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心の時空

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ショート・ターム 12  シネマの世界<第775話>

映画としての質(脚本・演出・キャスト・映像ほか)と云い、心を和ませてくる娯楽性と云い、今年公開の秀作映画「Gifted(ギフティッド)」と比較して映画の質(脚本・演出・キャスト・映像ほか)では、互角の2013年の秀作映画
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「ショート・ターム 12」(大野城マイカルで朝一回上演)が、表現するプロット(主題)は、‘わが子への親の虐待’と「Gifted(ギフティッド)」の真逆の映画ながら虐待の被害者である子供の心の闇に鋭く迫る脚本を書き監督したa0212807_1352379.jpgデスティン・ダニエル・クレットン(1978~、「ショート・ターム 12」は2作目の長編映画)の演出が、秀逸で感動的です。
タイトルの「ショート・ターム12」とは、親から虐待された思春期(ティーンエイジャー)の子供たちを救済するためにある短期保護施設(ショート・ターム)の名前です。
a0212807_136227.jpg主人公は、グループホーム「ショート・ターム12」の若き女性ケアマネージャーのグレイス(ブリー・ラーソン 1989~、2015年映画「ルーム」でアカデミー賞主演女優賞受賞)を中心に、同僚でグレイスの恋人(パートナー)のメイソン(ジョン・ギャラガー・Jr. 1984~)、新人スタッフのネイト(ラミ・マレック 1981~)、そして、父親のa0212807_138185.jpg暴力による虐待を誰にも言わず、グレイスや他のスタッフの声かけも無視し自傷する少女ジェイデン(ケイトリン・ディーヴァー 1996~)、親からネグレクトされた自閉症の少年サミー(アレックス・キャロウェイ)、母親からの酷い虐待で心に深い傷を負い18歳というショート・ターム保護期限を前にして情緒不安定となり自殺しようとするマーカス(ラキース・スタンフィールド a0212807_1395038.jpg1991~)などほとんどの子供たちが、演技経験の浅いあるいは未経験のオーディションによる素人ながら本当に深い心の傷を抱えた少年少女のようなリアリティを漂わせそれぞれの役柄を見事に演じています。
ドキュメンタリーを撮るようなクレットン監督の非情緒的な演出を良く理解した撮影監督ブレット・ポーラックは、a0212807_143208.jpg手持ちカメラを一人ひとりに密着させ、親からネグレクトされ(虐待され)誰にも打ち明けずに、じっと自分の中に閉じ込めている心の闇の表情をカメラが、ビッグ・クローズアップでスクリーンに映し出し見ている者に彼らの絶望を教えていきます。
ケアマネージャーのグレイスを演じるブリー・ラーソンのリアリティが、実にすばらしく、少年少女たち一人ひとりの問題と真正面からa0212807_144859.jpg向き合うグレイスながら恋人のメイソンにも打ち明けられないで苦悩する深い心の傷(少女の頃に父親から受けた性的虐待と妊娠中絶の過去)を抱えていました。
自傷癖のある少女ジェイデンは、自分を決して見捨てないグレイスにだけ次第に心を開いていきます。
ジェイデンは、ある日グレイスに自分の作った絵本「タコのニーナ」の物語を読んで聞かせました。
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いつも一人ぼっちのタコの少女ニーナは、サメの青年と仲良くなり一緒に遊ぶようになりました。
穴から出て広い海(外の世界)を知りニーナは、とても幸せでした。
a0212807_1461616.jpg腹を空かせたサメの青年は、ある日タコの少女ニーナに「足が、8本あるのだから1本食べさせて欲しい。 友だちだろう?」と頼みました。
やさしいニーナは、「まだ7本あるから1本くらいいいな」とサメに与えました。
サメは、腹が、減るとニーナに残りの足を求めました。
8本あったタコのニーナの足も最後の1本になりましたが、サメの青年は、その1本も欲しがりました。
a0212807_1485046.jpgその「タコのニーナ」の物語を聞いていたグレイスは、ジェイデンが、父親から暴力による酷い虐待を受けていると確信しました。
グレイスは、所長へ「ジェイデンは、幼いころより父親の暴力による酷い虐待を受けており、父親に対し強い恐怖心を持ち、本当のことが、言えないのだ。」と報告しジェイデンと父親を引き離a0212807_1502419.jpgすべきだと提言しました。
しかし、ジェイデンの心理療法士(セラピスト)や児童福祉事務所の社会福祉士は、本人が、父親から虐待はないと証言する以上虐待を受けていると認めることはできないとしてグレイス不在の時にジェイデンを迎えに来た父親と共に彼女を自宅へ帰しました。
a0212807_1511066.jpgグレイスは、長年封印していた怒りが、爆発しました。
ここから映画は、佳境(クライマックス)に入り、ジェイデンの決断(虐待被害の告発)にシンクロするグレイス自身の少女期に父親から受けた性的虐待被害とその告発の記憶(父親は刑期10年服役)の苦悩、18歳となって施設を出た青年マーカスの社会生活、グレイスもまた自分の封印していた過去を恋人(パートナー)メイソンに洗いざらい打ち明けてお腹の中にいる子供
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の母となる決断をします。
映画は、それぞれ登場人物の身を切るような切なさの後に訪れる感動を描いてエンディングを迎えます。
by blues_rock | 2017-12-18 01:18 | 映画(シネマの世界) | Comments(2)
Commented by onscreen at 2017-12-19 00:42 x
実は、最も大きなトラウマを抱えていたのは...
Commented by blues_rock at 2017-12-19 19:39
onscreenさま、コメントありがとうございます。
そう、親から虐待(ネグレクト)された子供たちを真剣に救おうとするケアマネージャーのグレイスこそ深い心の傷をおった虐待被害者でした。
Giftedを見たあとでしたので余計私には、応えた秀作映画でした。