ヤング・フランケンシュタイン シネマの世界<第598話>

コメディ映画の巨匠と称されるメル・ブルックス監督は、映画部門のアカデミー賞、TVドラマ部門のエミー賞、音楽のグラミー賞、演劇のトニー賞と芸能4賞すべて受賞した数少ない映画監督でもあります。
ブルックス監督は、パロディとギャグをふんだんに盛り込んだコメディを得意としており、とくに監督自身ユダヤ系とあって「ヒトラー(こちらを参照)を笑い飛ばすことは私の生涯の仕事」と述べています。

私は、1974年の公開当時に見たこの「ヤング・フランケンシュタイン」に出てくる数々のギャグに魅了されメル・ブルックス映画ファンになりました。
ブルックス監督は、1931年作品「フランケンシュタイン」へのオマージュとして唯一この映画だけモノクロ映像で

フランケンシュタイン家曾祖父の遺言により家督を曾孫(ひ孫)である脳外科医フレデリック・フロンコンスティン博士(ジーン・ワイルダー 1933~ブルックス監督と共同脚本)が、受け継ぐことになりました。
トランシルヴァニア(ルーマニア)の山の頂にある古い屋敷でフレデリックは、祖父ヴィクター・フランケンシュタイン博士の死体を蘇らせる実験記録を発見しました。
助手でせむし男のアイゴール(マーティ・フェルドマン1933~1982 メル・ブルックスの盟友マーティ・フェルドマン演じるアイゴールのギャグが強烈で印象に残る)は、主人であるフレデリックの言うことを聞いていない(無視)

怪奇映画ながらパロディとギャグ満載、「ヤング・フランケンシュタイン」は、メル・ブルックス・スパイスの効いた

メル・ブルックス ‘コメディ’ は、サスペンスの巨匠ヒッチコック監督作品10数本の有名シーンから引用されたパロディ てんこ盛りの1977年映画「メル・ブルックス/新サイコ」でも炸裂します。
原題は、「High Anxiety(高所恐怖症)」でブルックス監督が、自ら監督・脚本・主演しコメディ作家メル・ブルックスの本領を発揮した作品です。

精神医学の世界的権威ながら極度の高所恐怖症を患うソーンダイク博士(メル・ブルックス)は、ロスアンゼルスの有名な「とてもとても重病な精神療養所」の新所長として着任しました。

この見るからに怪しげな二人は、性的倒錯したSM関係にあり、軽易な患者も重度の精神疾患ありとカルテを書き変え長期入院させ法外な治療費を請求していました。
患者のカルテを見て自ら診察した新院長ソーンダイク博士は、二人の不正を知り患者の娘ビクトリア(マデリーン・カーン 1942~)と協力して彼らの悪行を暴こうとしました。
ヒッチコック映画のパロディが、満載されたコメディ映画「メル・ブルックス/新サイコ」にヒッチコック・ファンは、どの映画のどのシーンとすぐに分かりますので、ぷっと吹き出したりニヤリと笑いながら楽しめると思います。

(左写真中央:主人公のソーンダイク博士を演じるメル・ブルックス監督)