イタリアの名優 トニ・セルヴィッロ シネマの世界<第149話>
トニ・セルヴィッロが、出演した映画を初めて見たのは、2007年の映画「湖のほとりで」でした。
この映画は、イタリアのアカデミー賞というべきドナテッロ賞をイタリア映画史上最多の10部門で受賞するという快挙を成し遂げています。
トニ・セルヴィッロ出演の作品で私の見た映画の一つが、2008年の映画「ゴモラ」で、ナポリを拠点とするイタリア裏社会を牛耳る暴力・犯罪組織カモッラの一員を渋く演じていました。
同じく2008年のクライム・サスペンス映画「イル・ディーヴォ~魔王と呼ばれた男」では、イタリアの首相を7期にわたり務め、常に政界の汚職やマフィアとの癒着のウワサが、絶えなかった実在の政治家ジュリオ・アンドレオッティ(93才の今も健在)をイタリア映画伝統の‘ネオレアリズモ’で怪演しています。
この映画は、カンヌ国際映画祭で審査員特別賞を受賞しました。
2011年映画「至宝 ある巨大企業の犯罪」は、EU統一国家の光と影を人体に危険な産業廃棄物の不法投棄という社会的問題をとおして、富める国と貧しい国との格差の現実をリアリズムあふれる映像で捉え、EU内の先進地域が大量に排出する産業廃棄物をEU内の貧困地域に不法投棄する巨大企業の幹部をトニ・セルヴィッロが、リアルに演じています。
トニ・セルヴィッロは、「ゴモラ」と「イル・ディーヴォ」の演技でヨーロッパ映画賞(男優賞)を受賞、さらに「イル・ディーヴォ」では、ドナテッロ賞主演男優賞を受賞(3度目の受賞)しています。