私の刻苧(こくそ)元年

面倒くさがり屋の私は、今まで自動車ボディ修理用のねんどパテ(99工房‐016)で刻苧の代用をしてきました。
そのことが、金継ぎ工芸会の講師会で話題になったらしく、「金継ぎの伝統工芸技法は、刻苧(こくそ)が、基本です。 もうそろそろ刻苧に挑戦したらいかがですか?」とさる女性講師からやさしく諭されました。
そこで自称パテ派(形成が簡単)の私も一念発起、本来の部分が、3分の1しか残っていない古唐津茶碗を刻苧で金継ぎすること

ちなみに刻苧とは、「続飯(そくい) 1 :地の粉 3 :刻苧綿 少々 :生漆 2 」 の割合で混ぜて作り、古代より陶器欠損の補修用材として使用され、乾くとノミでも削れないくらい強固になります。
陶器のカケを埋める錆漆(砥の粉と生漆を練り合わせたもの)は、普段よりひんぱんに使用するので、刻苧も錆漆同様、簡単に作れるものと安易に考えていた私は、教室で刻苧のノウハウ

‘これで刻苧を作り早くやりなさい’の無言指導で、その日、教室で刻苧するつもりのない(材料も道具も持参していない)私は、慌てました。
その経緯(いきさつ)を静かに見ていたまわりのやさしい先輩・同輩たちが、私に同情、それぞれ自分の道具と材料を提供してくれ、こうして6年遅れで、私の‘刻苧元年’は、始まりました。
上写真:刻苧で3分の1を補修した共継ぎ楽茶碗(先輩Yamazaki氏作品)
中写真:番匠井上のサイトから刻苧引用
右写真:99工房 ボディ用‐016 ねんどパテ