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心の時空

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デタッチメント  シネマの世界<第213話>

エイドリアン・ブロディ(1973~)が、高校の臨時教師として主演した2011年アメリカ映画「デタッチメント」は、日本劇場未公開作品ながら‘すばらしい映画’でした。
これほどの秀作映画が、なぜ日本の映画館で上映されなかったのか、不思議でなりません。
主人公の臨時教師を始め、映画に登場する教師たち・生徒たちの心の奥底にわだかまる心理描写がとにかくすばらしく、アップされた彼らの表情から、現実の苦しさ、哀しさ、切なさが、ヒシヒシと伝わってきます。
デタッチメント  シネマの世界<第213話>_a0212807_04474.jpg
くだらない映画は、上映するのに上質な映画をどうして公開しないのか、日本の映画配給会社は、日本の映画ファンを舐めているか、海外の映画を買い付ける日本人バイヤーに‘目利き’がいないのでしょう。
名優エイドリアン・ブロディは、29才の時「戦場のピアニスト」( The Pianist 2002)でアカデミー賞主演男優賞を受賞(最年少での受賞)しています。
映画「デタッチメント」は、アメリカ現代社会の病巣のひとつ、学校(子供の教育)問題にメスを入れ、生徒にではデタッチメント  シネマの世界<第213話>_a0212807_044970.jpgなく、学校で働き教育を担う教師たちに焦点が、当てられています。
日本でも最近問題になっている学校(学級)崩壊、親のわが子への無関心、モンスターペアレント、未成年による売春、教師のストレス(うつ病)などアメリカでは、とっくに深刻な社会問題であった教育現場の現実をリアルに描いています。
日本では、劇場公開されずビデオスルーされ、2013年4月TSUTAYAのレンタルDVDになりましたので、自室ミニ・シアターで見ました。
「デタッチメント」とは、直訳すると‘分離’とか‘離脱’という意味なのでDVDタイトルの「デタッチメント、優しい無デタッチメント  シネマの世界<第213話>_a0212807_052566.jpg関心」では、トニー・ケイ監督の表現したい人間の孤独と心の闇の心理描写が、正しく伝わりません
マーシャ・ハーデン(1959~)、ジェームズ・カーン(1939~)、ルーシー・リュー(1968~)などの芸達者たちが、悩める同僚教師として脇を固め、アメリカ教育現場の無力感をリアルに演じています。
教師の一人が「子供たちに問題があるのではない。親にこそ問題がある。彼らが親になる前に、親になるための教育が必要だ。」と自虐的に吐き捨てるシーンがありました。
すべての親(父親・母親)に聞かせたい名言です。
フランス映画「ぼくたちのムッシュ・ラザール」(2012 こちら)も同じような本質を抱えた映画でした。
by blues_rock | 2013-09-01 00:02 | 映画(シネマの世界) | Comments(0)
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