死していました。
ジョージは、メリーの埋葬を終えると精神異常の三人の女たちを置き去りにしますが、何もわからず無邪気に自分の後を追い早い川の流れに流される彼女たちを見てジョージは、メリーの意思を継いで彼女の代わりに自分が、ホームズマンとなりアイオワの教会に送り届けました。
映画の製作をフランスの巨匠 リュック・ベッソン監督(1959~)、教会牧師の妻を名女優 メリル・ストリープ(1949a0212807_14204093.jpg~)、精神異常の女たち演じたのは、メリル・ストリープの娘のグレイス・ガマー(1986~)、オーストラリアの女優 ミランダ・オットー(1967~)、デンマークの女優 ソニヤ・リヒター(1974~)の三人で、ジョーンズ監督の演出に見事に応えています。
終盤、ホテルの若い下働き女として、ヘイリー・スタインフェルド(1996~、2010年映画「トゥルー・グリット」でデビューし注目を浴びる)も登場するなど、製作、脚本、監督・撮影監督、出演者と名だたるスタッフとキャストが、関わっている映画なのa0212807_14402346.jpgになんと日本では、劇場公開せずにDVDスルーされた(信じられない)作品です。
見るに堪えないクダラナイ映画ばかり製作し配給している映画会社の面々は、世界のレベルが、まるで解っていないようです。

by blues_rock | 2018-02-06 00:06 | 映画(シネマの世界) | Comments(0)