ファイト・クラブ(後) シネマの世界<第338話>
殴り合う男たちは、暴力の激痛の中で生きている至福を恍惚として実感していました。
やがて「ファイト・クラブ」のメンバーにタイラーを指導者(メンター)とする社会秩序とシステムの破壊をめざすテロ組織「スペース・モンキーズ」(宇宙実験用の猿)が結成されました。
それまでタイラーと殴り合うことで強い友情を感じていたボクでしたが、爆薬製造の知識に長けたタイラーの死を厭わない高層ビル爆破テロ計画に非情な危険を感じました。
強いショックを受けたボクが、警察に電話するものの応対した警官もまたスペース・モンキーズのメンバーでした。
タイラーとスペース・モンキーズは、タイラーの計画した「メイヘム・プロジェクト」(都市破壊騒乱計画)をすでに実行に移していました。
ボクは、タイラーの高層ビル爆破テロを阻止しようとしますが、タイラーはボクに「オレはオマエの理想の姿だ」と告げスペース・モンキーズと消えました。
これ以降のストーリーは、ぜひ映画をご覧いただきお楽しみください。
フィンチャー監督演出の「暗く抑えた色調、無機的な質感、ノイズのような音響」を聴きながら見る暴力的な映像は、映画の最後まで続きます。
ボクの心が、マーラの心とやっと通いお互い目を見合わせ二人手をつないで、窓の外に建ち並ぶ高層ビルが、次々に倒壊していくさまを眺めているシーンで映画は終わります。
二人が、最期につかの間‘生きている証し’を感じる切なくも哀しいリアルなラストシーンです。
ある映画に関するアンケート調査結果によると最高の映画キャラクター100人中「ファイト・クラブ」でブラット・ピットの演じたタイラー・ダーデンが、第1位にランクされています。