スポットライト シネマの世界<第603話>



その事件をカトリック教会の権威に怯まず執拗かつ克明に追い続けたボストン・グローブ新聞の特集記事チーム‘スポットライト’4人の記者と彼らを支援する報道部長や編集局長たちのジャーナリスト魂「間違っていることは、間違っていると報じたい、正しいことは、正しいと表明できる社会にしたい」と云うと不屈精神を映画は、描いています。
‘スポットライト’チームは、この事件の詳細を極秘調査、事実と証拠、信者でもある被害者1,000人を探し出し証言を求めながら特集記事として600本をボストン・グローブ紙に掲載しました。地元ボストン社会に深く根を張るカトリック教会の権威と抵抗に怯(ひる)まず事件の闇の一つひとつにスポットライトを当て克明かつ正確に暴いていく記者たちの姿に感銘します。
性的虐待の被害に遭い心身に深い傷を負いながら加害者神父からの脅しに口を閉ざす子供たち、被害に遭った子供は、成人しても後遺症で立ち直れずアルコール依存症や薬物中毒で人生を破滅させていく人たちもいました。教義で禁欲を強いられ性的倒錯の多いカトリック教神父による児童への性的虐待という許されざるおぞましい罪は、なぜ長年に亘って教会や信者に
黙殺されてきたのか、その内幕を被害者、加害者神父、双方の弁護士、教会関係者を取材した新聞記者の視点で克明に描いていきます。ボストン・グローブ紙のスポットライトは、2003年にピューリッツァー賞を受賞しました。
社会正義と知る権利を貫く生粋のジャーナリストたちを主人公にした映画の名作は、ウォーターゲート事件の真相を描いた1976年
映画「大統領の陰謀」ですが、マッカーシー監督の最新作「スポットライト」は、それを彷彿とさせる秀作映画です。スポットライト・チームのリーダーでデスクのロビー役を名優マイケル・キートン(1951~ 「バードマン あるいは無知がもたらす予期せぬ奇跡」主演)、熱血記者マイク役にマーク・ラファロ(1967~ 「キッズ・オールライト」でレスビアンカップルに精子を提供し2児の生物
学的父親を好演)、愚直に取材を続ける女性記者サーシャ役をレイチェル・マクアダムス(1978~)、熱心に証拠を集め分析する記者マット役をブライアン・ダーシー・ジェームスの4人が、それぞれ個性的な新聞記者(ジャーナリスト)をリアリスティックに好演しています。カトリック教会(枢機卿)からの慇懃な威圧をかわしながら誰も手を付けなかった神父による児童への性的虐待
の実態を特集記事にするよう指示する新任の編集長バロン役をリーヴ・シュレイバー(1967~)が、新編集長のバロンと最初は対立するもジャーナリストとして共感しスポットライト・チームを応援するブラッドリー部長役をジョン・スラッテリー(1962~)が、渋く演じ前述のインディペンデント・スピリット賞のアンサンブル賞(集団演技賞)は、彼ら6人に対して贈られたのだと思います。

