私の数寄な絵 ‥ フィリッポ・リッピ「聖母子と天使」
フィリッポ・リッピは、修道士でしたが、恋多き破戒僧でした。
フィレンツェ郊外プラートの大聖堂壁画を委嘱され、司祭となったフィリッポ・リッピは、50才の時プラートの修道院で知り合った23才の修道女ルクレツィアに恋をし誘惑、駆け落ちしました。
司祭と修道女との駆け落ちは、一大スキャンダルとなりローマ教会から告発されました。
フィリッポ・リッピの画家としての才能を高く評価していたコジモ・デ・メディチは、教皇に執り成して、二人の還俗(げんぞく)を認めてもらい、二人は結婚しました。
「聖母子と天使」のモデルは、母となった妻ルクレツィアおよび息子二人と推察します。
この絵の美しさは、聖母マリアの甘美で官能的な表情と絵画に表現された世俗的な雰囲気にあると思います。