ベルベット・ゴールドマイン シネマの世界<第290話>
イギリスの異才トッド・ヘインズ監督(1961~)が、2007年作品「アイム・ノット・ゼア」で6人の俳優に‘ボブ・ディラン’を演じさせるという奇想天外な秀作映画を撮りました。この映画は、ヴェネツィア国際映画祭で審査員特別賞、ケイト・ブランシェット(1969~)の演じた‘ボブ・ディラン’がなかなか秀悦で、ケイト・ブランシェットも同映画祭で女優賞を受賞(男性を演じて女優賞受賞もおもしろい)しました。
クリスチャン・ベール(1974~)も‘ボブ・ディラン’を演じています。
「ベルベット・ゴールドマイン」は、トッド・ヘインズ監督1998年作品で明らかにグラムロック・ミュージシャン‘デビット・ボウイ’をモデルにした“アートロック系”の映画です。
映画のタイトル「ベルベット・ゴールドマイン」は、1975年にデビット・ボウイが、リリースしたシングル盤「スペース・オディティ」のB面収録曲に由来しています。
「ベルベット・ゴールドマイン」は、タイトルに使用されているだけで、それどころかこの映画にデビット・ボウイの曲は、一曲も使用されていません。

ヘインズ監督自身が、ゲイ(ホモセクシャルを公言)であるため、ゲイのラブ・シーンが、濃厚で長い(長く感じる)のも
この映画の特徴です。映画の冒頭、アイルランドの詩人で文学者オスカー・ワイルド(1854~1900人生前半はヘテロ、後半はホモのバイセクシャル)の宝石が、映画の象徴として登場、映画のラストにもまた登場します。
デビット・ボウイそっくりのグラムロック・ミュージシャン、ブライアン・スレイドをアイルランドの俳優ジョナサン・リース・マイヤーズ(1977~)、イギー・ポップそっくりのパンクロック・ミュージシャン、カート・ワイルドをイギリスの
俳優ユアン・マクレガー(1971~)、ブライアン・スレイドの事件と失踪の真相を追うニューヨーク・ヘラルド紙の記者アーサー・スチュワートをクリスチャン・ベール、ブライアン・スレイドの妻マンディ・スレイドをオーストラリアの女優トニー・コレット(1972~)が演じています。映画は、人気絶頂のグラムロック・ミュージシャン、ブライアン・スレイドが、偽装殺人事件を非難され突然失踪してから10数年が経った1984年、ニューヨーク・ヘラルド紙の記者アーサーが、ブライアンを知る人びとを訪ねイン
タビューするうちにアーサー自身ブライアン・スレイドを信奉していた頃の封印していた自らの過去を回想していくというミステリアスな構成になっています。映画に登場する主人公たちが、皆ゲイなので彼らのゲイ・ファツション(女装)も見どころ‥「ベルベット・ゴールドマイン」は、カンヌ国際映画祭で芸術貢献賞受賞、イギリスのアカデミー賞では、衣装デザイン賞を受賞しています。
オスカー・ワイルドは、「ウワサになるより悪いのは、ウワサされないことである」と言っています。

