シッピング・ニュース シネマの世界<第580話>
ニューヨークの新聞社で働くクオイル(ケヴィン・スペイシー 1959~ 1999年映画「アメリカン・ビューティー」での娘の同級生に恋をする中年男役は抜群)の仕事は、印刷現場のインク係、単調な労務の繰り返しに労働意欲なく惰性で働いていました。
クオイルは、乱暴な父親から受けた子供ころのスパルタ水泳で溺れかけ九死に一生を得ましたが、犬かきもできない自分は、何をやってもダメな欠陥人間と思い込み、それ以来日々無気力に惰性で生きていました。
ある時、雨の中で男と言い争う娼婦のような女と偶然目が合い、クオイルの助手席に乗り込んできたその女を助ける羽目になりました。
女の名前は、ペタル(ケイト・ブランシェット 1969~ ドハデな衣装と厚化粧メイクの娼婦然としたペタル役はお見事!)と云い、クオイルに約束の時間までセックスしようと誘い彼の家に押しかけました。
ペタルは、次々に男を変える淫乱な女でしたが、女に縁のなかったクオイルは、ペタルに夢中になり結婚、娘バニーが、生まれました。
クオイルは、バニーを溺愛し大切に育てました。
ある日、クオイルに疎遠であった父親から母親と一緒に自殺するとの告知電話が入りました。
両親の葬儀で叔母のアグニス(ジュディ・デンチ 1934~)と再会、そのとき叔母アグニスは、捨てた故郷のニューファンドランド島へ戻るとクオイルに言いました。
葬儀を終えクオイルが、家に帰るとバニーとペタルは、不在でした。
しばらくすると警察からの電話でペタルが、自動車事故に遭い即死、運転していた男も死に娘のバニーは、無事であるとの連絡が入りるも派手好きなペタルは、金に困り娘のバニーを人身売買組織に6千㌦で売っていました。
クオイルは、全財産なげうってバニーを取り戻し叔母のアグニスと一緒に故郷のニューファンドランド島に還りバニーと人生をやり直すことにしました。
海の見える崖のうえに残るクオイルとアグネスの家は、錆だらけのワイヤーで岩に繋がれ廃屋同然でした。
ニューファンドランド島の厳しい気候と村の環境になじめないクオイルでしたが、ニューヨークの新聞社でインク係として働いていたことから小さな地元紙に就職しました。
地元紙の社長から命じられた仕事は、「シッピング・ニュース(港湾情報)」の記事を書くことでした。
クオイルは、バニーを預ける託児所の園長ウェイヴィ(ジュリアン・ムーア 1960~「アリスのままで」でアカデミー賞主演女優賞受賞 )とも親しくなり、島での生活を前向きに考えるようになりました。
社長のジャック(スコット・グレン 1941~)から少しずつ記事の評価も受け始め編集長タート(ピート・ポスルスウェイト 1946~2011)の嫌味にも慣れてきました。
やがて、クオイルは、アグニスやウェイヴィにもそれぞれつらく悲しい過去が、あることを知りました。
さらにクオイルの先祖は、昔この地方の悪名高い海賊で他の島から追放されこのニューファンドランド島へ逃れて来たのでした。
幼い娘バニーは、母親の死を理解できず(父親のクオイルが言うように)眠っているだけなら起こして欲しいと駄々をこね泣きじゃくりました。
ある日の夜、海から吹きつける折からの嵐で崖のうえのクオイルの先祖の家は、吹き飛ばされ翌日の朝、跡形もなく消えていました。
クオイルは、これを地元紙の一面トップの見出しに「大嵐、家を奪う、あとには絶景が」と記事にして発行、そのことで自分の気持ちが明るく前向きになるのを感じました。
メール、ありがとうございました。
相当のラッセ・ハルストレム監督ファンとご推察しました。
近日中にハルストレム監督夫人の名女優レナ・オリンについて掲載いたしますのでぜひコメントください。 お礼まで。