ブログトップ | ログイン

心の時空

yansue.exblog.jp

a day in my life

セザンヌと過ごした時間  シネマの世界<第798話>

a0212807_20252459.jpgフランス近代画家の映画を続けますが、良い映画なのでお付き合いくださると光栄です。
今年(2017年)公開されたフランス映画「セザンヌと過ごした時間」のセザンヌは、いまでこそ‘近代絵画の父’と称賛されるポール・セザンヌ(1839~1906)その人ですが、画家としての人生は、不遇で銀行家の父親と中学校以来の親友であったフランスの文豪エミール・ゾラ(1840~1902)からの支援を受けて画家として生活していました。
「セザンヌと過ごした時間」は、タイトルから分かるとおりゾラの視点からセザンヌと過ごした人生の時間が、描かれています。
セザンヌは、フランス‘印象派’の画家たち、エドゥアール・マネ(1832~1883)、クロード・モネ(1840~1926)、a0212807_2027022.jpgオーギュスト・ルノワール(1941-1919)などと一緒に(反芸術アカデミー=サロン落選展グループの)‘印象派’運動を推進しますが、サロン展への出品を認めない反サロンのエドガー・ドガ(1834~1917)たちと対立、それ以降印象派展への出品を止めパリを去り故郷のエクス=アン=プロヴァンスに隠遁、そして生涯をそこで過ごしました。
a0212807_20302877.jpgちなみにセザンヌは、ゴッホに繋がる「ガッシュ博士」や「ダンギー爺さん」と親しかったようで劇中に画材店主だったダンギー爺さん(こと ジュリアン・フランソワ・タンギー 1825~1894)が、登場します。
パリ・コミューンにも参加した画材店主兼画商のダンギー爺さんは、当時すでに少しずつ売れ始めていた印象派の画家たちとまたa0212807_2031115.jpg違った強烈な個性(オリジナリティ=芸術の本質)をもつセザンヌやゴッホ、ゴーギャンなど売れない貧しい画家たち(とくに後年「後期印象派」と呼ばれた画家たち)の絵を買い上げ(というより画材提供の代わり絵を引き取っていた)経済的に彼らの制作と生活を支援していました。
a0212807_20314820.jpgゴッホやゴーギャンは、ダンギー爺さんの店でセザンヌが、置いて行った作品を見て絵の(とくに構図の)勉強していたとの言い伝えも残っています。
当時ほとんど絵の売れなかった極貧の画家たちの作品をどんどん購入したダンギー爺さんの目利きぶりは、現在彼らの絵が、1枚100億円単位で売り買い(オークションされている)ことをa0212807_20322892.jpg考えるとジャンケン後出しのコレクター(投資家)の多さに呆れ果てます。
ダンギー爺さんのような役割こそ真の美術コレクター(数寄者=資産家)なのですが、金あまりの現代においてもお目にかかれず残念至極 ‥ 貧乏人の歯軋りながら今は貧しくとも才能のある若き芸術家の作品を目利きし彼らのパトロンになることこそ美術コレクター究極の喜悦(よろこび)だろうと思います。
a0212807_2032588.jpgこの「セザンヌと過ごした時間」は、モナコ出身のダニエル・トンプソン監督(1942~)の演出とフランスの名撮影監督ジャン=マリー・ドルージュ(1959~、1999年「クリクリのいた夏」、2000年「フェリックスとローラ」、2007年「画家と庭師とカンパーニュ」など多数)のカメラが、コラボレーションした見事な映画で、当時のエクス=アン=プロヴァンスにタイムスリップしたような美しい映像は、映画を見る私たちもそこにいるような感動を与えてくれます。
a0212807_20332396.jpgエミール・ゾラ役が、ギョーム・カネ(1973~)、ポール・セザンヌ役は、ギョーム・ガリエンヌ(1972~)と二人のギョームが、演じる友情と対立の物語は、当時のフランスの歴史(フランス近代史=日本の幕末から明治中期)的背景を知る良い機会と思います。
by blues_rock | 2017-12-30 00:03 | 映画(シネマの世界) | Comments(0)