バベットの晩餐会(後編) シネマの世界<第254話>

そんな時、バベットの元にパリの友人から委託されて買っていたバベットの宝クジが、1万フランを引き当てたと知らせて来ました。
バベットは、身を寄せている姉妹に二人の父で牧師の生誕百周年晩餐会の食事を自分に料理させて欲しい、費用も自分に負担させて欲しい、長い間家政婦として働き何かお願いしたことはないが、この願いだけは叶えて

バベットの料理に使う材料の贅沢さに清貧で質素な暮らしをしてきた姉妹は、天罰が下るのではと恐怖を抱きました。
晩餐会には、若いころ姉に魅かれた将軍も村人の老叔母と一緒に招かれました。
晩餐会が始まり、姉妹や村人たちは恐る恐る食前酒(アペリティフ)で乾杯、スープを口に運びました。
晩餐会に招かれた将軍が、上質なアペリティフの味わい、本物の海亀スープの味に驚きました。
次から次に饗される料理と料理に合わせた年代物のワインに将軍が、この料理は、パリ・コミューン以前パリにあった「カフェ・アングレ」の女性料理長で料理の天才であった女性(ひと)の味だと晩餐会に居合わせた姉妹や村人たちに伝えました。
贅を尽くした料理と極上のワイン・シャンペンの晩餐を終えた村人たちは、昨日までの諍(いさか)いがウソのように打ち解け合い和むようになりました。

バベットは、二人に晩餐会のために1万フラン全部を使ったこと、自分に身寄りはなく、これからもこの村に留まりたいことを伝えました。
姉妹は、バベットの思いに胸熱くし彼女の願いを温かく受け入れました。