バタフライ・エフェクト シネマの世界<第641話>
先日、タイムパラドックス(時空の逆説)を描いたSF映画「プレデスティネーション(Predestination=予め定められた運命つまり宿命)」を見て、この映画は、2005年公開映画「バタフライ・エフェクト」のカオス理論(バタフライ効果)をモデルにタイムパラドックス(時空の逆説)を描いたのではないかと思いました。
カオスとは、本来‘混沌’とか‘無秩序’という意味ですが、この映画「バタフライ・エフェクト」のプロットは、主人公の大学生が、少年の頃から時おり起こす発作=一時的に記憶喪失するブラックアウト現象(記憶喪失症状)を時空のカオスに見立てています。
主人公は、記憶のブラックアウト(空白)を補うため7歳のときから日記を書き続けていました。
この日記が、主人公の時標変換装置(タイム・マシン)になり自分と自分に関わる人たちの人生に不幸をもたらした過去のミスを改めるために何度もタイムスリップするうちに生じた変化が、人生の‘時間の歪み’を生じさせました。
この「バタフライ・エフェクト」の脚本と監督であるエリック・ブレスとJ・マッキー・グラバーは、共にプロファィルの詳細が、不詳ながら、斬新なアイディアと丹念に練られた脚本は、抜群です。
私は、「プレデスティネーション」を見てタイムパラドックス(時空の逆説)をプロットにした良い映画を探していたら、この「バタフライ・エフェクト」に行き着きました。
映画を見始め、冒頭の庭で犬と遊ぶ主人公の少年と車のエンジンを直す彼の母親とのやり取りを見て、すでに見ていることを憶い出しました。
主人公の大学生エヴァン(アシュトン・カッチャー 1978~)は、少年時代から記憶が、時おりブラックアウトする症状(発作)に悩んで来ました。
大人になり、発作もなくなったある日、エヴァンは、当時書いていた(7歳から13年書き続けた)日記を読み返していると突然、記憶から欠落(記憶喪失)している部分を思い出しました。
さらにブラックアウトしていた記憶(自分と過去の不幸な出来事)が、日記のページをめくり不幸の始まる当日まで戻れば、ミスの原因を変更することができることにも気づきました。
エヴァンの幼馴染ケイリー(エイミー・スマート 1976~)が、彼のブラックアウトしていた記憶の‘狂言回し(キーパーソン)’の役割を
担っています。
しかし、エヴァンの少年時代、ケイリーという幼馴染みの女の子は、いなかったことを彼の幼な友だち(旧友)が、彼に教えました。
映画は、エヴァンが、街でケイリーにそっくりの女性とすれ違い、お互い振り返ったところで終わります。