ブログトップ | ログイン

心の時空

yansue.exblog.jp

a day in my life

カルト映画の巨匠 デヴィッド・リンチ監督  シネマの世界<第651話>

デヴィッド・リンチ監督(1946~)の映画を最初に見たのは、1980年作品「エレファント・マン」でした。
その6年後に発表したのが、未だに熱狂的なファンをもつ「ブルーベルベット」です。
カルト映画の巨匠 デヴィッド・リンチ監督  シネマの世界<第651話>_a0212807_2273126.jpg
ボストン美術館付属美術学校で絵画を学び画家でもあるデヴィッド・リンチ監督(上の絵は自作)は、ドイツ表現主義の画家 オスカー・ココシュカ(1886~1980)やイギリスの個性的な画家 フランシス・ベーコン(1909~1992  
こちら
参考)カルト映画の巨匠 デヴィッド・リンチ監督  シネマの世界<第651話>_a0212807_2282737.jpgを愛しシュールレアリスム嗜好が、顕著なリンチ監督の作品には、その影響が見られます。
ミュージシャンでもあるリンチ監督は、美術学校時代のルームメイトが、ロックの名ヴォーカリスト ピーター・ウルフ(J・ガイルス・バンド)だったことも関係あるのかもしれません。
リンチ監督作品は、1950年代アメリカの風俗(セットのプロダクション・デザイン)や音楽にこだわり映画の舞台をアメリカの片田舎にするなどの特徴があります。
さて、今夜のシネマの世界では、まだ紹介していないデヴィッド・リンチ監督の2作品について述べたいと思います。
好評と酷評交えた賛否両論の話題作「ブルーベルベット」(全アメリカ批評家協会賞作品賞と監督賞受賞)の次に撮ったのが、1990年作品「ワイルド・アット・ハート」で、カンヌ国際映画祭パルム・ドールを受賞(この時のパルム・ドールのライバルが歴史絵巻風の地味なフランス映画「シラノ・ド・ベルジュラック」だったのは幸運)しています。
映画は、アメリカの片田舎を舞台にしたロードムービーで1950年代の風俗や風景、当時のバカでかいアメリカカルト映画の巨匠 デヴィッド・リンチ監督  シネマの世界<第651話>_a0212807_241268.jpg車、音楽もクラシック、デキシージャズ、カントリー、ロカビリーやエルビス・プレスリーなど、劇中1、2度登場するヘヴィメタルっぽい曲に違和感は、ありますが、火を点けた煙草の先端、擦ったマッチの火や燃えさかる炎などシュール(寓話的)な映像と相俟って映画は、ヴァイオレンスとパンクなラブロマンス満載のリンチ監督らしい作品です。
「ワイルド・アット・ハート」出演当時26歳の若いニコラス・ケイジ(1964~)と23歳のローラ・ダーン(1967~)も無軌道無頼な若者を演じて新鮮です。
殺し屋役のウィレム・デフォー(1955~)が、なかなか鮮烈でイザベラ・ロッセリーニ(1952~)も妖しげな女役で出演していました。
カルト映画の巨匠 デヴィッド・リンチ監督  シネマの世界<第651話>_a0212807_2453587.jpgローラ・ダーンの母親役ダイアン・ラッド(1935~)は、ローラ・ダーンの実母なので気合の入った母娘共演も見どころです。
2001年作品「マルホランド・ドライブ」もリンチ監督ならでは、のサスペンス・ホラー(スリラー)の秀作映画です。
1950年代のハリウッドを舞台にスター女優を夢見て憧れのロスアンゼルスに出できたナオミ・ワッツ(1968~) 演じる若い女性ベティとダイアン(ナオミ・ワッツの二役ながら同一人物)が、妄想と現実を行き来しなカルト映画の巨匠 デヴィッド・リンチ監督  シネマの世界<第651話>_a0212807_2485468.jpgがら自己崩壊していくサスペンス・ホラー(スリラー)です。
出演時まだ無名女優であった33歳のナオミ・ワッツにリンチ監督は、白羽の矢を立てサイコパスな主人公役に抜擢、虚と実が、混在し映画を見る者は、どれが、本当か頭を混乱させながらも見入ってしまう一筋縄ではいかないリンチ監督の難しい演出に応えたナオミ・ワッツの演技は、秀逸です。
この「マルホランド・ドライブ」に登場する二人の主人公ベティとダイアンが、映画の中でサイコパス(精神病質者=異常人格者)症状を現わし少しずつ変化していく同一人物二人の変調をナオミ・ワッツは、見事に演じています。
ナオミ・ワッツは、この映画で遅咲きながら一躍有名になりました。
ナオミ・ワッツ演じるベティとダイアンに絡む記憶喪失の謎の女リタと女優カミーラ・ローズ二役のローラ・ハリング(1964~)も官能的で重要な役どころです。
カルト映画の巨匠 デヴィッド・リンチ監督  シネマの世界<第651話>_a0212807_2493096.jpg
4人のワケあり主人公女性を2人の女優に演じさせ4人を複雑に絡ませる演出は、リンチ監督の真骨頂で劇中、赤い照明と青の道具類のコントラストが、醸し出すシュールな映像と相俟って見ていてゾクゾクしてきます。
カルト映画の巨匠 デヴィッド・リンチ監督  シネマの世界<第651話>_a0212807_32728.jpg
「マルホランド・ドライブ」は、カンヌ国際映画祭グランプリ、全米批評家協会作品賞を受賞しています。
by blues_rock | 2016-09-15 03:03 | 映画(シネマの世界) | Comments(2)
Commented by j-machj at 2016-09-15 22:31
デヴィッド・リンチの作品、しばらくお目にかかっていませんね。
いつも見終わって???な所が多々あるのに、新作が発表されると、かならず観たくなります。
要は、彼の作品の感性が好きなんですよね。

「マルホランドドライブ」は、比較的わかりやすかったです。
テレビ用に作られた「ツインピークス」は、いつレンタル店に行っても貸し出し中で、首を長くして借りられるのを待っていました。
Commented by blues_rock at 2016-09-17 10:03
デヴィッド・リンチ監督と デヴィッド・クローネンバーグ監督は、人の心の深淵にある ‘ホラーっぽさ’ を表現する卓越した映画センスがあり、両監督の作品の ‘ホラーっぽさ’ に私は、いつも引き込まれてしまいます。
この ‘ホラーっぽさ’ は、映画を面白くする要素のひとつと思います。
名前
URL
削除用パスワード

by blues_rock