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心の時空

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a day in my life

残 像  シネマの世界<第802話>

世界映画界の名匠と呼んで良いポーランドの巨匠アンジェイ・ワイダ監督(1926~2016、1958年作品「灰とダイヤモンド」、2007年作品「カチンの森」など権力悪に抵抗する人間を描いた秀作多数)が、亡くなる前に撮った遺
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作(脚本・監督)が、2016年作品「残像」です。
主人公のポーランドの現代画家 ブワディスワフ・ストゥシェミンスキ(1893~1952、1934年ポーランド国立美術大a0212807_21251778.jpg学創始者のひとり)は、ナチスドイツ侵略から解放されたポーランドで‘表現の自由’を貫き、ヒトラーに代わるソ連の独裁者スターリンが、支配したポーランド共産党政権に抵抗、言論と表現を統制する当局から反体制のシンボルとして徹底的に睨(にら)まれ弾圧され孤独と極貧の中で死んだ実在の前衛画家で映画は、彼の後半生を描いた伝記映画です。
a0212807_21252563.jpgワイダ監督は、自らもポーランドが、社会主義国家であった共産党政権時代、反体制活動家であったため映画の製作は、常に監視され弾圧されているので、第一次世界大戦で祖国のために戦い、片手片足を失うも不自由な体でシャガールやカンディンスキーなど当時の前衛画家と交流しポーランド現代絵画に多大な貢献をしながら表現a0212807_19594768.jpgの自由を鉄の意思で主張したため名声も尊厳も奪われて失意と孤独の中で死んでいった画家ストゥシェミンスキの人生に強い共感と尊敬の念を抱いていました。
アンジェイ・ワイダ監督の遺作「残像」は、過剰な演出が、なく何の衒(てら)いも余分な飾りもないシンプルかつストレートで人生の最期に魂をこめて敬愛する不屈の画家ストゥシェミンスキを描いた秀作映画です。
a0212807_19595087.jpg主人公のブワディスワフ・ストゥシェミンスキを演じる名優ボグスワフ・リンダ(1952~)のリアリティと撮影監督パベル・エデルマン(1958~)の映像が、実に秀逸です。
画家ストゥシェミンスキの娘ニカを演じたブロニスワバ・ザマホフスカ(2002~)ならびにストゥシェミンスキを慕う教え子の女学生ハンナ役のゾフィア・ビフラチュ(1995~)の二人も見事な演技でワイダ監督の演出に応えてa0212807_20002103.jpgいます。
全体主義(ファシズム)、社会主義(共産党の一党独裁)、軍国主義(宗教支配と他民族排他の暴力独裁)のデストピアは、ポピュリズムのなれの果てに誕生することを歴史は、繰り返し教えています、くわばら、くわばら。 (上写真 : ニカを演じたブロニスワバ・ザマホフスカに演技の指示をするワイダ監督)


by blues_rock | 2018-01-11 21:11 | 映画(シネマの世界) | Comments(0)