ブログトップ | ログイン

心の時空

yansue.exblog.jp

a day in my life

ニンフォマニアック 第一部/第二部  シネマの世界<第497話>

デンマークの奇才映画監督ラース・フォン・トリアー(1956~)の2013年作品「ニンフォマニアック 第一部/第二部」は、「アンチクライスト」、「メランコリア」から続く「鬱(ウツ)三部作」と呼ばれています。
ニンフォマニアック 第一部/第二部  シネマの世界<第497話>_a0212807_9434333.jpg
日々平々凡々と暮らす私には、精神障害(重度の鬱病ほか強迫観念などの神経症など)を抱えるトリアー監督の脳内を窺い知ること叶わず「鬱(ウツ)三部作」いずれの作品も少々しんどい映画ながらトリアー監督作品は、
ニンフォマニアック 第一部/第二部  シネマの世界<第497話>_a0212807_9483937.jpg
1996年の「奇跡の海」から2000年「ダンサー・イン・ザ・ダーク」、2005年「マンダレイ」、2009年「アンチクライスト」、2011年「メランコリア」、2013年「ニンフォマニアック第一部/第二部」と興味があり見続けています。
ニンフォマニアック 第一部/第二部  シネマの世界<第497話>_a0212807_9492664.jpg
ニンフォマニアック(Nymphomaniac)とは、女性の色情狂(色情症・多淫症という精神疾患、性依存症と違う)を意味します。
ニンフォマニアック 第一部/第二部  シネマの世界<第497話>_a0212807_950146.jpg
映画「ニンフォマニアック 第一部/第二部」は、確かにしんどい映画ですが一つは、二部構成になっており、第一部(プロローグ、第1章~第5章)が1時間57分、第二部(第6章~第8章、エピローグ)が、2時間3分、二部合わせるとニンフォマニアック 第一部/第二部  シネマの世界<第497話>_a0212807_9505643.jpg4時間、とにかく長いこと、二つ目は、ストーリーらしいストーリーがなく、映画の冒頭、小雪の舞う路地に倒れていたジョーという「色情狂(ニンフォマニア)」女性が、助けて介抱してくれた初老の童貞男セリグマン相手に、2才のときの性の自覚、少女期のオルガズム体験、15才のときの初体験(積極的な処女喪失)から中年(50才くらいか)まで、ニンフォマニアック 第一部/第二部  シネマの世界<第497話>_a0212807_952844.jpg数え切れない男たちとの様々なセックスを回想しながら赤裸々に延々と性体験談を語る話です。
「私は色情狂よ。そんな自分が好き」と色情狂を自認するジョーの回想シーンは、当然のことながら赤裸々なセックスの連続(場所、相手選ばず、そのセックスたるや何でもあり)なのでハードコア・ポルノ(局部のボカシが反って猥褻に見える)のようなニンフォマニアック 第一部/第二部  シネマの世界<第497話>_a0212807_9551417.jpg映像ですが、市販ポルノやAVのような卑猥さはなく、その手を期待して見るときっとがっかりするでしょう。
「映画は、靴の中の小石でなければならない。」を旨(モットー)とするトリアー監督が、憑依した「色情狂」のジョーは、男を待たせながら次々とチェーン・セックスを行ない「私は悪い人間なの?」と自問いたします。
ニンフォマニアック 第一部/第二部  シネマの世界<第497話>_a0212807_9563324.jpg「色情狂」のジョーにとってセックスの相手は、そこに居合わせた男ならダレでも良く、セックスに愛など微塵も求めない奔放な彼女の性(セクスタリティ)に翻弄される男たちが、哀れになって来ます。
ジョー(ジョーに憑依したトリアー監督自身)の“孤独と空虚”が、重低音のように私の心に響き、「愛とは、嫉妬交じりの性欲にすぎない。」とこの映画で喝破ニンフォマニアック 第一部/第二部  シネマの世界<第497話>_a0212807_100251.jpgする映像哲学者ラース・フォン・トリアーの真髄を見た思いがします。
「鬱(ウツ)三部作」すべてに主演、この映画の主人公「色情狂」のジョーを演じるフランスの名女優シャルロット・ゲンズブール(1971~ こちら参考)の気迫溢れる演技が、すばらしい映画です。
ニンフォマニアック 第一部/第二部  シネマの世界<第497話>_a0212807_101585.jpg若い頃のジョーを演じたフランスの新人女優ステイシー・マーティン(1991~)もまた体当たりの演技でポルノチックなセックスシーンを熱演しています。
路上に倒れていたジョーを助け介抱し彼女の回想するニンフォマニアック人生に耳を傾け、数学・哲学・宗教・文学などの博識な知性を用いてジョーのニンフォマニア(異常性欲)を分析すニンフォマニアック 第一部/第二部  シネマの世界<第497話>_a0212807_10364159.jpgるセリグマン役をスウェーデンの名優ステラン・スカルスガルド(1951~)が、初老の童貞独身男の哀愁を漂わせ好演しています。
映画のラスト‥セリグマンの最期が、無性に切なく哀れで、男として身につまされる思いです。
この映画に出演した他の男性俳優たちも名優ぞろいながら、如何せん添え物のような存在なので「ニンフォマニアック 第一部/第二部」の公式サイトを貼付しますので出演者と映画の詳しい内容をご確認ください。 (上写真:Pを演じたイギリスの新人女優ミア・ゴス 1993~ 眼差しが魅力的な女優)
ニンフォマニアック 第一部/第二部  シネマの世界<第497話>_a0212807_10565755.jpg「色情狂」ジョーを熱演した名女優シャルロット・ゲンズブールと新人女優ステイシー・マーティンのすばらしさは、云うまでもありませんが、第一部3章のミセスHを演じたアメリカの名女優ユマ・サーマン(1970~ 上中ほどの写真)は、「愛とは嫉妬交じりの性欲にすぎない」を象徴するような典型的な‘女の嫉妬心’を表現、ユマ・サーマンの狂気迫る演技に唸りました。
(左写真:ラース・フォン・トリアー監督)
by blues_rock | 2015-06-04 00:04 | 映画(シネマの世界) | Comments(0)
名前
URL
削除用パスワード

by blues_rock